役員退職慰労引当金【仕訳例】繰入・支給・制度廃止と税効果
目次
- 役員退職慰労引当金の仕訳の全体像
- 計上要件|注解18と内規・支給実績
- 注解18が定める引当金の4要件
- 内規と支給実績の2要件
- 退職給付会計基準の適用範囲との関係
- 繰入額の計算|期末要支給額と当期負担分
- 期末の繰入仕訳
- 支給時の仕訳|取崩し・内規超過額・源泉所得税
- 制度廃止・打切り支給時の処理
- 廃止時に承認決議し支給を留保する場合
- 退任時に承認決議を行う場合
- 打切り支給の税務上の留意点
- 損金算入時期と別表四の加算・減算
- 税効果|スケジューリングの可否と回収可能性
- 貸借対照表の表示|固定負債と流動区分
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 役員退職慰労引当金を退職給付引当金に含めて計上できますか。
- 内規がない会社でも役員退職慰労引当金を計上できますか。
- 執行役員の退職慰労金はどのように処理しますか。
- 役員退職慰労引当金の繰入額は損金に算入できますか。
- 役員退職慰労引当金について繰延税金資産を計上できますか。
役員退職慰労引当金の仕訳は、期末に「役員退職慰労引当金繰入額/役員退職慰労引当金」で当期負担分を繰り入れ、退任時の株主総会決議・支給で引当金を取り崩すという2段階が基本です。繰入額は、役員退職慰労金の内規に基づいて算定した支給見込額のうち、その事業年度の負担に属する部分になります。
実務で判断が分かれるのは、仕訳そのものよりも「そもそも計上すべきか」「内規を超えて支給したらどうするか」「制度を廃止したら引当金はどこへ行くのか」「税務と会計のずれをどう扱うか」といった周辺の論点です。本記事では、架空の会社の数値例で繰入から支給、制度廃止までの仕訳を通して示し、損金算入時期と別表四の調整、税効果、貸借対照表の表示までを順に整理します。
役員退職慰労引当金の仕訳の全体像
最初に、場面ごとの仕訳の骨格を一覧にしておきます。金額の算定方法と根拠は、以降の各見出しで数値例とともに説明します。
| 期末の繰入時 | 役員退職慰労引当金繰入額を借方、役員退職慰労引当金を貸方に計上します。 |
|---|---|
| 退任・支給時 | 内規に基づく部分は引当金を取り崩し、内規を超える部分は支給を決議した期の費用とします。源泉所得税は預り金で受けます。 |
| 制度廃止時 (承認決議あり) |
決議した支給額を、引当金から長期未払金(1年以内に支給が確実な部分は未払金)へ振り替えます。 |
| 制度廃止時 (承認決議なし) |
法律上の債務になっていないため仕訳は生じず、役員退職慰労引当金のまま表示を続けます。 |
計上要件|注解18と内規・支給実績
役員退職慰労金は、株主総会の承認決議を経て初めて支給が決まるため、決議前の段階では法律上の債務ではありません。それでも会計上は、企業会計原則注解18に示される負債性引当金の性格を有するものとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)①)。まずは注解18の要件と、役員退職慰労金に固有の要件を確認します。
注解18が定める引当金の4要件
注解18は、次の4つをすべて満たす場合に、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰り入れ、その残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載すると定めています(企業会計原則注解 注18)。
- 将来の特定の費用又は損失であること
- その発生が当期以前の事象に起因すること
- 発生の可能性が高いこと
- その金額を合理的に見積ることができること
役員退職慰労金に当てはめると、「将来の特定の費用」は退任時に支給する慰労金、「当期以前の事象」は在任期間中の役務の提供にあたります。退職する役員の在任期間中の役務の提供に関わる性質を持つ点は、役員退職慰労金の経済的性質についての見解に共通するとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)①)。
関連コラム賞与引当金の計上基準|注解18の4要件と支給対象期間の按分▸
内規と支給実績の2要件
注解18を役員退職慰労金に当てはめる際の具体的な目安として、日本公認会計士協会の実務指針は次の2点を挙げています。これらを満たす場合には、各事業年度の負担相当額を役員退職慰労引当金に繰り入れなければならないとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)②)。
- 役員退職慰労金の支給に関する内規に基づき(在任期間・担当職務等を勘案して)支給見込額が合理的に算出されること
- その内規に基づく支給実績があり、このような状況が将来にわたって存続すること(設立間もない会社等で支給実績がない場合は、内規に基づいた支給額を支払うことが合理的に予測される場合を含む)
ここで注意したいのは、要件を満たす場合の計上が「できる」ではなく「しなければならない」と整理されている点です。上場準備の過程で、内規はあるのに引当金を計上していなかったことが判明し、過年度分の取扱いを検討し直すケースは少なくありません。
実務での確認項目を、チェックリストの形にまとめます。
- 役員退職慰労金規程(内規)が取締役会決議等で正式に定められているか
- 内規の算定式(基準報酬・在任年数・役位係数など)から、役員ごとの支給見込額を計算できるか
- 過去の退任役員に、内規どおりの額が支給されているか(支給実績)
- 支給を取りやめる・大きく減額するといった方針が決まっていないか(将来にわたる存続)
- 功労加算や特別減額など、内規外の調整の扱いが整理されているか
退職給付会計基準の適用範囲との関係
役員の退職慰労金は、従業員の退職給付と似た性質を持ちますが、退職給付に関する会計基準の対象ではありません。株主総会の決議又は指名委員会等設置会社における報酬委員会の決定が必要となる、取締役、会計参与、監査役及び執行役の退職慰労金は、同基準の適用範囲に含めないとされています(退職給付に関する会計基準 第3項)。
その理由は、役員の退職慰労金は労働の対価との関係が必ずしも明確でないためと説明されており、この取扱いは2012年の改正でも踏襲されています(退職給付に関する会計基準 第50項)。したがって、退職給付債務の数理計算は行わず、内規に基づく支給見込額を基礎に引当金を算定します。
関連コラム退職給付会計基準の適用範囲とは?役員退職慰労金の実務対応も解説▸
繰入額の計算|期末要支給額と当期負担分
引当金に繰り入れるのは、支給見積額のうち各事業年度の負担相当額です(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)①)。実務では、期末時点で全役員が退任したと仮定して内規で計算した支給額(期末要支給額)を引当金の残高とし、前期末残高との差額を当期の繰入額とする方法が多く用いられています。
ここからは次の自社作例で計算します。3月決算のA社には、退任時の報酬月額に在任年数と役位係数を乗じて慰労金を算定する内規があり、在任年数の1年未満は切り捨てます。取締役Bの報酬月額は800千円、役位係数は2.0で、X1年3月期末の在任年数は8年、前期末(7年)の引当金残高は11,200千円です。
報酬月額を基礎にする内規では、期中に報酬が改定されると過去の在任年数分も含めて要支給額が増えます。仮に取締役Bの報酬月額が当期中に900千円へ改定されていれば、期末要支給額は14,400千円となり、当期繰入額は3,200千円に膨らみます。昇格や報酬改定の多い期は、繰入額が前期比で大きく振れる理由を説明できるよう計算資料を残しておくことが大切です。
期末の繰入仕訳
上記の作例に基づき、X1年3月期末に当期負担分を繰り入れます(単位:千円)。当期の負担に属する金額を当期の費用として引当金に繰り入れ、残高を負債の部に記載します(企業会計原則注解 注18、監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)②)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 役員退職慰労引当金繰入額 | 1,600 | 役員退職慰労引当金 | 1,600 |
繰入額は、原則として営業費用に計上されるとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)①)。役員の在任期間の役務提供に対応する費用なので、通常は販売費及び一般管理費の区分で表示します。
支給時の仕訳|取崩し・内規超過額・源泉所得税
役員が退任し、株主総会で退職慰労金の支給が決議されたら、計上してきた引当金を取り崩します。内規どおりの額であれば引当金の取崩しだけで済みますが、実務では功労加算などで内規額を上回る額が決議されることもあります。
作例の続きです。取締役BはX1年6月の定時株主総会で退任し(在任年数は1年未満切捨てで8年のまま)、同総会で内規額12,800千円に功労加算1,200千円を加えた14,000千円の支給が決議され、同月中に支払いました。源泉徴収税額は仮に1,500千円とします(単位:千円)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 役員退職慰労引当金 | 12,800 | 現金預金 | 12,500 |
| 役員退職慰労金 | 1,200 | 預り金 | 1,500 |
内規を超える1,200千円は、過年度に引当金として手当てされていないため、支給を決議した事業年度の費用として処理します。反対に、決議額が引当金残高を下回った場合は、残った引当金を取り崩して戻し入れることになります。
役員に退職手当等を支払うときは、所得税及び復興特別所得税(2027年分以後は防衛特別所得税も加わります)を源泉徴収し、原則として翌月10日までに納付します。本来の退職手当のほか功労金なども退職手当等に含めて計算します(国税庁 タックスアンサーNo.2732)。作例で預り金1,500千円を功労加算分も含めた支給総額から控除しているのはこのためです。
なお、株主総会で支給額を決議した後、支払いが翌期以降になる場合は、決議の時点で金額が確定した債務になるため、引当金を未払金へ振り替えてから支払時に消し込みます。
関連コラム役員賞与の会計処理|費用処理と役員賞与引当金の実務▸
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制度廃止・打切り支給時の処理
報酬制度の見直しや上場準備を機に、役員退職慰労金制度を廃止する会社もあります。この場合、在任中又は重任予定の役員に対する廃止時点までの内規に基づく支給額をどう扱うかについて、実務指針は株主総会での承認決議の時期によって2つのケースに分けています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)③)。
廃止時に承認決議し支給を留保する場合
制度廃止に伴って株主総会で支給額を承認決議し、実際の支払いは各役員の退任時まで留保するケースです。この支払留保額は、退任時点に支払うという条件付きの金額確定債務と考えられるため、承認決議後、支払いまでの間は原則として長期未払金として表示し、1年以内に支給されることが確実な部分は未払金として表示するとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)③)。
作例として、A社がX2年6月の定時株主総会で制度廃止と在任役員3名分の打切り支給額30,000千円(廃止時点の引当金残高と同額)を承認決議し、支払いは各人の退任時とします。このうち1名分6,000千円は翌年の総会での退任と支給が確実です(単位:千円)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 役員退職慰労引当金 | 30,000 | 長期未払金 | 24,000 |
| 未払金 | 6,000 |
振り替えた長期未払金は、役員という企業内部の者に対する債務です。役員等企業の内部の者に対する債務は、特別の科目を設けて区別して表示するか、注記の方法によりその内容を明瞭に示すこととされています(企業会計原則 第三 四(二)C)。
退任時に承認決議を行う場合
制度は廃止するものの、廃止時点では株主総会の承認決議を行わず、各役員の退任時に決議するケースです。この場合は株主総会の決議を得ていないため法律上の債務になっておらず、引き続き役員退職慰労引当金として表示するとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)③)。
廃止以降は新たな在任期間に対応する繰入れは生じないため、引当金残高は廃止時点の額で据え置かれ、退任時に前述の支給時の仕訳で取り崩します。どちらのケースを選ぶかで貸借対照表の科目が変わるため、廃止を決める取締役会・株主総会の議案の段階で、会計処理と表示まで含めて確認しておくことをおすすめします。
打切り支給の税務上の留意点
会計上は上記のとおり振替で整理できますが、税務上の取扱いは別に検討が必要です。役員の分掌変更や改選による再任等に際して退職給与として支給した給与は、役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合に退職給与として取り扱うことができるとされています(法人税基本通達9-2-32)。
同通達の例示には、常勤役員が非常勤役員になったこと、取締役が監査役になったこと、分掌変更等の後の給与がおおむね50%以上減少したことなどが挙げられています(いずれも、その後も経営上主要な地位を占めていると認められる者などは除かれます)。また、原則として未払金等に計上した額は「退職給与として支給した給与」に含まれないとされています(法人税基本通達9-2-32)。在任のまま打切り支給額を決議・留保する場合に、どの時点でどう損金算入できるかは事実関係によって変わるため、税務の専門家と事前に確認しておくことが欠かせません。
損金算入時期と別表四の加算・減算
役員退職慰労引当金の繰入額は、税務上は損金になりません。販売費、一般管理費その他の費用のうち償却費以外のものは、事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限って損金の額に算入されるためです(法人税基本通達2-2-12、国税庁 タックスアンサーNo.5387)。株主総会の決議前の引当金繰入は、この債務確定の要件を満たしません。
退職した役員に対する退職給与の損金算入時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とされ、支払った日の属する事業年度に損金経理した場合はそれも認められます(法人税基本通達9-2-28)。また、確定前の事業年度に取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上しても、その時点では損金の額に算入できないとされています(国税庁 タックスアンサーNo.5208)。
この結果、会計上は毎期費用になり、税務上は支給額の確定時にまとめて損金になるというずれが生じ、法人税申告書の別表四で調整します。作例に当てはめると次のとおりです。
| X1年3月期 (繰入年度) |
役員退職慰労引当金繰入額1,600千円を損金不算入として加算(留保)します。 |
|---|---|
| X2年3月期 (支給年度) |
株主総会決議で額が確定したため、取り崩した引当金12,800千円を減算(留保)し、前期までに加算した累計額を解消します。 |
| 内規超過の功労加算 | 支給年度に費用処理した1,200千円は、確定した年度の費用としてそのまま損金になり、調整は生じません。 |
ただし、役員の退職金が損金に算入されるのは適正な額のものに限られます(国税庁 タックスアンサーNo.5208)。功労加算を含めた支給総額が過大と判断されれば、その部分は損金不算入となるため、内規の水準や功労加算の根拠も説明できるようにしておく必要があります。
税効果|スケジューリングの可否と回収可能性
別表四で加算した引当金残高は、将来の支給時に減算されるため、将来減算一時差異になります。作例のX1年3月期末の残高に、仮に法定実効税率30%を適用すると、繰延税金資産の計上対象額は次のとおりです。
問題は、この繰延税金資産に回収可能性があるかです。役員の退任時期が決まっていないと、いつ損金になるかが特定できず、スケジューリングの可否が論点になります。適用指針は、役員在任期間の実績や社内規程等に基づいて役員の退任時期を合理的に見込む方法等によりスケジューリングが行われている場合は、その結果に基づいて回収可能性を判断するとしています(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第37項、第13項)。
一方、スケジューリングが行われていない場合は、スケジューリング不能な将来減算一時差異として取り扱います。(分類2)に該当する企業では、将来のいずれかの時点で回収できることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合に限り、回収可能性があるものとされます(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第37項、第21項)。実務では、役員の任期・定年・過去の平均在任年数から退任年度を見込んだ表を作り、毎期見直す形が説明しやすい方法です。
関連コラムスケジューリング不能な一時差異とは|繰延税金資産の計上可否と仕訳▸
貸借対照表の表示|固定負債と流動区分
企業会計原則は、引当金のうち通常1年をこえて使用される見込のものは固定負債に、通常1年以内に使用される見込のものは流動負債に属するとしています(企業会計原則 第三 四(二)A・B)。役員退職慰労引当金は、退任が先の役員分が大半を占めるため、通常は固定負債に表示します。
翌期の定時株主総会での退任と支給が確実に見込まれる役員がいる場合は、この区分の考え方に沿って、その部分を流動負債に区分するかを検討します。制度廃止後に承認決議した支給留保額は、引当金ではなく長期未払金(1年以内に支給が確実な部分は未払金)として表示する点も、前述のとおりです(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)③)。
なお、執行役員に別の内規で退職慰労金を支給している場合、退職給付引当金又は役員退職慰労引当金に含めて開示する方法と、執行役員退職慰労引当金として区分表示する方法が考えられるとされています(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)④)。
まとめ
役員退職慰労引当金は、内規に基づいて支給見込額を合理的に算出でき、内規どおりの支給実績が今後も続く場合に、各期の負担相当額を繰り入れる引当金です(企業会計原則注解 注18、監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)②)。仕訳は、期末の繰入、退任時の取崩し、制度廃止時の長期未払金への振替の3つの場面を押さえれば足ります。
あわせて、税務上は株主総会決議等で額が確定した年度まで損金にならないため別表四での加算・減算が生じ、税効果では退任時期のスケジューリングが回収可能性の判断を左右します。内規の整備状況、制度廃止の決議方法、退任見込みの資料化までを一体で設計しておくと、決算や監査での説明がぶれにくくなります。
役員退職慰労引当金は、内規の設計、制度廃止の決議方法、退任見込みの資料化によって、会計処理・税務調整・税効果の結論が変わります。上場準備に伴う内規の見直しや制度廃止の検討など、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
お問い合わせはこちら参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計原則・同注解
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第26号 退職給付に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第26号 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
- 日本公認会計士協会 監査・保証実務委員会報告第42号 租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い等の改正について
- 国税庁 法人税基本通達 第7款 退職給与
- 国税庁 No.5208 役員の退職金の損金算入時期
- 国税庁 No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
- 国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収
よくある質問
役員退職慰労引当金を退職給付引当金に含めて計上できますか。
できません。株主総会の決議等が必要となる取締役、会計参与、監査役及び執行役の退職慰労金は、退職給付に関する会計基準の適用範囲に含まれないためです(退職給付に関する会計基準 第3項)。数理計算は行わず、内規に基づく支給見込額を基礎に役員退職慰労引当金として別に計上します。
内規がない会社でも役員退職慰労引当金を計上できますか。
計上の目安とされる要件は、内規に基づき支給見込額が合理的に算出されることと、内規に基づく支給実績が将来にわたって存続することです(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)②)。内規がなく支給見込額を合理的に算出できない場合は、この要件を満たしません。設立間もなく支給実績がない会社でも、内規に基づいた支給額を支払うことが合理的に予測される場合は計上の対象になります。
執行役員の退職慰労金はどのように処理しますか。
執行役員が従業員としての地位を失っておらず通常の従業員の退職給付制度に含めている場合は、従業員に対する退職給付引当金として処理されると考えられています。従業員とは別の内規で運用している場合は、退職給付引当金又は役員退職慰労引当金に含めて開示するか、執行役員退職慰労引当金として区分表示する方法が考えられます(監査・保証実務委員会実務指針第42号 3(1)④)。
役員退職慰労引当金の繰入額は損金に算入できますか。
算入できません。退職した役員に対する退職給与の損金算入時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とされているためです(法人税基本通達9-2-28)。繰入額は別表四で加算し、支給額が確定した年度に取り崩した引当金相当額を減算します。
役員退職慰労引当金について繰延税金資産を計上できますか。
役員在任期間の実績や社内規程等に基づいて退任時期を合理的に見込み、スケジューリングを行っている場合は、その結果に基づいて回収可能性を判断します。スケジューリングを行っていない場合はスケジューリング不能な将来減算一時差異として扱われ、企業の分類に応じて回収可能性を判断します(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第37項)。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



