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会計監査

公益法人の監査義務一覧|非営利法人7形態の会計監査人設置基準

目次
  1. 非営利法人7形態の外部会計監査 要否一覧
  2. 公益社団法人・公益財団法人の会計監査人設置基準
  3. 収益100億円・費用100億円・負債50億円の判定
  4. 監事監査・財産目録の監査との役割分担
  5. 一般社団法人・一般財団法人の監査義務
  6. 負債200億円以上の大規模法人
  7. 定款による会計監査人の任意設置
  8. NPO法人の監事監査と外部会計監査
  9. 農業協同組合の会計監査人設置基準
  10. 社会福祉法人・医療法人・学校法人の基準値
  11. 自法人の判定手順チェックリスト
  12. まとめ
  13. 参考文献
  14. よくある質問
  15. 公益認定を受ける前に会計監査人を置く必要はありますか
  16. 一般社団法人が任意で会計監査人を置く場合、監事も必要ですか
  17. NPO法人が公認会計士の監査を受ける義務はありますか
  18. 会計監査人になれるのはどのような人ですか

公益社団法人や一般社団法人の担当者から、「自分たちの法人は公認会計士の監査を受けなければならないのか」というご相談をよくいただきます。非営利法人の外部会計監査は、法人形態ごとに根拠となる法律が分かれており、しかも判定に使う数値の基準が形態ごとに違います。株式会社のように「資本金5億円以上または負債200億円以上」という一本の物差しでは判断できません。

この記事では、公益社団法人・公益財団法人から一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、農業協同組合、社会福祉法人、医療法人、学校法人まで、非営利法人7形態の外部会計監査の要否を一覧表で整理します。基準となる金額と根拠条文をすべて条文で確認したうえで並べていますので、自法人がどの位置にあるかを1本で持ち帰っていただけます。

非営利法人7形態の外部会計監査 要否一覧

まず結論から示します。ここでいう外部会計監査とは、公認会計士または監査法人による計算書類等の監査を指します。法人内部の監事が行う監事監査とは別のものです。

公益社団法人・
公益財団法人
収益100億円以上、費用及び損失100億円以上、負債50億円以上のいずれかに当たると会計監査人が必要(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条第13号、同法施行令 第6条)
一般社団法人・
一般財団法人
負債200億円以上の大規模一般社団法人・大規模一般財団法人は会計監査人が必要。それ以外は定款により任意で設置できる(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第2条第2号・第3号、第62条、第171条)
特定非営利活動法人
(NPO法人)
会計監査人の制度がなく、外部会計監査の法定義務はない。監事1人以上を置き、監事が財産の状況等を監査する(特定非営利活動促進法 第15条、第18条)
農業協同組合
(信用事業を行うもの)
貯金及び定期積金の合計額200億円以上で会計監査人が必要。農業協同組合連合会は負債200億円以上(農業協同組合法 第37条の2第1項、同法施行令 第22条)
社会福祉法人 収益30億円超または負債60億円超の特定社会福祉法人は会計監査人が必要(社会福祉法 第37条、同法施行令 第13条の3)
医療法人 負債50億円以上または事業収益70億円以上で公認会計士等の監査が必要。社会医療法人は負債20億円以上または事業収益10億円以上(医療法 第51条第2項・第5項、同法施行規則 第33条の2)
学校法人 大臣所轄学校法人等は会計監査人が必要。補助金の交付を受ける学校法人は公認会計士または監査法人の監査が必要(私立学校法 第144条第1項、私立学校振興助成法 第14条第2項)

一覧すると分かるとおり、金額基準は形態ごとにばらばらです。負債だけを見ても、公益法人は50億円、一般社団法人・一般財団法人は200億円、社会福祉法人は60億円超と3通りあります。自法人の形態を確かめたうえで、その形態の条文だけを追うのが確実です。

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公益社団法人・公益財団法人の会計監査人設置基準

公益社団法人・公益財団法人の会計監査人設置は、行政庁が公益認定を行う際の基準の一つとして定められています。「会計監査人を置いているものであること」が公益認定の基準とされ、一定規模に達しない法人だけが例外として設置を免除される構造です(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条第13号)。

収益100億円・費用100億円・負債50億円の判定

設置を要しない法人の基準は政令に委ねられており、次の3つの額がいずれも基準に達しない場合に限り、会計監査人を置かなくてよいこととされています(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行令 第6条)。

  • 最終事業年度の損益計算書の収益の部に計上した額の合計額 100億円
  • 同じ損益計算書の費用及び損失の部に計上した額の合計額 100億円
  • 最終事業年度の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額 50億円

条文が「いずれも達しない場合はこの限りでない」という書き方をしている点が重要です。3つのうち1つでも基準以上になれば、会計監査人を置かなければなりません。収益が110億円であれば、負債がわずかでも設置義務が生じます。

この収益・費用の基準額は、以前は1,000億円でした。政令改正により2025年4月1日から100億円へ引き下げられており、これまで対象外だった中規模の公益法人が新たに会計監査人設置の対象に入っています。自法人が数年前に「対象外」と整理していた場合でも、現行の基準で確認し直す必要があります。

監事監査・財産目録の監査との役割分担

公益法人には、会計監査人とは別に監事が置かれます。公益財団法人は一般財団法人として評議員・評議員会・理事・理事会・監事の設置が必須であり(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第170条第1項)、公益社団法人も理事会を置くことが公益認定の基準とされるため(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条第17号ハ)、理事会設置一般社団法人として監事が必要になります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第61条)。

会計監査人の監査範囲は、株式会社よりも広い点に注意が必要です。会計監査人は計算書類及びその附属明細書を監査するほか(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第107条第1項)、公益法人では財産目録その他の内閣府令で定める書類も監査の対象となり、その結果を会計監査報告に併せて記載します(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第23条)。公益認定の財務基準を支える財産目録が監査対象に含まれることが、公益法人監査の特徴です。

一般社団法人・一般財団法人の監査義務

公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人は、規模が大きい場合にだけ会計監査人が必要です。判定に使う数値は負債の額だけで、収益や費用は関係しません。

負債200億円以上の大規模法人

大規模一般社団法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である一般社団法人をいいます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第2条第2号)。大規模一般財団法人も同じく負債200億円以上で定義されています(同法 第2条第3号)。これらの法人は会計監査人を置かなければなりません(同法 第62条、第171条)。

負債200億円という金額は、会社法の大会社の判定基準と同じ水準です。判定に使う貸借対照表が最終事業年度のものである点も共通しており、期中に負債が膨らんでも直ちに設置義務が生じるわけではありません。

関連コラム大会社の判定|負債200億円に含める科目一覧と計算例▸

定款による会計監査人の任意設置

負債200億円に満たない一般社団法人でも、定款の定めによって理事会・監事・会計監査人を置くことができます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第60条第2項)。一般財団法人も同様に、定款の定めによって会計監査人を置くことができます(同法 第170条第2項)。

任意設置を選ぶ法人には、実務上いくつかの典型的な事情があります。補助金や助成金の交付元から財務報告の信頼性を求められている場合、会員や寄付者への説明責任を強めたい場合、将来の公益認定申請を見据えて体制を先に整えておきたい場合などです。なお、会計監査人を置いた一般社団法人は監事も置かなければならないため(同法 第61条)、機関設計全体を合わせて検討することになります。

会計監査人になれるのは公認会計士または監査法人に限られます(同法 第68条第1項)。「会計に詳しい会員に見てもらう」という内部的な確認は、ここでいう会計監査人の監査には当たりません。

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NPO法人の監事監査と外部会計監査

特定非営利活動法人(NPO法人)には、公益法人や一般社団法人のような会計監査人の制度がありません。したがって、公認会計士または監査法人による外部会計監査は、法人の規模にかかわらず法律上の義務ではありません。

NPO法人に求められるのは監事による監査です。役員として理事3人以上及び監事1人以上を置かなければならず(特定非営利活動促進法 第15条)、監事は理事の業務執行の状況と法人の財産の状況を監査し、不正の行為や法令・定款に違反する重大な事実を発見した場合には社員総会または所轄庁に報告します(同法 第18条)。監事は理事または職員を兼ねることができません(同法 第19条)。

会計面では、会計簿を正規の簿記の原則に従って記帳し、活動計算書及び貸借対照表と財産目録を会計簿に基づいて作成することが求められます(同法 第27条)。作成した事業報告書・計算書類・財産目録等は事務所に備え置き(同法 第28条第1項)、毎事業年度一回、所轄庁に提出しなければなりません(同法 第29条)。所轄庁への提出によって外部の目が入る仕組みであり、公認会計士監査で代替する制度設計にはなっていません。

助成財団や自治体の補助事業では、交付条件として公認会計士による監査報告書を求められることがあります。この場合の監査は法定監査ではなく任意監査であり、監査の範囲や報告書の様式は交付元との合意で決まります。依頼前に、交付元が求める書式を確認しておくと手戻りがありません。

農業協同組合の会計監査人設置基準

農業協同組合は、農業協同組合法の改正により、全国農業協同組合中央会による監査から会計監査人による監査へ移行した経緯があります。現在は、出資組合のうち一定のものが会計監査人を置かなければならないこととされています(農業協同組合法 第37条の2第1項)。

対象となるのは、信用事業を行う農業協同組合と、農業協同組合連合会です。いずれも政令で定める規模に達しないものは除かれ、その規模は、信用事業を行う農業協同組合については事業年度の開始の時における貯金及び定期積金の合計額200億円、農業協同組合連合会については負債の合計金額200億円とされています(農業協同組合法施行令 第22条第1項・第2項)。

これらに当たらない出資組合も、定款で定めるところにより会計監査人を置くことができます(農業協同組合法 第37条の2第2項)。会計監査人を置く組合では、計算書類及びその附属明細書について、監事の監査に加えて会計監査人の監査を受けなければなりません(同条第3項)。監事監査と会計監査人監査の二重構造になる点は、公益法人と同じ考え方です。

社会福祉法人・医療法人・学校法人の基準値

残る3形態は、所管する法律がそれぞれ異なります。基準となる数値だけを押さえておけば、初期の判定は可能です。

社会福祉法人では、事業の規模が政令で定める基準を超える特定社会福祉法人が会計監査人を置かなければなりません(社会福祉法 第37条)。その基準は、最終会計年度の収支計算書に基づく経常的な収益の額が30億円を超えること、または貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が60億円を超えることです(社会福祉法施行令 第13条の3)。会計監査人は計算書類及びその附属明細書に加え、財産目録その他の厚生労働省令で定める書類も監査します(社会福祉法 第45条の19第1項・第2項)。

医療法人では、負債50億円以上または事業収益70億円以上の医療法人について、財産目録・貸借対照表・損益計算書の公認会計士または監査法人による監査が義務付けられています(医療法 第51条第2項・第5項、医療法施行規則 第33条の2第1号)。社会医療法人は基準が下がり、負債20億円以上または事業収益10億円以上が対象です(同規則 第33条の2第2号)。社会医療法人債発行法人である社会医療法人も対象になります(同条第3号)。

学校法人では、大臣所轄学校法人等が会計監査人を置かなければなりません(私立学校法 第144条第1項)。これとは別に、補助金の交付を受ける学校法人は、計算書類及びその附属明細書について公認会計士または監査法人の監査を受ける必要があります(私立学校振興助成法 第14条第2項)。根拠法が2本立てになっている点が学校法人の特徴です。

関連コラム学校法人監査とは|私学助成法・私学法の2本立てと対象判定表▸

自法人の判定手順チェックリスト

ここまでの条文を、実務で使う順番に並べ直します。当事務所が非営利法人からご相談を受けたときに、最初に確認している4つの手順です。

1 法人形態の
確定
登記事項証明書と定款で、公益認定を受けているか、一般社団法人・一般財団法人のままかを確認します。公益認定の有無で適用条文がまるごと変わります
2 判定に使う
計算書類の特定
多くの制度が最終事業年度の計算書類を基準にしています。直近の定時社員総会(一般財団法人であれば定時評議員会)で承認済みの貸借対照表・損益計算書を手元に置きます
3 3つの額の
当てはめ
公益法人は収益・費用及び損失・負債の3つを、一般社団法人・一般財団法人は負債だけを基準額と比べます。1つでも超えれば設置義務が生じます
4 監事・理事会との
機関設計の整合
会計監査人を置く場合は監事も必要です。定款変更と登記が伴うため、設置時期から逆算して定時社員総会の議案を準備します

判定でつまずきやすいのは、手順2の「どの計算書類で判定するか」です。公益法人の収益基準も一般社団法人の負債基準も、当期の見込みではなく最終事業年度の確定した数値で判定します。今期の決算で基準を超えることが見込まれる場合は、翌事業年度に向けて会計監査人の選任準備を始める、という時間軸になります。

もう一つの落とし穴は、任意監査と法定監査の混同です。補助金の交付条件として受ける監査は、法令が求める会計監査人の監査とは別物です。法定義務がない法人が会計監査人を定款に定めた場合、その瞬間から会計監査人設置法人としての手続(監事の設置、選任・解任の手続、会計監査報告の受領)が必要になります。安易に定款へ書き込まず、体制を整えてから設置するのが安全です。

まとめ

非営利法人の外部会計監査は、法人形態ごとに根拠法と金額基準が分かれています。公益社団法人・公益財団法人は収益100億円・費用及び損失100億円・負債50億円のいずれかに該当すれば会計監査人が必要で、この金額は2025年4月1日から引き下げられています。一般社団法人・一般財団法人は負債200億円以上が基準で、それ未満は定款による任意設置です。

NPO法人には会計監査人の制度がなく、監事監査と所轄庁への提出で担保する仕組みになっています。農業協同組合は貯金等200億円、社会福祉法人は収益30億円超または負債60億円超、医療法人は負債50億円以上または事業収益70億円以上、学校法人は大臣所轄かつ補助金の有無で判定します。自法人の形態を確定したうえで、最終事業年度の計算書類を使って該当する条文だけを当てはめれば、判定は難しくありません。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

参考文献

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よくある質問

公益認定を受ける前に会計監査人を置く必要はありますか

公益認定の基準として「会計監査人を置いているものであること」が求められるため、基準額に該当する法人は認定の時点で会計監査人が置かれている必要があります(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条第13号)。収益・費用及び損失・負債の3つの額がいずれも基準に達しない法人は、この限りではありません(同法施行令 第6条)。

一般社団法人が任意で会計監査人を置く場合、監事も必要ですか

必要です。会計監査人設置一般社団法人は監事を置かなければならないと定められています(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第61条)。会計監査人を定款に定める際は、監事の選任と併せて機関設計を検討してください。

NPO法人が公認会計士の監査を受ける義務はありますか

特定非営利活動促進法には会計監査人の制度がなく、公認会計士または監査法人による監査は法律上の義務ではありません。法律が求めているのは監事による監査であり(特定非営利活動促進法 第18条)、事業報告書等は所轄庁へ提出します(同法 第29条)。補助金の交付条件として監査を受ける場合は、任意監査として実施することになります。

会計監査人になれるのはどのような人ですか

公認会計士または監査法人に限られます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第68条第1項)。法人の子法人や理事・監事から継続的な報酬を受けている者などは、会計監査人となることができません(同条第3項)。監事とは異なり、法人内部の役員や会員が会計監査人になることはできません。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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