持分法の仕訳一覧【一覧表】投資差額・損益取込・配当・未実現利益
目次
- 持分法の仕訳の全体像
- 持分法の仕訳一覧表
- 設例で見る持分法の仕訳(1期目)
- 取得時:投資差額の算定(仕訳なし)
- 期末:損益取込・のれん償却・配当・その他の包括利益
- 期末:未実現利益の消去
- 翌期:開始仕訳
- 持分法特有の未実現利益の論点
- 持分相当額か全額か
- 相手勘定の選択と投資額を超える場合
- 未実現利益の税効果の帰属
- 投資差額(のれん相当額)の算定と償却
- その他の包括利益累計額の取込みと表示
- 債務超過・売却・持分変動の仕訳
- 債務超過に陥った場合
- 株式の売却と関連会社に該当しなくなった場合
- 時価発行増資等による持分変動
- 持分法の税効果(留保利益・のれん)
- 表示と注記、適用時期
- 決算で使う持分法仕訳のチェックポイント
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 持分法で受け取った配当金はなぜ投資有価証券から減額するのですか
- 持分法ののれん償却額はどこに表示しますか
- 関連会社への販売で生じた未実現利益は全額消去しますか
- 持分法適用会社のその他有価証券評価差額金も取り込む必要がありますか
- 持分法適用会社が債務超過になった場合、投資有価証券はマイナスになりますか
関連会社や非連結子会社に持分法を適用すると、連結決算のたびに「どの勘定科目を、どちらの方向に、いくら動かすか」を決める必要があります。持分法の仕訳は、ほぼすべてが投資有価証券を片側に置いて動く点に特徴があり、この型をつかめば処理の見通しが一気に良くなります。
この記事では、持分法で出てくる仕訳を一覧表にまとめたうえで、1期目の設例で損益の取込み、投資差額(のれん相当額)の償却、受取配当金の修正、未実現利益の消去、その他の包括利益累計額の取込み、翌期の開始仕訳までを通しで確認します。持分法の適用範囲や関連会社の判定といった基準の全体像は別のコラムで扱っているため、ここでは「仕訳を引ける」ことに絞って整理します。
持分法の仕訳の全体像
持分法とは、投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいいます(持分法に関する会計基準 第4項)。子会社のように財務諸表を勘定科目ごとに合算するのではなく、持分相当額を貸借対照表では投資有価証券の修正、損益計算書では「持分法による投資損益」として反映するため、一行連結とも呼ばれます(持分法会計に関する実務指針 第2項)。
そのため、持分法の仕訳は次の2つの考え方で組み立てると迷いません。
- 被投資会社の純資産が動いたら、持分相当額だけ投資有価証券を動かす(損益なら持分法による投資損益、その他の包括利益なら各内訳項目が相手)
- 投資会社と被投資会社の間で二重になったもの・実現していないものは消す(受取配当金、未実現利益)
なお、持分法の適用にあたっては重要性の原則が適用され、のれんの処理や未実現損益の消去などのうち重要性が乏しいものは、修正又は処理を行わないことができます(持分法に関する会計基準 第26項)。
持分法の仕訳一覧表
持分法で登場する主な仕訳を、処理ごとに一覧にしました。金額の算定根拠と条項は、表の下と各見出しで補足します。
| 当期純利益の取込み | 借方 投資有価証券/貸方 持分法による投資損益 |
|---|---|
| 当期純損失の取込み | 借方 持分法による投資損益/貸方 投資有価証券 |
| 投資差額(のれん相当額) の償却 |
借方 持分法による投資損益/貸方 投資有価証券 |
| 負ののれんの処理 | 借方 投資有価証券/貸方 持分法による投資損益 |
| 受取配当金の修正 | 借方 受取配当金/貸方 投資有価証券 |
| 未実現利益の消去 (ダウンストリーム) |
借方 売上高等の損益項目/貸方 投資有価証券(持分法による投資損益で処理する方法もあり) |
| 未実現利益の消去 (アップストリーム) |
借方 持分法による投資損益/貸方 棚卸資産等の資産(投資有価証券で処理する方法もあり) |
| その他の包括利益 累計額の取込み |
借方 投資有価証券/貸方 その他有価証券評価差額金等の各内訳項目(減少時は逆仕訳) |
| 前期までの取込額の 引継ぎ(開始仕訳) |
借方 投資有価証券/貸方 利益剰余金期首残高・その他の包括利益累計額の期首残高 |
| 欠損が投資額を 超える場合の負担 |
借方 持分法による投資損益/貸方 投資有価証券、貸付金、持分法適用に伴う負債 |
| 留保利益に係る税効果 | 借方 法人税等調整額/貸方 繰延税金負債 |
| 株式の一部売却 | 個別上の売却損益を、売却持分と投資の減少額の差額だけ修正 |
| 時価発行増資等による 持分比率の減少 |
差額を持分変動損益として特別利益又は特別損失に計上 |
各行の根拠は、当期純損益の取込みが持分法に関する会計基準 第12項、投資差額が同 第11項・第12項、受取配当金が同 第14項、未実現利益が同 第13項と持分法会計に関する実務指針 第12項・第13項、その他の包括利益累計額が同実務指針 第10-2項、欠損の負担が同 第20項・第21項、留保利益の税効果が同 第27項・第28項、売却と持分比率の減少が同 第17項・第18項です。
設例で見る持分法の仕訳(1期目)
ここからは、一覧表の主要な仕訳を1つの設例で通して確認します。数値は説明用に当事務所で作成したもので、単位はすべて千円です。
- X1年4月1日、P社はA社株式の30%を480,000で取得し、A社を持分法適用関連会社とした(取得時のA社の純資産は1,200,000、資産及び負債の評価差額はないものとする)
- 投資差額(のれん相当額)は10年で定額法により償却する
- A社のX2年3月期の当期純利益は300,000、期中に100,000の配当を支払い、P社は30,000を受取配当金に計上した
- A社のその他有価証券評価差額金が期中に40,000増加した
- P社からA社への商品販売があり、A社の期末商品のうち200,000がP社から仕入れたもの(P社の利益率25%)
- A社からP社への商品販売があり、P社の期末商品のうち80,000がA社から仕入れたもの(A社の利益率30%)
- 税効果は説明を簡単にするため考慮しない
取得時:投資差額の算定(仕訳なし)
投資日における投資と、これに対応する被投資会社の資本との差額はのれん又は負ののれんとし、のれんは投資に含めて処理します(持分法に関する会計基準 第11項)。持分法では、のれんを独立した科目として計上せず、投資有価証券の中に含めたまま管理する点が連結と異なります。
取得時点では投資額と資本持分額の調整計算を行うだけで、連結修正仕訳は生じません。持分法適用会社の株式の取得に要した付随費用は、個別財務諸表上の取得原価に含まれるため、関連会社の場合はその付随費用込みの投資原価でのれんの額を算定します(持分法会計に関する実務指針 第36-4項)。
期末:損益取込・のれん償却・配当・その他の包括利益
投資会社は、投資日以降の被投資会社の利益又は損失のうち投資会社の持分又は負担に見合う額だけ投資の額を増減し、その増減額を当期純利益の計算に含めます(持分法に関する会計基準 第12項)。のれんは原則として20年以内に定額法その他合理的な方法により償却します(持分法会計に関する実務指針 第9項)。配当金を受け取った場合はその額を投資の額から減額し(持分法に関する会計基準 第14項)、その他の包括利益累計額の変動も持分相当額だけ投資の額を増減させます(持分法会計に関する実務指針 第10-2項)。設例の期末の連結修正仕訳は次のとおりです(単位:千円)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 90,000 | 持分法による投資損益 | 90,000 |
| 持分法による投資損益 | 12,000 | 投資有価証券 | 12,000 |
| 受取配当金 | 30,000 | 投資有価証券 | 30,000 |
| 投資有価証券 | 12,000 | その他有価証券評価差額金 | 12,000 |
受取配当金の修正は見落とされやすい仕訳です。A社の利益はすでに持分法による投資損益として取り込んでいるため、P社の個別決算で計上した受取配当金をそのまま残すと、同じ利益を二重に計上することになります。配当は「利益の受取り」ではなく「投資の払戻し」として投資有価証券を減らす、と覚えておくと整理しやすくなります。
期末:未実現利益の消去
投資の増減額の算定にあたっては、連結会社と持分法適用会社との間の取引に係る未実現損益を消去します(持分法に関する会計基準 第13項)。買手側が関連会社の場合、売手側である投資会社に生じた未実現損益は原則として投資会社の持分相当額を消去します(持分法会計に関する実務指針 第11項)。
ダウンストリーム(P社→A社)の消去額は、売手側である連結会社の売上高等の損益項目と、持分法適用会社に対する投資の額に加減します(持分法会計に関する実務指針 第12項)。アップストリーム(A社→P社)の消去額は、持分法による投資損益と、買手側である連結会社の未実現損益が含まれている資産の額に加減します(持分法会計に関する実務指針 第13項)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 15,000 | 投資有価証券 | 15,000 |
| 持分法による投資損益 | 7,200 | 商品 | 7,200 |
この結果、P社の連結損益計算書に計上される持分法による投資損益と、期末の投資有価証券の連結上の金額は次のようになります。
検算として、期末のA社純資産1,440,000(1,200,000+300,000−100,000+40,000)の30%である432,000に、のれんの未償却残高108,000を加え、ダウンストリームの消去額15,000を差し引くと525,000となり、一致します。実務では、この「持分相当額+のれん未償却残高」との突合を持分計算表で毎期行うと、仕訳漏れを早期に発見できます。
翌期:開始仕訳
持分法の修正は連結財務諸表上だけで行うため、翌期は前期までの修正を開始仕訳として引き継ぎます。投資日後に生じた被投資会社の利益剰余金のうち投資に対応する部分は、投資会社の利益剰余金として処理され(持分法に関する会計基準 第26-3項)、取得後に生じたその他の包括利益累計額の持分額も連結上のその他有価証券評価差額金等の区分で引き継がれます(持分法会計に関する実務指針 第6-4項)。設例の翌期の開始仕訳は次のとおりです(単位:千円)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 45,000 | 利益剰余金期首残高 | 33,000 |
| その他有価証券評価差額金期首残高 | 12,000 | ||
| 利益剰余金期首残高 | 7,200 | 商品 | 7,200 |
利益剰余金期首残高の33,000は、前期の損益に影響した修正(投資損益の取込み90,000、のれん償却12,000、受取配当金の減額30,000、ダウンストリームの売上高の減額15,000)の純額です。前期に消去した未実現利益は、翌期に買手側が外部へ販売するなどして実現した時点で、当期の損益に戻し入れる処理を別途行います。
持分法特有の未実現利益の論点
未実現利益の消去は連結子会社との取引と同じ発想ですが、持分法には固有の判断がいくつかあります。連結子会社との取引を含めた消去仕訳の基本は、下記の関連コラムで詳しく扱っています。
持分相当額か全額か
売手側である投資会社に生じた未実現損益は、買手側が非連結子会社であれば全額消去し、関連会社であれば原則として投資会社の持分相当額を消去します。ただし、状況から判断して他の株主の持分についても実質的に実現していないと判断される場合は全額消去します(持分法会計に関する実務指針 第11項)。他の株主に資金力又は資産がなく、投資会社のみが借入金に対し債務保証を行っている場合などがこれに当たります(持分法会計に関する実務指針 第37項)。
アップストリームの場合は、持分法適用会社に対する連結会社の持分相当額を消去します(持分法会計に関する実務指針 第11項)。なお、未実現損失のうち売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しません(同項)。
相手勘定の選択と投資額を超える場合
ダウンストリームの消去額は売上高等の損益項目で処理するのが原則ですが、利害関係者の判断を著しく誤らせない場合は持分法による投資損益に加減することができます(持分法会計に関する実務指針 第12項)。アップストリームでも、資産の額に加減する代わりに投資の額に加減する方法が同じ条件で認められています(持分法会計に関する実務指針 第13項)。どちらを採るかは毎期継続して適用できるよう、連結決算の手順書に明記しておくのが実務的です。
未実現利益の消去額が投資の額を超える場合は、持分法適用会社への貸付金があればその超過額について貸付金を減額し、それでも超える部分は「持分法適用に伴う負債」等の科目で負債の部に計上します(持分法会計に関する実務指針 第12項)。
未実現利益の税効果の帰属
未実現損益の消去には税効果会計を適用します(持分法会計に関する実務指針 第11項)。連結会社が売手側のダウンストリームでは一時差異は連結会社に帰属し(持分法会計に関する実務指針 第26項)、持分法適用会社が売手側のアップストリームでは持分法適用会社に帰属するものとして扱います(持分法会計に関する実務指針 第25項)。設例では省略しましたが、実際の決算では税効果を含めた仕訳を組む必要があります。
関連コラム連結の未実現利益の消去仕訳|ダウンストリームとアップストリーム▸
投資差額(のれん相当額)の算定と償却
のれんの会計処理は、企業結合に関する会計基準の定めに準じて行います(持分法に関する会計基準 第12項)。のれんは原則としてその計上後20年以内に定額法その他合理的な方法により償却し、金額に重要性が乏しい場合は生じた期の損益として処理することができます(持分法会計に関する実務指針 第9項)。持分法を適用する被投資会社に係るのれんの当期償却額及び減損処理額並びに負ののれんは、持分法による投資損益に含めて表示します(持分法に関する会計基準 第27項)。
投資差額を算定する際の被投資会社の資本は、資産及び負債を時価で評価した後の金額です。関連会社の場合は投資会社の持分に相当する部分に限定して時価評価する部分時価評価法により、原則として投資日ごとに当該日の時価で評価します(持分法に関する会計基準 第26-2項、持分法会計に関する実務指針 第6-2項)。段階的に投資している場合は、投資日ごとの原価とこれに対応する資本との差額をのれん又は負ののれんとして処理します(持分法に関する会計基準 第26-3項)。連結の段階取得のように支配獲得日の時価で一括して損益を認識する処理とは異なる点に注意が必要です(持分法会計に関する実務指針 第2-2項)。
持分法適用後に株式を追加取得した場合も、追加取得した株式に対応する持分と追加投資額との差額をのれん又は負ののれんとして処理します(持分法会計に関する実務指針 第16項)。連結子会社の追加取得のように差額を資本剰余金とする処理ではありません(持分法会計に関する実務指針 第2-2項)。
関連コラムのれんの償却期間の決め方|20年以内の年数設定と仕訳▸
その他の包括利益累計額の取込みと表示
持分法適用会社がその他有価証券評価差額金などのその他の包括利益累計額を計上している場合も、投資日以降の変動のうち投資会社の持分に見合う額だけ投資の額を増減します(持分法会計に関する実務指針 第10-2項)。ここで迷いやすいのが、財務諸表ごとに表示の仕方が異なる点です。
| 財務諸表 | 表示の仕方 |
|---|---|
| 連結包括利益計算書等のその他の包括利益 | 持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額として一括して区分表示 |
| 連結貸借対照表のその他の包括利益累計額 | その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額等の各内訳項目に含めて表示 |
このため、連結修正仕訳の貸方は「その他有価証券評価差額金」などの内訳科目で起票しておき、包括利益計算書の作成時に持分相当額として一括して組み替える運用が扱いやすくなります(持分法会計に関する実務指針 第10-2項)。また、退職給付に係る調整累計額は持分法適用会社の個別財務諸表には計上されませんが、持分法の適用に際しては、その変動額のうち投資会社の持分に見合う額について投資の額を増減する必要があります(同項)。
債務超過・売却・持分変動の仕訳
債務超過に陥った場合
関連会社の欠損を負担する責任が投資額の範囲に限られている場合、投資会社は持分法による投資価額がゼロとなるところまで負担します。ただし、損失分担契約や貸付金、契約上又は事実上の債務保証がある場合は、事実上負担すると考えられる割合に相当する額を投資会社の持分に負担させます(持分法会計に関する実務指針 第20項)。負担させた欠損は、投資有価証券をゼロとした後は貸付金等を減額し、さらに超える部分は「持分法適用に伴う負債」等の科目で負債の部に計上します(持分法会計に関する実務指針 第21項)。この負債は引当金の性格になじまないため、「引当金」を用いた科目名は使いません(持分法会計に関する実務指針 第38項)。
株式の売却と関連会社に該当しなくなった場合
持分法適用会社の株式を売却した場合は、売却した株式に対応する持分の減少額と投資の減少額との差額を、売却損益の修正として処理します。のれんの未償却額のうち売却分に対応する部分も持分の減少額に含めて計算し、その他の包括利益累計額に係る部分は売却損益の修正に含めません(持分法会計に関する実務指針 第17項)。
売却等により関連会社に該当しなくなった場合、残存する投資は連結財務諸表上、個別貸借対照表上の帳簿価額で評価します(持分法に関する会計基準 第15項)。このとき、持分法適用除外日における取得後利益剰余金のうち投資会社持分額は、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の区分に「持分法適用会社の減少に伴う利益剰余金減少高(又は増加高)」等の科目で表示します(持分法会計に関する実務指針 第33項)。
時価発行増資等による持分変動
持分法適用会社の時価発行増資等で投資会社の払込額と持分の増減額に差額が生じた場合、持分比率が増加したときは追加取得に準じ、減少したときは一部売却に準じて処理します。持分比率が減少した場合の差額(その他の包括利益累計額に係る部分を除く)は、持分変動損益等の科目で特別利益又は特別損失に計上します(持分法会計に関する実務指針 第18項)。
持分法の税効果(留保利益・のれん)
株式取得後に生じた留保利益の持分額は、連結上の投資価額を個別上の投資簿価より大きくするため、投資会社において将来加算一時差異が生じることがあります。ただし、予測可能な将来の期間に売却する意思がない場合などには、配当で回収するものを除き、税効果を認識しません(持分法会計に関する実務指針 第27項)。将来の配当で追加納付が見込まれる税金額は、投資会社の繰延税金負債として計上します(持分法会計に関する実務指針 第28項)。
のれんの償却額についても、投資の売却や税務上の評価減の見込みに応じて税効果の要否を判断します(持分法会計に関する実務指針 第29項)。一覧表の「留保利益に係る税効果」の仕訳は、こうした判断の結果として計上が必要になった場合に起票するものです。
表示と注記、適用時期
連結財務諸表上、持分法による投資損益は営業外収益又は営業外費用の区分に一括して表示します(持分法に関する会計基準 第16項)。注記では、持分法を適用した非連結子会社及び関連会社の範囲に関する事項と、その重要な変更があったときの旨及び理由などを記載します(持分法に関する会計基準 第17項)。
持分法に関する会計基準は2008年3月に公表され、同年12月に関連会社の定義と負ののれんの処理を見直す改正が行われました。2008年3月の基準は2010年4月1日以後開始する連結会計年度から、2008年12月の改正は2010年4月1日以後に実施される投資に係る会計処理から適用されています(持分法に関する会計基準 第18項、第18-2項、第21-2項)。実務指針は、2022年10月に改正された法人税等に関する会計基準等への対応まで改正が重ねられています(持分法会計に関する実務指針 第1-6項)。
仕訳を組む前提として、持分法適用会社の会計方針は投資会社と原則として統一します(持分法に関する会計基準 第9項)。統一のための修正仕訳は下記のコラムで扱っています。
関連コラム持分法適用会社の会計方針の統一|実務対応報告第24号と修正仕訳▸
決算で使う持分法仕訳のチェックポイント
上場準備企業の連結決算で、持分法の仕訳について指摘を受けやすい点をチェックリストにまとめました。
- 持分計算表で「被投資会社の純資産×持分比率+のれん未償却残高−未実現利益」と連結上の投資有価証券が一致しているか
- 個別決算の受取配当金を、持分法適用会社からの配当分だけ投資有価証券と相殺しているか
- 取得時の投資差額に付随費用を含めて算定しているか、のれん償却額を持分法による投資損益に含めているか
- 未実現利益の消去を持分相当額で行い、他の株主の持分が実質的に実現していないケースを検討したか
- その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の変動を取り込んでいるか
- 前期までの修正を開始仕訳で正しく引き継ぎ、前期の未実現利益の実現処理を行っているか
- 欠損が投資額を超える場合に、貸付金の減額や「持分法適用に伴う負債」の計上を検討したか
関連コラム持分法に関する会計基準|適用範囲と未実現利益消去の実務▸
まとめ
持分法の仕訳は、被投資会社の純資産の変動を持分相当額だけ投資有価証券に反映し、投資会社との間で二重になった受取配当金や未実現利益を消すという2つの考え方で組み立てられます。損益の取込みとのれん償却は持分法による投資損益、その他の包括利益累計額は各内訳項目、受取配当金は投資有価証券との相殺、というように相手勘定を一覧表で押さえておくと、処理の漏れを防げます。
そのうえで、未実現利益の消去割合や相手勘定の選択、債務超過や持分変動の処理、留保利益の税効果など、個別の状況で判断が分かれる論点が残ります。持分計算表との突合を毎期行い、採用した処理を手順書に残しておくことが、監査対応を含めた連結決算の安定につながります。
持分法の適用範囲や個々の仕訳の判断は取引ごとの事情に左右されますので、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
お問い合わせはこちら参考文献
よくある質問
持分法で受け取った配当金はなぜ投資有価証券から減額するのですか
被投資会社の利益は、持分法による投資損益としてすでに投資有価証券に取り込まれているためです。個別決算の受取配当金をそのまま残すと同じ利益を二重に計上することになるため、配当金に相当する額を投資の額から減額します(持分法に関する会計基準 第14項)。
持分法ののれん償却額はどこに表示しますか
持分法を適用する被投資会社に係るのれんの当期償却額は、販売費及び一般管理費ではなく、持分法による投資損益に含めて表示します(持分法に関する会計基準 第27項)。持分法による投資損益は営業外収益又は営業外費用の区分に一括して表示します(持分法に関する会計基準 第16項)。
関連会社への販売で生じた未実現利益は全額消去しますか
原則として、関連会社に対する投資会社の持分相当額を消去します。ただし、他の株主の持分についても実質的に実現していないと判断される場合は全額消去します(持分法会計に関する実務指針 第11項)。買手側が非連結子会社の場合は全額消去します(同項)。
持分法適用会社のその他有価証券評価差額金も取り込む必要がありますか
必要です。投資日以降のその他の包括利益累計額の変動のうち投資会社の持分に見合う額だけ投資の額を増減し、連結貸借対照表ではその他有価証券評価差額金等の各内訳項目に含めて表示します(持分法会計に関する実務指針 第10-2項)。
持分法適用会社が債務超過になった場合、投資有価証券はマイナスになりますか
投資有価証券はゼロを下限とし、投資会社が事実上負担すべき欠損がそれを超える場合は、貸付金等を減額し、なお超える部分を「持分法適用に伴う負債」等の科目で負債の部に計上します(持分法会計に関する実務指針 第20項、第21項)。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。


