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新リース会計基準はいつから?適用時期と対象会社の範囲を解説

2026-07-17
目次

新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」)は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から強制適用されます。3月決算会社であれば2028年3月期からの適用です。また、2025年4月1日以後開始する年度の期首からの早期適用も認められています。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

本記事では、新リース会計基準が「いつから」「どの会社に」「どの取引に」適用されるのかを整理し、適用初年度の経過措置と適用開始までの準備事項を解説します。適用時期と対象範囲の全体像を短時間で把握したい経理・財務担当者、経営者の方に向けた内容です。

新リース会計基準の概要と適用スケジュール

新リース会計基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が2024年9月に公表した、リースに関する新しい日本基準です。会計基準本体である企業会計基準第34号と、実務上の取扱いを定めた企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」がセットで公表されています。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

最大の変更点は、借手の会計処理です。従来はオペレーティング・リースであれば賃貸借処理(費用処理)で足りましたが、新基準では原則としてすべてのリースについて「使用権資産」と「リース負債」を貸借対照表に計上します。国際的な基準であるIFRS第16号と整合する単一の会計処理モデルへの移行です。企業会計基準委員会 リースに関する会計基準

強制適用の時期

強制適用は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からです。決算期ごとの初適用年度は次のとおりです。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

3月決算会社 2028年3月期(2027年4月開始年度)から強制適用
12月決算会社 2028年12月期(2028年1月開始年度)から強制適用
早期適用の開始可能時期 2025年4月1日以後開始する年度の期首から

新基準の適用に伴い、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第16号のほか、実務対応報告第31号、移管指針第3号といった従来のリース関連の基準等は適用を終了します。旧基準と新基準の併存期間は経過措置を除いてなく、適用初年度からは新基準に一本化される点を押さえておきましょう。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

早期適用の可否と判断ポイント

早期適用は2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から可能です。期首からの適用が前提であり、期中からの適用はできません。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

早期適用を検討する典型例は、IFRS適用の親会社・グループ会社との会計処理の統一を図りたい会社や、財務指標への影響を早めに開示実績として織り込みたい会社です。一方で、システム対応や契約情報の収集が間に合わない段階での早期適用は、決算遅延や開示誤りのリスクを高めます。自社の準備状況を踏まえ、強制適用に向けて余裕を持った移行計画を立てることが現実的な選択肢となる会社が多いと考えられます。

対象会社の範囲

新リース会計基準そのものは会社の規模で適用対象を限定しておらず、企業会計基準に準拠して財務諸表を作成するすべての会社に関係します。実務上、影響を強く受けるのは、金融商品取引法に基づく開示を行う上場企業と、会計監査を受ける会社です。

上場企業・会計監査を受ける会社

上場企業は、連結財務諸表・個別財務諸表の双方で新基準への対応が必要です。新基準は連結財務諸表と個別財務諸表の両方に適用されるため、連結グループに属する国内子会社にも、親会社の連結決算対応として同じ基準での情報収集・会計処理が求められます。借手のオペレーティング・リースがオンバランスされることで、総資産や負債比率などの財務指標が変動する点は、経営層への早期の説明が必要な論点です。

中小企業の取扱い

会計監査を受けない中小企業については、従来から「中小企業の会計に関する指針」等に基づく会計処理が実務として定着しており、新リース会計基準への対応が直ちに一律で求められるものではありません。ただし、上場企業の連結子会社である場合や、金融機関・取引先から企業会計基準ベースの計算書類を求められる場合には対応が必要となるため、自社の位置付けを確認しておくことが大切です。

上場準備企業の留意点

上場準備企業は、上場審査に向けて企業会計基準に準拠した財務諸表の作成が求められるため、上場スケジュールと新基準の適用時期の関係を早めに整理する必要があります。2027年4月以後開始年度が監査対象期間に含まれる場合、その期からは新基準ベースでの決算が前提となります。基準期・直前期の比較可能性を確保する観点からも、上場準備の初期段階からリース契約の棚卸しと影響額の試算に着手しておくことをおすすめします。

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対象となるリース取引の範囲

「どの会社が」に加えて、「どの取引が」対象になるかの確認も欠かせません。新基準は契約の名称にかかわらず、原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約またはその一部分を「リース」として扱うため、賃貸借契約やサービス契約の中に会計上のリースが含まれていないかの識別が出発点になります。企業会計基準委員会 リースに関する会計基準

基準の範囲と適用除外

新基準はリースに関する会計処理および開示に広く適用されますが、公共施設等運営権の取得、収益認識会計基準の範囲に含まれる貸手による知的財産のライセンスの供与、鉱物・石油・天然ガス等の非再生型資源を探査・使用する権利の取得は範囲から除かれています。また、無形固定資産のリースについては、新基準を適用しないことができます。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

実務上の影響が大きいのは、不動産賃貸借です。オフィスや店舗、倉庫の賃貸借契約は多くの場合リースの定義を満たし、借手のリース期間の判断(延長・解約オプションの取扱い)を経てオンバランスの対象となります。従来のリース会計では対象外と整理していた契約が新たに対象となり得るため、契約の網羅的な把握が重要です。

借手の会計処理の主な変更点

借手は、ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかの分類にかかわらず、リース開始日に使用権資産とリース負債を計上し、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによります。企業会計基準委員会 リースに関する会計基準

一方、貸手の会計処理は、従来の企業会計基準第13号の考え方が基本的に踏襲されており、借手ほど大きな変更はありません。自社が借手・貸手のどちらの立場の契約を多く抱えているかによって、影響の濃淡を見極めることが効率的な準備につながります。

関連コラムファイナンス・リースの判定基準とは?解約不能とフルペイアウトを解説

短期リース・少額リースの簡便的な取扱い

すべてのリースが必ずオンバランスになるわけではありません。適用指針では、短期リースについて、使用権資産およびリース負債を計上せず、借手のリース料をリース期間にわたり原則として定額法で費用計上する簡便的な取扱いが認められています。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

また、少額リースについても同様の簡便的な取扱いがあります。重要性が乏しい減価償却資産に係る基準額以下のリースのほか、事業内容に照らして重要性が乏しく契約1件当たりの金額に重要性が乏しいリース、または新品時の原資産の価値が少額であるリースが対象です。どの単位で簡便的な取扱いを選択するかは会計方針として整理が必要であり、選択した方法は首尾一貫して適用します。移行負担を左右する論点のため、契約棚卸しの際に該当件数を早めに把握しておきましょう。

適用初年度の経過措置

適用初年度は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、原則として新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用します。ただし、経過措置として、適用初年度の期首より前に遡及適用した場合の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、期首から新基準を適用する方法を選択できます。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

この簡便的な方法を選択する場合には、さらに実務負担を軽減する複数の取扱いが用意されています。主なものは次のとおりです。

  • 従来基準を適用していた取引について、契約にリースが含まれるか否かの再判定を行わずに新基準を適用できる取扱い
  • 従来ファイナンス・リース取引に分類していたリースについて、前年度末のリース資産・リース債務の帳簿価額を適用初年度期首の使用権資産・リース負債の帳簿価額として引き継げる取扱い
  • 従来オペレーティング・リース取引に分類していたリースについて、適用初年度の期首時点の残りのリース料を期首時点の追加借入利子率で割り引いてリース負債を計上する等の簡便的な方法

いずれを選択するかで、適用初年度の財務諸表への影響額も移行作業量も大きく変わります。原則法(遡及適用)は比較情報の有用性が高い一方、過去のリース契約の再計算が必要となるため、契約件数の多い会社では経過措置の活用が現実的です。なお、適用初年度の期首時点の使用権資産には固定資産の減損に係る会計基準の適用が求められる場合があり、不採算店舗等を抱える会社では移行時の減損リスクの検討も欠かせません。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

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適用開始までの準備事項

強制適用まで残された時間を踏まえると、準備は段階的に進めるのが効果的です。標準的な進め方は次のとおりです。

  1. リース契約の棚卸し:賃貸借契約・レンタル契約・サービス契約を含めて契約を網羅的に収集し、リースの定義を満たす契約を識別します。
  2. 影響額の試算:借手のリース期間(延長・解約オプションの評価を含む)と割引率を仮置きし、使用権資産・リース負債の概算額と財務指標への影響を把握します。
  3. 会計方針・経過措置の決定:短期・少額リースの簡便的な取扱いの採否、遡及適用か経過措置かの選択など、会計方針の骨子を監査人と協議のうえ固めます。
  4. システム・業務プロセスの整備:リース管理台帳やシステムの導入・改修、契約情報を継続的に収集する業務フローと内部統制を構築します。
  5. 開示・関係者対応:注記に必要な情報の収集体制を整え、財務指標の変動について経営層・金融機関等への説明を準備します。

特に契約の棚卸しと借手のリース期間の判断は、経理部門だけでは完結せず、総務・事業部門を巻き込んだ全社的な作業になります。適用初年度の期首時点で必要な情報がそろっているためには、遅くとも適用開始の1年前には方針決定と試算を終えておくスケジュールが望まれます。

まとめ

新リース会計基準は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から強制適用され、2025年4月1日以後開始する年度からの早期適用が可能です。上場企業とその連結子会社、会計監査を受ける会社、上場準備企業が実務上の主な対象であり、借手はオペレーティング・リースを含むほぼすべてのリースをオンバランスする必要があります。企業会計基準委員会 企業会計基準第34号 リースに関する会計基準等の公表

短期リース・少額リースの簡便的な取扱いや適用初年度の経過措置をどう選択するかによって、移行の負担と財務諸表への影響は大きく変わります。まずはリース契約の棚卸しと影響額の試算から着手し、余裕を持った移行計画を立てましょう。契約内容や経過措置の選択など、具体的なケースの判断に迷う場合は、公認会計士へのご相談をおすすめします。

本記事は公表時点の会計基準等に基づく一般的な解説であり、個別の会計処理を保証するものではありません。実際の適用にあたっては、最新の基準等をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

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参考文献

よくある質問

新リース会計基準はいつから適用されますか?

2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から強制適用されます。3月決算会社であれば2028年3月期からです。また、2025年4月1日以後開始する年度の期首から早期適用することもできます。

中小企業も新リース会計基準への対応が必要ですか?

会計監査を受けない中小企業には、直ちに一律で対応が求められるものではありません。ただし、上場企業の連結子会社である場合や、企業会計基準ベースの計算書類を求められる場合には対応が必要となるため、自社の位置付けの確認が重要です。

すべてのリースをオンバランスしなければなりませんか?

原則として借手はすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上しますが、短期リースや少額リースについては、資産・負債を計上せずリース料を費用処理する簡便的な取扱いを選択できます。

適用初年度は過去の分もさかのぼって計算し直す必要がありますか?

原則は過去の期間すべてへの遡及適用ですが、経過措置として、累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、期首から新基準を適用する簡便的な方法を選択できます。従来の分類ごとの帳簿価額引継ぎ等の取扱いも用意されています。

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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