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財務会計

新リース会計基準の経過措置|適用初年度の選択肢と遡及適用の実務

目次
  1. 経過措置の全体像
  2. 適用時期と経過措置の位置づけ
  3. 適用初年度に選べる2つの方法
  4. 原則的な取扱い(過去の期間への遡及適用)
  5. 適用初年度の期首に累積的影響額を計上する方法
  6. リースの識別に関する経過的な取扱い
  7. 旧基準でファイナンス・リースに分類していたリース
  8. 旧基準でオペレーティング・リースに分類していたリース
  9. 期首のリース負債と使用権資産の算定
  10. 適用初年度の期首に切る仕訳
  11. 実務上の簡便的な取扱い
  12. 個別論点の経過的な取扱い
  13. 旧基準を適用した際の経過措置の引継ぎ
  14. 適用初年度の開示と注記
  15. 選択の判断軸と実務手順
  16. どの方法を選ぶかの判断軸
  17. 移行作業の進め方
  18. 上場準備企業の留意点と落とし穴
  19. まとめ
  20. 参考文献
  21. よくある質問
  22. 経過措置として認められている方法には、どのような選択肢がありますか。
  23. 旧基準でファイナンス・リースとして処理していたリースは、測定をやり直す必要がありますか。
  24. 適用初年度の期首の割引率には、どの時点の利率を用いますか。
  25. 比較情報(前年度の数値)は組み替える必要がありますか。
  26. 早期適用する場合も、同じ経過措置を適用できますか。

新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」)の適用初年度には、過去の期間のすべてに遡及適用する原則的な取扱いと、期首に累積的影響額を計上する方法という2つの入り口があります。どちらを選ぶかで、比較情報の作り直しの要否、契約の洗い出しの範囲、期首に立てる使用権資産とリース負債の金額が変わります。本記事では、経過措置の選択肢と移行時の個別論点を条項単位で整理し、期首に切る仕訳と選択の判断軸・実務手順を示します。

経過措置の全体像

新リース会計基準の適用初年度は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱います。原則は新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する方法ですが、適用初年度の期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から適用することもできます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項)。

重要なのは、後者(第118項ただし書きの方法)を選択した企業だけが、リースの識別・帳簿価額の引継ぎ・簡便的な取扱いといった一連の経過的な取扱いを使える点です。なお経過措置は会計基準本体ではなく適用指針に置かれています(リースに関する会計基準 第58項、第59項、リースに関する会計基準の適用指針 第112項、第113項から第137項)。

原則的な取扱い 新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用し、比較情報も新基準に基づいて作り直します(リースに関する会計基準の適用指針 第118項本文)。
適用初年度の期首に
累積的影響額を計上する方法
期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減し、その期首残高から新基準を適用します。第119項以降の経過的な取扱いを選択できます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項ただし書き)。

適用時期と経過措置の位置づけ

新リース会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用することもできます(リースに関する会計基準 第58項)。適用指針の適用時期も同様です(リースに関する会計基準の適用指針 第112項)。

この基準の適用により、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第16号、実務対応報告第31号、移管指針第3号に従って会計処理されている取引は、これらの適用が終了します(リースに関する会計基準 第59項)。経過措置は、この切替えの負担を和らげるための定めです。なお会計基準と適用指針は2024年9月13日に公表され、2025年4月23日に修正が公表されていますが、この修正は会計処理及び開示に関する定めを実質的に変更するものではありません。適用時期と対象会社の範囲は次のコラムで整理しています。

関連コラム新リース会計基準はいつから?適用時期と対象会社の範囲を解説▸

適用初年度に選べる2つの方法

原則的な取扱い(過去の期間への遡及適用)

原則的な取扱いでは、過去の各期についてリース期間・借手のリース料・割引率を遡って算定し直し、比較情報も新基準を適用していたものとして作り直します(リースに関する会計基準の適用指針 第118項)。期間比較が新旧の基準で分断されない利点がある一方、作業量は大きくなります。また、リースの識別の省略や帳簿価額の引継ぎといった経過的な取扱いは第118項ただし書きの方法を選択する企業を対象とした定めであるため、選択できません(リースに関する会計基準の適用指針 第119項、第120項、第123項)。

適用初年度の期首に累積的影響額を計上する方法

もう一つの選択肢は、期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用する方法です(リースに関する会計基準の適用指針 第118項ただし書き)。過去の各期の財務諸表を作り直さずに済むため、実務上はこちらを選ぶ企業が多くなると考えられます。

この方法を選択した借手は、比較情報について新たな表示方法に従った組替えを行いません。適用初年度の貸借対照表には期首から新基準による使用権資産とリース負債が計上される一方、比較年度は旧基準のままとなります(リースに関する会計基準の適用指針 第136項)。

リースの識別に関する経過的な取扱い

新リース会計基準では、契約がリースを含むか否かを、特定された資産の使用を支配する権利が一定期間にわたり移転しているかで判断します。第118項ただし書きの方法を選択する場合、次の2つの取扱いのいずれか又は両方を適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第119項)。

  • 適用初年度の前連結会計年度及び前事業年度の期末日において企業会計基準第13号を適用しているリース取引について、契約にリースが含まれているか否かの判断を行わずに会計基準を適用すること
  • 適用初年度の期首時点で存在する企業会計基準第13号を適用していない契約について、当該時点で存在する事実及び状況に基づいて、契約にリースが含まれているか否かを判断すること

前者は旧基準のリース取引をそのまま引き継ぐ趣旨、後者は旧基準でリースとして扱っていなかった契約を期首時点の情報で判断してよいという趣旨です。実務では後者の対象(業務委託、保管、共同利用設備の利用契約など)の洗い出しが最も時間を要します。

旧基準でファイナンス・リースに分類していたリース

企業会計基準第13号でファイナンス・リース取引に分類していたリースは、旧基準でも既に貸借対照表に計上されています。第118項ただし書きの方法を選択する借手は、前連結会計年度及び前事業年度の期末日におけるリース資産及びリース債務の帳簿価額のそれぞれを、期首の使用権資産及びリース負債の帳簿価額とすることができます。残価保証額が含まれるときは期首時点の支払見込額に修正し、この方法はリース1件ごとに適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第120項)。あわせて次の2つが認められています。

  • 期首以後に使用権資産総額の重要性の判断基準である10パーセントを超える場合でも、期首の使用権資産及びリース負債について、企業会計基準適用指針第16号で選択していた方法を継続適用できること(リースに関する会計基準の適用指針 第121項)
  • 企業会計基準適用指針第16号で個々のリース資産に重要性が乏しいとして賃貸借処理していたリースについて、当該会計処理を継続できること(リースに関する会計基準の適用指針 第122項)

帳簿価額を引き継ぐ限り、期首の仕訳は使用権資産・リース負債への振替にとどまります。

旧基準でオペレーティング・リースに分類していたリース

移行作業の中心は、旧基準でオペレーティング・リース取引として賃貸借処理していたリースと、新基準により新たに識別されたリースです。いずれも旧基準では貸借対照表に計上されておらず、適用初年度の期首に使用権資産とリース負債を新たに立てる必要があります。

期首のリース負債と使用権資産の算定

第118項ただし書きの方法を選択する借手は、次の方法により会計処理を行うことができます(リースに関する会計基準の適用指針 第123項)。

  • 適用初年度の期首時点における残りの借手のリース料を、期首時点の借手の追加借入利子率で割り引いた現在価値によりリース負債を計上する
  • 使用権資産は、リース1件ごとに、①会計基準がリース開始日から適用されていたかのような帳簿価額(期首時点の追加借入利子率で割り引く)、又は②算定したリース負債と同額(前期末の前払又は未払リース料の金額だけ修正)のいずれかで算定する
  • 適用初年度の期首時点の使用権資産に「固定資産の減損に係る会計基準」を適用する
  • 少額リース等の簡便的な取扱いにより使用権資産及びリース負債を計上しないリースは修正しない

①は使用権資産の償却が進んだ状態で期首を迎えるため、リース負債との差額が累積的影響額として期首の利益剰余金に加減されます。②は使用権資産をリース負債と同額とするため、原則として利益剰余金への影響が生じません。いずれも割引率は期首時点の借手の追加借入利子率を用い、過去の利子率を復元する必要はありません。決め方は次のコラムで整理しています。

関連コラム借手の割引率と追加借入利子率|新リース会計基準の決定手順▸

適用初年度の期首に切る仕訳

算定方法の違いを自社作例で示します。適用初年度の期首時点で、旧基準で賃貸借処理していた本社事務所の賃借契約が1件あり、残りの借手のリース料を期首時点の追加借入利子率で割り引いた現在価値は24,000千円、前期末の貸借対照表に未払費用500千円が計上されているものとします。単位は千円、税効果は考慮していません。まず、使用権資産をリース負債と同額とし、未払リース料の金額だけ修正する方法(②)の仕訳です(リースに関する会計基準の適用指針 第123項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
使用権資産 23,500 リース負債 24,000
未払費用 500

この方法では使用権資産とリース負債が対応関係を保つため、期首の利益剰余金は動きません。次に、同じ契約でリース開始日から適用されていたかのような帳簿価額により使用権資産を算定する方法(①)を選び、使用権資産が20,000千円と算定された場合の仕訳です。前提となる金額・時点・単位は上記と同じで、税効果は考慮していません(リースに関する会計基準の適用指針 第118項ただし書き、第123項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
使用権資産 20,000 リース負債 24,000
未払費用 500
繰越利益剰余金 3,500

差額の3,500千円が、期首の利益剰余金に加減される累積的影響額です。償却が先行した分だけ期首の純資産が減少する一方、適用初年度以降の減価償却費は小さくなります。

実務上の簡便的な取扱い

第123項の方法を選択する借手は、あわせて次の1つ又は複数を、リース1件ごとに適用することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第124項)。

  • 特性が合理的に類似した複数のリースに単一の割引率を適用すること
  • 適用初年度の期首から12か月以内に借手のリース期間が終了するリースについて、短期リースと同様に費用として計上する方法によること
  • 付随費用を、適用初年度の期首における使用権資産の計上額から除外すること
  • 延長又は解約オプションが含まれている場合に、借手のリース期間や借手のリース料の決定にあたりリース開始日より後に入手した情報を使用すること

特に4つ目は効果が大きく、延長オプションの行使可能性を期首までに判明した事実で判断できるため、リース期間の見積りの検証負担が下がります。

個別論点の経過的な取扱い

借手には、契約類型ごとの経過的な取扱いも置かれています。いずれも第118項ただし書きの方法を選択する企業が対象です。

セール・アンド・
リースバック取引
期首より前に締結された取引について、資産の譲渡が売却に該当するかの判断を見直さず、リースバックを期首時点に存在する他のリースと同様に会計処理します(リースに関する会計基準の適用指針 第126項)。
借地権の設定に
係る権利金等
前期末の権利金等の帳簿価額を期首の使用権資産の帳簿価額とし、残りの借手のリース期間で償却することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第128項)。
建設協力金等の
差入預託保証金
将来返還される差入預託保証金(敷金を除く)等について、会計基準の適用前に採用していた会計処理を継続できます(リースに関する会計基準の適用指針 第130項)。

貸手にも経過的な取扱いがあります。旧基準でファイナンス・リース取引に分類していたリースは前期末のリース債権及びリース投資資産の帳簿価額をそれぞれ期首の帳簿価額とでき(割賦基準による場合、繰延販売利益は期首の利益剰余金に加算)、旧基準でオペレーティング・リース取引に分類していたリース及び新たに識別されたリースは期首に締結された新たなリースとして扱えます。サブリースは期首時点の残りの契約条件で分類を決定します(リースに関する会計基準の適用指針 第131項、第132項、第133項)。また、国際財務報告基準(IFRS)を連結財務諸表に適用する企業が個別財務諸表に会計基準を適用する場合は、IFRS第16号「リース」の経過措置、又はIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の免除規定を適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第134項)。

旧基準を適用した際の経過措置の引継ぎ

適用指針には、企業会計基準第13号を適用した際の経過措置を引き継ぐ定めも置かれています。リース取引開始日が企業会計基準第13号の適用初年度開始前である所有権移転外ファイナンス・リース取引について、未経過リース料期末残高相当額を取得価額としてリース資産に計上する会計処理、又は通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っている場合、新基準の適用後も継続できます。賃貸借処理の継続時はその旨及び1993年リース取引会計基準で必要とされていた事項を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第113項、第114項)。貸手にも同趣旨の定めがありますが、リース取引を主たる事業とする企業は一部を適用できず、所定の差額を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第115項、第116項、第117項)。

適用初年度の開示と注記

第118項ただし書きの方法を選択する借手は、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第10項(5)の注記に代えて次を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第125項)。

  • 期首の貸借対照表に計上されているリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均
  • 前期末に企業会計基準第13号を適用して開示したオペレーティング・リースの未経過リース料(上記の利子率で割引後)と、期首の貸借対照表に計上したリース負債との差額の説明

この差額の説明は、旧基準で注記していた未経過リース料と新基準のリース負債の橋渡しにあたります。要因は、短期リース・少額リースの簡便的な取扱い、延長オプションの対象期間の取込み、新たに識別されたリースなどです。要因ごとに金額を分解できるよう集計の設計段階から準備します。

また、第118項ただし書きの方法を選択する借手及び貸手は、適用初年度において、会計基準第55項のリースに関する注記事項を比較情報に記載せず、企業会計基準第13号及び企業会計基準適用指針第16号に定める事項を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第137項)。

選択の判断軸と実務手順

どの方法を選ぶかの判断軸

経過措置の選択は作業量にとどまらず、期首の純資産、適用後の損益の推移、開示の一貫性に影響します。次の観点を自社の事情に照らして確認します。

契約件数と分散 賃借拠点や車両が多く、部門ごとに契約が分散しているほど遡及適用の作業量が増えます。
過去情報の
入手可能性
リース開始日時点のリース料・割引率・オプション条件を復元できるかを確認します。原契約や更新覚書が揃わない契約が多いと遡及適用は困難です。
期首純資産への影響 使用権資産をリース負債と同額とする方法では期首の利益剰余金が動かず、開始日から適用していたかのような帳簿価額による方法では純資産が減少します。財務制限条項があれば事前の試算が要ります。
比較可能性への要請 複数年度の比較を求められる場合、比較年度が旧基準のまま残ることの説明可能性を検討します。

移行作業の進め方

経過措置の選択は、契約の実態を把握したうえでなければ確定できません。次の順序で進めます。

  1. 契約の棚卸し。賃貸借契約書だけでなく、業務委託・保管・設備利用など資産の使用を伴う契約を洗い出します。支払データからの逆引きが有効です。
  2. リースの識別。資産の使用を支配する権利が移転しているかを判断し、判断を省略する取扱いを使えるかを確認します(リースに関する会計基準の適用指針 第119項)。
  3. リース期間とリース料の確定。延長・解約オプションを整理し、期首までに入手した情報を使う簡便的な取扱いを適用するかを決めます(リースに関する会計基準の適用指針 第124項)。
  4. 割引率の決定。期首時点の借手の追加借入利子率を、通貨・期間・信用力の観点から決めます(リースに関する会計基準の適用指針 第123項、第124項)。
  5. 期首残高の試算。2つの算定方法の双方で試算し、財務指標への影響を比較します。
  6. 開示の準備。追加借入利子率の加重平均と、未経過リース料とリース負債の差額の説明を用意します(リースに関する会計基準の適用指針 第125項)。

移行作業全体の進め方は次のコラムで整理しています。

関連コラム新リース会計基準(2027年適用)への対応ガイド|現場で必要な実務を解説▸

上場準備企業の留意点と落とし穴

上場準備企業では、監査対象期間と適用初年度が重なることが少なくありません。早期適用を選ぶと適用初年度が前倒しになるため、申請期・直前期のどの年度が適用初年度になるかを監査人と早期に共有する必要があります(リースに関する会計基準 第58項ただし書き)。

見落としやすい点は3つあります。第一に、リース1件ごとに選べる定めと企業全体で一貫して適用すべき定めが混在するため、選択単位を記録に残さないと翌期以降の継続性を説明しにくいこと(リースに関する会計基準の適用指針 第120項、第123項、第124項)。第二に、期首時点の使用権資産に「固定資産の減損に係る会計基準」を適用するため、赤字拠点の賃借契約に使用権資産を新たに計上すると減損の兆候の判定単位が変わり得ること(リースに関する会計基準の適用指針 第123項(3))。第三に、旧基準の経過措置を引き継ぐ長期契約が残っていないか、固定資産台帳と注記を突き合わせて確認することです(リースに関する会計基準の適用指針 第113項、第114項)。

まとめ

新リース会計基準の経過措置は、適用初年度に「過去の期間のすべてに遡及適用する原則的な取扱い」と「期首に累積的影響額を利益剰余金に加減する方法」のいずれを選ぶかから始まります。後者を選んだ企業だけが、リースの識別の省略、帳簿価額の引継ぎ、期首時点の追加借入利子率の使用といった経過的な取扱いを使えます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項)。

旧ファイナンス・リースは帳簿価額の引継ぎで足りる一方、旧オペレーティング・リースと新たに識別されたリースは、使用権資産をリース負債と同額とするか開始日から適用していたかのような帳簿価額とするかで、期首の純資産と適用後の減価償却費が変わります(リースに関する会計基準の適用指針 第120項、第123項)。強制適用は2027年4月1日以後開始年度からですが、早期適用を選べば適用初年度は前倒しになります(リースに関する会計基準 第58項)。

経過措置の選択は、契約の実態・過去情報の入手可能性・財務指標への影響を踏まえた総合的な判断になります。具体的なケースについては公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

経過措置として認められている方法には、どのような選択肢がありますか。

原則は新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する方法ですが、適用初年度の期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から適用することもできます。後者を選んだ場合に限り、リースの識別の省略や帳簿価額の引継ぎなどの経過的な取扱いを適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項、第119項)。

旧基準でファイナンス・リースとして処理していたリースは、測定をやり直す必要がありますか。

適用初年度の期首に累積的影響額を計上する方法を選ぶ借手は、前期末のリース資産及びリース債務の帳簿価額のそれぞれを、期首の使用権資産及びリース負債の帳簿価額とすることができます。残価保証額が含まれる場合は期首時点の支払見込額に修正します。この方法はリース1件ごとに適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第120項)。

適用初年度の期首の割引率には、どの時点の利率を用いますか。

旧基準でオペレーティング・リース取引に分類していたリース等に経過的な取扱いを適用する場合、適用初年度の期首時点の借手の追加借入利子率を用います。リース開始日時点の利率を復元する必要はなく、特性が合理的に類似した複数のリースに単一の割引率を適用することもできます(リースに関する会計基準の適用指針 第123項、第124項)。

比較情報(前年度の数値)は組み替える必要がありますか。

適用初年度の期首に累積的影響額を計上する方法を選ぶ借手は、比較情報について新たな表示方法に従った組替えを行いません。また借手及び貸手は、適用初年度において新基準のリースに関する注記事項を比較情報に記載せず、企業会計基準第13号及び企業会計基準適用指針第16号に定める事項を注記します(リースに関する会計基準の適用指針 第136項、第137項)。

早期適用する場合も、同じ経過措置を適用できますか。

経過措置は会計基準の適用初年度に関する定めです。早期適用する場合は2025年4月1日以後開始する年度のうち適用を開始した年度が適用初年度となり、強制適用の場合と同じ定めを適用します(リースに関する会計基準 第58項、リースに関する会計基準の適用指針 第112項、第118項)。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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