監査役の責任【一覧表】任務懈怠責任・第三者責任と責任限定契約
目次
- 監査役の責任【一覧表】
- 会社に対する任務懈怠責任(会社法423条)
- 監査役の任務の範囲|条文ごとの職務
- 会計監査限定の監査役も責任を負う
- 第三者に対する責任(会社法429条)
- 悪意・重大な過失が要件となる一般の責任
- 監査報告の虚偽記載は証明責任が監査役側に移る
- 取締役・会計監査人との連帯責任
- 株主代表訴訟による責任追及(会社法847条)
- 責任を軽くする4つの方法と最低責任限度額
- 免除・軽減の方法【比較表】
- 監査役の最低責任限度額の計算
- 責任限定契約を結ぶ手順(会社法427条)
- 補償契約・役員等賠償責任保険との違い
- 責任を問われないための記録【チェックリスト】
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 社外監査役や非常勤監査役も、常勤監査役と同じ責任を負いますか?
- 会計監査限定の監査役も責任を負いますか?
- 責任限定契約を結べば、どんな場合でも責任が上限までになりますか?
- 補償契約があれば、会社への賠償金も会社が負担してくれますか?
- 監査役の責任を株主が追及するにはどうしますか?
監査役が負う法的責任は、大きく分けて会社に対する任務懈怠責任(会社法 第423条第1項)と第三者に対する損害賠償責任(会社法 第429条)の2つです。会社に対する責任は総株主の同意がなければ全部を免除できませんが(会社法 第424条)、善意・無重過失であれば株主総会決議・取締役会決議・責任限定契約のいずれかで、最低責任限度額を下限として責任を軽くできます(会社法 第425条〜第427条)。監査役の最低責任限度額は、年額報酬等の2年分が基準になります(会社法 第425条第1項第1号ハ)。
この記事では、監査役自身が負う責任の種類、責任が生じる要件、責任を軽くする4つの方法と最低責任限度額の計算、責任限定契約を結ぶ手順を条文ごとに整理します。取締役の責任を免除するときに監査役が与える「同意」の手続は、別のコラムで扱っています。
関連コラム監査役の同意が必要な事項【一覧表】会社法の条文別と議事録の要否▸
監査役の責任【一覧表】
会社法上、監査役は取締役・会計参与・執行役・会計監査人とともに「役員等」に含まれ、役員等の責任に関する規定がそのまま適用されます(会社法 第423条第1項)。監査役に関係する責任と、それを軽くする仕組みを並べると次のとおりです。
| 会社に対する任務懈怠責任 | 任務を怠ったことで会社に生じた損害を賠償する責任(会社法 第423条第1項) |
|---|---|
| 第三者に対する責任 | 職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとき、第三者に生じた損害を賠償する責任(会社法 第429条第1項) |
| 監査報告の虚偽記載による責任 | 監査報告の重要な事項に虚偽の記載があったときの第三者への責任。注意を怠らなかったことを監査役が証明しない限り免れない(会社法 第429条第2項第3号) |
| 他の役員等との連帯責任 | 同じ損害について他の役員等も責任を負うときは連帯債務者となる(会社法 第430条) |
| 株主による責任追及 | 会社が責任追及の訴えを起こさないとき、株主が会社のために訴えを提起できる(会社法 第847条) |
| 責任の免除・軽減 | 総株主の同意による全部免除、株主総会決議・取締役会決議等による一部免除、責任限定契約(会社法 第424条〜第427条) |
常勤か非常勤か、社外監査役かどうかで、適用される責任の規定は変わりません。違いが出るのは、どの職務を担っていたか(任務の中身)と、責任限定契約を結んでいるかどうかです。
会社に対する任務懈怠責任(会社法423条)
会社と監査役の関係は委任に関する規定に従うため(会社法 第330条)、監査役は善良な管理者の注意をもって職務を行う義務を負います(民法 第644条)。この注意を尽くさずに「任務を怠った」と評価され、それによって会社に損害が生じたときに、損害を賠償する責任が生じます(会社法 第423条第1項)。
監査役の任務の範囲|条文ごとの職務
何が「任務を怠った」に当たるかは、監査役に課された職務から逆算して考えます。業務監査権限を持つ監査役の主な職務は次のとおりです。
| 職務執行の監査と 監査報告の作成 |
取締役の職務の執行を監査し、法務省令に従って監査報告を作成する(会社法 第381条第1項) |
|---|---|
| 報告の請求・調査 | 取締役や使用人に事業の報告を求め、業務と財産の状況を調査できる。必要なときは子会社も対象(会社法 第381条第2項・第3項) |
| 取締役への報告義務 | 不正行為やそのおそれ、法令・定款違反や著しく不当な事実を認めたときは、遅滞なく取締役(取締役会)に報告する(会社法 第382条) |
| 取締役会への出席・意見 | 取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べる(会社法 第383条第1項) |
| 株主総会議案の調査 | 株主総会に提出される議案・書類等を調査し、法令・定款違反や著しく不当な事項があれば総会に報告する(会社法 第384条) |
| 違法行為の差止め | 取締役の法令・定款違反行為で会社に著しい損害が生じるおそれがあるとき、その行為の差止めを請求できる(会社法 第385条第1項) |
| 取締役との訴訟での 会社代表 |
会社と取締役との間の訴えでは、監査役が会社を代表する(会社法 第386条第1項第1号) |
このうち第382条の報告義務と第383条の出席義務は「しなければならない」と定められた義務です。不正の兆候を把握しながら取締役会に報告しなかった、取締役会に出席していなかった、といった事情は、これらの義務を果たしたかという点で、任務を怠ったかどうかの判断材料になり得ます。
会計監査人設置会社では、会計監査人が取締役の不正行為や法令・定款違反の重大な事実を発見したときに監査役(監査役会)へ報告する義務があり(会社法 第397条第1項・第3項)、監査役も必要なときは会計監査人に監査の報告を求められます(会社法 第397条第2項)。会計監査人から報告を受けた後の対応も、監査役の任務に含まれます。
会計監査限定の監査役も責任を負う
監査の範囲を会計に限定する定款の定めがある会社では、第381条から第386条までの規定が適用されず(会社法 第389条第7項)、業務監査の職務は負いません。ただし、会計監査限定の監査役も会社法上の「監査役」であり「役員等」に含まれるため、会計に関する職務を怠れば第423条の責任を負います。
注意したいのは、会計監査限定の監査役しか置いていない会社は、会社法上の「監査役設置会社」に当たらない点です(会社法 第2条第9号)。後で説明する取締役会決議等による一部免除(会社法 第426条)は監査役設置会社などに限られるため、この会社では使えません。一方、責任限定契約(会社法 第427条)にはこの制限がありません。
関連コラム会計監査限定の監査役【判定表】定款の定め・登記と業務監査との違い▸
第三者に対する責任(会社法429条)
監査役は、会社だけでなく、取引先や株式の引受人といった第三者に対しても責任を負うことがあります。要件は第1項と第2項で異なります。
悪意・重大な過失が要件となる一般の責任
監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、それによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法 第429条第1項)。会社に対する責任(第423条)が任務を怠ったこと全般を対象にするのに対し、第1項の第三者に対する責任は職務を行うについて悪意又は重大な過失がある場合に限られる点が違いです。
監査報告の虚偽記載は証明責任が監査役側に移る
監査報告に記載すべき重要な事項について虚偽の記載をしたときも、第三者に対する責任を負います(会社法 第429条第2項第3号)。この場合、責任を免れるには、監査役のほうが「その行為をすることについて注意を怠らなかったこと」を証明しなければなりません(会社法 第429条第2項ただし書)。
第1項では悪意又は重大な過失があることが責任の要件であるのに対し、監査報告の虚偽記載では、監査役側が注意を怠らなかったことを証明しない限り責任を免れません。監査報告に書いた結論について、どのような手続を行い、何を根拠に判断したかを記録として残しておくことが、この証明に直結します。
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取締役・会計監査人との連帯責任
監査役が会社又は第三者に対して損害賠償責任を負う場合に、取締役や会計監査人など他の役員等も同じ損害について責任を負うときは、これらの者は連帯債務者となります(会社法 第430条)。取締役の不正を見逃した場合のように、不正を行った取締役と監査役が同じ損害について責任を問われる構図になり得ます。
株主代表訴訟による責任追及(会社法847条)
監査役の会社に対する責任は、会社自身が追及するほか、株主が会社に代わって追及することもできます。手続の流れは次のとおりです。
- 株主が会社に対し、監査役の責任を追及する訴えの提起を請求する。公開会社では6か月(定款でこれより短い期間を定めることも可)前から引き続き株式を有する株主に限られ、公開会社でない会社では保有期間の要件はない(会社法 第847条第1項・第2項)。
- 会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときは、請求した株主が会社のために訴えを提起できる(会社法 第847条第3項)。
- 会社が60日以内に訴えを提起しない場合に、請求した株主や責任を追及される監査役から求められたときは、会社は請求した者に対し、訴えを提起しない理由を遅滞なく書面等で通知する(会社法 第847条第4項)。
- 60日の経過を待つと会社に回復できない損害が生じるおそれがある場合は、株主はただちに訴えを提起できる(会社法 第847条第5項)。
責任追及の訴えが株主自身や第三者の不正な利益を図る目的、又は会社に損害を加える目的であるときは、提訴を請求できません(会社法 第847条第1項ただし書)。訴えの提起が悪意によるものであることを疎明すれば、被告は裁判所に株主への担保提供命令を申し立てられます(会社法 第847条の4第2項・第3項)。
反対に、取締役の責任を追及する訴えの提起請求を株主から受けるときは、監査役が会社を代表して請求を受けます(会社法 第386条第2項第1号)。提訴するかどうかを60日以内に判断する立場に立つため、この判断の過程も監査役の任務の一部として記録しておく必要があります。
責任を軽くする4つの方法と最低責任限度額
会社に対する任務懈怠責任(第423条第1項)は、総株主の同意がなければ全部を免除できません(会社法 第424条)。そのうえで、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときに限り、次の方法で責任の一部を免除し、又は上限を設けられます。
免除・軽減の方法【比較表】
| 総株主の同意による 全部免除 |
総株主の同意で責任の全部を免除できる。善意・無重過失の要件はない(会社法 第424条) |
|---|---|
| 株主総会決議による 一部免除 |
責任の原因事実・賠償額、免除できる限度額と算定根拠、免除の理由と免除額を開示したうえで、株主総会の特別決議により、最低責任限度額を残して免除できる(会社法 第425条第1項・第2項、第309条第2項第8号) |
| 取締役会決議等による 一部免除 |
定款に定めがあれば、特に必要と認めるときに取締役会決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の同意)で同じ限度まで免除できる。監査役設置会社(取締役2人以上)・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社に限られる。免除後は株主に異議申述の機会を与え、総株主の議決権の3%(定款で引下げ可)以上の異議があれば免除できない(会社法 第426条第1項・第3項・第7項) |
| 責任限定契約 | 定款に定めがあれば、監査役と事前に契約し、定款の範囲内で会社が定めた額と最低責任限度額のいずれか高い額を責任の上限にできる(会社法 第427条第1項) |
前の3つは、損害が生じた後に免除を決める方法です。責任限定契約だけがあらかじめ上限を決めておく方法で、監査役の就任時点で締結しておけます。株主総会決議・取締役会決議等・責任限定契約で責任が軽くなった後に、退職慰労金などの財産上の利益を与えるときは株主総会の承認が必要になります(会社法 第425条第4項、第426条第8項、第427条第5項、会社法施行規則 第115条)。
監査役の最低責任限度額の計算
最低責任限度額は、在職中に職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の1年間当たりの額に、役員等の区分ごとの数を掛けて求めます。代表取締役・代表執行役は6、代表取締役以外の業務執行取締役等・代表執行役以外の執行役は4で、監査役は2です(会社法 第425条第1項第1号)。1年間当たりの額は、次の2つの合計です(会社法施行規則 第113条)。
- 報酬・賞与などの事業年度ごとの合計額のうち、最も高い額(会社法施行規則 第113条第1号)
- 退職慰労金などの額を在職年数で割った額。監査役は在職年数が2年未満でも2で割る(会社法施行規則 第113条第2号)
このほか、監査役が新株予約権を特に有利な条件で引き受けていた場合は、その財産上の利益に相当する額も加わります(会社法 第425条第1項第2号、会社法施行規則 第114条)。
計算例として、監査役在任中の年額報酬等の最高額が720万円、在職3年で退職慰労金300万円を受けた場合(新株予約権なし)を考えます。
この監査役が善意・無重過失で会社に5,000万円の損害を与えた場合、株主総会決議で免除できるのは最大で3,360万円で、1,640万円は監査役の負担として残ります。同じ金額で責任限定契約の上限を計算する場合も、最低責任限度額は1,640万円で、定款の範囲内で会社が定めた額のほうが高ければその額が上限になります。
「最も高い年額」をどの事業年度までで比べるかは、方法によって基準日が異なります。株主総会決議による免除は決議の日、取締役会決議等による免除は同意の日、責任限定契約は責任の原因となる事実が生じた日を含む事業年度とそれ以前の各事業年度で比べます(会社法施行規則 第113条第1号イ〜ハ)。
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責任限定契約を結ぶ手順(会社法427条)
監査役は、業務を執行しない「非業務執行取締役等」に含まれるため、常勤・非常勤や社外かどうかを問わず責任限定契約の相手方になれます(会社法 第427条第1項)。締結までと締結後に必要な手続は次のとおりです。
| 定款変更 | 責任限定契約を締結できる旨を定款に定める。定款変更は株主総会の特別決議(会社法 第427条第1項、第466条、第309条第2項第11号) |
|---|---|
| 登記 | 責任限定契約についての定款の定めは登記事項で、定めを設けたときは2週間以内に変更の登記をする(会社法 第911条第3項第25号、第915条第1項) |
| 契約の締結 | 定款の範囲内で会社が定めた額と最低責任限度額のいずれか高い額を上限とする契約を、監査役ごとに締結する(会社法 第427条第1項) |
| 選任議案の 株主総会参考書類 |
候補者と責任限定契約を締結しているとき又は締結予定があるときは、その内容の概要を記載する(会社法施行規則 第76条第1項第6号) |
| 事業報告 | 公開会社では、監査役と責任限定契約を締結しているときに契約の内容の概要を記載する(会社法施行規則 第119条第2号、第121条第3号) |
| 損害を知ったとき | 契約の相手方の任務懈怠で損害を受けたことを知ったときは、その後最初の株主総会で、責任の原因事実・賠償額、契約の内容と締結の理由、賠償しなくてよいとされた額などを開示する(会社法 第427条第4項) |
定款の定めのうち取締役と契約できる部分を設ける議案には監査役の同意が必要ですが(会社法 第427条第3項、第425条第3項)、監査役との契約に関する部分だけであれば、条文上この同意の対象には含まれません。
第427条に基づく責任限定契約は定款の定めがあることが前提になるため(会社法 第427条第1項)、先に定款を変更し、その定めに基づいて契約を締結します。定款の定めを設けたときは変更の登記も必要です(会社法 第915条第1項)。
補償契約・役員等賠償責任保険との違い
責任限定契約は会社に対する責任の上限を決める仕組みですが、役員等の負担に備える仕組みとして、補償契約と役員等賠償責任保険(いわゆるD&O保険)があります。この2つは2019年12月に成立した会社法の一部を改正する法律で規定が設けられ、2021年3月1日から施行されています。
| 責任限定契約 | 会社に対する任務懈怠責任の上限を、善意・無重過失を条件にあらかじめ定める。定款の定めが必要(会社法 第427条) |
|---|---|
| 補償契約 | 責任追及への対処費用や、第三者への賠償による損失を会社が補償する契約。内容の決定は株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議による(会社法 第430条の2第1項) |
| 役員等賠償責任保険 | 役員等が責任を負うことや責任追及の請求を受けることで生じる損害を保険者が塡補する保険。内容の決定は株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議による(会社法 第430条の3第1項) |
補償契約には補償できない範囲があります。対処費用のうち通常要する額を超える部分、会社に対して第423条の責任を負うことになる部分、悪意又は重大な過失による第三者への賠償の損失は補償できません(会社法 第430条の2第2項)。つまり、監査役が会社に対して負う賠償そのものは、補償契約ではまかなえない仕組みです。
監査役選任議案の株主総会参考書類には、補償契約と役員等賠償責任保険契約の内容の概要も記載します(会社法施行規則 第76条第1項第7号・第8号)。公開会社の事業報告には、補償契約の内容の概要や役員等賠償責任保険契約の被保険者の範囲・内容の概要も記載します(会社法施行規則 第119条第2号・第2号の2、第121条第3号の2、第121条の2)。
責任を問われないための記録【チェックリスト】
任務懈怠責任でも監査報告の虚偽記載による責任でも、監査役が注意を尽くしたかどうかは、後から記録で確かめられることになります。職務ごとに残しておきたい記録を整理しました。
| 職務の場面 | 残しておく記録の例 |
|---|---|
| 監査計画と期中の監査(会社法 第381条) | 監査計画、往査・ヒアリングの日時と相手、確認した資料、指摘事項とその後の対応 |
| 取締役会への出席(会社法 第383条) | 出席の状況、述べた意見とその内容が議事録に反映されているか |
| 不正の兆候を把握したとき(会社法 第382条、第385条) | 把握した経緯、取締役(取締役会)へ報告した日と内容、差止めの要否を検討した過程 |
| 会計監査人との連携(会社法 第397条) | 会計監査人からの報告、監査役から求めた報告とその回答 |
| 株主総会議案の調査(会社法 第384条) | 調査した議案・書類の範囲と結論 |
| 監査報告の作成(会社法 第381条第1項、第429条第2項第3号) | 各記載事項の根拠となった監査手続と、監査役間の審議の経過 |
| 提訴請求を受けたとき(会社法 第386条第2項、第847条) | 請求の受領日、60日以内の判断に用いた資料と判断の理由 |
常勤監査役と社外監査役で役割を分担していても、各監査役が自分の任務を果たしたかが個別に問われます。分担の内容と、他の監査役から受けた報告を確認した記録もあわせて残しておくと安心です。
まとめ
- 監査役は「役員等」として、会社に対する任務懈怠責任(会社法 第423条第1項)と、第三者に対する責任(会社法 第429条)を負う。
- 監査報告の重要な事項の虚偽記載は、監査役が注意を怠らなかったことを証明しない限り第三者への責任を免れない(会社法 第429条第2項第3号)。
- 会社に対する責任の全部免除には総株主の同意が必要。善意・無重過失なら、株主総会決議・取締役会決議等・責任限定契約で最低責任限度額まで軽くできる(会社法 第424条〜第427条)。
- 監査役の最低責任限度額は、年額報酬等(退職慰労金の年割額を含む)の2年分が基準(会社法 第425条第1項第1号ハ、会社法施行規則 第113条)。
- 責任限定契約は定款に定めを置いてから締結し、定款の定めは登記する。株主総会参考書類と公開会社の事業報告には契約の概要を記載する。会計監査限定の監査役しかいない会社でも利用できる。
監査役の責任の範囲や、責任限定契約・補償契約の設計は、会社の機関設計や監査体制によって判断が変わります。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
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よくある質問
社外監査役や非常勤監査役も、常勤監査役と同じ責任を負いますか?
会社法の責任規定は、常勤・非常勤や社外かどうかで区別していません。監査役であれば、会社に対する任務懈怠責任(会社法 第423条第1項)と第三者に対する責任(会社法 第429条)を同じように負います。最低責任限度額を計算するときの数も、監査役は一律に2です(会社法 第425条第1項第1号ハ)。
会計監査限定の監査役も責任を負いますか?
負います。会計監査限定の監査役は業務監査の職務(会社法 第381条〜第386条)を負いませんが(会社法 第389条第7項)、役員等に含まれるため、会計に関する職務を怠れば会社法 第423条の責任を負います。会計監査限定の監査役しかいない会社は取締役会決議等による一部免除(会社法 第426条)を使えませんが、責任限定契約(会社法 第427条)は利用できます。
責任限定契約を結べば、どんな場合でも責任が上限までになりますか?
なりません。責任限定契約で上限が適用されるのは、監査役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときに限られます(会社法 第427条第1項)。また、責任限定契約が対象とするのは会社に対する任務懈怠責任(会社法 第423条第1項)で、第三者に対する責任(会社法 第429条)は対象ではありません。
補償契約があれば、会社への賠償金も会社が負担してくれますか?
負担できません。補償契約で補償できるのは、責任追及への対処費用と、第三者に対する賠償による損失です(会社法 第430条の2第1項)。会社に対して第423条の責任を負うことになる部分は補償できず、悪意又は重大な過失による第三者への賠償の損失も補償の対象外です(会社法 第430条の2第2項)。
監査役の責任を株主が追及するにはどうしますか?
株主は、まず会社に対して監査役の責任を追及する訴えの提起を請求します。公開会社では6か月前から引き続き株式を有する株主に限られます(会社法 第847条第1項・第2項)。会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときは、請求した株主が会社のために訴えを提起できます(会社法 第847条第3項)。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



