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財務会計

使用権資産の減損とグルーピング【設例】割引前将来CFの見積期間

目次
  1. 使用権資産を含む資産グループの単位
  2. 原資産の使われ方に沿った割り当て
  3. 遊休化・撤退決定した賃借物件の切り離し
  4. 賃借本社ビルと共用資産の判定
  5. 使用権資産と主要な資産の判定
  6. 割引前将来キャッシュ・フローの見積期間と加算額
  7. 支払リース料とキャッシュ・アウト・フローの取扱い
  8. 設例|賃借店舗の判定から減損損失の配分まで
  9. 前提条件とグルーピング
  10. 認識の判定と測定
  11. 減損損失の配分と仕訳
  12. 利息相当額を控除しない方法での取扱い
  13. 適用時期
  14. まとめ
  15. 参考文献
  16. よくある質問
  17. 使用権資産だけで1つの資産グループになることはありますか。
  18. 割引前将来キャッシュ・フローに支払リース料を含めますか。
  19. 使用権資産が主要な資産になることはありますか。
  20. 見積期間は残存リース期間と経済的残存使用年数のどちらですか。
  21. 減損損失の配分額に上限はありますか。

使用権資産の減損は、使用権資産だけを取り出して判定するものではありません。原資産が使われている事業の単位で資産のグルーピングを行い、その資産グループの帳簿価額と割引前将来キャッシュ・フローの総額を比較して認識の判定を行います(固定資産の減損に係る会計基準 二6(1)、二2(1))。実務で迷いやすいのは、どの単位に使用権資産を含めるかと、割引前将来キャッシュ・フローをどの期間でどう見積もるかの2点です。

この記事では、使用権資産を含む資産グループの単位の決め方、使用権資産が主要な資産になるかどうかの判定、割引前将来キャッシュ・フローの見積期間と加算額、支払リース料をキャッシュ・アウト・フローに含めるかどうかの整理を、賃借店舗の設例と仕訳まで通して解説します。減損の適用範囲や基本的な計算の流れは別のコラムで扱っているため、本記事はグルーピングと見積りの作り込みに絞ります。

使用権資産を含む資産グループの単位

資産のグルーピングは、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行います(固定資産の減損に係る会計基準 二6(1))。実務上は、管理会計上の区分や、資産の処分・事業の廃止に関する意思決定を行う際の単位等を考慮して定めます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第7項)。使用権資産が加わっても、この枠組み自体は変わりません。

原資産の使われ方に沿った割り当て

使用権資産は、原資産が使われている事業の単位にそのまま帰属させます。賃借店舗であれば店舗単位の資産グループに、賃借している配送センターであればその物流を担う単位に含めます。グルーピングの単位を決定する基礎は、資産と対応して継続的に収支の把握がなされている単位です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第7項(1))。リース契約は本社の総務部門が一括して管理していることが多く、契約の管理単位と収支の把握単位がずれている点に注意が必要です。契約台帳の物件ごとに、どの資産グループの収支に紐づくかを対応表にしておくと、期をまたいでも判定がぶれません。

また、当期に行った資産のグルーピングは、原則として翌期以降の会計期間においても同様に行います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第9項)。新リース会計基準の適用によって賃借物件が資産グループに加わっても、グルーピングの方針そのものを組み替えてよいわけではなく、事実関係の変化があったかどうかで判断します。

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遊休化・撤退決定した賃借物件の切り離し

取締役会等において資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を行い、その代替的な投資も予定されていないときなど、これらに係る資産を切り離しても他の資産または資産グループの使用にほとんど影響を与えない場合には、その資産のうち重要なものは、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として取り扱います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第8項)。将来の使用が見込まれていない遊休資産も同様です。

賃借物件では、閉店や移転を決めた後も解約できずに契約だけが残る状態が起こります。店舗の営業を止めた時点でその使用権資産は単独の単位として取り扱う余地が生じ、将来の用途が定まっていない場合は現在の状況に基づいて将来キャッシュ・フローを見積もることになります(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注5))。自己所有の固定資産と違って売却による回収が難しく、転貸できなければキャッシュ・インがゼロになる点が、使用権資産に特有の厳しさです。撤退の意思決定日と契約の残存期間を一覧で管理し、意思決定と同じ期の判定に反映させる運用が求められます。

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賃借本社ビルと共用資産の判定

共用資産とは、複数の資産または資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産をいい、のれんを除きます(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注1)5)。共用資産に減損の兆候がある場合の認識の判定は、共用資産が関連する複数の資産または資産グループに共用資産を加えた、より大きな単位で行います(固定資産の減損に係る会計基準 二7、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第48項)。賃借している本社ビルの使用権資産は、この共用資産に該当することが多くなります。

この場合、まず共用資産を含まない各資産グループごとに判定と測定を行い、その後により大きな単位で行います(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注7))。共用資産の帳簿価額を各資産グループに配分できる合理的な配賦基準がある場合には、配分する方法を採ることもできますが、その場合は翌期以降も同じ方法を採る必要があります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第49項(1)、(2))。本社の賃借面積を部門別に配賦している企業では、この配分方式が選択肢になります。

使用権資産と主要な資産の判定

主要な資産とは、資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産をいいます(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注3))。主要な資産は資産のグルーピングを行う際に決定され、当期に主要な資産とされた資産は、原則として翌期以降も当該資産グループの主要な資産となります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第22項)。

主要な資産の決定にあたっては、当該資産を必要とせずに資産グループの他の構成資産を取得するかどうか、当該資産を物理的および経済的に容易に取り替えないかどうかを含めて総合的に判断します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第23項)。賃借店舗を考えると、その場所を借りる権利がなければ内装造作も什器備品も取得しないという関係にあり、立地が営業収益の源泉であれば容易には取り替えられません。したがって、賃借店舗では使用権資産が主要な資産と判断されることがあります。

一方、賃借本社ビルのように共用資産に該当する使用権資産は、原則として主要な資産には該当しません(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第24項)。主要な資産が何かによって割引前将来キャッシュ・フローの見積期間が変わるため、この判定は見積りの出発点になります。

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割引前将来キャッシュ・フローの見積期間と加算額

減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローを見積もる期間は、資産の経済的残存使用年数または資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とします(固定資産の減損に係る会計基準 二2(2))。経済的残存使用年数は、当該資産が今後、経済的に使用可能と予測される年数であり、物理的な要因のほか、使用上の環境、技術の革新、経済事情の変化による陳腐化の危険の程度なども検討して見積もります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第21項)。

使用権資産については、原資産の所有権が借手に移転すると認められるリース以外のリースに係る減価償却費は、原則として借手のリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します(リースに関する会計基準 第38項)。借手のリース期間は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、行使することが合理的に確実である延長オプションの対象期間と、行使しないことが合理的に確実である解約オプションの対象期間を加えて決定します(リースに関する会計基準 第31項)。つまり、使用権資産の経済的残存使用年数は、残存する借手のリース期間に一致するのが通常です。延長オプションの評価を変えればリース期間が動き、見積期間まで動くという連動関係があります。

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さらに、割引前将来キャッシュ・フローの総額には、見積期間の末日時点における資産の価値を加算します。主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超えない場合には、その経過時点における主要な資産の正味売却価額を加算します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第18項(1))。主要な資産以外の構成資産については、その経済的残存使用年数が主要な資産の経済的残存使用年数を超えないときはその経過時点の正味売却価額を、超えるときは主要な資産の経済的残存使用年数経過時点の回収可能価額を加算します(同 第18項(3)、(4))。使用権資産はリース期間の満了によって権利が消滅するため、加算額はゼロとなるのが通常です。関係を整理すると次のとおりです。

リース期間との関係 見積期間と加算額
使用権資産が主要な資産である場合 残存する借手のリース期間が見積期間となり、その経過時点の使用権資産の正味売却価額を加算する
他の資産が主要な資産で、残存リース期間がその経済的残存使用年数を超えない場合 残存リース期間経過時点の使用権資産の正味売却価額を、主要な資産の経済的残存使用年数までの割引前将来キャッシュ・フローに加算する
他の資産が主要な資産で、残存リース期間がその経済的残存使用年数を超える場合 主要な資産の経済的残存使用年数経過時点における使用権資産の回収可能価額を加算する
主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合 見積期間は20年とし、21年目以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づく20年経過時点の回収可能価額を加算する

なお、使用権資産は原資産そのものではなく使用する権利であり、譲渡や転貸に契約上の制約があることが少なくありません。加算する正味売却価額や回収可能価額を見積もる際に、処分可能性を過大に見込まないことが実務上の勘所です。

支払リース料とキャッシュ・アウト・フローの取扱い

将来キャッシュ・フローには、利息の支払額ならびに法人税等の支払額および還付額を含めません(固定資産の減損に係る会計基準 二4(5)、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第41項)。リース負債に係る利息費用は、この定めによって見積りから除かれます。一方、資産グループに関連して間接的に生ずる支出は、合理的な方法により配分して将来キャッシュ・フローの見積りに際し控除します(固定資産の減損に係る会計基準 二4(4)、同適用指針 第40項)。

問題になるのは、リース料の元本相当部分をキャッシュ・アウト・フローに含めるかどうかです。この点について適用指針は、未経過リース料の現在価値を使用権資産の帳簿価額とみなす場合の定めのなかで、使用権資産および使用権資産を含む資産グループに関する減損の兆候の把握、減損損失を認識するかどうかの判定および減損損失の測定は通常の資産に準じて行うとしたうえで、取扱いが明確な2つの場合を示しています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項)。

1つ目は、リース取引開始日が企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」の適用初年度開始前である所有権移転外ファイナンス・リース取引について、引き続き通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っており、未経過リース料の現在価値を使用権資産の帳簿価額とみなして減損会計基準を適用する場合です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第60項)。このとき、みなされる金額と比較される将来キャッシュ・アウト・フローには、将来の支払リース料が含まれません(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項)。2つ目は、減損会計基準の対象とされないリースを含む資産グループの場合で、この場合の将来キャッシュ・アウト・フローには、当該リースに係る将来の支払リース料が含まれます(同 第61項)。

後者は、短期リースまたは少額リースに関する簡便的な取扱いを適用しているリースが典型です。これらのリースに係る使用権資産は減損会計基準の対象とされないため(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第62-2項、リースに関する会計基準の適用指針 第20項、第22項)、帳簿価額には入らず、その代わりに支払リース料がキャッシュ・アウト・フローに入るという整理になります。帳簿価額に入れないものは支出として見込み、帳簿価額に入れたものは支出として二重に見込まない、という対応関係が読み取れます。

これに対し、通常のリースとして使用権資産およびリース負債を計上している場合のリース負債の取扱いについては、定めが置かれていません。これまでも資産および負債を計上していたファイナンス・リース取引に同様の論点が存在し、具体的な取扱いがなくとも一定の実務が行われていると考えられること、取扱いを定めるならばリース負債に限らずすべての負債について検討する必要があり、リース会計基準等を開発するプロジェクトの検討対象を超えることが理由とされています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第144-2項、第144-3項)。したがって、使用権資産を帳簿価額に含めたうえでリース料の元本相当部分もキャッシュ・アウト・フローに見込むと、同じ負担を二重に織り込むことになりかねません。見積りの前提として社内の方針を文書化し、資産グループごとに同じ前提で適用することが重要です。

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設例|賃借店舗の判定から減損損失の配分まで

賃借店舗を1つの資産グループとする事例で、見積期間の決定から仕訳までを追います。数値はすべて当事務所の作例です(単位:千円)。

前提条件とグルーピング

  • 小売業を営むB社のY店舗を1つの資産グループとし、直近2期にわたり営業損益が継続してマイナスであるため減損の兆候があると判断した(固定資産の減損に係る会計基準 二1①)
  • 内装造作(建物附属設備)の帳簿価額 90,000、経済的残存使用年数 8年
  • 什器備品(工具器具備品)の帳簿価額 18,000、経済的残存使用年数 6年
  • 店舗賃借契約に係る使用権資産の帳簿価額 72,000、残存する借手のリース期間 6年
  • 店舗の立地を確保する権利がなければ内装造作も什器備品も取得しないため、使用権資産を主要な資産と判断した(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第23項)
資産グループの帳簿価額 = 90,000 + 18,000 + 72,000 = 180,000

主要な資産である使用権資産の経済的残存使用年数は、残存する借手のリース期間6年です。20年を超えないため、割引前将来キャッシュ・フローの見積期間は6年となります(固定資産の減損に係る会計基準 二2(2))。

認識の判定と測定

6年間の営業活動から生ずる割引前のキャッシュ・フローの合計を120,000と見積もりました。利息の支払額は含めず、使用権資産を帳簿価額に含めていることと整合させ、リース料の元本相当部分もキャッシュ・アウト・フローに含めていません。これに見積期間末日時点の加算額を足します。

  • 主要な資産である使用権資産の6年経過時点の正味売却価額は、リース期間満了により権利が消滅するためゼロ(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第18項(1))
  • 什器備品の経済的残存使用年数は主要な資産と同じ6年で、6年経過時点の正味売却価額はゼロ(同 第18項(3))
  • 内装造作の経済的残存使用年数は主要な資産の6年を超えるため、6年経過時点の回収可能価額5,000を加算(同 第18項(4))
割引前将来キャッシュ・フローの総額 = 120,000 + 0 + 0 + 5,000 = 125,000

総額125,000が帳簿価額180,000を下回るため、減損損失を認識します(固定資産の減損に係る会計基準 二2(1))。次に、資産グループの正味売却価額を30,000、使用価値を105,000と算定した場合、回収可能価額はいずれか高い方の105,000です(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注1)1)。

減損損失 = 180,000 - 105,000 = 75,000

減損損失の配分と仕訳

資産グループについて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、各構成資産に配分します(固定資産の減損に係る会計基準 二6(2)、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第26項)。構成資産の全部または一部の正味売却価額が容易に把握できる場合には、当該正味売却価額を下回る結果とならないように、合理的な基準により他の構成資産に配分することもできます(同 第105項)。ここでは帳簿価額に基づく比例配分によります。

使用権資産への配分額 = 75,000 × 72,000 ÷ 180,000 = 30,000

減損損失は原則として特別損失とし、貸借対照表における表示は、原則として減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除する形式で行います(固定資産の減損に係る会計基準 四2、四1)。上記の配分結果を仕訳にすると次のとおりです(単位:千円)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減損損失 75,000 建物附属設備 37,500
工具器具備品 7,500
使用権資産 30,000

リース負債は減損の対象ではないため、この仕訳によって残高は変わりません。減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行い、減損損失の戻入れは行いません(固定資産の減損に係る会計基準 三1、三2)。

利息相当額を控除しない方法での取扱い

借手がリース負債の計上額を算定するにあたっては、原則として借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しますが、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合には、控除しない方法によることができます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第59-2項)。この方法によっている場合、使用権資産または使用権資産を含む資産グループに関する減損損失の認識の判定および測定にあたっては、その時点における利息相当額の合理的な見積額を使用権資産から控除して行うことができます(同 第59-2項)。

この取扱いにより使用権資産から利息相当額の合理的な見積額を控除する場合には、同額をリース負債から控除します(同 第59-2項)。リース負債から控除された利息相当額は、原則として残りの借手のリース期間にわたり利息法により配分しますが、定額法により配分することもできます。別の資産グループZについて、使用権資産の帳簿価額が60,000、その時点における利息相当額の合理的な見積額が4,000であり、判定と測定の結果、当該使用権資産に12,000の減損損失が配分されたとすると、仕訳は次のとおりです(単位:千円)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
リース負債 4,000 使用権資産 4,000
減損損失 12,000 使用権資産 12,000

上段が利息相当額の控除、下段が減損損失の計上です。上段の処理によって使用権資産の帳簿価額は56,000となり、この金額を基礎に認識の判定と測定を行います。利息相当額を控除しない方法は簡便的な取扱いですが、減損の局面では帳簿価額が利息相当額の分だけ大きくなるため、この調整を行わないと認識の判定が保守的に振れる点に留意が必要です。

適用時期

リースに関する会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されます。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から早期適用することができます(リースに関する会計基準 第58項)。「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正の適用時期はリース会計基準と同様とされ(「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正 第3項)、2024年改正の固定資産の減損に係る会計基準の適用指針も同様です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第65項(4))。なお、同適用指針はその後2025年にも改正されており、この2025年改正の適用時期は企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」と同様とされています(同 第65項(5))。

減損会計そのものは2002年8月9日に企業会計審議会が公表した会計基準に基づき、すでに適用されている制度です。今回の改正は、リースに関する事項を改正するものであり(「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正 第1項)、グルーピングや割引前将来キャッシュ・フローの枠組みは変わりません。変わるのは判定の対象になる資産グループの顔ぶれと帳簿価額の大きさです。強制適用までの期間に、グルーピングの方針と見積りの前提を社内規程として整えておくことが、適用初年度の決算を落ち着いて迎える近道になります。

まとめ

使用権資産の減損は、グルーピングと見積期間の設計で結論が大きく変わります。実務で押さえるべき点を整理すると、次のとおりです。

  • 使用権資産は原資産が使われている単位の資産グループに含める。撤退決定や遊休化があれば、最小の単位として切り離す(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第7項、第8項)
  • 賃借本社ビルの使用権資産は共用資産に該当し得る。共用資産は原則として主要な資産に該当しない(固定資産の減損に係る会計基準 二7、同適用指針 第24項)
  • 賃借店舗では使用権資産が主要な資産となることがあり、その場合の見積期間は残存する借手のリース期間になる(固定資産の減損に係る会計基準 二2(2)、リースに関する会計基準 第31項、第38項)
  • 見積期間末日時点の加算額は、主要な資産かどうかと経済的残存使用年数の長短で決まる。使用権資産は権利が消滅するため加算額はゼロとなるのが通常(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第18項)
  • 減損会計基準の対象とされないリースの支払リース料はキャッシュ・アウト・フローに含める。リース負債の取扱いには定めがないため、帳簿価額との整合を社内方針で固める(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項、第144-3項)
  • 減損損失は帳簿価額に基づく比例配分等で各構成資産に配分し、構成資産の正味売却価額を下回らないように調整できる(同 第26項、第105項)

資産のグルーピングの単位や主要な資産の判定は、事業の実態と管理会計の仕組みに強く依存します。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

使用権資産だけで1つの資産グループになることはありますか。

原則としてありません。資産のグルーピングは、他の資産または資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行うため、使用権資産は原資産が使われている単位に含めます(固定資産の減損に係る会計基準 二6(1))。ただし、取締役会等で当該物件からの撤退や事業の廃止を決定し、代替的な投資も予定されていない場合や、将来の使用が見込まれない遊休状態になった場合には、切り離して最小の単位として取り扱います(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第8項)。

割引前将来キャッシュ・フローに支払リース料を含めますか。

利息の支払額は含めません(固定資産の減損に係る会計基準 二4(5))。短期リースや少額リースのように減損会計基準の対象とされないリースを含む資産グループでは、当該リースに係る将来の支払リース料をキャッシュ・アウト・フローに含めます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項、第62-2項)。使用権資産を計上しているリースについては、リース負債の取扱いに関する定めが置かれていないため(同 第144-3項)、帳簿価額への算入と整合する前提を自社で定めて適用します。

使用権資産が主要な資産になることはありますか。

あります。主要な資産は、当該資産を必要とせずに他の構成資産を取得するか、物理的および経済的に容易に取り替えないかなどを含めて総合的に判断します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第23項)。賃借店舗のように立地の確保が収益の源泉である資産グループでは、使用権資産が主要な資産と判断されることがあります。ただし、共用資産に該当する使用権資産は原則として主要な資産に該当しません(同 第24項)。

見積期間は残存リース期間と経済的残存使用年数のどちらですか。

資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方です(固定資産の減損に係る会計基準 二2(2))。使用権資産が主要な資産である場合、その減価償却は原則として借手のリース期間を耐用年数として行うため(リースに関する会計基準 第38項)、経済的残存使用年数は残存する借手のリース期間と一致し、その年数が見積期間になります。

減損損失の配分額に上限はありますか。

資産グループについて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により各構成資産に配分しますが、構成資産の全部または一部の正味売却価額が容易に把握できる場合には、当該正味売却価額を下回る結果とならないように、合理的な基準により他の構成資産に配分することができます(固定資産の減損に係る会計基準 二6(2)、同適用指針 第105項)。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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