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財務会計

リース資産減損勘定【仕訳例】賃貸借処理の減損・取崩しと新基準移行

目次
  1. リース資産減損勘定の定義と計上が必要になる場面
  2. 賃貸借処理が認められていたリースの2類型
  3. 減損の判定で使う帳簿価額と将来キャッシュ・フロー
  4. リース資産減損勘定の仕訳例
  5. 減損損失の計上時
  6. 翌期以降の取崩し時
  7. 注記で求められるリース資産減損勘定の情報
  8. 新リース会計基準の適用時における扱い
  9. 重要性が乏しいリースで計上していた負債
  10. 企業会計基準第13号の適用前に開始したリース
  11. 2類型の移行時の扱いの比較
  12. 移行前に確認しておきたい実務のチェックポイント
  13. まとめ
  14. 参考文献
  15. よくある質問
  16. リース資産減損勘定は資産のマイナスですか、負債ですか。
  17. リース資産減損勘定の取崩額は特別利益に計上しますか。
  18. 減損の判定で将来の支払リース料はキャッシュ・アウト・フローに含めますか。
  19. 新リース会計基準の適用初年度に、残っているリース資産減損勘定を一括で取り崩す必要がありますか。
  20. 企業会計基準第13号の適用前に開始したリースの減損は、新基準でどの科目を使いますか。

リース資産減損勘定とは、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理しているリース(いわゆる賃貸借処理のリース)に減損損失を配分したとき、その減損損失に対応して計上する負債の科目です。貸借対照表にリース資産が載っていないため、資産を直接減額する代わりに負債を立て、リース契約の残存期間にわたって取り崩して支払リース料と相殺します。

新リース会計基準(企業会計基準第34号)の適用で、この負債をどう扱うかが改めて問われます。本記事では、計上から取崩しまでの仕訳例と、新基準へ移行する際に負債を引き継ぐ経過措置を、条項番号とあわせて整理します。

リース資産減損勘定の定義と計上が必要になる場面

リース資産減損勘定は、リース資産に配分された減損損失に対応する負債をいいます(リース取引に関する会計基準の適用指針 付録1.(2)③、リースに関する会計基準の適用指針 参考1.(2)③)。売買処理をしているファイナンス・リースでは、リース資産そのものを減損で減額すれば足ります。一方、賃貸借処理のリースは資産が計上されていないため、減損と同じ効果を持たせる手段としてこの負債が使われます。

この考え方の出発点は、減損会計基準の注解です。賃貸借処理をしているファイナンス・リースでも、売買処理との均衡上、減損会計と同様の効果を持つ処理が必要とされ、リース資産に配分された減損損失は負債として計上し、リース契約の残存期間にわたり規則的に取り崩すこととされました(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注12)2.、固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書 四 4.)。

賃貸借処理が認められていたリースの2類型

旧基準(企業会計基準第13号・同適用指針第16号)のもとで、借手がファイナンス・リースを賃貸借処理できたのは次の2つの場合です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143-3項)。リース資産減損勘定が登場するのも、この2類型に限られます。

個々のリース資産に
重要性が乏しい場合
リース期間1年以内のリースや、事業内容に照らして重要性が乏しくリース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下の所有権移転外ファイナンス・リースなど(リース取引に関する会計基準の適用指針 第34項・第35項)
企業会計基準第13号の
適用前に開始したリース
リース取引開始日が企業会計基準第13号の適用初年度開始前で、所有権移転外ファイナンス・リースと判定されたもの(リース取引に関する会計基準の適用指針 第79項)

実務では、前者は少額の備品・車両リース、後者は企業会計基準第13号の適用初年度(原則として2008年4月1日以後開始する事業年度。企業会計基準第13号 第23項)より前に契約した長期の不動産・設備リースとして残っていることが多く、どちらに該当するかで新基準移行時の扱いが変わります。

減損の判定で使う帳簿価額と将来キャッシュ・フロー

賃貸借処理のリースには帳簿価額がないため、未経過リース料の現在価値を帳簿価額とみなして減損会計基準を適用します(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注12)1.)。リース資産の重要性が低い場合は、現在価値に代えて割引前の未経過リース料を帳簿価額とみなすこともできます(同)。

減損の兆候の把握、認識の判定、測定は通常の資産に準じて行い、資産グループで認識した減損損失は合理的な方法で構成資産に配分します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項)。判定にあたっては、次の3点が誤りやすいところです。なお、本記事で示す固定資産の減損に係る会計基準の適用指針の項番号は、2024年改正後の現行版によるものです。現行版は企業会計基準第13号の適用前に開始したリースについて従来の定めを引き継いでおり、内容は同じ考え方に立っています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143-7項)。

  • みなし帳簿価額と比べる将来キャッシュ・アウト・フローに、将来の支払リース料を含めない(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項)。帳簿価額側に未経過リース料を入れているため、二重に差し引かないための取扱いです。
  • 現在価値の算定に使う利子率は、リース契約時点の貸手の計算利子率や借手の追加借入利子率のほか、減損を検討する時点の利率も用いることができると考えられています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第144項)。
  • 割引前の未経過リース料をみなし帳簿価額とした場合でも、回収可能価額の算定では現在価値に割り引きます(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第62項)。

リース資産減損勘定の仕訳例

ここからは、自社作例で計上から取崩しまでを追います。前提は次のとおりです(単位:千円)。

  • 3月決算の会社が、店舗の什器を賃貸借処理で月額50のリースにより使用している
  • 決算日時点でリース契約の残存期間は24か月(未経過リース料は割引前で1,200)
  • 店舗の資産グループで減損損失を認識し、そのうち240をこのリースに配分した

減損損失の計上時

リースに配分された減損損失は、資産を減額する代わりに負債として計上します(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注12)2.)。減損損失そのものは、原則として特別損失に表示します(固定資産の減損に係る会計基準 四 2.)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減損損失 240 リース資産減損勘定 240

翌期以降の取崩し時

計上した負債はリース契約の残存期間にわたって取り崩し、取崩額は各事業年度の支払リース料と相殺します(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注12)2.)。本例では残存24か月で定額に取り崩すため、1か月当たりの取崩額は次のとおりです。

240 ÷ 24か月 = 10(1か月当たりの取崩額)

翌期1年間(12か月分)の仕訳をまとめると、次のようになります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
支払リース料 600 現金預金 600
リース資産減損勘定 120 支払リース料 120

結果として、損益計算書の支払リース料は600ではなく480となり、翌期末のリース資産減損勘定の残高は120です。取崩額を特別利益に計上するのではなく支払リース料と相殺するのは、減損損失の戻入れを行わないという減損会計基準の考え方に準じたものと説明されています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143項)。複数のリースを含む資産グループで減損した場合、負債の取崩しはリースごとに行う点にも注意が必要です(同)。

関連コラム使用権資産の減損|新リース会計基準での適用範囲と計算例・仕訳▸

注記で求められるリース資産減損勘定の情報

企業会計基準第13号の適用前に開始した所有権移転外ファイナンス・リースについて賃貸借処理を続けている場合、その旨と、1993年のリース取引会計基準で必要とされていた事項を注記します(リース取引に関する会計基準の適用指針 第79項、リースに関する会計基準の適用指針 第114項)。注記事項には、リース資産減損勘定に関する次の項目が含まれます(リースに関する会計基準の適用指針 参考1.)。

期末残高 未経過リース料期末残高相当額とあわせて、リース資産減損勘定の残高を記載
当期の損益関連額 支払リース料、リース資産減損勘定の取崩額、減価償却費相当額、支払利息相当額及び減損損失を記載
リース物件の残高相当額 取得価額相当額、減価償却累計額相当額、減損損失累計額相当額及び期末残高相当額を種類別に記載

リース期間が1年未満のリースや、重要性が乏しくリース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリースは、注記を省略できます(リースに関する会計基準の適用指針 参考(注1))。決算で負債の取崩額を計算するときに、注記用の取崩額の集計も同時に行えるよう、リース契約ごとの管理表を作っておくと手戻りが減ります。

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新リース会計基準の適用時における扱い

企業会計基準第34号は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます。2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの早期適用も認められています(リースに関する会計基準 第58項)。あわせて減損会計基準の注解(注12)も改正され、その適用時期は企業会計基準第34号と同じです(企業会計基準第35号 第2項・第3項)。

新基準では借手のすべてのリースについて使用権資産を計上するため、賃貸借処理のリースに未経過リース料の現在価値を帳簿価額とみなして減損会計基準を適用する定めは、原則として削除されました(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143-4項)。そのうえで、旧基準で賃貸借処理していたリースは、2類型ごとに次のように扱われます。

重要性が乏しいリースで計上していた負債

個々のリース資産に重要性が乏しいとして賃貸借処理を行い、新基準の適用初年度の前事業年度の期末日にリース資産に配分された減損損失について負債を計上しているときは、その負債をリース契約の残存期間にわたり定額法で取り崩し、取崩額を各事業年度の支払リース料と相殺する処理を継続することができます(企業会計基準第35号 第4項、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第65-2項)。

また、累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する方法を選んだ借手は、旧基準で重要性が乏しいとして賃貸借処理していたリースについて、その会計処理自体を継続することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第118項・第122項)。先の作例で、3月決算の会社が2027年4月1日から新基準を適用し、前期末にリース資産減損勘定が120残っていた場合、継続を選べば適用初年度も次の仕訳を続けます(単位:千円、適用初年度の12か月分)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
支払リース料 600 現金預金 600
リース資産減損勘定 120 支払リース料 120

継続しない場合に残高をどう処理するかについて、基準・適用指針には個別の定めが見当たりません。使用権資産とリース負債を計上し直す場合などは、残高の扱いを会計方針として整理し、監査人と早めに協議しておくことをおすすめします。

企業会計基準第13号の適用前に開始したリース

企業会計基準第13号の適用前に開始した所有権移転外ファイナンス・リースで賃貸借処理を続けているものは、新基準の適用後も同じ処理を継続できます(リースに関する会計基準の適用指針 第114項)。このリースに係る使用権資産の減損は、従来どおり未経過リース料の現在価値を帳簿価額とみなして判定し、配分された減損損失は、重要性がある場合には負債の部に使用権資産減損勘定等適切な科目で計上します。負債はリース契約の残存期間にわたり定額法で取り崩し、支払リース料と相殺します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第60項、企業会計基準第35号 第2項)。

つまり、仕組みは旧基準の定めを引き継いでおり(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143-7項)、主な違いは、対象が企業会計基準第13号の適用前に開始したリースに限られ、用語が「リース資産」から「使用権資産」に置き換わった点です。科目名を「使用権資産減損勘定」に揃えるかどうかは、基準が「等適切な科目」としているため、注記や勘定科目体系との整合を見て判断することになります。

関連コラム新リース会計基準の経過措置:旧基準ファイナンス・リースの実務対応▸

2類型の移行時の扱いの比較

重要性が乏しいとして
賃貸借処理していたリース
企業会計基準第13号の
適用前に開始したリース
前事業年度末の負債は、定額法で取り崩して支払リース料と相殺する処理を継続できる(企業会計基準第35号 第4項) 賃貸借処理の継続が認められ、減損損失は使用権資産減損勘定等で負債計上する(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第60項)
賃貸借処理の継続は、累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する方法を選んだ場合に可能(リースに関する会計基準の適用指針 第122項) 賃貸借処理を続ける旨と1993年基準で必要とされていた事項の注記が必要(リースに関する会計基準の適用指針 第114項)

関連コラム新リース会計基準の適用時期と経過措置を徹底解説▸

移行前に確認しておきたい実務のチェックポイント

リース資産減損勘定は残高が小さく、決算のたびに機械的に取り崩されているだけになりがちです。新基準の適用初年度の前事業年度末までに、次の点を確認しておくと移行作業が滑らかになります。

  1. 残高のあるリース資産減損勘定を、リース契約ごとに「重要性が乏しいリース」と「企業会計基準第13号の適用前に開始したリース」に分類する
  2. 各契約の残存期間と月次の取崩額を確認し、適用初年度の前事業年度末の残高を確定する
  3. 経過措置で累積的影響額を期首の利益剰余金に加減する方法を選ぶかどうかを決め、賃貸借処理と負債の取崩しを継続するリースを特定する
  4. 継続しないリースについて、残高の処理方針を監査人と協議する
  5. 注記の対象となるリースについて、取崩額・期末残高を集計できる管理表を整える

なお、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針は、リース会計基準の公表に伴う2024年の改正に続き、期中財務諸表に関する会計基準の公表に伴う2025年の改正も行われています(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第65項)。減損の検討時期によっては、期中会計期間の減損処理の扱いもあわせて確認してください。

まとめ

リース資産減損勘定は、賃貸借処理のリースに配分した減損損失を負債として計上し、残存期間にわたって支払リース料と相殺していく科目です。判定では未経過リース料の現在価値をみなし帳簿価額とし、将来の支払リース料をキャッシュ・アウト・フローに含めない点がポイントになります。

企業会計基準第34号の適用後も、重要性が乏しいリースで計上済みの負債は取崩しを継続でき、企業会計基準第13号の適用前に開始したリースは使用権資産減損勘定等として同じ仕組みが残ります。どちらの経過措置を使うかは、利益剰余金への影響や注記の負担も含めて判断が分かれるところです。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

リース資産減損勘定は資産のマイナスですか、負債ですか。

負債です。リース資産に配分された減損損失に対応する負債と定義されています(リースに関する会計基準の適用指針 参考1.(2)③)。賃貸借処理のリースは資産が計上されていないため、減損損失を負債として計上します(固定資産の減損に係る会計基準 注解(注12)2.)。

リース資産減損勘定の取崩額は特別利益に計上しますか。

特別利益には計上せず、各事業年度の支払リース料と相殺します。減損損失の戻入れを行わないという考え方に準じた取扱いです(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第143項)。

減損の判定で将来の支払リース料はキャッシュ・アウト・フローに含めますか。

未経過リース料の現在価値をみなし帳簿価額とする場合、比較する将来キャッシュ・アウト・フローには将来の支払リース料を含めません(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第61項)。

新リース会計基準の適用初年度に、残っているリース資産減損勘定を一括で取り崩す必要がありますか。

重要性が乏しいとして賃貸借処理していたリースの負債は、残存期間にわたって定額法で取り崩し、支払リース料と相殺する処理を継続することができます(企業会計基準第35号 第4項、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第65-2項)。継続しない場合の扱いは個別に整理が必要です。

企業会計基準第13号の適用前に開始したリースの減損は、新基準でどの科目を使いますか。

重要性がある場合には、負債の部に使用権資産減損勘定等適切な科目で計上し、残存期間にわたり定額法で取り崩します(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第60項)。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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