中間財務諸表の注記と記載例|第37号の注記事項一覧と様式
目次
- 中間財務諸表の注記事項一覧
- 期中財務諸表に共通する注記事項(第24項)
- 中間連結・中間個別で追加される注記(第25項・第26項)
- 主要な注記の記載例
- 期中特有の会計処理(税金費用の計算)
- 会計方針の変更
- 株主資本の金額に著しい変動
- 配当に関する事項
- 重要なその他の事項(金融商品の時価)
- 中間財務諸表の様式と開示対象期間
- 中間財務諸表の範囲
- 開示対象期間
- 科目の集約記載
- 四半期との注記の違い
- 第33号・第12号から第37号への統合
- 注記事項の主な差分
- 四半期に固有の追加注記
- 適用時期と改正の経緯
- 実務上の留意点
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 中間財務諸表の注記事項は全部で何項目ですか。
- 四半期決算短信の注記と中間財務諸表の注記は同じですか。
- 中間財務諸表の様式はどこで定められていますか。
- 企業会計基準第33号はもう参照しなくてよいのですか。
半期報告書の作成で最も手間がかかるのは、本表よりも注記です。どの項目を書けばよいのか、どこまで書けばよいのかが分からないまま、前年度の記載を写して終わってしまうケースは少なくありません。
本稿では、中間財務諸表に求められる注記事項を一覧表で整理し、実務で迷いやすい主要な注記について記載例(文例)を示します。あわせて、様式と開示対象期間、四半期との注記の違いも対照表で確認できるようにしました。2026年4月1日以後開始する事業年度からは、企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」が適用されていますので、本稿は同基準に基づいて整理しています。
中間財務諸表の注記事項一覧
期中財務諸表に注記しなければならない事項は、企業会計基準第37号第24項に20項目が列挙されています。中間財務諸表(半期報告書に含まれる第一種中間財務諸表等)もこの第24項に従います。まずは全体像を押さえてください。
期中財務諸表に共通する注記事項(第24項)
| 重要な会計方針の変更 | 第24項(1) 変更を行った期中会計期間以後において、その内容、その理由及び影響額を記載します。 |
|---|---|
| 遡及適用が実務上不可能な場合 | 第24項(2) (1)に加えて、その理由、会計方針の変更の適用方法及び適用開始時期を記載します。 |
| 前年度の自発的な 会計方針の変更 |
第24項(3) 前年度の最初の期中会計期間の末日後に自発的な変更を行い、比較情報として開示する前年度の期中財務諸表と前年度に開示したものとで会計方針に相違がある場合に、その旨を記載します。 |
| 会計上の見積りの重要な変更 | 第24項(4) 変更を行った期中会計期間以後において、その内容及び影響額を記載します。 |
| 会計方針の変更と見積りの 変更の区分が困難な場合 |
第24項(5) 変更の内容、その理由及び影響額を記載します。 |
| 期中特有の会計処理 | 第24項(6) 採用している場合に、その旨及びその内容を記載します。 |
| セグメント情報等に関する事項 | 第24項(7) 報告セグメントの利益(又は損失)及び売上高、差異調整、報告セグメントの変更、重要な減損損失、のれんの重要な影響など7項目です。 |
| 収益の分解情報に関する事項 | 第24項(8) 顧客との契約から生じる収益の分解情報と、報告セグメントの売上高との関係を理解するための情報です。 |
| 1株当たり期中純損益 | 第24項(9) 1株当たり期中純損益、潜在株式調整後1株当たり期中純利益及びその算定上の基礎を記載します。 |
| 配当に関する事項 | 第24項(10) 配当金の総額、1株当たり配当額、基準日、効力発生日及び配当の原資などを記載します。 |
| 株主資本の著しい変動 | 第24項(11) 株主資本の金額に著しい変動があった場合に、主な変動事由を記載します。 |
| 継続企業の前提に関する 重要な不確実性 |
第24項(12) 期中会計期間の末日に重要な疑義を生じさせる事象等があり、対応をしてもなお重要な不確実性が認められるときに、その旨及びその内容等を記載します。 |
| 著しい季節的変動 | 第24項(13) 事業の性質上、営業収益又は営業費用に著しい季節的変動がある場合に、その状況を記載します。 |
| 重要な偶発債務 | 第24項(14) 重要な保証債務その他の重要な偶発債務を記載します。 |
| 重要な企業結合に関する事項 | 第24項(15) 取得とされた重要な企業結合、重要な共通支配下の取引等及び共同支配企業の形成について、企業結合の概要と実施した会計処理の概要を記載します。 |
| 重要な事業分離に関する事項 | 第24項(16) 事業分離の概要、実施した会計処理の概要、分離した事業に係る損益の概算額を記載します。 |
| 重要な後発事象 | 第24項(17) 期中会計期間の末日後に発生した重要な後発事象を記載します。 |
| 現金及び現金同等物の 期末残高と科目の関係 |
第24項(18) 期中キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の期中会計期間末残高と、期中貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係を記載します。 |
| 重要なその他の事項 | 第24項(19) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要なその他の事項を記載します。 |
| 過去の誤謬の修正再表示 | 第24項(20) 修正再表示を行った場合に、その内容及び影響額を記載します。 |
中間連結・中間個別で追加される注記(第25項・第26項)
第24項は連結・個別に共通する注記です。これに加えて、作成する財務諸表の種類に応じて次の注記が求められます。
| 期中連結財務諸表を 作成する場合 |
連結の範囲に含めた子会社、持分法を適用した非連結子会社及び関連会社に関する事項その他連結の方針に関する事項について、重要な変更を行ったときは、その旨及びその理由を注記します(期中財務諸表に関する会計基準 第25項)。 |
|---|---|
| 期中個別財務諸表を 作成する場合 |
関連会社に持分法を適用した場合の投資の額及び投資損益の額と、取得企業が存続企業と異なる場合のパーチェス法を適用したとした場合の損益への影響の概算額を注記します(期中財務諸表に関する会計基準 第26項)。 |
なお、期中連結財務諸表を開示する場合には、期中個別財務諸表の開示は要しません(期中財務諸表に関する会計基準 第6項)。連結を開示する会社が個別の注記まで作り込む必要はない、という点は作業量に直結します。
関連コラム中間財務諸表とは|四半期報告廃止後の会計基準を解説▸
主要な注記の記載例
ここからは、実務で記載に迷いやすい注記について記載例を示します。以下の文例はすべて当事務所が作成した仮の設例であり、金額・会社名は架空のものです。自社の事実関係に置き換えてご利用ください。
期中特有の会計処理(税金費用の計算)
期中特有の会計処理は、原価差異の繰延処理と税金費用の計算の2つに限られます(期中財務諸表に関する会計基準 第14項)。このうち税金費用については、年度決算と同様の方法に代えて、税引前期中純利益に年間見積実効税率を乗じて計算する方法を選択できます(同 第16項ただし書き)。この方法を採用した場合には、その旨及びその内容を注記します(同 第24項(6)、期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第38項)。
(期中特有の会計処理)
税金費用については、当中間会計期間を含む事業年度の税引前当期純利益に対する税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積り、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて計算しております。
逆に、年度決算と同様の方法により税金費用を計算している期は、この注記は不要です。前期の注記をそのまま引き継いで、実際には原則法に戻しているのに注記だけが残っている、という誤りが起きやすい箇所です。
関連コラム中間財務諸表の税効果会計|年度見積実効税率法と実務▸
会計方針の変更
会計基準等の改正に伴う会計方針の変更を行った場合は、変更の理由に代えて会計基準等の名称を記載します。経過的な取扱いに従って会計処理を行ったときは、その旨及び当該経過的な取扱いの概要も内容に含めて記載します(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第34項)。
(会計方針の変更)
当社は、当中間会計期間の期首より「○○に関する会計基準」(企業会計基準第○号)を適用しております。同会計基準に定める経過的な取扱いに従い、新たな会計方針を将来にわたって適用しており、この変更による当中間会計期間の税金等調整前中間純利益への影響額は軽微であります。
影響額とは、新たな会計方針の遡及適用により影響を受ける期首からの累計期間に係る税金等調整前期中純損益又は税引前期中純損益、その他の重要な項目への影響額をいいます(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第34項)。金額を適時に正確に算定できない場合は、資本連結をやり直さないなど適当な方法による概算額でも差し支えありません。
株主資本の金額に著しい変動
「著しい変動があった場合」に該当するかどうかは、前年度末の金額と比較して判断します(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第54項)。主な変動事由としては、新株の発行又は自己株式の処分、剰余金の配当、自己株式の取得・消却、企業結合による増加、連結範囲又は持分法適用範囲の変動が挙げられています(同項)。
(株主資本の金額に著しい変動があった場合)
当社は、当中間会計期間において公募増資を行い、資本金が420百万円、資本準備金が420百万円それぞれ増加しております。この結果、当中間会計期間末において資本金は1,200百万円、資本剰余金は980百万円となっております。
剰余金の配当については、配当に関する事項を参照することとした場合には、変動事由からの記載を省略できます(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第54項(2))。同じ内容を2か所に書く必要はありません。
配当に関する事項
期首からの累計期間において行われた配当について、株式の種類ごとの配当金の総額、1株当たり配当額、基準日、効力発生日及び配当の原資を記載します(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第53項(1))。基準日が累計期間に属し、効力発生日が期中会計期間の末日後となる配当も、これに準じて記載します(同 第53項(3))。
(配当に関する事項)
2026年6月24日開催の定時株主総会において、普通株式の配当に関し、次のとおり決議しております。配当金の総額240百万円、1株当たり配当額20円、基準日2026年3月31日、効力発生日2026年6月25日、配当の原資は利益剰余金であります。
重要なその他の事項(金融商品の時価)
第24項(19)の「重要なその他の事項」は、内容が広く、記載漏れが最も起きやすい注記です。適用指針では、資産の控除科目として表示されていない貸倒引当金、子会社の決算日変更、そして前年度末と比較して著しく変動している資産又は負債等に関する事項が例示されています(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第67項)。金融商品の時価、満期保有目的の債券やその他有価証券の時価と貸借対照表計上額との差額、デリバティブ取引の契約額と時価、時価のレベル別合計額がここに含まれます。
(金融商品関係)
その他有価証券のうち株式について、当中間会計期間末の中間貸借対照表計上額は1,860百万円、取得原価は1,140百万円であり、その差額は720百万円であります。前年度末と比較して評価差額が著しく増加しております。
中間財務諸表の様式と開示対象期間
注記の前提として、どの計算書をどの期間について作るのかを確認しておきます。
中間財務諸表の範囲
| 期中連結財務諸表 (1計算書方式) |
期中連結貸借対照表、期中連結損益及び包括利益計算書、期中連結キャッシュ・フロー計算書(期中財務諸表に関する会計基準 第5項) |
|---|---|
| 期中連結財務諸表 (2計算書方式) |
期中連結貸借対照表、期中連結損益計算書、期中連結包括利益計算書、期中連結キャッシュ・フロー計算書(期中財務諸表に関する会計基準 第5項) |
| 期中個別財務諸表 | 期中個別貸借対照表、期中個別損益計算書、期中個別キャッシュ・フロー計算書(期中財務諸表に関する会計基準 第6項) |
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開示対象期間
| 貸借対照表 | 期中会計期間の末日の期中貸借対照表と、前年度の末日の要約貸借対照表(期中財務諸表に関する会計基準 第7項(1)) |
|---|---|
| 損益計算書・ 包括利益計算書 |
期首からの累計期間と、前年度における対応する期間(期中財務諸表に関する会計基準 第7項(2)) |
| キャッシュ・フロー計算書 | 期首からの累計期間と、前年度における対応する期間(期中財務諸表に関する会計基準 第7項(3)) |
比較対象が、貸借対照表だけ「前年度の末日」で、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書は「前年度の対応する期間」である点に注意してください。ひな形を作るときにここを取り違えると、比較欄の見出しがすべてずれます。
科目の集約記載
期中財務諸表の表示方法は、年度の財務諸表に準じます。ただし個々の表示科目は、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り集約して記載できます(期中財務諸表に関する会計基準 第21項)。集約にあたっては、質的及び金額的な重要性を考慮して主要な表示科目を決定したうえで原則として独立掲記し、主要な科目を独立掲記しない場合には当該科目及びその金額を注記します(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第32項)。
また、資産・負債・純資産・収益・費用等の各表示科目及び表示区分は、年度の財務諸表における表示との整合性を勘案しなければなりません(期中財務諸表に関する会計基準 第22項)。中間だけ独自の科目名を使うと、年度決算との継続性が崩れます。
四半期との注記の違い
第33号・第12号から第37号への統合
四半期開示の見直しにより、金融商品取引法上の第1・第3四半期の開示義務が廃止され、半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信が並存する状態になりました。この間、半期報告書の中間財務諸表は企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」、四半期決算短信の四半期財務諸表は企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」と、根拠となる基準が分かれていました。
これを一本化したのが企業会計基準第37号です。同基準の適用により、企業会計基準第12号、同適用指針第14号、企業会計基準第33号及び同適用指針第32号の適用は終了しました(期中財務諸表に関する会計基準 第36項)。中間決算と四半期決算が同じ基準で処理されることになった点が、最も大きな変更です。
注記事項の主な差分
| 企業会計基準第33号 (2026年3月期まで) |
企業会計基準第37号 (2026年4月以後) |
|---|---|
| 中間連結(第25項)と中間個別(第36項)に、それぞれ21項目の注記事項を別建てで列挙 | 共通の注記事項を第24項に20項目集約し、連結固有・個別固有のみを第25項・第26項に分離 |
| 連結の範囲等の重要な変更は、中間連結の注記の筆頭項目(第25項(1)) | 期中連結財務諸表を作成する場合の注記として独立(第25項) |
| 関連会社への持分法適用による投資の額及び投資損益の額は、中間個別の注記(第36項(14)) | 期中個別財務諸表を作成する場合の注記として独立(第26項(1)) |
| 中間会計期間(6か月)のみを想定した定めで、四半期は企業会計基準第12号が別に規律 | 6か月ごとより高い頻度で作成する場合の追加注記を第32項・第33項に規定し、四半期も同一基準で処理 |
| 用語は「中間会計期間」「中間財務諸表」 | 用語は「期中会計期間」「期中財務諸表」に統一(第4項) |
注記の中身そのものは、多くが企業会計基準第33号の定め及び考え方を引き継いでいます。項目の並び順と項番が変わっているため、前年度の記載を流用する際は項番の読み替えが必要です。
四半期に固有の追加注記
6か月ごとより高い頻度で期中財務諸表を作成する場合、つまり四半期の開示を行う場合には、第24項から第26項の注記に加えて次の注記が求められます(期中財務諸表に関する会計基準 第27項)。中間財務諸表だけを作成する会社には不要な注記です。
| 自発的な会計方針の変更 | 最初の期中会計期間より後の期中会計期間以降に自発的な変更を行った場合に、変更した理由を記載します(期中財務諸表に関する会計基準 第32項(1))。 |
|---|---|
| 報告セグメント等の変更 | 最初の期中会計期間より後の期中会計期間以降に報告セグメント等の変更があった場合に、その理由を記載します(期中財務諸表に関する会計基準 第32項(2))。 |
| 期中キャッシュ・フロー 計算書を省略した場合 |
減価償却費及びのれんの償却額を注記します(期中財務諸表に関する会計基準 第33項)。 |
適用時期と改正の経緯
企業会計基準第37号は2025年10月に公表され、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間から適用されています(期中財務諸表に関する会計基準 第34項)。3月決算会社であれば、2027年3月期の第1四半期以降が対象です。適用初年度において会計方針を変更する場合には、遡及適用は求められず、適用初年度の最初の期中会計期間から将来にわたって適用します(同 第35項)。
その後、2026年に改正が行われています。この改正は企業会計基準第41号「後発事象に関する会計基準」の新設に伴うもので、適用時期・経過措置とも同基準と同様とされました(期中財務諸表に関する会計基準 第34-2項、第35-2項)。後発事象会計基準は早期適用の定めを設けず、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から一律に適用されます(後発事象に関する会計基準 第13項)。したがって、第24項(17)の後発事象に関する注記の記載は、2027年4月1日以後開始する事業年度から「重要な開示後発事象」を対象とする形に改められる予定です。
なお、企業会計基準第37号は第一種中間財務諸表等を含む期中財務諸表に適用されますが、第二種中間財務諸表等については中間連結財務諸表作成基準等が引き続き適用されます(期中財務諸表に関する会計基準 第3項ただし書き)。上場会社等以外の会社が作成する中間財務諸表は、根拠が異なる点に留意してください。
実務上の留意点
注記の作成にあたり、当事務所が上場準備企業や上場会社の支援で繰り返し指摘している点を挙げます。半期報告書を作る前のチェックリストとしてご活用ください。
- 「著しい変動」の判定はすべて前年度末との比較で行います。株主資本の金額の著しい変動(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第54項)も、報告セグメントの資産の金額に著しい変動があった場合(同 第43項)も、比較対象は前中間会計期間ではなく前年度末です。
- 「重要なその他の事項」の金融商品の時価は、前年度末と比べて著しく変動している資産・負債に限られます(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第67項(3))。年度決算と同じ分量の金融商品注記を機械的に作る必要はありません。
- 期中特有の会計処理の注記は、その処理を採用した期にだけ必要です(期中財務諸表に関する会計基準 第24項(6))。年度決算と同様の方法に戻した期に前期の注記が残っていないか確認してください。
- セグメント情報・収益の分解情報・1株当たり期中純損益の開示対象期間は、期首からの累計期間です(期中財務諸表に関する会計基準の適用指針 第44項、第45項、第51項)。四半期会計期間の情報を並べる必要はありません。
- 他の会計基準等で定められている注記事項は、原則として期中財務諸表では記載を要しないと整理されています(期中財務諸表に関する会計基準 BC34項、BC36項)。年度の注記一覧から機械的に転記すると、過剰な開示になります。
- 前年度の記載を流用する場合は、項番の読み替えを必ず行ってください。企業会計基準第33号第25項・第36項と企業会計基準第37号第24項では、番号が一致しません。
まとめ
中間財務諸表の注記事項は、企業会計基準第37号第24項の20項目を基本とし、期中連結財務諸表を作成する場合は第25項、期中個別財務諸表を作成する場合は第26項の注記が加わります。様式面では、貸借対照表は前年度末、損益計算書とキャッシュ・フロー計算書は前年度の対応する期間が比較対象となる点を押さえてください。
四半期との違いは、基準が統合されたことで注記の中身の差ではなく「6か月ごとより高い頻度で作成するかどうか」による追加注記の有無に整理されました。2026年4月1日以後開始する事業年度から新基準が適用されていますので、前年度の記載をそのまま使わず、項番と項目の対応を確認したうえで作成することをおすすめします。
注記の要否や記載水準は、会社の状況や重要性の判断によって変わります。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
お問い合わせはこちら参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第37号 期中財務諸表に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第34号 期中財務諸表に関する会計基準の適用指針
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第33号 中間財務諸表に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第41号 後発事象に関する会計基準
よくある質問
中間財務諸表の注記事項は全部で何項目ですか。
共通の注記事項が20項目です(期中財務諸表に関する会計基準 第24項)。これに加えて、期中連結財務諸表を作成する場合は連結の方針に関する重要な変更(同 第25項)、期中個別財務諸表を作成する場合は持分法適用による投資の額及び投資損益の額など2項目(同 第26項)が求められます。
四半期決算短信の注記と中間財務諸表の注記は同じですか。
基本部分は同じです。企業会計基準第37号によって中間と四半期の基準が統合されたため、第24項から第26項の注記は共通です。ただし6か月ごとより高い頻度で作成する場合には、自発的な会計方針の変更の理由と報告セグメント等の変更の理由が追加で求められます(期中財務諸表に関する会計基準 第32項)。
中間財務諸表の様式はどこで定められていますか。
表示の細目は財務諸表等規則及び連結財務諸表規則で定められています。会計基準の側では、表示方法は年度の財務諸表に準じるとしたうえで、個々の表示科目は集約して記載できると定めています(期中財務諸表に関する会計基準 第21項)。表示科目及び表示区分は年度の財務諸表との整合性を勘案する必要があります(同 第22項)。
企業会計基準第33号はもう参照しなくてよいのですか。
2026年4月1日以後開始する事業年度の最初の期中会計期間からは企業会計基準第37号が適用され、企業会計基準第33号及び同適用指針第32号の適用は終了しました(期中財務諸表に関する会計基準 第36項)。ただし、比較情報として開示する前年度以前の期中財務諸表は旧基準に基づいて作成されているため、比較可能性を確認する場面では引き続き参照することになります。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



