関連会社に持分法を適用するとき、その会社の会計方針を親会社(投資会社)に合わせる必要があるのか、どこまで合わせれば足りるのかは、連結決算の実務で必ず論点になります。子会社と違って議決権の過半数を持たない相手に自社の会計方針を採用させることは容易ではなく、必要な情報がそもそも入手できないこともあります。
結論から述べると、同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社(その子会社を含みます)および持分法を適用する被投資会社が採用する会計方針は、原則として統一することとされています(持分法に関する会計基準 第9項)。そのうえで、実務上の負担に配慮した当面の取扱いが実務対応報告第24号に定められており、一定の場合には統一を行わないことができます。
本記事では、持分法適用会社の会計方針の統一について、原則として求められる範囲、実務対応報告第24号による当面の取扱い、統一を要しない場合の判断、そして統一に伴って実際に切る持分法上の修正仕訳までを、上場準備企業・上場企業の連結決算担当者の目線で整理します。
持分法適用会社の会計方針の統一の原則
持分法とは、投資会社が被投資会社の資本および損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいいます(持分法に関する会計基準 第4項)。非連結子会社および関連会社に対する投資については、原則として持分法を適用します(持分法に関する会計基準 第6項)。
その適用にあたっては、被投資会社の財務諸表の適正な修正や資産および負債の評価に伴う税効果会計の適用等について、原則として連結子会社の場合と同様の処理を行うこととされています(持分法に関する会計基準 第8項)。会計方針の統一も、この「連結子会社の場合と同様」の一環として位置づけられています。
統一が求められる範囲
統一が求められるのは、同一環境下で行われた同一の性質の取引等についての会計方針です(持分法に関する会計基準 第9項)。逆にいえば、置かれている環境が異なる取引や、性質そのものが異なる取引についてまで、機械的に会計方針をそろえることが求められているわけではありません。実務では、この「同一環境下」「同一の性質」という2つの限定が、統一の対象を絞り込む出発点になります。
会計方針の統一が被投資会社の財務諸表上で行われていない場合には、持分法の適用に際して、これを統一するための修正を行うこととされています(持分法に関する会計基準 第25項)。つまり、関連会社に自社の会計方針を採用させることができなくても、投資会社側で持分法の適用上の修正を行うことによって統一を図る、という建て付けです。
なお、連結会計基準では親会社および子会社の会計処理の統一にあたり、より合理的な会計方針を選択すべきであるとされ、親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられるとされています。このため、投資会社が自社の会計処理をその連結子会社の会計処理に合わせている場合には、被投資会社の会計処理についても当該連結子会社に合わせることとなります(持分法に関する会計基準 第25項)。統一の基準は「親会社の方針」ではなく「グループとして合理的な方針」である点に注意が必要です。
連結子会社との違い(一行連結)
連結子会社は勘定科目ごとに合算されますが、持分法は被投資会社の資本および損益に対する投資会社の持分相当額を、原則として貸借対照表上は投資有価証券の修正、損益計算書上は「持分法による投資損益」によって連結財務諸表に反映します(持分法会計に関する実務指針 第2項)。この処理は一行連結(ワン・ライン・コンソリデーション)と呼ばれます。
したがって、会計方針を統一しても、関連会社の売上高や棚卸資産といった個別の勘定科目が連結財務諸表に取り込まれるわけではありません。統一の効果は、投資勘定と持分法による投資損益という2つの科目に集約されて表れます。この構造を理解しておくと、後述する修正仕訳が読みやすくなります。
また、持分法適用関連会社の資産および負債は、投資会社の持分に相当する部分に限定する部分時価評価法により評価する点も、全面時価評価法による連結子会社との違いです(持分法に関する会計基準 第26-2項)。
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実務対応報告第24号による当面の取扱い
原則として統一するという定めをそのまま適用すると、支配力が及ぶ子会社と異なり、他に支配株主や合弁相手が存在する関連会社では実務上の負担が大きくなります。そこで、持分法適用関連会社の会計方針の統一に際して生じる実務上の負担に配慮し、当面の取扱いを定めたものが実務対応報告第24号です。
親子会社間の統一に関する取扱いに準じる方法
投資会社および持分法を適用する関連会社が採用する会計方針の統一にあたっては、原則的な取扱いによるほか、当面の間、日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会実務指針第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する監査上の取扱い」に定める会計処理の統一に関する取扱いに準じて行うことができるとされています(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。
実務上の意味は明快です。連結子会社について運用している統一のルールを、そのまま持分法適用関連会社にも当てはめてよいということです。連結子会社と関連会社で別々の統一基準を作る必要はなく、既存の連結決算マニュアルを拡張する形で対応できます。
国際的な会計基準に準拠している場合
在外関連会社の財務諸表が国際財務報告基準または米国会計基準に準拠して作成されている場合、および国内関連会社が指定国際会計基準または修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成して金融商品取引法に基づく有価証券報告書により開示している場合については、当面の間、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」に準じて行うことができるとされています(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。
この取扱いによる場合、それらの財務諸表を持分法の適用上そのまま利用したうえで、実務対応報告第18号が定める5項目に限って修正すれば足りることになります。修正すべき項目の内容は後述します。
統一のために必要な情報の入手が極めて困難な場合
投資会社の他に支配株主が存在するようなとき、上場会社の株式を追加取得することで関連会社としたときなどでは、支配力が及ぶ子会社とは異なり、修正のために必要となる詳細な情報の入手が極めて困難なことがあり得ます。このような場合、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるときには、監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める「統一しないことに合理的な理由がある場合」にあたるものとされています(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。
ただし、この取扱いにあたるかどうかは、個別の事情の合理性を実質的に判断する必要があります。単に「相手が資料を出してくれない」という説明だけでは足りず、どのような情報を、どの経路で、いつ要請し、なぜ入手できなかったのかを記録として残しておくことが実務上の要点になります。国内関連会社であっても、情報の入手が極めて困難な状況が生じることは否定されていません。
統一を要しない場合の判断
持分法の適用に際しては重要性の原則が適用されます。したがって、持分法のための被投資会社の財務諸表の修正、投資会社および持分法を適用する被投資会社が採用する会計方針の統一、のれんの処理、未実現損益の消去等に関して、重要性が乏しいものについては、これらの修正または処理等を行わないことができます(持分法に関する会計基準 第26項)。
この場合の重要性は連結財務諸表上の諸数値に基づいて判断され、一般的には当期純利益が考えられます。このため、関連会社の純利益に持分比率を乗じたものに重要性が乏しい場合には、統一を行わないことができると考えられます(実務対応報告第24号 本実務対応報告の考え方(3))。関連会社そのものの規模ではなく、持分相当額で判断する点が実務上のポイントです。
整理すると、統一を行わないことができる場面は次のとおりです。
| 重要性が乏しい場合 | 関連会社の純利益に持分比率を乗じた額に重要性が乏しいときは、会計方針の統一を行わないことができます。 |
|---|---|
| 統一しないことに 合理的な理由がある場合 |
監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める取扱いに準じて判断します。統一のために必要な情報の入手が極めて困難と認められるときは、これにあたるものとされています。 |
| 国際的な会計基準に 準拠している場合 |
在外関連会社等が国際財務報告基準等に準拠しているときは、実務対応報告第18号に準じ、定められた5項目の修正のみを行うことができます。 |
なお、3つ目は厳密には「統一しなくてよい」というより「統一の方法を簡便にできる」取扱いです。5項目の修正自体は原則として必要であり、修正に重要性が乏しい場合に修正を行わないことができるという整理になります。
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会計方針の統一に伴う持分法上の修正仕訳
ここからは、実際にどのような仕訳を切るのかを確認します。投資会社は、投資の日以降における被投資会社の利益または損失のうち投資会社の持分または負担に見合う額を算定して、投資の額を増額または減額し、当該増減額を当期純利益の計算に含めます(持分法に関する会計基準 第12項)。会計方針の統一による修正も、この枠組みの中で処理されます。
当期分の統一修正
以下は自社作例です。前提条件は、P社が関連会社A社の議決権の30%を保有し持分法を適用していること、A社が保有する機械装置の取得原価は100,000千円・耐用年数10年・残存価額0であること、A社は定率法(償却率0.200)を採用しているがP社グループの会計方針は定額法であること、時点はX1年度(取得初年度)であることです。単位は千円とし、簡便化のため税効果は考慮していません。根拠となる定めは、持分法に関する会計基準 第9項および第12項、ならびに持分法会計に関する実務指針 第2項および第10項です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 3,000 | 持分法による投資損益 | 3,000 |
関連会社の個別の減価償却費や機械装置は連結財務諸表に取り込まれないため、統一の効果は投資有価証券と持分法による投資損益の増減としてのみ表れます。持分法による投資損益は、連結損益計算書上、営業外収益または営業外費用の区分に一括して表示します(持分法に関する会計基準 第16項)。
翌年度の開始仕訳
前年度に行った統一修正の効果は、翌連結会計年度の連結財務諸表では利益剰余金の期首残高に引き継がれます。前提条件は上記と同じで、時点はX2年度の期首、単位は千円です。X1年度に計上した修正額3,000千円をそのまま引き継ぎます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 3,000 | 利益剰余金期首残高 | 3,000 |
会計方針の統一は一度行えば終わりではなく、差異が解消するまで毎期この開始仕訳が必要になります。連結決算のワークシート上で持分法適用会社ごとに修正の累計額を管理しておかないと、翌期以降に引き継ぎ漏れが発生します。上場準備企業の連結決算で頻出する誤りのひとつです。
翌年度の当期分修正
X2年度は、A社の定率法による減価償却費が逓減する一方、P社グループの定額法による減価償却費は一定であるため、差額が縮小します。前提条件は上記と同じで、時点はX2年度、単位は千円です。根拠となる定めは、持分法に関する会計基準 第9項および第12項、ならびに持分法会計に関する実務指針 第10項です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 1,800 | 持分法による投資損益 | 1,800 |
なお、被投資会社がその他有価証券評価差額金などのその他の包括利益累計額を計上している場合には、投資会社の持分に見合う額を算定して投資の額を増減させる必要があります。この増減額は、連結包括利益計算書上は持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額として一括して区分表示し、連結貸借対照表上のその他の包括利益累計額では各内訳項目に含めて表示します(持分法会計に関する実務指針 第10-2項)。
在外関連会社の会計方針と修正項目
在外関連会社が国際財務報告基準または米国会計基準に準拠して財務諸表を作成している場合、実務対応報告第18号に準じることができます(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。この場合に修正が必要となる項目は次の5つです(実務対応報告第18号 連結決算手続における在外子会社等の会計処理の統一 当面の取扱い)。
| のれんの償却 | のれんを償却していない場合には、計上後20年以内の効果の及ぶ期間にわたり、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却するよう修正します。 |
|---|---|
| 退職給付会計における 数理計算上の差異の費用処理 |
数理計算上の差異をその他の包括利益で認識し、その後費用処理を行わない場合には、平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に処理するよう修正します。 |
| 研究開発費の支出時費用処理 | 研究開発費に該当する支出を資産に計上している場合には、支出時の費用とするよう修正します。 |
| 投資不動産の時価評価 および固定資産の再評価 |
投資不動産を時価評価している場合または固定資産を再評価している場合には、取得原価を基礎として正規の減価償却によって算定された減価償却費を計上するよう修正します。 |
| 資本性金融商品に係る 組替調整 |
公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合には、売却時に取得原価と売却価額との差額を当期の損益として計上するよう修正します。 |
これらの修正についても、当該修正額に重要性が乏しい場合には修正を要しません。また、のれんの償却をはじめとする5項目の修正のために必要な情報の入手が極めて困難と認められる場合には、当該項目の修正を行わないことができるとされています(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。
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在外持分法適用会社の財務諸表(評価差額がある場合にはこれを修正後のもの)の換算は、在外子会社の財務諸表項目の換算と同様に行います。期中平均相場で換算された当期純損益の持分額を持分法による投資損益とし、取得後の利益剰余金の持分額について連結上の利益剰余金の修正を行い、決算時の為替相場で換算した純資産の投資会社持分額まで投資勘定を修正します。換算から生じた為替換算調整勘定の持分相当額は、連結貸借対照表上の為替換算調整勘定に含めます(持分法会計に関する実務指針 第31項)。
実務では、会計方針を統一するための修正を先に行い、修正後の財務諸表を換算するという順序を守ることが重要です。換算後の円貨額に対して修正を加えると、為替換算調整勘定の金額が本来あるべき額とずれます。
実務上の留意点
決算日の差異への対応
持分法の適用にあたっては、投資会社は被投資会社の直近の財務諸表を使用します。投資会社と被投資会社の決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引または事象が発生しているときには、必要な修正または注記を行います(持分法に関する会計基準 第10項、持分法会計に関する実務指針 第4項)。
実務では、決算日が異なる関連会社について、会計方針の統一に必要な情報を取得するタイミングが問題になります。差異期間内に発生した取引・事象のうち、当期の損益または純資産に反映すべきもので連結上重要なものは修正し、次期以後の財政状態および経営成績に影響を及ぼすもので連結上重要なものは注記するという整理を、あらかじめ決算スケジュールに織り込んでおくことが有効です。
会計方針の変更としての取扱いと注記
持分法に関する会計基準 第9項の定めにより、被投資会社の会計処理の原則および手続を投資会社と統一するために変更する場合は、会計基準の変更に伴う会計方針の変更にあたる点に留意が必要とされています(持分法に関する会計基準 第28項)。統一を新たに行う年度には、会計方針の変更としての整理が必要になるという意味です。
また、連結財務諸表には、持分法を適用した非連結子会社および関連会社の範囲に関する事項ならびにこれらに重要な変更があったときはその旨およびその理由、持分法の適用の手続について特に記載する必要があると認められる事項がある場合にはその内容を注記します(持分法に関する会計基準 第17項)。会計方針の統一の方針や統一を行わなかった理由は、この注記の検討対象になり得ます。
上場準備における情報入手の体制づくり
上場準備の過程では、関連会社から会計方針の統一に必要な情報を継続的に受け取る仕組みを、監査対応が始まる前に整えておくことが実務的な課題になります。株主間契約や合弁契約の中に情報提供条項を設ける、決算期の統一を交渉する、グループ会計方針書を関連会社にも共有するといった対応が典型例です。
情報を入手できないことを理由に統一を行わない場合には、その判断の根拠を残す必要があります。個別の事情の合理性を実質的に判断することが求められているため、要請の経緯と入手できなかった理由を文書化しておくと、監査上の説明がスムーズになります。
適用時期と改正の経緯
企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」は2008年(平成20年)3月10日に公表され、2010年(平成22年)4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度から適用されています(持分法に関する会計基準 第18項)。その後、2008年(平成20年)12月26日に改正され、関連会社の定義の見直しおよび負ののれんの会計処理の変更が行われました。この改正後の定めは、2010年(平成22年)4月1日以後実施される非連結子会社および関連会社に対する投資に係る会計処理から適用されています(持分法に関する会計基準 第18-2項)。さらに2024年(令和6年)7月1日には、日本公認会計士協会の実務指針が企業会計基準委員会へ移管されたことに伴い、参照先を移管指針第7号「持分法会計に関する実務指針」とする修正が行われています。
実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」は2008年(平成20年)3月10日に公表され、その後2017年(平成29年)3月29日に改正されて、国内関連会社が指定国際会計基準または修正国際基準に準拠した連結財務諸表を作成している場合が対象に加えられました。最終改正は2018年(平成30年)9月14日で、資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示する選択をしている場合の組替調整を修正項目とした実務対応報告第18号の改正を受けた対応が行われています。2018年改正の定めは、2019年(平成31年)4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用されています。
実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」は2006年(平成18年)に公表された後、2010年(平成22年)、2015年(平成27年)、2017年(平成29年)、2018年(平成30年)と改正が重ねられ、最終改正は2019年(令和元年)6月28日です。2019年改正では、国際財務報告基準第16号「リース」等を対象に修正項目として追加する項目の有無が検討され、新たな修正項目の追加は行わないこととされました。この改正は公表日以後適用されています。
持分法会計に関する実務指針は、日本公認会計士協会が公表していた実務指針が企業会計基準委員会へ移管され、2024年(令和6年)7月1日に移管指針第7号として公表されています。その後、2026年(令和8年)7月7日に公表された企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」の改正を反映する修正が行われています。
まとめ
持分法適用会社の会計方針の統一について、本記事で確認した内容を整理します。
- 同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社およびその被投資会社が採用する会計方針は、原則として統一します(持分法に関する会計基準 第9項)。
- 統一が被投資会社の財務諸表上で行われていない場合には、持分法の適用に際して統一するための修正を行います(持分法に関する会計基準 第25項)。
- 統一にあたっては、当面の間、監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める取扱いに準じて行うことができます(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。
- 在外関連会社等が国際財務報告基準等に準拠している場合には、当面の間、実務対応報告第18号に準じ、5項目の修正を行うことができます。
- 統一のために必要な情報の入手が極めて困難と認められるときは、統一しないことに合理的な理由がある場合にあたるものとされています。
- 関連会社の純利益に持分比率を乗じた額に重要性が乏しい場合には、統一を行わないことができます(持分法に関する会計基準 第26項)。
- 統一の効果は投資有価証券と持分法による投資損益に集約され、過年度分は利益剰余金の期首残高に引き継がれます。
参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第16号 持分法に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い
- 企業会計基準委員会 実務対応報告第18号 連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い
- 企業会計基準委員会 移管指針第7号 持分法会計に関する実務指針
よくある質問
持分法適用会社の会計方針は、必ず投資会社に合わせる必要がありますか
同一環境下で行われた同一の性質の取引等については、投資会社およびその被投資会社が採用する会計方針を原則として統一します(持分法に関する会計基準 第9項)。ただし、統一の基準は必ずしも投資会社の会計処理とは限りません。投資会社が自社の会計処理をその連結子会社の会計処理に合わせている場合には、被投資会社の会計処理についても当該連結子会社に合わせることとなります(持分法に関する会計基準 第25項)。
会計方針を統一しなくてよいのは、どのような場合ですか
関連会社の純利益に持分比率を乗じたものに重要性が乏しい場合には、統一を行わないことができると考えられます(持分法に関する会計基準 第26項、実務対応報告第24号 本実務対応報告の考え方(3))。また、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるときは、監査・保証実務委員会実務指針第56号に定める統一しないことに合理的な理由がある場合にあたるものとされています。該当するかどうかは、個別の事情の合理性を実質的に判断する必要があります。
在外関連会社が国際財務報告基準を採用している場合はどうなりますか
在外関連会社の財務諸表が国際財務報告基準または米国会計基準に準拠して作成されている場合には、当面の間、実務対応報告第18号に準じて行うことができます(実務対応報告第24号 持分法適用関連会社の会計処理の統一 当面の取扱い)。この場合、のれんの償却、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、研究開発費の支出時費用処理、投資不動産の時価評価および固定資産の再評価、資本性金融商品に係る組替調整の5項目について修正を行います。
持分法を適用する非連結子会社も関連会社と同じ取扱いになりますか
持分法の適用対象となる非連結子会社について会計方針を統一する場合の取扱いも、実務対応報告第24号で示されたものと同様です。ただし、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められる場合の取扱いは、関連会社に固有の事情を考慮して定められたものであり、これを非連結子会社に適用することは適当ではないとされています(実務対応報告第24号 本実務対応報告の考え方(4))。
統一のために行った変更は会計方針の変更として取り扱いますか
持分法に関する会計基準 第9項の定めにより、被投資会社の会計処理の原則および手続を投資会社と統一するために変更する場合は、会計基準の変更に伴う会計方針の変更にあたる点に留意が必要とされています(持分法に関する会計基準 第28項)。あわせて、持分法の適用の手続について特に記載する必要があると認められる事項がある場合には、その内容を連結財務諸表に注記します(持分法に関する会計基準 第17項)。
会計方針の統一に関する定めは、いずれもすでに適用されている取扱いです。具体的なケースについては、関連会社との関係性や入手可能な情報の範囲によって判断が分かれるため、公認会計士へのご相談をおすすめします。
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