監査役会の設置義務チェックリスト|大会社の要件と機関設計
目次
- 監査役会の設置義務チェックリスト
- 判定結果ごとに必要になる機関
- 監査役会の設置義務が生じる要件
- 大会社の定義と判定に使う数値
- 公開会社かどうかが分かれ目になる
- 義務がなくても定款で置ける
- 監査役会と会計監査人のセット義務
- 監査役会設置会社に求められる体制
- 監査役3人以上・半数以上が社外監査役
- 取締役会と内部統制システムの決定義務
- 監査役会の運営ルール
- 機関設計の選択肢と監査役会の位置づけ
- 監査役会を設置するまでの実務手順
- 同時に発生する大会社としての義務
- 置かなかった場合に生じる不利益
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 資本金が5億円を超えましたが全株式に譲渡制限があります。監査役会は必要ですか。
- 監査役会を置くと監査役は何人必要ですか。社外監査役は何人ですか。
- 常勤監査役は必ず置く必要がありますか。社外監査役を常勤にできますか。
- 設置義務があるのに監査役会を置かないとどうなりますか。
- 監査等委員会設置会社に移行すれば監査役会は不要になりますか。
資本金や負債が増えて大会社に近づくと、経理・総務の担当者がまず調べるのが「監査役会を置かなければならないのか」という点です。会計監査人の設置義務とセットで語られることが多いため、自社にどちらの義務が生じるのかが判然としないまま、監査法人への相談だけが先に進んでしまうケースも少なくありません。
結論から書きます。監査役会の設置義務が生じるのは、公開会社である大会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)です。この場合は監査役会と会計監査人の両方を置かなければなりません(会社法 第328条第1項)。一方、公開会社でない大会社は会計監査人だけが必要で、監査役会は義務ではありません(会社法 第328条第2項)。この記事では、自社が該当するかを確かめるチェックリストを先に示し、そのうえで監査役3人以上という構成要件、機関設計の選択肢、移行手続を条文で追います。
監査役会の設置義務チェックリスト
まず、自社に監査役会を置く義務があるかどうかを次の4項目で確認します。1から3のすべてに該当し、かつ4に該当しない場合に、監査役会の設置義務が生じます(会社法 第328条第1項)。1つでも欠ければ義務設置ではなく、定款の定めによる任意設置の検討に移ります(会社法 第326条第2項)。
| 1 資本金または 負債が基準以上 |
最終事業年度に係る貸借対照表で、資本金として計上した額が5億円以上、または負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること。いずれか一方に該当すれば大会社です(会社法 第2条第6号)。 |
|---|---|
| 2 判定に使う 貸借対照表が確定 |
判定に用いるのは最終事業年度に係る貸借対照表、すなわち計算書類について定時株主総会の承認(または報告)を受けた事業年度のうち最も遅いもののものです(会社法 第2条第24号)。期末の数値が即時に効力を持つわけではありません。 |
| 3 公開会社に 該当する |
発行する全部または一部の株式について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社であること(会社法 第2条第5号)。全株式に譲渡制限を付している会社は公開会社ではありません。 |
| 4 監査等委員会等を 置いていない |
監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社は、監査役会の設置義務の対象から除かれます(会社法 第328条第1項)。これらの会社はそもそも監査役を置くことができません(会社法 第327条第4項)。 |
このチェックリストで押さえておきたいのは、大会社に該当することだけでは監査役会の義務は生じないという点です。義務の分かれ目は「公開会社かどうか」にあり、全株式に譲渡制限を付している非公開の大会社であれば、監査役会は置かなくても差し支えありません(会社法 第328条第2項)。
判定結果ごとに必要になる機関
チェックリストの結果を会社の区分に当てはめると、必要な機関は次のように整理できます。左の区分に自社を当てはめて、右の機関がそろっているかを確認してください。
| 会社の区分 | 会社法上必要になる機関 |
|---|---|
| 公開会社である大会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く) | 監査役会および会計監査人(会社法 第328条第1項)。監査役会設置会社であるため取締役会も必要です(会社法 第327条第1項第2号)。 |
| 公開会社でない大会社(同上を除く) | 会計監査人(会社法 第328条第2項)。会計監査人設置会社は監査役を置く必要がありますが、監査役会までは求められません(会社法 第327条第3項)。 |
| 大会社である監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社 | 会計監査人(会社法 第327条第5項)。監査役および監査役会は置くことができません(会社法 第327条第4項)。 |
| 大会社に該当しない公開会社 | 取締役会および監査役(会社法 第327条第1項第1号、第2項)。監査役会は定款の定めによる任意設置です(会社法 第326条第2項)。 |
なお、大会社に該当するかどうかの判定時点や、該当してから最初の監査が始まるまでの時系列は、別のコラムで詳しく整理しています。
関連コラム会社法監査の要件と開始時期|大会社の判定時点と会計監査人の選任▸
監査役会の設置義務が生じる要件
チェックリストの根拠になっている条文を、順を追って確認します。監査役会の設置義務を定めているのは会社法第328条第1項の一文だけで、そこに含まれる用語の定義が第2条に置かれている、という構造です。
大会社の定義と判定に使う数値
大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であるか、または最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である株式会社をいいます(会社法 第2条第6号)。両方を満たす必要はなく、いずれか一方で該当します。
実務でつまずきやすいのは資本金の読み方です。判定に用いるのは純資産の部の「資本金」として計上した額であり、資本準備金やその他資本剰余金は含まれません(会社法 第2条第6号イ)。負債側は逆に、流動負債と固定負債を合わせた負債の部の合計額をそのまま用います(会社法 第2条第6号ロ)。
公開会社かどうかが分かれ目になる
公開会社とは、発行する全部または一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいいます(会社法 第2条第5号)。上場しているかどうかとは無関係で、一部の種類株式にでも譲渡制限が付いていなければ公開会社にあたる点に注意が必要です。
非上場のオーナー系企業が増資を重ねて資本金5億円に達したとき、定款で全株式に譲渡制限を付していれば公開会社ではないため、監査役会の設置義務は生じません。ただし会計監査人の設置義務は非公開の大会社にも及ぶため、会社法監査そのものからは逃れられません(会社法 第328条第2項)。実務では、この「監査役会は不要だが会計監査人は必要」という組み合わせを見落として、機関設計の変更をまとめて先送りしてしまう例が見られます。
義務がなくても定款で置ける
大会社でない会社や非公開会社でも、定款の定めによって監査役会を置くことができます(会社法 第326条第2項)。上場準備の過程で、審査を見据えて先に監査役会へ移行する会社は珍しくありません。任意設置であっても監査役会設置会社に該当するため(会社法 第2条第10号)、後述する監査役3人以上・半数以上が社外監査役という構成要件はそのまま適用されます(会社法 第335条第3項)。
監査役会と会計監査人のセット義務
会社法第328条第1項は、監査役会と会計監査人を並べて義務づけています。両者は別々の制度ですが、公開会社である大会社では同時に設置する必要があり、片方だけを置く選択肢はありません(会社法 第328条第1項)。
会計監査人は公認会計士または監査法人でなければならず(会社法 第337条第1項)、計算書類およびその附属明細書、臨時計算書類ならびに連結計算書類を監査して会計監査報告を作成します(会社法 第396条第1項)。会計監査人設置会社では、計算書類およびその附属明細書は監査役および会計監査人の双方の監査を受けなければなりません(会社法 第436条第2項第1号)。監査役会は、各監査役の監査結果を踏まえて監査役会としての監査報告を作成する立場にあります(会社法 第390条第2項第1号)。
この二重の監査構造があるため、監査役会と会計監査人は独立して機能しつつ、会計監査人の監査の方法および結果の相当性を監査役が判断する関係に立ちます。両者の役割分担は次のコラムで整理しています。
関連コラム監査役監査と会計監査人監査の違い|相当性判断のチェックリスト▸
また、会計監査人の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までで、その総会で別段の決議がされなかったときは再任されたものとみなされます(会社法 第338条第1項、第2項)。監査役の任期が選任後4年であるのと比べて短いため(会社法 第336条第1項)、両者の改選サイクルは一致しません。会計監査人の設置義務の範囲そのものについては、こちらのコラムをあわせてご覧ください。
関連コラム会計監査人の設置義務がある会社は?大会社・委員会設置会社の判定フロー▸
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監査役会設置会社に求められる体制
監査役会を置くと決まった時点で、人員と会議体の要件が一気に増えます。義務の内容を人材確保の期間に引き直すと、社外監査役の候補者探しが最も時間のかかる作業になります。
監査役3人以上・半数以上が社外監査役
監査役会設置会社においては、監査役は3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません(会社法 第335条第3項)。監査役が3人であれば社外監査役は2人以上、4人であれば2人以上が必要です。「過半数」ではなく「半数以上」である点が、監査等委員である取締役の過半数要件(会社法 第331条第6項)との違いです。
| 監査役の員数 | 3人以上(会社法 第335条第3項)。定款でこれを上回る員数を定めることもできます。 |
|---|---|
| 社外監査役の割合 | 監査役の半数以上(会社法 第335条第3項)。3人体制なら2人以上、4人体制なら2人以上が該当します。 |
| 社外監査役の要件 | 就任前10年間、その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人その他の使用人であったことがないことなど、5つの要件をすべて満たす必要があります(会社法 第2条第16号)。 |
| 常勤監査役 | 監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければなりません(会社法 第390条第3項)。 |
| 兼任禁止 | 監査役は、会社もしくはその子会社の取締役・支配人その他の使用人、または子会社の会計参与・執行役を兼ねることができません(会社法 第335条第2項)。 |
| 監査役の任期 | 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法 第336条第1項)。 |
社外監査役の要件は、就任前10年間の経歴だけでなく、親会社等やその子会社等での地位、親会社等が自然人である場合の配偶者・二親等内の親族といった関係まで含めて判定します(会社法 第2条第16号)。実務では、グループ内の他社で使用人であった人物や、創業家の親族を候補に挙げてから要件に触れて差し替える、という手戻りが起こりがちです。候補者リストの段階で第2条第16号のイからホまでを1つずつ潰すことをおすすめします。
取締役会と内部統制システムの決定義務
監査役会設置会社は、取締役会を置かなければなりません(会社法 第327条第1項第2号)。取締役会設置会社では取締役は3人以上必要になるため(会社法 第331条第5項)、監査役会への移行は取締役側の員数確保も伴います。
あわせて、大会社である取締役会設置会社では、取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他業務の適正を確保するために必要な体制の整備について、取締役会が決定しなければなりません(会社法 第362条第4項第6号、第5項)。これはいわゆる内部統制システムの整備に係る基本方針の決定で、監査役会の設置と同じタイミングで対応が必要になります。
監査役会の運営ルール
監査役会は、すべての監査役で組織します(会社法 第390条第1項)。会議体としての運営には次のルールが定められており、議事録の備置期間は取締役会と同じ10年です(会社法 第394条第1項)。
| 監査役会の職務 | 監査報告の作成、常勤監査役の選定および解職、監査の方針や業務・財産の状況の調査方法など監査役の職務執行に関する事項の決定(会社法 第390条第2項)。ただし方針等の決定は各監査役の権限行使を妨げることはできません。 |
|---|---|
| 招集権者 | 各監査役が招集します(会社法 第391条)。招集権者を1人に固定することはできません。 |
| 招集手続 | 会日の1週間前までに各監査役へ通知を発します。定款でこれを下回る期間を定めることができ、監査役全員の同意があれば招集手続を省略できます(会社法 第392条)。 |
| 決議要件 | 監査役の過半数をもって行います(会社法 第393条第1項)。取締役会のような出席者要件はありません。 |
| 議事録 | 法務省令で定めるところにより作成し、書面で作成したときは出席した監査役が署名または記名押印します(会社法 第393条第2項)。監査役会の日から10年間、本店に備え置きます(会社法 第394条第1項)。 |
| 選任議案への同意 | 監査役の選任議案を株主総会に提出するには監査役会の同意が必要です(会社法 第343条第1項、第3項)。監査役会は選任を株主総会の目的とすることも請求できます(会社法 第343条第2項、第3項)。 |
監査役会を設置すると、監査役の選任議案に対する同意権が個々の監査役から監査役会へ移ります(会社法 第343条第3項)。監査役会の決議が要件になるため、定時株主総会の招集通知の発送スケジュールから逆算して、監査役会の開催日を決めておく必要があります。
機関設計の選択肢と監査役会の位置づけ
公開会社である大会社が選べる機関設計は、監査役会設置会社だけではありません。監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社を選べば、監査役会の設置義務の対象から外れます(会社法 第328条第1項)。ただし、いずれの場合も会計監査人は必要です(会社法 第327条第5項)。
| 機関設計 | 会社法上の位置づけと留意点 |
|---|---|
| 監査役会設置会社 | 公開会社である大会社の原則形態。監査役3人以上・半数以上が社外監査役、常勤監査役の選定が必要です(会社法 第328条第1項、第335条第3項、第390条第3項)。取締役会も必置となります(会社法 第327条第1項第2号)。 |
| 監査等委員会設置会社 | 監査役および監査役会を置くことができません(会社法 第327条第4項)。監査等委員である取締役は3人以上で、その過半数が社外取締役である必要があります(会社法 第331条第6項)。会計監査人は必置です(会社法 第327条第5項)。 |
| 指名委員会等設置会社 | 指名委員会、監査委員会および報酬委員会を置く形態で(会社法 第2条第12号)、監査役は置けません(会社法 第327条第4項)。取締役会および会計監査人が必置です(会社法 第327条第1項第4号、第5項)。 |
どの形態を選んでも、会計監査人による計算書類の監査は避けられません。監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行する場合、監査役の任期は定款変更の効力が生じた時に満了します(会社法 第336条第4項第2号)。移行のタイミングで監査役が一斉に退任するため、後任となる監査等委員である取締役の選任議案を同じ株主総会で決議しておく必要があります。
監査役会を設置するまでの実務手順
大会社に該当することが確定してから監査役会を立ち上げるまでの流れは、次の5ステップに整理できます。定時株主総会の日から2週間という登記期限が最も動かしにくい制約になるため、逆算してスケジュールを組みます(会社法 第915条第1項)。
- 該当の確定と社外監査役候補の選定。 最終事業年度に係る貸借対照表で大会社に該当することを確認し(会社法 第2条第6号、第24号)、社外監査役の要件を満たす候補者を探します(会社法 第2条第16号)。候補者との交渉に最も時間がかかるため、判定の見込みが立った段階で着手します。
- 定款変更の議案を準備する。 監査役会および会計監査人を置く旨の定款の定めを設けます。定款の変更は株主総会の決議事項であり、特別決議によります(会社法 第466条、第309条第2項第11号)。
- 定時株主総会で定款変更と選任を決議する。 監査役および会計監査人は株主総会の決議によって選任します(会社法 第329条第1項)。監査役の選任議案には、既に監査役がいる場合はその同意が必要です(会社法 第343条第1項)。
- 総会後ただちに監査役会を開催する。 監査役会は監査役の中から常勤の監査役を選定しなければなりません(会社法 第390条第3項)。監査の方針や調査の方法も、この最初の監査役会で決定します(会社法 第390条第2項第3号)。
- 2週間以内に登記する。 監査役会設置会社である旨、監査役のうち社外監査役である者について社外監査役である旨、会計監査人設置会社である旨と会計監査人の氏名または名称が登記事項です(会社法 第911条第3項第17号、第18号、第19号)。変更が生じたときは2週間以内に本店の所在地で変更の登記をします(会社法 第915条第1項)。
同時に発生する大会社としての義務
監査役会の設置に気を取られていると、大会社に共通する他の義務が漏れます。次の3点は同じ定時株主総会の前後で対応が必要になります。
| 損益計算書の公告 | 大会社は定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表に加えて損益計算書も公告しなければなりません(会社法 第440条第1項)。有価証券報告書の提出会社は適用除外です(会社法 第440条第4項)。 |
|---|---|
| 連結計算書類の 作成 |
事業年度の末日において大会社であり、かつ有価証券報告書の提出義務がある会社は、連結計算書類を作成しなければなりません(会社法 第444条第3項)。作成した連結計算書類は監査役および会計監査人の監査を受けます(会社法 第444条第4項)。 |
| 内部統制システムの 決定 |
大会社である取締役会設置会社では、業務の適正を確保するために必要な体制の整備について取締役会が決定しなければなりません(会社法 第362条第4項第6号、第5項)。 |
置かなかった場合に生じる不利益
設置義務があるにもかかわらず監査役会を置かない場合、法律で定めた員数を欠いた状態となります。その選任の手続をすることを怠ったときは、取締役等が100万円以下の過料に処せられます(会社法 第976条第22号)。
また、監査役の員数が欠けた場合、任期の満了または辞任により退任した監査役は新たに選任された監査役が就任するまで監査役としての権利義務を有し、裁判所は必要があると認めるときは利害関係人の申立てにより一時監査役の職務を行うべき者を選任することができます(会社法 第346条第1項、第2項)。会計監査人が欠けた場合に遅滞なく選任されないときは、監査役会が一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければなりません(会社法 第346条第4項、第6項)。社外監査役が1人辞任しただけで半数以上の要件を割り込むため、3人体制の会社ほど欠員リスクは高くなります。
まとめ
監査役会の設置義務が生じるのは、公開会社である大会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)で、この場合は会計監査人もあわせて置かなければなりません(会社法 第328条第1項)。公開会社でない大会社は会計監査人のみが必要で、監査役会は義務ではありません(会社法 第328条第2項)。大会社に該当するかどうかと、公開会社に該当するかどうかを分けて判定するのが、この論点を誤らないための要点です。
設置が決まった後は、監査役3人以上・半数以上が社外監査役という構成要件(会社法 第335条第3項)と、常勤監査役の選定(会社法 第390条第3項)、そして定時株主総会の日から2週間以内の登記(会社法 第915条第1項)が実務のスケジュールを規定します。社外監査役の候補者確保に最も時間がかかるため、大会社に該当する見込みが立った段階から動き出すことをおすすめします。
自社が監査役会設置会社に該当するかの判定、機関設計の選択、会計監査人の選任時期など、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
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よくある質問
資本金が5億円を超えましたが全株式に譲渡制限があります。監査役会は必要ですか。
必要ありません。監査役会の設置義務が課されるのは公開会社である大会社に限られ、公開会社でないものは対象から除かれています(会社法 第328条第1項)。全部の株式について譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めがあれば公開会社ではありません(会社法 第2条第5号)。ただし、公開会社でない大会社であっても会計監査人を置かなければならず(会社法 第328条第2項)、会計監査人設置会社は監査役を置く必要があります(会社法 第327条第3項)。
監査役会を置くと監査役は何人必要ですか。社外監査役は何人ですか。
監査役会設置会社では、監査役は3人以上で、そのうち半数以上が社外監査役でなければなりません(会社法 第335条第3項)。監査役3人の体制なら社外監査役は2人以上、4人の体制でも2人以上が必要です。社外監査役に該当するかは、就任前10年間の経歴、親会社等やその子会社等での地位、親会社等が自然人である場合の配偶者・二親等内の親族といった要件をすべて満たすかで判定します(会社法 第2条第16号)。
常勤監査役は必ず置く必要がありますか。社外監査役を常勤にできますか。
監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければなりません(会社法 第390条第3項)。選定は監査役会の職務とされており、解職も同様です(会社法 第390条第2項第2号)。条文は「監査役の中から」と定めるのみで、社外監査役を常勤の監査役として選定することを禁じてはいません。ただし監査役は会社およびその子会社の取締役や使用人を兼ねることができないため、常勤とする場合も兼任禁止の範囲に触れないことを確認する必要があります(会社法 第335条第2項)。
設置義務があるのに監査役会を置かないとどうなりますか。
法律で定めた員数を欠いた状態となり、その選任の手続をすることを怠ったときは、取締役等が100万円以下の過料に処せられます(会社法 第976条第22号)。また、監査役の員数が欠けた場合、退任した監査役は新たな監査役が就任するまで権利義務を有し、裁判所は利害関係人の申立てにより一時監査役の職務を行うべき者を選任することができます(会社法 第346条第1項、第2項)。監査役会設置会社であることは登記事項でもあるため、登記と実態の不一致も生じます(会社法 第911条第3項第18号)。
監査等委員会設置会社に移行すれば監査役会は不要になりますか。
不要になります。監査役会の設置義務の対象から監査等委員会設置会社は除かれており(会社法 第328条第1項)、そもそも監査役を置くことができません(会社法 第327条第4項)。ただし監査等委員会設置会社は会計監査人を置かなければならず(会社法 第327条第5項)、監査等委員である取締役は3人以上でその過半数が社外取締役である必要があります(会社法 第331条第6項)。移行に伴う定款変更の効力が生じた時に監査役の任期は満了するため(会社法 第336条第4項第2号)、同じ株主総会で監査等委員である取締役を選任しておきます。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



