中間財務諸表とは、事業年度の期首から6か月間(中間会計期間)を1つの会計期間として作成する財務諸表であり、上場会社等が半期報告書に含めて開示するものです。2024年4月1日施行の改正金融商品取引法により四半期報告制度が廃止され、第1・第3四半期の法定開示がなくなったことに伴い、従来の第2四半期報告書に代わる開示として導入されました。会計処理と開示は企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」が定めており、上場会社等が作成する中間財務諸表に適用されています。本稿では制度変更の経緯から適用時期、開示対象期間、注記の実務ポイントまでを、公認会計士の視点で整理します。
中間財務諸表の定義と位置づけ
企業会計基準第33号は、中間財務諸表を「中間連結財務諸表及び中間個別財務諸表」と定義しています。ここでいう中間会計期間とは、1連結会計年度または1事業年度が6か月を超える場合に、当該年度が開始した日以後6か月の期間を指します。企業会計基準委員会 企業会計基準第33号 中間財務諸表に関する会計基準
本会計基準は、金融商品取引法第24条の5第1項に基づき半期報告書を提出する上場会社等に適用されます。ただし書きにより、上場会社等と同様の半期報告書を提出する非上場会社も対象に含まれます。中間連結財務諸表を開示する場合には、中間個別財務諸表の開示は要しない点も、年度決算と同様の考え方です。
実務では、「中間」という名称が従来の中間決算(半期)と同じであっても、その根拠制度と会計処理の枠組みが四半期会計基準を引き継いだものである点に注意が必要です。名称は旧制度を想起させますが、中身は直近まで運用されていた第2四半期の実務を土台としています。
四半期報告制度の廃止と中間財務諸表制度の導入
中間財務諸表制度が導入された直接の契機は、四半期開示の見直しです。2022年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告において、上場企業の第1・第3四半期に係る金融商品取引法上の開示義務を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化すること、そして開示義務が残る第2四半期報告書を「半期報告書」として提出することが示されました。
この報告を受けて2023年3月に金融商品取引法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、2023年11月に成立、金融商品取引法が改正されました。企業会計基準委員会(ASBJ)はこの法改正に対応するため、2024年3月22日に企業会計基準第33号および適用指針第32号を公表しています。改正法の施行日は2024年4月1日です。
制度の骨格を旧四半期報告制度と対比すると、次のとおりです。第1・第3四半期の法定開示がなくなった一方、半期の開示は残り、その会計処理の枠組みが四半期会計基準から引き継がれた点が要点です。
| 旧・四半期報告制度 | 中間財務諸表制度(現行) |
|---|---|
| 第1・第2・第3四半期の四半期報告書を法定開示 | 第1・第3四半期の法定開示は廃止し、半期報告書のみを法定開示 |
| 第2四半期報告書に四半期財務諸表を記載 | 半期報告書に中間財務諸表を記載 |
| 会計期間は各四半期(3か月・6か月・9か月) | 会計期間は期首からの6か月(中間会計期間) |
| 根拠は企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」 | 根拠は企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」 |
| 提出期限は四半期末後45日以内の政令で定める期間 | 中間会計期間終了後45日以内の政令で定める期間 |
第33号は、開発方針として中間財務諸表の記載内容が従前の第2四半期報告書と同程度となるよう、基本的に四半期会計基準等の会計処理および開示を引き継ぐこととしています。したがって、多くの取扱いは従来の四半期実務がそのまま適用可能です。
適用時期と対象会社
企業会計基準第33号は、金融商品取引法等の一部を改正する法律(令和5年法律第79号)附則第3条に基づき、改正後の金融商品取引法第24条の5第1項の規定による半期報告書の提出が求められる最初の中間会計期間から適用されます。改正法の施行日は2024年4月1日であるため、2024年4月1日以後開始する事業年度の中間会計期間から適用されています。すでに強制適用が始まっている基準であり、これから備える段階ではありません。
適用初年度においては、開示対象期間の中間財務諸表等について本会計基準を遡及適用します。対象となるのは、金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号に掲げる上場会社等のほか、同項ただし書きにより同様の半期報告書を提出する非上場会社です。従前より中間作成基準等が適用されてきた特定事業会社等については、引き続き中間作成基準等が適用されます。
なお、2025年10月16日には、企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」が公表されています。これは第33号(中間)と第12号(四半期)を統合した基準として開発されたもので、四半期決算短信を含む期中開示を一体的に扱う枠組みへ発展させる位置づけです。適用時期は今後の適用が予定される段階であり、現時点の上場会社等の半期開示には引き続き第33号が適用されています。企業会計基準委員会 企業会計基準第37号 期中財務諸表に関する会計基準
開示対象期間と中間財務諸表の範囲
半期報告書に含まれる財務諸表の開示対象期間は、財務諸表の種類ごとに定められています。貸借対照表は中間会計期間の末日と前年度末(要約)、損益および包括利益計算書とキャッシュ・フロー計算書は当中間会計期間と前中間会計期間を比較する形です。
| 中間貸借対照表 | 中間会計期間の末日および前年度の末日の要約貸借対照表 |
|---|---|
| 中間損益及び包括利益計算書 | 当中間会計期間および前中間会計期間 |
| 中間キャッシュ・フロー計算書 | 当中間会計期間および前中間会計期間 |
中間連結財務諸表の範囲は、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」に従い、1計算書方式の場合は中間連結貸借対照表、中間連結損益及び包括利益計算書、中間連結キャッシュ・フロー計算書とされます。2計算書方式の場合は、中間連結損益計算書と中間連結包括利益計算書に分かれます。表示方法や表示科目・表示区分は、年度の連結財務諸表との整合性を勘案しつつ、利用者の判断を誤らせない限り集約して記載できます。
会計処理のポイントと中間特有の取扱い
中間連結財務諸表は、企業集団に属する親会社および子会社が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した中間個別財務諸表を基礎として作成します。採用する会計方針は、中間特有の会計処理を除き、原則として年度の連結財務諸表に準拠しなければなりません。ただし利用者の判断を誤らせない限り、簡便的な会計処理によることができます。
中間連結財務諸表作成のための中間特有の会計処理は、原価差異の繰延処理と税金費用の計算の2つです。前者は、標準原価計算等を採用している場合に、操業度等の季節的な変動に起因して発生し、かつ原価計算期間末までにほぼ解消が見込まれる原価差異について、継続適用を条件に流動資産または流動負債として繰り延べる取扱いです。
後者の税金費用の計算では、原則として年度決算と同様の方法で計算しますが、簡便法として、中間会計期間を含む年度の税引前当期純利益に対する税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積り、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて計算することも認められています。実務では、季節変動が大きい事業や見積りの精度確保が難しい局面で、どちらの方法を採るかが検討ポイントになります。
注記事項の実務ポイント
中間連結財務諸表には、会計方針の変更、会計上の見積りの重要な変更、中間特有の会計処理の採用、セグメント情報等、収益の分解情報、1株当たり中間純損益、配当、継続企業の前提、季節的変動、重要な後発事象など、多岐にわたる注記が求められます。基本的には四半期会計基準等の開示を引き継いでおり、第2四半期報告書と同程度の記載内容を確保する設計です。
実務で特に留意したいのは、事業の性質上、営業収益または営業費用に著しい季節的変動がある場合には、その状況を注記する点です。年度決算では平準化される損益が中間期には偏って現れるため、利用者の誤解を避ける説明が重要になります。また、中間会計期間の末日に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象・状況があり、重要な不確実性が認められる場合には、その旨および内容等を注記します。
セグメント情報については、報告セグメントの利益(または損失)および売上高、差異調整に関する主な事項の概要などが求められ、収益認識に関する収益の分解情報も開示対象です。これらは年度開示・四半期実務と連続しているため、既存の開示体制を土台に整えるとよいでしょう。
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実務上の落とし穴
第一の落とし穴は、「中間」という名称から旧・中間決算(半期)の会計処理を想起してしまうことです。第33号の中身は四半期会計基準等を引き継いでおり、税金費用の見積実効税率法や原価差異の繰延べといった取扱いは旧中間決算ではなく直近の四半期実務に連続しています。制度移行にあたって従前の四半期での実務を変更することは意図されていない点を、基準自身が結論の背景で明示しています。
第二に、適用初年度の遡及適用です。適用初年度は開示対象期間の中間財務諸表等について本会計基準を遡及適用するため、比較情報として表示する前中間会計期間の数値の取扱いを事前に確認しておく必要があります。第三に、子会社の中間会計期間の末日と中間連結決算日が異なる場合の取扱いです。差異が3か月を超えなければ子会社の中間決算を基礎とできますが、決算日が異なることで生じる連結会社間取引の重要な不一致は整理が必要です。
これらは条件によって適用可否が分岐するため、自社の事業特性・連結構造に照らした個別判断が欠かせません。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
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まとめ
中間財務諸表は、四半期報告制度の廃止に伴い、上場会社等の第2四半期に代わる法定開示として導入された財務諸表です。企業会計基準第33号が会計処理と開示を定め、2024年4月1日以後開始する事業年度の中間会計期間からすでに適用されています。会計処理は四半期会計基準等を引き継ぎ、原価差異の繰延処理と税金費用の計算という中間特有の取扱いを備えます。さらに2025年10月には第33号と第12号を統合した第37号「期中財務諸表に関する会計基準」が公表され、期中開示の枠組みは次の段階へ進みつつあります。名称に惑わされず、四半期実務との連続性を踏まえた対応が実務のカギとなります。
参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第33号 中間財務諸表に関する会計基準(https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0322.html)
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第37号 期中財務諸表に関する会計基準(https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2025/2025-1016.html)
よくあるご質問
中間財務諸表とは何ですか。
事業年度の期首から6か月間(中間会計期間)を1つの会計期間として作成する財務諸表で、中間連結財務諸表と中間個別財務諸表を指します。上場会社等が半期報告書に含めて開示します。
四半期報告制度の廃止で何が変わりましたか。
第1・第3四半期の金融商品取引法上の開示義務が廃止され、四半期決算短信に一本化されました。開示義務が残る第2四半期は半期報告書として提出され、その中に中間財務諸表を記載します。
中間財務諸表はいつから適用されていますか。
改正金融商品取引法の施行日である2024年4月1日以後開始する事業年度の中間会計期間から適用されています。すでに強制適用が始まっている基準です。
中間財務諸表と従来の第2四半期報告書は何が違いますか。
会計処理や開示は基本的に四半期会計基準等を引き継いでおり、記載内容は従前の第2四半期報告書と同程度とされています。名称と根拠制度が変わった一方、実務の連続性は保たれています。
中間特有の会計処理にはどのようなものがありますか。
原価差異の繰延処理と税金費用の計算の2つです。税金費用は、見積実効税率を用いた簡便的な計算も認められています。