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会計監査

個別注記表の記載例【一覧表】会計監査人設置会社の注記項目と省略範囲

目次
  1. 個別注記表の位置づけと作り方の基本
  2. 注記項目の一覧【会社計算規則第98条第1項】
  3. 会社区分別の省略できる項目【判定の早見表】
  4. 非公開・会計監査人なしの会社が書く項目
  5. 会計監査人設置会社で増える項目
  6. 条文ごとの部分省略【会計監査人の有無・444条3項】
  7. 項目別の記載例(文例)
  8. 継続企業の前提に関する注記
  9. 重要な会計方針に係る事項に関する注記
  10. 会計上の見積りに関する注記
  11. 貸借対照表等に関する注記
  12. 損益計算書に関する注記
  13. 株主資本等変動計算書に関する注記
  14. 税効果会計に関する注記
  15. 関連当事者との取引に関する注記
  16. 一株当たり情報・重要な後発事象に関する注記
  17. リースに関する注記の改正と適用時期
  18. 作成時のチェックリスト
  19. まとめ
  20. 参考文献
  21. よくある質問
  22. 個別注記表は独立した書類として作成しなければなりませんか。
  23. 中小企業(非公開・会計監査人なし)は何を書けばよいですか。
  24. 会計監査人を置くと、個別注記表はどう変わりますか。
  25. 連結計算書類を作成していれば、個別注記表の一部を省略できますか。

個別注記表は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書とならぶ計算書類の一つで、会社計算規則第98条第1項に列挙された注記項目を区分して記載します(会社法 第435条第2項、会社計算規則 第59条第1項、第98条第1項)。ただし、すべての会社が全項目を書くわけではありません。会計監査人を置いているか、公開会社か、有価証券報告書を提出する大会社かによって、記載を省略できる項目が第98条第2項で決まっています。

本記事では、注記項目の一覧と会社区分ごとの省略範囲を表で整理したうえで、項目ごとの記載例(文例)を示します。とくに、非公開の中小会社から会計監査人設置会社へ移るときに増える注記に焦点を当てます。

個別注記表の位置づけと作り方の基本

会社法は、株式会社に各事業年度の計算書類と附属明細書の作成を求め、計算書類の範囲を法務省令に委ねています(会社法 第435条第2項)。これを受けて会社計算規則は、株主資本等変動計算書と個別注記表を計算書類に加えています(会社計算規則 第59条第1項)。

実務でよく聞かれるのが「独立した一表にしなければならないのか」という点です。会社計算規則は、貸借対照表や損益計算書など構成要素ごとに一つの書面として作成しなければならないと解してはならない、と定めています(会社計算規則 第57条第3項)。そのため、貸借対照表の脚注として注記を並べる形でも差し支えありません。一方で、貸借対照表や損益計算書の特定の項目に関連する注記は、その関連を明らかにする必要があります(会社計算規則 第99条)。

  • 金額の単位は1円・千円・百万円のいずれか(会社計算規則 第57条第1項)
  • 表示は日本語が原則(会社計算規則 第57条第2項)
  • 特定の科目に関する注記は、科目との対応を明示(会社計算規則 第99条)

注記項目の一覧【会社計算規則第98条第1項】

注記表は、次の項目に区分して表示します(会社計算規則 第98条第1項)。各項目の中身は、第100条以下の個別の条文で定められています。

第1号 継続企業の前提 第100条
第2号 重要な会計方針
に係る事項
第101条
第3号 会計方針の変更 第102条の2
第4号 表示方法の変更 第102条の3
第4号の2 会計上の見積り 第102条の3の2
第5号 会計上の見積りの変更 第102条の4
第6号 誤謬の訂正 第102条の5
第7号 貸借対照表等 第103条
第8号 損益計算書 第104条
第9号 株主資本等変動計算書 第105条
第10号 税効果会計 第107条
第11号 リース 第108条
第12号 金融商品 第109条
第13号 賃貸等不動産 第110条
第14号 持分法損益等 第111条
第15号 関連当事者との取引 第112条
第16号 一株当たり情報 第113条
第17号 重要な後発事象 第114条
第18号 連結配当規制適用会社 第115条
第18号の2 収益認識 第115条の2
第18号の3 国際最低課税額に
対する法人税等
第115条の3
第19号 その他の注記 第116条

このほか、会社法以外の法令により準備金・引当金の名称で計上しなければならないものがある場合は、その法令の条項と1年内に使用されるかどうかの区別を注記表に表示します(会社計算規則 第119条第2項)。

会社区分別の省略できる項目【判定の早見表】

記載を省略できる項目は、会社の機関設計と開示義務によって4つに分かれます(会社計算規則 第98条第2項第1号〜第3号)。ここでいう公開会社は、株式の全部または一部に譲渡制限を付けていない会社です(会社法 第2条第5号)。

会計監査人設置会社以外の
非公開会社
第1号、第4号の2、第5号、第7号、第8号、第10号〜第18号を省略可
会計監査人設置会社以外の
公開会社
第1号、第4号の2、第5号、第14号、第18号を省略可
会計監査人設置会社
(会社法444条3項以外)
第14号(持分法損益等)のみ省略可
有価証券報告書を提出する
大会社(会社法444条3項)
第98条第2項による省略なし(連結注記表との重複による個別の省略規定あり)

会社法444条3項の会社とは、事業年度の末日において大会社であり、かつ有価証券報告書の提出義務がある会社で、連結計算書類の作成が義務づけられています(会社法 第444条第3項)。大会社は、最終事業年度の貸借対照表で資本金5億円以上または負債合計200億円以上の会社です(会社法 第2条第6号)。

関連コラム連結計算書類の作成義務【判定表】会社法444条の対象会社と任意作成▸

非公開・会計監査人なしの会社が書く項目

多くの中小企業が該当する区分です。省略できない項目を残すと、書く対象は次の8項目になります(会社計算規則 第98条第1項、第2項第1号)。

  • 重要な会計方針に係る事項(第2号)
  • 会計方針の変更(第3号)、表示方法の変更(第4号)、誤謬の訂正(第6号)
  • 株主資本等変動計算書に関する注記(第9号)
  • 収益認識に関する注記(第18号の2)、国際最低課税額に対する法人税等に関する注記(第18号の3)
  • その他の注記(第19号)

見落としやすいのは、省略対象が「第10号から第18号まで」と書かれている点です。第18号の2(収益認識)と第18号の3は省略対象に挙がっていません。ただし、収益認識に関する注記は、顧客との契約に基づく義務の履行状況に応じて収益を認識する会社、つまり収益認識の会計基準を適用している会社が対象です(会社計算規則 第115条の2第1項)。適用していない会社では、この注記は生じません。

会計監査人設置会社で増える項目

会計監査人を置くと、省略できるのは持分法損益等だけになります(会社計算規則 第98条第2項第3号)。非公開の中小会社と比べると、次の項目が新たに必要になります。

  • 継続企業の前提、会計上の見積り、会計上の見積りの変更
  • 貸借対照表等、損益計算書に関する注記
  • 税効果会計、リース、金融商品、賃貸等不動産
  • 関連当事者との取引、一株当たり情報、重要な後発事象、連結配当規制適用会社

非公開の大会社は会計監査人の設置が義務になるため(会社法 第328条第2項)、資本金の増加や負債の膨張で大会社に該当した年度は、個別注記表の記載項目が一気に増える点に注意が必要です。

条文ごとの部分省略【会計監査人の有無・444条3項】

第98条第2項で項目そのものを書く会社でも、各条文のただし書などで一部の事項を省略できる場合があります。会計監査人設置会社を基準に整理すると次のとおりです。

会計方針の変更
(第102条の2)
会計監査人設置会社以外は、遡及適用しなかった理由・適用方法等と将来への影響を省略可
金融商品
(第109条)
会社法444条3項以外の会社は、時価の適切な区分ごとの内訳等を省略可
関連当事者との取引
(第112条)
会計監査人設置会社以外は、取引の内容・種類別の取引金額・取引条件・取引条件の変更を省略可
収益認識
(第115条の2)
会社法444条3項以外の会社は、収益の分解情報と当期・翌期以降の収益の金額を理解するための情報を省略可
株主資本等変動計算書
(第105条)
連結注記表を作成する会社は、自己株式の数以外を省略可

関連当事者との取引について、会計監査人設置会社以外の公開会社が個別注記表で省略した事項は、附属明細書に表示します(会社計算規則 第112条第1項ただし書、第117条第4号)。非公開会社の附属明細書は第1号から第3号までの事項で足りるため、この取扱いは公開会社に限られます(会社計算規則 第117条)。

また、連結注記表を作成する会社は、金融商品・賃貸等不動産・持分法損益等の注記を個別注記表で省略できます(会社計算規則 第109条第2項、第110条第2項、第111条第2項)。会計方針の変更や会計上の見積りなどで連結注記表と同じ内容になる部分は、その旨を個別注記表に注記すれば記載を省略できます(会社計算規則 第102条の2第2項、第102条の3の2第2項)。

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項目別の記載例(文例)

以下は、製造業の非上場会社(会計監査人設置会社、3月決算、金額単位は千円)を想定した自社作成の文例です。数値はすべて架空です。自社の事実に合わせて、該当しない文は削って使います。

継続企業の前提に関する注記

重要な疑義を生じさせる事象・状況があり、対応策を講じてもなお重要な不確実性が認められる場合に、事象の内容・対応策・不確実性の理由・計算書類への反映の有無を記載します(会社計算規則 第100条)。該当しない会社では記載は生じません。

当社は、当事業年度において営業損失120,000千円を計上し、2期連続の営業損失となっております。この結果、当社には継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況があります。当社は、不採算製品の生産終了と取引金融機関との借入条件の見直し協議を進めておりますが、協議は継続中であり、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。なお、計算書類は継続企業を前提として作成しており、当該重要な不確実性の影響を計算書類に反映しておりません。

重要な会計方針に係る事項に関する注記

資産の評価基準・評価方法、固定資産の減価償却の方法、引当金の計上基準、収益及び費用の計上基準などを記載します(会社計算規則 第101条第1項)。収益認識の会計基準を適用する会社は、主要な事業における主な履行義務の内容と、収益を認識する通常の時点も含めます(会社計算規則 第101条第2項)。

1.資産の評価基準及び評価方法
(1) 子会社株式 移動平均法による原価法
(2) その他有価証券(市場価格のない株式等) 移動平均法による原価法
(3) 棚卸資産 総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)
2.固定資産の減価償却の方法
有形固定資産は定率法によっております。ただし、建物は定額法によっております。
3.引当金の計上基準
(1) 貸倒引当金 債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権は貸倒実績率により、貸倒懸念債権等は債務者ごとの回収可能性に基づき、回収できないと見込まれる額を計上しております。
(2) 賞与引当金 従業員の賞与の支給に備えるため、支給見込額のうち当事業年度の負担額を計上しております。
4.収益及び費用の計上基準
当社は産業用部品の製造・販売を主な事業としており、顧客に製品を引き渡す義務を負っております。当該履行義務は製品の引渡時点で顧客が支配を獲得すると判断しており、主として引渡時点で収益を認識しております。

減価償却の方法の一文は、あくまで文例です。自社の固定資産台帳で採用している方法と一致しているかを必ず確認してください。

会計上の見積りに関する注記

当期の計算書類に計上した額のうち、翌期の計算書類に重要な影響を及ぼす可能性がある項目について、項目名・計上額・理解に資する情報を記載します(会社計算規則 第102条の3の2第1項)。

繰延税金資産の回収可能性
(1) 当事業年度の計算書類に計上した金額 繰延税金資産 85,000千円
(2) その他の情報 繰延税金資産は、取締役会で承認された翌期以降3年間の事業計画に基づく課税所得の見積額により回収可能性を判断しております。主要な仮定である受注数量の見込みが変動した場合、翌事業年度の繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

関連コラム会計上の見積りの開示の記載例|注記項目の選び方と文例▸

貸借対照表等に関する注記

担保資産、減価償却累計額、保証債務、関係会社に対する金銭債権債務、取締役等に対する金銭債権債務などを記載します(会社計算規則 第103条)。

1.担保に供している資産及び担保に係る債務
担保に供している資産 建物 210,000千円、土地 340,000千円
担保に係る債務 長期借入金 400,000千円(1年内返済予定額を含む)
2.有形固定資産の減価償却累計額 1,260,000千円
3.保証債務 子会社の金融機関からの借入金に対し、30,000千円の債務保証を行っております。
4.関係会社に対する金銭債権及び金銭債務(区分表示したものを除く)
短期金銭債権 45,000千円、短期金銭債務 18,000千円
5.取締役に対する金銭債務 2,000千円

損益計算書に関する注記

関係会社との営業取引による取引高と、営業取引以外の取引による取引高を総額で記載します(会社計算規則 第104条)。

関係会社との取引高
営業取引による取引高 売上高 260,000千円、仕入高 95,000千円
営業取引以外の取引による取引高 6,000千円

株主資本等変動計算書に関する注記

期末の発行済株式数、期末の自己株式数、当期中に行った剰余金の配当(期末後の配当で基準日が当期中のものを含む)、新株予約権の目的となる株式数などを記載します(会社計算規則 第105条)。

1.当事業年度の末日における発行済株式の数 普通株式 2,000,000株
2.当事業年度の末日における自己株式の数 普通株式 50,000株
3.剰余金の配当
2026年6月26日の定時株主総会において、普通株式の配当金の総額 39,000千円(1株当たり20円)を決議しております。
基準日が当事業年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌事業年度となるもの
2027年6月開催予定の定時株主総会において、普通株式の配当金の総額 48,750千円(1株当たり25円)を付議する予定です。

関連コラム株主資本等変動計算書の注記記載例|増減表と配当注記のひな形▸

税効果会計に関する注記

繰延税金資産(評価性引当額として控除した金額を含む)と繰延税金負債の発生の主な原因を記載します(会社計算規則 第107条)。会社計算規則が求めるのは「発生の主な原因」なので、原因を文章で示す形でも足ります。

繰延税金資産の発生の主な原因は、賞与引当金、退職給付引当金及び減損損失の損金算入限度超過額であり、繰延税金負債の発生の主な原因は、その他有価証券評価差額金であります。なお、繰延税金資産から評価性引当額 22,000千円を控除しております。

関連当事者ごとに、名称・議決権の所有割合・関係・取引の内容・種類別の取引金額・取引条件と決定方針・期末残高などを記載します(会社計算規則 第112条第1項、第3項)。役員報酬の支払いや一般競争入札による取引などは注記不要です(会社計算規則 第112条第2項)。

子会社 A社(議決権の所有割合 直接100%)
関係 製品の販売、役員の兼任
取引の内容 製品の販売 取引金額 260,000千円 期末残高 売掛金 45,000千円
取引条件及び取引条件の決定方針 市場価格を勘案し、一般の取引条件と同様に決定しております。

会計監査人設置会社以外の会社は、取引の内容・取引金額・取引条件などを省略できますが(会社計算規則 第112条第1項ただし書)、会計監査人を置いた年度からはこれらがすべて必要になります。

関連コラム関連当事者の注記記載例|重要性の基準値一覧と取引種類別の文例▸

一株当たり情報・重要な後発事象に関する注記

一株当たり情報は、一株当たりの純資産額と当期純利益金額(または当期純損失金額)を記載します(会社計算規則 第113条)。重要な後発事象は、期末日後に翌期以降の財産または損益に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合に記載します(会社計算規則 第114条第1項)。

一株当たり情報
1株当たり純資産額 1,520円45銭
1株当たり当期純利益 96円10銭
重要な後発事象
当社は、2027年5月15日開催の取締役会において、工場用地の取得を決議し、同年5月30日に売買契約を締結いたしました。取得価額は380,000千円であり、自己資金及び借入金により充当する予定です。

リースに関する注記の改正と適用時期

新しいリース会計基準に対応して、2025年3月31日に会社計算規則が改正され、第98条第1項第11号は「リースにより使用する固定資産に関する注記」から「リースに関する注記」へ改められました。改正後の規定は2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用され、2025年4月1日以後に開始する事業年度から早期適用もできます(会社計算規則 附則(令和7年3月31日法務省令第14号)第2条第1項)。

改正前の第108条 ファイナンス・リース取引を売買処理していない借主が、リース物件(固定資産)に関する事項を注記
改正後の第108条 借手・貸手の区分に応じた注記。有価証券報告書を提出する会社以外は注記不要
改正後も残る取扱い ファイナンス・リースの資産・負債を計上していない借手は、リース対象資産に関する事項を注記

改正後は、借手が会計方針・リース特有の取引・リースの金額を理解するための情報を、貸手がリース特有の取引とリースの金額を理解するための情報を注記します。ただし、会社法440条4項の会社(有価証券報告書の提出義務がある会社)以外は、これらの注記を要しません(会社計算規則 第108条第1項)。また、連結計算書類を作成する会社は、借手の会計方針に関する情報を除き、個別注記表での注記が不要です(会社計算規則 第108条第2項)。ファイナンス・リースの資産・負債を計上していない借手については、引き続きリース対象資産に関する事項を注記します(会社計算規則 第108条第4項)。

改正後の規定を初めて適用する際のリースに係る会計方針の変更では、主な項目への影響額に代えて、期首のリース負債に適用した追加借入利子率の加重平均などを注記することも認められています(会社計算規則 附則(令和7年3月31日法務省令第14号)第2条第2項)。

作成時のチェックリスト

個別注記表は、毎期の決算で前期の文面を流用しがちです。会社区分が変わった年度や基準の改正があった年度は、とくに次の点を確認します。

  1. 期末時点の会社区分(公開会社か、会計監査人設置会社か、444条3項の会社か)を確認したか
  2. 第98条第2項で省略できない項目がすべて区分して表示されているか
  3. 各条文のただし書による部分省略を、会社区分に合わせて正しく使っているか
  4. 貸借対照表・損益計算書の科目と関連する注記に、その関連を明示しているか(第99条)
  5. 収益認識の会計基準の適用の有無と、第101条第2項・第115条の2の記載が一致しているか
  6. リースの注記が、改正前・改正後どちらの第108条に基づくものかを確認したか
  7. 注記の金額が計算書類本体・附属明細書・勘定内訳と一致しているか

実務では、会計監査人を新たに選任した初年度に、関連当事者の取引金額や金融商品の時価、税効果の発生原因など、これまで社内で集計していなかった情報が求められて決算が遅れる例が少なくありません。選任が決まった段階で、前期の数値を使って注記の試作をしておくと、本番の決算で慌てずに済みます。

関連コラム収益認識に関する注記|3区分の記載事項と省略できる場合▸

まとめ

  • 個別注記表は計算書類の一つで、会社計算規則第98条第1項の項目に区分して記載します。
  • 省略できる項目は、会計監査人の有無・公開会社か否か・会社法444条3項の会社かで決まります(第98条第2項)。
  • 非公開で会計監査人のいない会社は、重要な会計方針・株主資本等変動計算書など8項目が中心です。
  • 会計監査人設置会社は持分法損益等以外の項目が必要になり、関連当事者などの部分省略も使えなくなります。
  • リースに関する注記は2027年4月1日以後開始する事業年度から改正後の規定が適用され、有価証券報告書の提出会社以外は原則不要になります。

どの項目をどこまで記載すべきかは、会社の機関設計・取引内容・重要性によって変わります。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

個別注記表は独立した書類として作成しなければなりませんか。

独立した一表にする必要はありません。会社計算規則は、構成要素ごとに一つの書面として作成しなければならないと解してはならないと定めており(会社計算規則 第57条第3項)、貸借対照表の脚注として注記を記載する形も認められます。ただし、特定の科目に関連する注記は関連を明らかにする必要があります(会社計算規則 第99条)。

中小企業(非公開・会計監査人なし)は何を書けばよいですか。

重要な会計方針に係る事項、会計方針の変更、表示方法の変更、誤謬の訂正、株主資本等変動計算書に関する注記、収益認識に関する注記、国際最低課税額に対する法人税等に関する注記、その他の注記の8項目が対象です(会社計算規則 第98条第2項第1号)。実際には、該当する事象がある項目だけが記載対象になります。

会計監査人を置くと、個別注記表はどう変わりますか。

省略できるのは持分法損益等に関する注記だけになり(会社計算規則 第98条第2項第3号)、継続企業の前提、会計上の見積り、貸借対照表等、損益計算書、税効果会計、金融商品、関連当事者との取引、一株当たり情報、重要な後発事象などが必要になります。関連当事者との取引の取引金額や取引条件の省略(会社計算規則 第112条第1項ただし書)も使えなくなります。

連結計算書類を作成していれば、個別注記表の一部を省略できますか。

できます。連結注記表を作成する会社は、金融商品・賃貸等不動産・持分法損益等の注記を個別注記表で省略でき(会社計算規則 第109条第2項、第110条第2項、第111条第2項)、株主資本等変動計算書に関する注記も自己株式の数以外を省略できます(会社計算規則 第105条)。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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