実地棚卸の立会|監査人の確認項目と準備チェックリスト
目次
- 実地棚卸の立会の目的と監査上の位置づけ
- 立会で確かめる棚卸資産の実在性と状態
- 会社法監査における会計監査人の権限
- 立会で監査人が実施する4つの手続
- テスト・カウントの進め方
- 立会対象拠点の選定の観点
- 実地棚卸の事前準備チェックリスト
- 棚卸実施要領に盛り込む項目
- 監査人へ事前に共有する資料
- 立会当日の流れと会社側の対応
- 期末日以外の日に実地棚卸を行う場合の追加手続
- 立会が実務的に不可能な場合の代替手続
- リモートでの立会の位置づけ
- 監査意見への影響
- 第三者が保管する棚卸資産の取扱い
- 棚卸差異が生じた場合の対応
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 実地棚卸の立会は必ず期末日に行う必要がありますか。
- 拠点が複数ある場合、すべての拠点に監査人が来ますか。
- 日程が合わないことを理由に立会を省略してもらえますか。
- 外部倉庫に預けている在庫はどのように確かめられますか。
- 立会ができなかった場合、監査意見にはどのような影響がありますか。
実地棚卸の立会とは、会社が実施する実地棚卸の現場に監査人が赴き、棚卸の実施状況を確かめるとともに、棚卸資産の実在性と状態について監査証拠を入手する監査手続です。監査人は、棚卸資産が財務諸表において重要である場合、実務的に不可能でない限り立会を実施しなければならないとされています(監査基準報告書501 第3項)。
立会は「その日にしか実施できない手続」であるため、会社側の準備の質がそのまま当日の進行と監査工数を左右します。この記事では、監査人が立会で何を見るのかを要求事項に沿って整理したうえで、そのまま使える事前準備チェックリストと当日の流れ、立会が実施できない場合の代替手続までをまとめます。
実地棚卸の立会の目的と監査上の位置づけ
監査人が立会を行う目的は、棚卸資産の実在性と状態について十分かつ適切な監査証拠を入手することにあります(監査基準報告書501 第2項)。帳簿上の在庫が実際に存在するか、そして陳腐化・破損・品質劣化といった価値の低下がないかを、監査人自身が現場で確かめる手続です。
実地棚卸そのものは会社の業務です。経営者は、財務諸表の作成の基礎とするため、また継続記録の信頼性を確保するため、少なくとも年に一度は実地棚卸の手続を策定していることが想定されています(監査基準報告書501 A1項)。監査人はその実施状況に立ち会う立場であり、監査人が会社に代わって在庫を数え上げるわけではありません。
実地棚卸の立会に関する要求事項は、日本公認会計士協会の監査基準報告書501「特定項目の監査証拠」に定められています。同報告書は2011年12月22日に公表され、2015年、2019年、2021年、2022年の改正を経て、2023年1月12日の最終改正が行われました。この最終改正版は2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適用されており、公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所では2024年7月1日以後開始する事業年度から適用されています。
立会で確かめる棚卸資産の実在性と状態
立会で監査人が確かめるのは、数量の正確性だけではありません。棚卸資産を実査することで、実在性を確かめると同時に、陳腐化品・破損品・老朽品を識別することにも役立てています(監査基準報告書501 A6項)。決算後に評価損の要否が論点になった際、立会時の観察記録が判断の出発点になります。
一方で、実査によって棚卸資産の所有権まで確かめられるわけではない点には注意が必要です(監査基準報告書501 A6項)。預り品や委託品が現場に混在している場合は、所有権の別を示す区分管理が会社側に求められます。
会社法監査における会計監査人の権限
会計監査人設置会社では、計算書類およびその附属明細書は監査役等と会計監査人の監査を受けなければならないとされています(会社法 第436条第2項第1号)。会計監査人は、この職務を行うため、いつでも会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧および謄写をし、取締役や使用人に対して会計に関する報告を求めることができます(会社法 第396条第2項)。
さらに、職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社またはその子会社の業務および財産の状況の調査をすることができます(会社法 第396条第3項)。倉庫や工場での立会は、この調査権に裏付けられた手続と位置づけられます。子会社は正当な理由があるときに限り報告または調査を拒むことができますが(会社法 第396条第4項)、日程調整の都合といった事情は通常これに当たりません。
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立会で監査人が実施する4つの手続
監査人は立会において、次の4つの手続を実施することが求められています(監査基準報告書501 第3項(1))。会社側から見ると、この4つが「何を見られるのか」の全体像です。
| 立会で行う手続 | 確かめる内容 |
|---|---|
| 経営者による指示と手続の評価 | 実地棚卸の結果を記録し管理するための指示書・要領が整備され、内部統制が機能する設計になっているか |
| 棚卸手続の実施状況の観察 | 定めた手順どおりに現場が動いているか、棚卸前後の入出庫や場所移動が統制されているか |
| 棚卸資産の実査 | 現物が実在するか、陳腐化品・破損品・老朽品がないか |
| テスト・カウント | 会社の実地棚卸記録が網羅的かつ正確か |
加えて監査人は、会社の最終的な在庫記録が実際の実地棚卸結果を正確に反映しているかを判断するため、その記録に対して監査手続を実施します(監査基準報告書501 第3項(2))。立会が終わっても、棚卸結果が帳簿へ反映されるまでが監査の対象範囲です。
テスト・カウントの進め方
テスト・カウントは、経営者の実地棚卸記録から抽出した品目を実物在庫と照合する方向と、実物在庫から抽出した品目を実地棚卸記録と照合する方向の双方向で実施されます(監査基準報告書501 A7項)。前者は記録された在庫が実在するかを、後者は現物が記録から漏れていないかを確かめるもので、目的が異なります。
実務では、後者の「現物起点」の照合でカウント漏れが見つかることが少なくありません。通路脇の仮置き品、検収前の入荷品、返品待ちの現品などは棚札が貼られないまま放置されがちで、事前に置き場所と扱いを決めておくと当日の指摘を減らせます。
監査人はテスト・カウントの結果を記録するほか、会社が完了した実地棚卸記録の写しを入手することがあります。これは、最終在庫記録が実地棚卸結果を正確に反映しているかを後日確かめるための手続に用いられます(監査基準報告書501 A8項)。
立会対象拠点の選定の観点
拠点が複数ある場合、監査人がすべての拠点に立ち会うとは限りません。適切な立会対象拠点を決定するにあたっては、それぞれの拠点における棚卸資産の重要性と重要な虚偽表示リスクが考慮されます(監査基準報告書501 A3項)。
立会の計画では、このほかに棚卸資産に関係する重要な虚偽表示リスク、棚卸資産に対する内部統制の内容、実地棚卸に対する十分な手続の策定および適切な指示書の発行、実施時期、継続記録の有無、専門家の業務を利用する必要性などが検討されます(監査基準報告書501 A3項)。会社側が「今年はどこに来るのか」を早めに確認したい場合、これらの観点で自社の拠点を整理して提示すると、協議が進めやすくなります。
実地棚卸の事前準備チェックリスト
立会の当日に慌てないために、会社側が事前に整えておく項目を整理しました。監査人が評価する対象は、実地棚卸の結果を記録し管理するための経営者による指示と手続です(監査基準報告書501 第3項(1)①)。準備のゴールは「手順書があること」ではなく「手順どおりに動けること」にあります。
| 準備する項目 | 監査人が確認する観点 |
|---|---|
| 棚卸実施要領・指示書 | 実施時期、対象範囲、作業手順、責任者が明記され、担当者へ周知されているか |
| 棚卸記録用紙(棚札)の管理 | 使用した記録用紙の回収と未使用分の取扱いが定められているか |
| カウントと再カウントの手続 | ダブルカウントや数え漏れを防ぐ二重確認の仕組みがあるか |
| 第三者所有の在庫の識別 | 預り品、委託品、仕掛品の進捗度、滞留品・陳腐化品・破損品が正確に区分されているか |
| 数量の見積りが必要な在庫 | 実数確認が難しい在庫について、見積りの手順が定められているか |
| 棚卸前後の入出庫の統制 | 基準日前後の保管場所の移動および入出庫が止められ、記録されるか |
| 拠点のレイアウト図 | 保管場所と担当班の割当てが図面で示され、巡回の順路が分かるか |
| 在庫リスト・継続記録 | 基準日時点の品目別数量が出力でき、現場と突合できる状態か |
このうち、記録用紙の回収と未使用分の取扱い、カウントと再カウント手続、仕掛品の進捗度や第三者所有在庫の識別、数量の見積り手順、基準日前後の入出庫統制は、監査人が経営者の指示と手続を評価する際に対処されているかを確かめる事項として挙げられているものです(監査基準報告書501 A4項)。チェックリストの上位に置く理由はここにあります。
棚卸実施要領に盛り込む項目
棚卸実施要領は、実施日と時間帯、対象拠点と対象品目、カウント担当者と再カウント担当者の組合せ、棚札の付番ルールと回収手順、差異が生じた場合の報告経路までを1つの文書にまとめます。作業手順が口頭で引き継がれている状態では、実施状況の観察(監査基準報告書501 第3項(1)②)で統制の運用を示す材料になりません。
実務では、繁忙期に人員を割けず要領の見直しが後回しになり、前年の日付だけを差し替えた要領が現場に配られているケースが見受けられます。拠点の増減、品目構成の変化、システム更新があった年は、要領の実態適合性を先に点検しておくことをおすすめします。
監査人へ事前に共有する資料
棚卸実施要領、拠点のレイアウト図、実施スケジュール、前年の棚卸差異の一覧と原因分析は、立会日より前に共有しておくと当日の質問が大きく減ります。監査人は立会を計画する段階で棚卸資産に対する内部統制の内容や実施時期を検討するため(監査基準報告書501 A3項)、直前の共有では計画に反映されません。
また監査人は、後日の会計処理の監査に備えて、棚卸資産の移動明細などのカットオフ情報の写しを入手することがあります(監査基準報告書501 A5項)。基準日前後の最終出荷伝票番号・最終入荷伝票番号を控えておくと、この依頼に即応できます。
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立会当日の流れと会社側の対応
当日の進行を場面ごとに整理すると、会社側がどこで手を動かす必要があるかが見えます。下表は一般的な流れであり、拠点数や品目数に応じて所要時間は変わります。
| 場面 | 会社側の対応 |
|---|---|
| 開始前の打合せ | 当日の班編成、巡回順路、棚札の運用、入出庫の停止時刻を監査人へ説明する |
| 棚卸開始時の現場確認 | 棚卸前の在庫リストを提示し、仮置き品や区分保管品の場所を案内する |
| カウントの実施中 | 監査人の巡回に担当者を同行させ、品目の特定や単位の確認に即答できる体制をとる |
| テスト・カウントへの対応 | 抽出された品目の現物と記録を提示し、相違があればその場で原因を確認する |
| 棚卸終了時 | 棚札の回収状況と未使用分の残数を示し、カットオフ情報を控える |
| 後日の帳簿反映 | 棚卸結果を継続記録へ反映し、差異の原因分析と修正内容を監査人へ提出する |
実務で滞りやすいのは、テスト・カウントで抽出された品目の現物にすぐたどり着けない場面です。品目コードと保管ロケーションの対応が最新化されていないと、その場での確認が翌日以降に持ち越され、監査人の手続も会社の決算日程も後ろにずれます。
期末日以外の日に実地棚卸を行う場合の追加手続
実務上の理由から、実地棚卸が期末日以外の日に実施されることがあります。この場合、監査人は実地棚卸日と期末日の間における棚卸資産の増減が適切に記録されているかについて監査証拠を入手するため、立会に加えて監査手続を実施しなければなりません(監査基準報告書501 第4項)。
期末日以外の日に実施することが監査上適切かどうかは、棚卸資産の増減に係る内部統制の整備および運用状況の有効性に基づいて判断されます(監査基準報告書501 A9項)。継続記録の精度が低い会社では、前倒しの実地棚卸が認められにくいということです。
監査人が追加手続を立案する際には、継続記録が適切に修正されているか、継続記録の信頼性、実地棚卸時に入手した情報と継続記録との間に著しい差異がある場合の理由といった事項が考慮されます(監査基準報告書501 A11項)。決算の繁忙を避けて棚卸を前倒ししたい場合は、継続記録の運用状況を示せるかどうかが判断の分かれ目になります。
なお、予期し得ない事態により立会を実施できなかった場合、監査人は代替的な日に一部について実地棚卸またはその立会を実施するとともに、その間の取引に対して監査手続を実施しなければなりません(監査基準報告書501 第5項)。日程が流れても手続が消えるわけではない点は押さえておく必要があります。
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立会が実務的に不可能な場合の代替手続
立会を実施することが実務的に不可能な場合、監査人は棚卸資産の実在性と状態について十分かつ適切な監査証拠を入手するため、代替的な監査手続を実施しなければなりません(監査基準報告書501 第6項)。ここで重要なのは、「実務的に不可能」と認められる範囲が限定されている点です。
実務的に不可能となるのは、たとえば棚卸資産が監査人の安全を脅かす可能性のある事業所に保管されている場合など、棚卸資産の性質および保管場所などの要因による場合です。これに対し、監査人にとって単に不都合であるということだけでは、立会が実務的に不可能であるという判断の十分な理由とはなりません。さらに、監査手続に伴う困難さ、時間、または費用の問題自体も、代替手続がない監査手続を省略する十分な理由とはならないとされています(監査基準報告書501 A12項)。
| 立会が不可能とされうる例 | 理由として認められない例 |
|---|---|
| 監査人の安全を脅かす可能性のある事業所に棚卸資産が保管されている場合 | 監査人や会社にとって日程の調整が不都合であること |
| 棚卸資産の性質や保管場所そのものが立会を妨げる場合 | 手続に伴う困難さ、時間、費用の問題であること |
代替的な監査手続としては、実地棚卸日以前に取得または購入した特定の棚卸資産品目について、実地棚卸日後に販売されたことを示す記録や文書を閲覧するといった手続が挙げられています(監査基準報告書501 A13項)。会社側から見れば、出荷記録や販売記録の追跡可能性が代替手続の成否を決めることになります。
リモートでの立会の位置づけ
遠隔地から映像を通じて実地棚卸に立ち会う方法についても、日本公認会計士協会から周知文書が公表されています。この周知文書は、立会が実務的に不可能な例外的な場合の対応を検討するにあたっての留意点を示すものであり、新たな要求事項を設けるものではなく、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものでもないとされています。
つまり、遠隔での対応は通常の立会の代わりに自由に選べる選択肢ではありません。まず立会が実務的に不可能かどうかが判断され、その次の検討対象として位置づけられます。会社側から遠隔での対応を希望する場合も、立会を省略できる理由に当たるかどうかから監査人と協議することになります。
監査意見への影響
代替的な監査手続を実施しても十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合、監査人は監査範囲の制約に関する限定意見を表明するか、または意見を表明してはならないとされています(監査基準報告書501 第6項、A14項)。立会の可否は、最終的に監査意見の類型に直結する論点です。
とくに初年度の監査では、監査契約の締結が期末直前になったために立会の機会を確保できず、期首在庫の実在性について代替手続が必要になるケースがあります。監査人の選任時期を検討する段階で、直近の棚卸日程を確認しておくことが実務上の備えになります。
第三者が保管する棚卸資産の取扱い
外部倉庫への預け在庫のように、第三者が保管し管理している棚卸資産が財務諸表において重要である場合、監査人は次のいずれかまたは両方の手続を実施しなければなりません(監査基準報告書501 第7項)。
- 棚卸資産の数量および状態に関して、第三者に対して確認を実施すること
- 実査、または個々の状況において適切な他の手続を実施すること
第三者の信頼性および客観性について疑義が生じる情報を入手した場合などは、確認に代えて、または確認に追加して他の監査手続の実施が検討されます。具体的には、監査人または他の監査人による第三者の実地棚卸への立会、第三者の内部統制の適切性に関する他の監査人の監査報告書や受託会社監査人の報告書の入手、倉庫証券など第三者が保管する棚卸資産に関する文書の閲覧、棚卸資産が担保に供されている場合の他の関係者に対する確認要求などが挙げられています(監査基準報告書501 A16項)。
会社側の準備としては、預け先の一覧、預け先ごとの品目別残高、契約書と倉庫証券の保管状況を決算前に整理しておくと、確認状の発送が滞りません。
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棚卸差異が生じた場合の対応
継続記録が維持されている場合、経営者または監査人が継続記録と実際の実地棚卸数量との差異を識別することがあります。この差異は、棚卸資産の増減に係る内部統制が有効に運用されていないことを示唆していることがあるとされています(監査基準報告書501 A10項)。
差異の意味は金額の大小だけで決まりません。金額が小さくても原因が説明できない差異が継続していれば、内部統制の運用に対する評価が下がり、翌期以降の監査手続が増える方向に働きます。実務では、差異一覧に「発生原因」「再発防止策」「対応期限」の3列を加えて管理し、期中のうちに原因を潰しておく会社が、立会当日の負担を抑えられています。
上場準備企業の場合、在庫管理プロセスは事業目的に関わる重要な業務プロセスとして内部統制報告制度の評価対象となることが一般的です。原因不明の棚卸差異が重要な水準で残っていると、決算の正確性だけでなく管理体制そのものへの評価に影響します。
まとめ
実地棚卸の立会は、棚卸資産が財務諸表において重要である場合に、実務的に不可能でない限り監査人が実施しなければならない手続です(監査基準報告書501 第3項)。監査人は、経営者の指示と手続の評価、棚卸手続の観察、実査、テスト・カウントの4つを通じて、棚卸資産の実在性と状態を確かめます。
会社側の準備の核は、棚卸実施要領の実態適合性、棚札の管理、カウントと再カウントの仕組み、第三者所有在庫の区分、基準日前後の入出庫統制の5点です。これらが整っていれば当日の進行は安定し、整っていなければ差異の説明に時間を取られます。期末日以外の日に棚卸を行う場合は継続記録の信頼性が、外部倉庫がある場合は預け先への確認が、それぞれ追加の論点になります。
立会の可否や代替手続の範囲は、拠点の状況や内部統制の運用状況によって判断が分かれるため、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
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よくある質問
実地棚卸の立会は必ず期末日に行う必要がありますか。
期末日に限られません。実務上の理由から期末日以外の日に実施されることがありますが、その場合、監査人は実地棚卸日と期末日の間の棚卸資産の増減が適切に記録されているかについて追加の監査手続を実施します(監査基準報告書501 第4項)。期末日以外の日に実施することが監査上適切かどうかは、棚卸資産の増減に係る内部統制の整備および運用状況の有効性に基づいて判断されます(監査基準報告書501 A9項)。
拠点が複数ある場合、すべての拠点に監査人が来ますか。
すべての拠点が対象になるとは限りません。適切な立会対象拠点を決定するにあたっては、それぞれの拠点における棚卸資産の重要性と重要な虚偽表示リスクが考慮されます(監査基準報告書501 A3項)。対象拠点は毎期同じとは限らないため、拠点別の在庫残高とリスクの状況を早めに共有しておくと協議が進めやすくなります。
日程が合わないことを理由に立会を省略してもらえますか。
できません。監査人にとって単に不都合であるということだけでは、立会が実務的に不可能であるという判断の十分な理由とはならず、監査手続に伴う困難さ、時間、費用の問題自体も監査手続を省略する十分な理由とはならないとされています(監査基準報告書501 A12項)。日程が合わない場合は、省略ではなく実施日の調整として協議することになります。
外部倉庫に預けている在庫はどのように確かめられますか。
第三者が保管し管理している棚卸資産が財務諸表において重要である場合、監査人は第三者に対する数量および状態の確認、または実査その他の適切な手続のいずれかまたは両方を実施します(監査基準報告書501 第7項)。状況によっては、倉庫証券など第三者が保管する棚卸資産に関する文書の閲覧や、他の監査人による立会の手配が検討されることもあります(監査基準報告書501 A16項)。
立会ができなかった場合、監査意見にはどのような影響がありますか。
まず代替的な監査手続が実施されます(監査基準報告書501 第6項)。代替的な監査手続によっても棚卸資産の実在性および状態についての十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合には、監査範囲の制約に関する限定意見を表明するか、または意見を表明しないこととされています(監査基準報告書501 A14項)。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



