取得関連費用の会計処理【一覧表】個別・連結・税務の3つの違い
目次
- 取得関連費用の定義と該当する費用の一覧
- 取得関連費用に該当する主な費目
- 取得関連費用と区別すべき費用
- 個別・連結・税務の3つの違い【一覧表】
- 個別財務諸表の仕訳例
- 連結修正仕訳の例
- 税務上の取扱いと税効果会計
- 株式の取得価額への算入
- 連結財務諸表固有の一時差異と税効果
- 組織再編の形式ごとの取扱い
- 事業譲受の仕訳例
- 注記事項と誤りやすいパターン
- 主要な取得関連費用の注記
- 誤りやすい3つのパターン
- 費用処理への変更の経緯と適用時期
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 取得関連費用にはどのような費用が含まれますか。
- 個別財務諸表でも取得関連費用は費用処理するのですか。
- 取得関連費用はのれんの金額に影響しますか。
- 取得関連費用は税務上も損金になりますか。
- 取得関連費用の注記はどこまで集計が必要ですか。
取得関連費用とは、M&Aに際して外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等をいい、連結財務諸表上は発生した事業年度の費用として処理します(企業結合に関する会計基準 第26項)。一方、株式を取得して子会社化する場合の個別財務諸表では、子会社株式の取得原価は従来どおり金融商品会計基準および金融商品会計に関する実務指針に従って算定するため、付随費用は取得原価に含めます(企業結合に関する会計基準 第94項、移管指針第9号 第56項)。さらに法人税法上は、購入した有価証券の取得価額に購入のために要した費用を加算します(法人税法施行令 第119条第1項第1号)。
つまり同じ仲介手数料・デューデリジェンス報酬でも、個別では資産・連結では費用・税務では取得価額という3つの異なる取扱いが同時に成立します。本稿では、M&Aや組織再編に携わる経理・財務の実務者に向けて、該当する費目の一覧表、個別と連結の仕訳の対比、税務との差異と税効果、組織再編の形式ごとの違い、注記までを公認会計士の視点で整理します。
取得関連費用の定義と該当する費用の一覧
取得関連費用は、企業結合に関する会計基準において「外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等」と定義され、発生した事業年度の費用として処理することとされています(企業結合に関する会計基準 第26項)。対価として支払った金額そのものではなく、取得という取引を成立させるために外部へ支払った報酬・手数料が対象です。
取得関連費用に該当する主な費目
実務で発生する費目を、M&Aの工程順に整理すると次のとおりです。いずれも外部の専門家等へ支払う報酬・手数料であり、取得原価には含めません(企業結合に関する会計基準 第26項)。
| 仲介手数料・ ファイナンシャルアドバイザリー報酬 |
M&A仲介会社や証券会社・FA会社へ支払う着手金、中間金、成功報酬。成功報酬は企業結合日の前後にまたがって請求されることが多く、発生時期の把握が必要です |
|---|---|
| 財務・税務 デューデリジェンス報酬 |
監査法人・税理士法人へ支払う調査報酬。正常収益力や実態純資産の調査に係る費用が該当します |
| 法務デューデリジェンス報酬 | 法律事務所へ支払う調査報酬および契約書のレビュー・交渉に係る弁護士報酬 |
| 株式価値算定報酬 | 買収価格の妥当性を検討するために外部へ依頼する株価算定・バリュエーションの報酬 |
| 取得原価の配分(PPA) に係る報酬 |
企業結合日後に無形資産の識別・評価を外部へ委託した場合の報酬 |
| その他の外部委託報酬 | 環境・人事・ITなどの調査報酬、企業結合契約に関連して外部へ支払う各種手数料 |
反対に、社内の人員が調査に従事したことによる人件費や出張旅費などの間接費は、そもそも「外部のアドバイザー等に支払った報酬・手数料」ではないため、取得関連費用としてではなく通常の販売費及び一般管理費として処理されます。なお、取得関連費用のうち直接費が取得原価に含まれる一方で間接費は除かれる点が不整合であることは、国際的な会計基準が取得関連費用を発生した事業年度の費用として取り扱う理由の一つとして挙げられています(企業結合に関する会計基準 第94項)。
取得関連費用と区別すべき費用
取得関連費用と混同しやすいのが、対価として自社株式を交付する場合に発生する費用です。企業結合の際の株式の交付に伴い発生する費用(登録免許税、証券会社への業務委託手数料等)は、企業結合の対価というよりは支払対価の種類に影響される財務的な活動としての性格が強い支出と考えられるため、取得原価には含めず、別途、株式交付費として会計処理します(企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針 第49項)。
したがって、同じ「M&Aに関連して支払った費用」であっても、株式交換や合併で自社株式を交付したことに伴う登記費用・証券代行手数料は株式交付費の領域であり、取得関連費用として処理するものではありません。費目を集計する際は、まず「外部アドバイザーへの報酬か、株式交付に伴う費用か」で切り分けてください。
関連コラム企業結合の会計処理【仕訳・のれん計算例】取得企業の判定と配分▸
個別・連結・税務の3つの違い【一覧表】
取得関連費用でもっとも誤りが多いのが、株式を取得して子会社化するケースです。この形態では、個別財務諸表・連結財務諸表・法人税法上の取扱いが三者三様になります。
| 個別財務諸表 | 子会社株式の取得原価は金融商品会計基準および金融商品会計に関する実務指針に従って算定するため、支払手数料等の付随費用を取得価額に含めます(企業結合に関する会計基準 第94項、移管指針第9号 第56項、第57項(1))。ただし、経常的に発生する費用で個々の金融資産との対応関係が明確でない付随費用は、取得価額に含めないことができます(移管指針第9号 第56項) |
|---|---|
| 連結財務諸表 | 取得関連費用は発生した事業年度の費用として処理します(企業結合に関する会計基準 第26項)。現金を対価とする子会社株式の取得についても、連結財務諸表上は企業結合会計基準および適用指針の定めに従って会計処理します(同適用指針 第31-2項) |
| 法人税法上 | 購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価に購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用を加算した金額です(法人税法施行令 第119条第1項第1号)。ただし通信費、名義書換料の額は含めないことができます(法人税基本通達2-3-5) |
個別財務諸表の仕訳例
前提として、P社が2026年3月期にS社の発行済株式の100%を現金800,000千円で取得し、同時にファイナンシャルアドバイザリー報酬・財務デューデリジェンス報酬・株式価値算定報酬の合計25,000千円を外部へ支払ったものとします(単位:千円)。個別財務諸表上、この25,000千円は付随費用として子会社株式の取得価額に含めます(移管指針第9号 第56項、第57項(1))。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 関係会社株式 | 825,000 | 現金預金 | 825,000 |
連結修正仕訳の例
連結財務諸表では、この25,000千円を発生した事業年度の費用として処理します(企業結合に関する会計基準 第26項)。個別財務諸表で子会社株式の取得原価に含まれている金額を、投資と資本の相殺消去に先立って費用へ振り替えます(単位:千円)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 25,000 | 関係会社株式 | 25,000 |
この振替を行った後の子会社株式の連結上の帳簿価額は800,000千円となり、投資と資本の相殺消去はこの金額を基礎に行います。振替を忘れると、取得関連費用25,000千円がそのままのれんの増加として残ってしまうため、連結パッケージの段階で個別上の取得原価の内訳(対価と付随費用)を必ず分けて収集しておくことが実務上の要点です。
関連コラムPPA(取得原価の配分)とは|無形資産の識別とのれんの算定▸
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税務上の取扱いと税効果会計
株式の取得価額への算入
法人税法上、購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価に、購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算した金額とされています(法人税法施行令 第119条第1項第1号)。この「その他その有価証券の購入のために要した費用」には、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額を含めないことができるとされており、外国有価証券の取得に際して徴収される有価証券取得税その他これに類する税についても同様です(法人税基本通達2-3-5)。
したがって、仲介手数料やデューデリジェンス報酬のように株式の購入のために要した費用と認められるものは、税務上、支出時の損金ではなく株式の取得価額を構成します。個別財務諸表で付随費用を取得価額に含めている限り、会計と税務の取扱いは原則として一致し、申告調整は生じません。反対に、対応関係が明確でない付随費用を会計上費用処理した場合や、税務上は取得価額に算入すべき費用を支払手数料として損金経理した場合には、申告調整が必要になります。
連結財務諸表固有の一時差異と税効果
連結財務諸表では取得関連費用が費用処理される一方、税務上は株式の取得価額に算入されるため、子会社に対する投資の連結上の帳簿価額が税務上の帳簿価額を下回る状態が生じます。これは子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異です。
この将来減算一時差異については、原則として、連結決算手続上、繰延税金資産を計上しません。繰延税金資産を計上できるのは、予測可能な将来の期間に子会社に対する投資の売却等を行う意思決定または実施計画が存在する場合などに限られ、かつ回収可能性があると判断される場合です(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第22項)。買収後も子会社を継続保有する通常のM&Aでは、取得関連費用の費用処理に対応する繰延税金資産は計上されないと考えておくのが実務的な出発点になります。
上記の設例をあてはめると、連結上の投資簿価は825,000 − 25,000 = 800,000千円となり、税務上の帳簿価額825,000千円との差額25,000千円が将来減算一時差異となります。
組織再編の形式ごとの取扱い
個別と連結で取扱いが分かれるのは、株式を取得して子会社化する形態に特有の現象です。形式が変われば結論も変わります。
| 株式取得による子会社化 | 個別では子会社株式の取得原価に含め、連結では費用処理します。個別と連結で処理が分かれる唯一の類型です(企業結合に関する会計基準 第26項、第94項) |
|---|---|
| 吸収合併・事業譲受・ 吸収分割・現物出資 |
受け入れた資産および引き受けた負債を個別財務諸表に直接計上するため、取得関連費用は個別財務諸表上も発生した事業年度の費用として処理します(企業結合に関する会計基準 第26項) |
| 株式交換・株式移転 | 個別財務諸表上の子会社株式の取得原価は、取得の対価に付随費用を加算して算定し、付随費用の取扱いは金融商品会計実務指針に従います(同適用指針 第110項、第121項(2))。連結財務諸表上は費用処理します |
| 非支配株主からの 子会社株式の追加取得 |
個別では追加取得時の株式の時価と対価となる財の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で取得原価を算定します(企業結合に関する会計基準 第45項)。連結では連結会計基準の追加取得の定めに準じ、追加取得持分との差額は資本剰余金に計上します(同 第46項、同適用指針 第237項) |
| 事業分離(分離元企業) | 事業分離に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として処理します。ただし個別財務諸表上、分離先企業から交付された株式等の取得原価は、取得の対価に付随費用を加算して算定します(事業分離等に関する会計基準 第11項、同適用指針 第91項) |
事業譲受の仕訳例
前提として、A社がB社から事業を現金500,000千円で譲り受け、これとは別にデューデリジェンス報酬等12,000千円を外部へ支払ったものとします。受け入れた識別可能資産の時価は600,000千円、引き受けた負債の時価は180,000千円で、無形資産の追加識別はないものとします(単位:千円)。事業譲受は個別財務諸表に資産・負債を直接計上するため、取得関連費用は個別上も費用処理し、のれんの金額には影響しません(企業結合に関する会計基準 第26項、第31項)。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 諸資産 | 600,000 | 諸負債 | 180,000 |
| のれん | 80,000 | 現金預金 | 512,000 |
| 支払手数料 | 12,000 |
のれん80,000千円は、取得原価500,000千円と識別可能資産および負債に配分された純額420,000千円との差額です。取得関連費用12,000千円を取得原価に含めてしまうと、のれんが92,000千円に膨らみ、その後の償却額と減損リスクまで過大になります。
関連コラム株式交換の会計処理|個別・連結の仕訳と取得企業の決定▸
関連コラム子会社株式の追加取得・一部売却の会計処理|連結の資本剰余金と仕訳▸
注記事項と誤りやすいパターン
主要な取得関連費用の注記
企業結合年度において取得とされた企業結合に係る重要な取引がある場合には、取得原価の算定等に関する事項の一つとして、主要な取得関連費用の内容および金額を注記します(企業結合に関する会計基準 第49項(3)④)。個々の企業結合については重要性が乏しくても、企業結合年度における複数の企業結合全体について重要性がある場合には、企業結合全体で注記します(同 第49項)。
なお、注記を求める趣旨に鑑みれば、すべての取得関連費用を網羅的に集計して注記する必要性は乏しいことから、企業結合の規模等を考慮して、主要な取得関連費用の内容と金額について注記を求めることとされています(同 第126-2項)。実務では、金額的に重要なファイナンシャルアドバイザリー報酬とデューデリジェンス報酬を区分して集計しておけば、注記の作成に足りることが多いといえます。
誤りやすい3つのパターン
第一に、個別財務諸表の処理をそのまま連結へ持ち込む誤りです。個別で子会社株式の取得原価に含めた付随費用を連結修正で費用へ振り替えないと、のれんが過大に計上されます。第二に、株式交付費との混同です。自社株式の交付に伴う登録免許税や証券会社への業務委託手数料は株式交付費であり、取得関連費用として集計する費目ではありません(同適用指針 第49項)。
第三に、会計と税務の差異を一時差異として認識しないまま処理してしまう誤りです。連結上費用処理した取得関連費用は、税務上は株式の取得価額に算入されており(法人税法施行令 第119条第1項第1号)、子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異を構成します。この差異は、原則として繰延税金資産を計上しない性質のものである点まで整理しておく必要があります(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第22項)。
費用処理への変更の経緯と適用時期
企業結合に関する会計基準は2003年に公表され、その後2008年、2013年、2019年に改正されています(企業結合に関する会計基準 第56項から第58-4項、第64-2項)。取得関連費用を発生した事業年度の費用として処理する取扱いは、2013年の改正で導入されたものです。改正前は、取得とされた企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等を取得原価に含めることとされていました(同 第94項)。
この取扱いは、国際的な会計基準に基づく財務諸表との比較可能性を改善する観点と、取得関連費用のどこまでを取得原価の範囲とするかという実務上の問題点を解消する観点から変更されたものです(同 第94項)。2013年に改正された会計基準は、2015年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されており、2014年4月1日以後開始する事業年度の期首からの早期適用も認められていました(同 第58-2項(1)、(2))。直近の2019年の改正は、対価の一部が返還される条件付取得対価の会計処理を定めたもので、取得関連費用の取扱いに変更はありません(同 第96-2項)。この改正は2019年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合から適用されています(同 第58-3項)。
まとめ
取得関連費用は、外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等であり、連結財務諸表上は発生した事業年度の費用として処理します(企業結合に関する会計基準 第26項)。一方、株式を取得して子会社化する場合の個別財務諸表では、子会社株式の取得原価に付随費用を含めます(同 第94項、移管指針第9号 第56項)。法人税法上も購入のために要した費用を株式の取得価額に加算するため(法人税法施行令 第119条第1項第1号)、個別・連結・税務で3通りの取扱いが並立します。
実務では、①費目を外部アドバイザー報酬と株式交付費に切り分ける、②個別上の取得原価の内訳を対価と付随費用に分けて把握する、③連結修正で付随費用を費用へ振り替える、④連結財務諸表固有の将来減算一時差異として整理し繰延税金資産の計上可否を判断する(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第22項)、⑤主要な取得関連費用の内容と金額を注記する(企業結合に関する会計基準 第49項(3)④)、という5つの手順で進めると漏れが生じにくくなります。ディールの規模や対価の形態によって論点の重さは変わりますので、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
お問い合わせはこちら参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第21号 企業結合に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第10号 企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第7号 事業分離等に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 移管指針第9号 金融商品会計に関する実務指針
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第28号 税効果会計に係る会計基準の適用指針
- e-Gov法令検索 法人税法施行令
- 国税庁 法人税基本通達 第2款 有価証券の取得価額
よくある質問
取得関連費用にはどのような費用が含まれますか。
外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等が対象です(企業結合に関する会計基準 第26項)。具体的には、M&A仲介手数料、ファイナンシャルアドバイザリー報酬、財務・税務・法務のデューデリジェンス報酬、株式価値算定報酬、取得原価の配分に係る報酬などが該当します。社内の人件費や出張旅費といった間接費は外部への報酬・手数料ではないため、通常の販売費及び一般管理費として処理されます。
個別財務諸表でも取得関連費用は費用処理するのですか。
形態によって異なります。株式を取得して子会社化する場合、個別財務諸表上の子会社株式の取得原価は金融商品会計基準および金融商品会計に関する実務指針に従って算定するため、付随費用は取得価額に含めます(企業結合に関する会計基準 第94項、移管指針第9号 第56項)。これに対し、吸収合併や事業譲受のように資産・負債を個別財務諸表へ直接受け入れる形態では、個別財務諸表上も発生した事業年度の費用として処理します(同 第26項)。
取得関連費用はのれんの金額に影響しますか。
影響しません。取得関連費用は取得原価に含めないため、取得原価と識別可能資産および負債に配分された純額との差額であるのれんの金額は変わりません(企業結合に関する会計基準 第26項、第31項)。逆にいえば、個別財務諸表で子会社株式の取得原価に含めた付随費用を連結修正で費用へ振り替えなかった場合、その分だけのれんが過大に計上され、償却額と減損リスクも過大になります。
取得関連費用は税務上も損金になりますか。
株式を購入した場合は、原則として損金ではなく株式の取得価額を構成します。購入した有価証券の取得価額は、その購入の代価に購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用を加算した金額とされているためです(法人税法施行令 第119条第1項第1号)。ただし、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額は取得価額に含めないことができます(法人税基本通達2-3-5)。
取得関連費用の注記はどこまで集計が必要ですか。
主要な取得関連費用の内容および金額を注記します(企業結合に関する会計基準 第49項(3)④)。すべての取得関連費用を網羅的に集計して注記する必要性は乏しいことから、企業結合の規模等を考慮して主要なものについて注記を求めることとされています(同 第126-2項)。個々の企業結合の重要性が乏しくても、企業結合年度における複数の企業結合全体で重要性がある場合には、企業結合全体で注記します(同 第49項)。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



