新リース会計基準の注記ひな形|借手・貸手の記載例と適用初年度
目次
- 注記ひな形の全体像と組み立て方
- 借手の注記ひな形(記載例)
- 会計方針に関する情報の文例
- リース特有の取引に関する情報の文例
- 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報の文例
- 貸手の注記ひな形(記載例)
- ファイナンス・リースの貸手
- オペレーティング・リースの貸手
- 適用初年度の経過措置に係る注記ひな形
- 会計方針の変更の注記文例
- 追加借入利子率の加重平均と差額の説明
- 比較情報の取扱い
- ひな形を使うときの実務上の注意点
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 注記の見出しは基準の3区分・2区分に揃える必要がありますか
- 本表で区分表示すれば注記は不要になりますか
- 個別財務諸表でも同じ注記ひな形を使ってよいですか
- 適用初年度の前期比較情報は新基準で書き直しますか
新リース会計基準(企業会計基準第34号)の注記は、借手が3区分、貸手が2区分という枠組みで構成されます。枠組みは基準に書かれていますが、実際の注記文をどう書くかは基準に示されていないため、適用準備の現場では「結局どんな文章を並べればよいのか」で手が止まりがちです。
この記事では、借手・貸手それぞれの注記のひな形(穴埋め式の文例)と、適用初年度の経過措置に係る注記の文例を、自社作例の数値とともにまとめました。掲載した文例はすべて当事務所が作成したもので、基準・適用指針の設例を転載したものではありません。自社の様式に合わせて【 】部分を埋め、必要のない項目を落として使ってください。
注記ひな形の全体像と組み立て方
リースに関する注記は、独立した注記項目として記載します。ただし、他の注記事項に既に記載している情報は繰り返す必要がなく、当該他の注記事項を参照することができます(リースに関する会計基準 第57項)。したがって、ひな形は「独立した1つの注記ブロック」を前提に組み立て、重複する部分は参照文に置き換えるのが基本形です。
注記すべき事項の区分は次のとおりです。ただし、開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項は記載しないことができます(リースに関する会計基準 第55項)。
| 借手の注記 | 会計方針に関する情報/リース特有の取引に関する情報/当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 |
|---|---|
| 貸手の注記 | リース特有の取引に関する情報/当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報 |
なお、注記を記載するにあたって、上記の区分に従って注記事項を記載する必要はありません(リースに関する会計基準 第56項)。区分は「漏れがないかを確認するためのチェック軸」であって、注記文の見出しをこの3区分・2区分に揃えることまでは求められていない、という理解で差し支えありません。
また、注記する情報はこの区分に掲げる事項に限定されるものではなく、開示目的の達成に必要な情報は「リース特有の取引に関する情報」として注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第94項)。ひな形を埋めて終わりにせず、自社固有の事情を1〜2文足せるかを最後に確認してください。
どの事項を注記対象として拾うかという記載事項そのものの整理は、次のコラムで一覧にしています。
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借手の注記ひな形(記載例)
会計方針に関する情報の文例
会計方針に関する情報として注記するのは、リースに関して選択した会計処理のうち、次の3つを選択した場合の「その旨及びその内容」です(リースに関する会計基準の適用指針 第97項)。すなわち、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを分けずに会計処理する選択、指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料に関する例外的な取扱いの選択、借地権の設定に係る権利金等に関する会計処理の選択の3つです。逆に言えば、これらを選択していない企業は、この項目に書くことがほとんど無いこともあり得ます。
これらを重要な会計方針として注記している場合は、リースに関する注記として繰り返す必要はなく、重要な会計方針の注記を参照することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第97項)。実務では次の2つの型を使い分けます。
(会計方針に関する情報を本文に書く型)
当社は、【建物及び車両運搬具】に係るリース契約について、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを分けずに、これらを合わせてリースを構成する部分として会計処理しています。
また、指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料について、【指数又はレートの変動時にリース負債の計上額を見直さない】例外的な取扱いを適用しています。
借地権の設定に係る権利金等については、【使用権資産の取得価額に含め、借手のリース期間にわたり償却する】方法によっています。
(重要な会計方針の注記を参照する型)
リースに関する会計方針は、「重要な会計方針」【(4)リース取引に係る会計処理】に記載のとおりです。
リース特有の取引に関する情報の文例
リース特有の取引に関する情報は、貸借対照表・損益計算書で区分して表示していない項目について、その項目が含まれる科目及び金額を注記するのが中心です(リースに関する会計基準の適用指針 第98項から第101項)。裏返せば、本表で区分表示していれば注記は不要になります。ひな形を埋める前に、まず自社の表示方針を確定させてください。
使用権資産については、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に表示するであろう科目に含める方法と、原資産の表示区分において使用権資産として区分する方法のいずれかにより表示します(リースに関する会計基準 第49項)。前者を選んだ場合、科目ごとの帳簿価額の注記が必要になります(リースに関する会計基準の適用指針 第99項)。
(使用権資産を原資産の科目に含めて表示している場合)
使用権資産の帳簿価額のうち、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合の表示科目ごとの金額は、建物【○○○】千円、車両運搬具【○○】千円、工具器具備品【○○】千円です。
リース負債についても、貸借対照表において区分して表示するか、リース負債が含まれる科目及び金額を注記します(リースに関する会計基準 第50項)。このとき、貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するリース負債は流動負債、支払の期限が1年を超えて到来するリース負債は固定負債に属するものとします(同項)。リース負債に係る利息費用も同様に、損益計算書における区分表示か注記のいずれかです(リースに関する会計基準 第51項)。
(リース負債・利息費用を区分表示していない場合)
リース負債は、流動負債の【「その他」】に【○○○】千円、固定負債の【「長期未払金」】に【○○○】千円が含まれています。
リース負債に係る利息費用は、営業外費用の【「支払利息」】に【○○】千円が含まれています。
短期リースに係る費用の発生額、リース負債に含めていない借手の変動リース料に係る費用の発生額についても、損益計算書で区分表示していない場合は、含まれる科目及び当該発生額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第100項)。短期リースの費用には、借手のリース期間が1か月以下のリースに係る費用及び少額リースに係る費用を含めることを要しません(同項)。
(短期リース・変動リース料の費用)
簡便的な取扱いを適用した短期リースに係る費用は、販売費及び一般管理費の【「賃借料」】に【○○】千円が含まれています。なお、当該費用には、借手のリース期間が1か月以下のリース及び少額リースに係る費用を含めていません。
リース負債に含めていない借手の変動リース料に係る費用は、販売費及び一般管理費の【「地代家賃」】に【○○】千円が含まれています。
セール・アンド・リースバック取引及びサブリース取引がある場合は、売却損益が含まれる科目及び金額、サブリースによる収益が含まれる科目及び金額などを注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第101項)。該当する取引がない期は、この段落ごと落として構いません。
さらに、リース負債の測定に反映されていない将来キャッシュ・アウトフロー(借手の変動リース料、延長オプション及び解約オプション、残価保証、契約しているがまだ開始していないリース)、借手のリース活動の性質、リースにより課されている制限又は特約なども、開示目的の達成に必要であれば注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第95項)。ここが、ひな形の穴埋めだけでは埋まらない、各社の判断が最も出る部分です。
(リース負債に反映されていない将来キャッシュ・アウトフローの説明例)
当社は、【店舗】に係る不動産賃借契約について、【売上高に連動する変動リース料】を負担しています。当該変動リース料はリース負債の測定に含めておらず、当連結会計年度に費用計上した金額は【○○】千円です。
また、当連結会計年度末において【契約を締結済みであるがまだ開始していないリース】があり、当該リースに係る借手のリース料の総額は【○○○】千円です。
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報の文例
この区分で注記するのは、リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額(少額リースに係るキャッシュ・アウトフローを除く)、使用権資産の増加額、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごとの使用権資産に係る減価償却の金額の3つです(リースに関する会計基準の適用指針 第102項)。金額が確定していれば、そのまま文章に流し込める部分です。
当連結会計年度におけるリースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は【248,600】千円です。なお、少額リースに係るキャッシュ・アウトフローは含めていません。
当連結会計年度における使用権資産の増加額は【132,400】千円です。
当連結会計年度における使用権資産に係る減価償却の金額は、対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目ごとに、次のとおりです。
減価償却の金額は、文章で並べるより表にしたほうが読み手に伝わります。次は当事務所が作成した数値例です(単位:千円)。
| 建物 | 86,200 |
|---|---|
| 車両運搬具 | 21,500 |
| 工具器具備品 | 12,900 |
| 合計 | 120,600 |
実務では、この3つの金額を出すために固定資産システムやリース管理台帳の出力項目をあらかじめ設計しておく必要があります。特に「リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額」は、リース負債の返済額と利息の支払額に加え、リース負債に計上していない短期リース・変動リース料の支払額まで含めて集計する必要があるため、期末に手作業で拾うと必ず時間が足りなくなります。
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貸手の注記ひな形(記載例)
ファイナンス・リースの貸手
貸手は、リース債権及びリース投資資産のそれぞれについて、貸借対照表において区分して表示するか、それぞれが含まれる科目及び金額を注記します(リースに関する会計基準 第52項)。区分表示していない場合、リース投資資産についてはリース料債権部分及び見積残存価額部分の金額並びに受取利息相当額を、リース債権についてはリース料債権部分の金額及び受取利息相当額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第104項)。いずれもリース料債権部分の金額は利息相当額控除前の金額とします(同項)。
リース投資資産の内訳は、リース料債権部分【○○○】千円、見積残存価額部分【○○】千円、受取利息相当額【△○○】千円です。
リース債権の内訳は、リース料債権部分【○○○】千円、受取利息相当額【△○○】千円です。
なお、リース債権の期末残高が、当該期末残高及びリース投資資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合は、これらを合算して注記することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第104項)。損益計算書についても、ファイナンス・リースに係る販売損益、受取利息相当額、オペレーティング・リースに係る収益を区分して表示するか、含まれる科目及び金額を注記します(リースに関する会計基準 第53項)。
当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報としては、リース債権及びリース投資資産の残高に重要な変動がある場合のその内容と、リース料債権部分の貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額及び5年超の回収予定額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第106項)。残高の重要な変動を注記するにあたり、必ずしも定量的情報を含める必要はありません(同適用指針 第107項)。
当連結会計年度において、【企業結合による取得】及び【中途解約による減少】により、リース投資資産の残高に重要な変動が生じています。
オペレーティング・リースの貸手
オペレーティング・リースの貸手は、貸手のリース料について、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの受取予定額及び5年超の受取予定額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第109項)。ここは表形式が最も読みやすく、注記のひな形としてもそのまま流用できます。次は当事務所が作成した数値例です(単位:千円)。
| 1年以内 | 42,000 |
|---|---|
| 1年超2年以内 | 38,500 |
| 2年超3年以内 | 31,000 |
| 3年超4年以内 | 24,000 |
| 4年超5年以内 | 18,500 |
| 5年超 | 46,000 |
| 合計 | 200,000 |
また、貸手のリース料に含まれない将来の業績等により変動する使用料に係る収益を損益計算書において区分して表示していない場合は、当該収益が含まれる科目及び金額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第108項)。売上歩合による賃料を受け取っている商業施設の貸手などは、この項目に該当しやすいところです。
適用初年度の経過措置に係る注記ひな形
会計方針の変更の注記文例
本会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができます(リースに関する会計基準 第58項)。適用指針の適用時期も会計基準と同様です(リースに関する会計基準の適用指針 第112項)。
適用初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、原則として、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用します。ただし、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用することもできます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項)。したがって、注記のひな形も遡及適用型と累積的影響額型の2通りになります。
(累積的影響額を期首利益剰余金に加減する方法を選択した場合)
当社は、当連結会計年度の期首から「リースに関する会計基準」(企業会計基準第34号)及び「リースに関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第33号)を適用しています。これにより、借手のすべてのリースについて、原則として使用権資産及びリース負債を計上しています。
当該会計基準等の適用にあたっては、経過的な取扱いに従い、当該会計基準等の適用による累積的影響額を当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減しています。
この結果、当連結会計年度の期首において、使用権資産が【○○○】千円、リース負債が【○○○】千円増加し、利益剰余金が【○○】千円【減少】しています。
追加借入利子率の加重平均と差額の説明
累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する方法を選択した借手は、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第10項(5)の注記に代えて、次の2つを注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第125項)。
- 適用初年度の期首の貸借対照表に計上されているリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均
- 適用初年度の前連結会計年度及び前事業年度の期末日において企業会計基準第13号を適用して開示したオペレーティング・リースの未経過リース料(上記の追加借入利子率で割引後)と、適用初年度の期首の貸借対照表に計上したリース負債との差額の説明
この2つ目の「差額の説明」は、単に金額を並べるだけでは足りず、なぜ差が生じたのかを言葉にする必要があります。差の主な要因は、短期リース・少額リースの簡便的な取扱いを適用したこと、リース期間の見直しにより延長オプションの対象期間を含めたこと、新たに識別されたリースが加わったことなどです。次はその文例です。
適用初年度の期首の連結貸借対照表に計上したリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均は【1.2】%です。
前連結会計年度末に開示したオペレーティング・リースの未経過リース料を上記の追加借入利子率で割り引いた金額【○○○】千円と、当連結会計年度の期首の連結貸借対照表に計上したリース負債【○○○】千円との差額【○○】千円の主な内訳は、次のとおりです。
【短期リース及び少額リースについて簡便的な取扱いを適用したことによる減少額】【○○】千円、【延長オプションの行使が合理的に確実であると判断した期間を借手のリース期間に含めたことによる増加額】【○○】千円、【新たにリースとして識別した契約による増加額】【○○】千円。
比較情報の取扱い
累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する方法を選択した借手は、適用初年度において、適用初年度の比較情報について新たな表示方法に従い組替えを行いません(リースに関する会計基準の適用指針 第136項)。また、この方法を選択した借手及び貸手は、適用初年度において、リースに関する会計基準第55項に記載した内容を適用初年度の比較情報に記載せず、企業会計基準第13号及び企業会計基準適用指針第16号に定める事項を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第137項)。
つまり、適用初年度の注記は「当期=新基準の注記」「前期=旧基準の注記」が並ぶ形になります。ひな形を作るときは、前期分をゼロから書き直すのではなく、前期の有価証券報告書等の注記をそのまま残す前提で設計してください。
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ひな形を使うときの実務上の注意点
ひな形は出発点であって、そのまま提出できる完成品ではありません。監査対応の場で論点になりやすいのは、次の4点です。
第一に、本表の表示方針を決めないと注記文が確定しません。リース特有の取引に関する情報の多くは「区分して表示していない場合」に注記が求められる構造です(リースに関する会計基準の適用指針 第99項、第100項)。表示方針が固まらないまま注記のひな形を埋めようとすると、後で丸ごと書き換えることになります。
第二に、重要性の判断は項目ごとに行います。開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項は記載しないことができますが(リースに関する会計基準 第55項)、これは「リースの注記全体を省略できる」という意味ではありません。省略する項目ごとに、なぜ重要性が乏しいと判断したのかを説明できるようにしておくことをおすすめします。
第三に、連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表は注記の範囲が狭くなります。連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては、「リース特有の取引に関する情報」及び「当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報」について注記しないことができます(リースに関する会計基準の適用指針 第110項)。会計方針に関する情報を記載するにあたっては、連結財務諸表における記載を参照することができます(同適用指針 第111項)。個別と連結で同じひな形を使い回すと、個別側が過剰な注記になります。
第四に、金額を出すための集計設計が先です。使用権資産の増加額、科目ごとの減価償却の金額、リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額(リースに関する会計基準の適用指針 第102項)は、いずれも管理台帳の設計に依存します。注記のひな形を眺めながら、それぞれの数値がどのシステムのどの項目から出るかを一つずつ紐づけておくと、適用初年度の決算が格段に楽になります。
まとめ
新リース会計基準の注記は、借手が「会計方針」「リース特有の取引」「当期及び翌期以降の金額」の3区分、貸手が「リース特有の取引」「当期及び翌期以降の金額」の2区分で構成され、独立の注記項目として記載します(リースに関する会計基準 第55項、第57項)。注記文の多くは「本表で区分表示していない場合に、含まれる科目及び金額を書く」という共通の型を持っているため、表示方針さえ決まればひな形に沿って機械的に埋められます。
適用初年度については、累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する方法を選択した場合、追加借入利子率の加重平均と、前期末の未経過リース料との差額の説明という2つの固有の注記が加わります(リースに関する会計基準の適用指針 第125項)。この差額の説明は数値を並べるだけでは足りないため、要因分析を早い段階から準備しておくことが実務上の分かれ目になります。
本記事の文例はすべて当事務所の作例であり、実際の注記は各社の契約内容・表示方針・重要性の判断によって変わります。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第33号 リースに関する会計基準の適用指針
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第24号 会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準
よくある質問
注記の見出しは基準の3区分・2区分に揃える必要がありますか
揃える必要はありません。リースに関する注記を記載するにあたり、注記事項の区分に従って注記事項を記載する必要はないとされています(リースに関する会計基準 第56項)。区分は記載漏れを防ぐためのチェック軸として使い、実際の見出しは自社の様式や読みやすさに合わせて構いません。
本表で区分表示すれば注記は不要になりますか
リース特有の取引に関する情報の多くは、貸借対照表・損益計算書で区分して表示していない場合に、含まれる科目及び金額を注記する構造になっています(リースに関する会計基準の適用指針 第99項、第100項)。したがって区分表示すればその項目の注記は不要です。ただし、当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報(同適用指針 第102項)は表示方針にかかわらず注記が必要です。
個別財務諸表でも同じ注記ひな形を使ってよいですか
連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表においては「リース特有の取引に関する情報」及び「当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報」を注記しないことができます(リースに関する会計基準の適用指針 第110項)。会計方針に関する情報も、連結財務諸表における記載を参照することができます(同適用指針 第111項)。個別用には短縮版のひな形を別に用意するのが実務的です。
適用初年度の前期比較情報は新基準で書き直しますか
累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する方法を選択した場合、比較情報について新たな表示方法に従った組替えは行いません(リースに関する会計基準の適用指針 第136項)。また、リースに関する会計基準第55項に記載した内容を比較情報に記載せず、企業会計基準第13号及び企業会計基準適用指針第16号に定める事項を注記します(同適用指針 第137項)。
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