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財務会計

グローバル・ミニマム課税の会計処理|実務対応報告第46号と税効果

目次
  1. グローバル・ミニマム課税の会計処理の全体像
  2. 制度の枠組みと各ルールの適用状況
  3. 対象となる多国籍企業グループの範囲
  4. IIR・UTPR・QDMTTの適用状況
  5. 国際最低課税額に係る法人税等の会計処理
  6. 見積りと差額の取扱い
  7. 損益計算書・貸借対照表の表示区分
  8. 四半期・中間財務諸表における当面の取扱い
  9. 実務対応報告第44号による税効果会計の特例
  10. 必要な注記の整理と法人税等会計基準の改正
  11. 実務対応の進め方
  12. 実務上の落とし穴
  13. まとめ
  14. 参考文献
  15. よくある質問
  16. 自社が対象になるかどうかは何を基準に判定しますか
  17. 連結と個別で損益計算書の表示は異なりますか
  18. グローバル・ミニマム課税について税効果会計は適用しますか
  19. 見積額と確定額に差額が生じた場合、過去の財務諸表を修正しますか
  20. 四半期・中間財務諸表でも計上が必要ですか

グローバル・ミニマム課税の会計処理は、対象会計年度となる連結会計年度および事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的な金額を見積り、損益に計上するのが基本形です。日本基準では、企業会計基準委員会の実務対応報告第46号 グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(以下、実務対応報告第46号)が当期税金の取扱いを、実務対応報告第44号 グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い(以下、実務対応報告第44号)が税効果会計の取扱いを、それぞれ定めています。

この2本は位置づけが異なります。実務対応報告第46号は当期税金の会計処理と開示について、企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(以下、法人税等会計基準)に優先する具体的な取扱いを定めるものです(実務対応報告第46号 第8項)。一方、実務対応報告第44号は税効果会計についての特例的な取扱いであり、企業会計基準適用指針第28号 税効果会計に係る会計基準の適用指針(以下、税効果適用指針)の定めにかかわらず適用されます(実務対応報告第44号 第3項)。連結決算では、追加で課される税額を通常の法人税等と同じ区分にまとめたうえで、金額が重要なときに注記で切り出す、という設計になっています。

本記事では、公認会計士事務所プライムパートナーズ/株式会社プライムパートナーズコンサルティングの実務視点から、対象判定・損益計算書と貸借対照表の表示区分・税効果会計の特例・必要な注記までを、条項番号とともに整理します。

グローバル・ミニマム課税の会計処理の全体像

グローバル・ミニマム課税は、一定の要件を満たす多国籍企業グループ等の国別の利益に対して最低15%の法人税を負担させることを目的とした制度です。国別に算定された実効税率が基準税率である15%を下回る場合に、国別に集計された純所得に対して基準税率に至るまでの税額を、親会社等がその所在地国の税務当局へ支払います(実務対応報告第46号 BC1項)。(参考:企業会計基準委員会 実務対応報告第46号 グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い)

ここが会計上の論点になる理由は明確です。課税の源泉となる純所得が生じる企業と、納税義務が生じる企業が一致しないという、従来の法人税等にはない構造を持つためです(実務対応報告第46号 BC1項)。そのため、いつ・どの区分に計上するのか、税効果会計をどう扱うのかが、既存の会計基準だけでは読み取れない状態にありました。

実務上は、次の役割分担で押さえると整理が早くなります。当期税金の計上時期・見積り・表示・注記は実務対応報告第46号、繰延税金資産および繰延税金負債の扱いは実務対応報告第44号です。表示科目の考え方そのものは法人税等会計基準に従います。

関連コラム法人税等会計基準(第27号)|会計処理と表示区分の実務▸

制度の枠組みと各ルールの適用状況

対象となる多国籍企業グループの範囲

グローバル・ミニマム課税制度の課税の範囲は、多国籍企業グループ等のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるもの等とされています(実務対応報告第44号 第8項)。(参考:企業会計基準委員会 実務対応報告第44号 グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い)

ここでいう対象会計年度とは、多国籍企業グループ等の最終親会社等の連結等財務諸表の作成に係る期間をいいます(実務対応報告第46号 第5項)。単年度の売上規模だけで判断すると誤りやすく、直前4年のうち2年以上という基準期間の考え方を外さないことが重要です。

もうひとつの落とし穴が、実効税率の見方です。国別実効税率は各国の税額控除等を反映した後の税率であるため、その国の法定実効税率が15%以上であっても、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が課されることがあります(実務対応報告第46号 BC3項(1))。法定実効税率の一覧だけで対象外と判断することはできません。

IIR・UTPR・QDMTTの適用状況

国際的に合意されたグローバル・ミニマム課税のルールには、所得合算ルール(IIR)、軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)があります(実務対応報告第44号 第7-2項)。日本ではこれらが段階的に法制化されてきたため、ルールごとに適用時期が異なります。

所得合算ルール(IIR)に係る取扱いは、2023年3月28日に成立した所得税法等の一部を改正する法律において定められ、2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されています(実務対応報告第44号 第6項、実務対応報告第46号 BC1項)。残る軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)は、令和7年度税制改正において、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税および各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税として創設され、2026年4月1日(令和8年4月1日)以後に開始する対象会計年度から適用されています(令和7年改正法 附則第13条)。国税庁 グローバル・ミニマム課税関係

所得合算ルール
(IIR)
2024年4月1日以後開始する対象会計年度から適用されています。国際最低課税額に対する法人税として法制化されました。
軽課税所得ルール
(UTPR)
2026年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用されています。国際最低課税残余額に対する法人税として法制化されました。
国内ミニマム課税
(QDMTT)
2026年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用されています。国内最低課税額に対する法人税として法制化されました。

3月決算の企業では、軽課税所得ルールおよび国内ミニマム課税の最初の対象会計年度が2026年4月1日に開始しており、現在進行中です。12月決算の企業では2027年1月1日開始の対象会計年度が最初となります。連結決算の実務では、所得合算ルールへの対応が一巡した企業であっても、追加された2つのルールに対応する情報収集の範囲を見直す必要があります。

国際最低課税額に係る法人税等の会計処理

グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、対象会計年度となる連結会計年度および事業年度において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積り、損益に計上します(実務対応報告第46号 第6項)。

連結財務諸表で当該対象会計年度に計上する理由は、税金等調整前当期純利益とグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を含めた法人税、住民税及び事業税等との対応を図るためです(実務対応報告第46号 BC6項)。個別財務諸表においては、親会社等の所得に対する税に直接的には該当しないものの、納税義務を生じさせる事象が対象会計年度となる当事業年度において生じていることが計上根拠とされています(実務対応報告第46号 BC7項)。

制度の設計を金額の面から見ると、子会社等の所在地国で計上される法人税等と、親会社等で計上されるグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の合計が、連結財務諸表における税金等調整前当期純利益に対する基準税率15%に相当する法人税等となる構造です(実務対応報告第46号 BC18項)。

連結上の法人税等 = 子会社等の所在地国の税率に基づく法人税等 + 基準税率15%と子会社等の所在地国の税率との差に基づく法人税等

見積りと差額の取扱い

見積計上が前提とされているのは、申告および納付の期限が通常の法人税等より大幅に後ろ倒しになっているためです。グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等については、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月、当該制度に関する申告書を最初に提出すべき場合には1年6か月以内に申告書を提出し、当該申告期限までに納付することが求められています(実務対応報告第46号 BC2項)。決算時点で確定額が判明していないことが常態である、という前提に立った設計です。

また、国別実効税率の算定の基礎となる調整後対象租税額は、会計上の法人税、住民税及び事業税等ならびに法人税等調整額の合計額に一定の調整を加えて算定されます(実務対応報告第46号 BC4項(2))。国別に切り分けた情報と、各構成会社等の所在地国の税制の理解が必要になるため、経理部門だけで完結しにくい点が実務上の負担になります。

気になるのが、翌年度の見積額や確定額との差額の扱いです。この点、各事業年度において財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的な金額を見積っている限り、当該差額は誤謬にはあたらず、当期の損益として処理することになると考えられています。差額に重要性がある場合には、会計上の見積りの変更として企業会計基準第24号 第18項の定めに従い注記を行うこととなります(実務対応報告第46号 BC11項)。

損益計算書・貸借対照表の表示区分

連結損益計算書においては、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示します(実務対応報告第46号 第9項、法人税等会計基準 第2項なお書きおよび第9項)。(参考:企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準)

ここは誤解が生じやすい部分です。連結損益計算書では区分掲記は求められておらず、金額が重要な場合に当該金額を注記するという組み合わせが採用されています(実務対応報告第46号 第10項)。グループの利益に対する課税額という点では他の法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)と同様である一方、他の法人税等より不確実性が高いことから、注記により有用な情報が提供されると整理されました(実務対応報告第46号 BC21項、BC23項)。

これに対して個別損益計算書では、区分掲記か注記かの選択になります。「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目の次にその内容を示す科目をもって区分して表示するか、当該科目に含めて表示したうえで金額を注記します(実務対応報告第46号 第11項)。ただし金額の重要性が乏しい場合には、含めて表示することができ、この場合は注記を要しません(実務対応報告第46号 第12項)。

貸借対照表では、支払期限の長さが表示区分に直結します。グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものは、法人税等会計基準 第11項の定めにかかわらず固定負債の区分に「長期未払法人税等」などその内容を示す科目をもって表示します(実務対応報告第46号 第8項)。申告期限が1年3か月または1年6か月以内であることを踏まえた取扱いです(実務対応報告第46号 BC15項、BC16項)。

連結損益計算書 「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示し、金額が重要な場合に当該金額を注記します(第9項、第10項)。
個別損益計算書 当該科目の次に区分して表示するか、含めて表示し金額を注記します。重要性が乏しい場合は含めて表示でき、注記は不要です(第11項、第12項)。
貸借対照表 支払期限が1年を超えるものは固定負債の区分に「長期未払法人税等」などの科目で表示します(第8項)。
四半期・中間
財務諸表
当面の間、計上しないことができます。適用する場合はその旨を注記します(第7項、第13項)。

四半期・中間財務諸表における当面の取扱い

四半期連結財務諸表および四半期個別財務諸表ならびに中間連結財務諸表および中間個別財務諸表においては、第6項の定めにかかわらず、当面の間、当該期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができます(実務対応報告第46号 第7項)。対象会計年度の年間の利益や税額控除等を用いて対象範囲の判定と見積りを行う制度であるため、期中の利益等に基づいて年度と同様の方法で計算することが困難な場合があるためです(実務対応報告第46号 BC12項)。

この取扱いを適用するときは、その旨を注記します(実務対応報告第46号 第13項)。なお、この注記の定めは第14項の定めにかかわらず、2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されています(実務対応報告第46号 第15項)。前年度に当該法人税等を計上していたかどうかにかかわらず注記が求められる点に注意が必要です(実務対応報告第46号 BC30項)。

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実務対応報告第44号による税効果会計の特例

グローバル・ミニマム課税制度をめぐる会計処理でもっとも問い合わせが多いのが、税効果会計の扱いです。結論は明快で、企業会計基準委員会が本実務対応報告の適用を終了するまでの間、連結会計年度および事業年度の決算における税効果会計の適用にあたっては、税効果適用指針の定めにかかわらず、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないこととされています(実務対応報告第44号 第3項)。この取扱いは四半期財務諸表および中間財務諸表においても適用されます(実務対応報告第44号 第3-2項)。

理由は2点あります。第一に、上乗せ税額は課税の源泉となる純所得が生じる企業と納税義務が生じる企業が相違するため、現行の枠組みで税効果会計を適用すべきか否かが税効果会計基準および税効果適用指針において明らかではないこと。第二に、仮に適用する場合でも、既存の繰延税金資産および繰延税金負債の見直しの要否、使用する税率への影響、追加的な一時差異の認識の要否が明らかではないことです(実務対応報告第44号 第10項、第11項)。

実務で見落とされやすいのが、この特例が選択適用ではないという点です。原則的な取扱いの適用を認めることについて懸念があるとの意見を踏まえ、特例的な取扱いを一律に適用することとされました(実務対応報告第44号 第14項)。「影響を反映してもよい」ではなく「反映しない」であり、独自に織り込むことはできません。

適用範囲 税効果会計基準が適用される連結財務諸表および個別財務諸表に適用します。制度の適用が見込まれるか否かの判断は企業に求められません(第2項、第8項)。
会計処理 税効果適用指針の定めにかかわらず、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しません(第3項)。
選択の可否 選択適用ではなく、特例的な取扱いを一律に適用します(第14項)。
適用期間 企業会計基準委員会が本実務対応報告の適用を終了するまでの間とされています(第3項、第15項)。
注記 本実務対応報告を適用した旨の注記は求められていません(第16項)。

改正の経緯も押さえておきましょう。実務対応報告第44号は2023年3月31日に公表され、2024年3月22日に改正されています(実務対応報告第44号 第4項、第4-2項)。当初は所得合算ルール(IIR)に係る取扱いを定めた法改正への対応でしたが、2024年改正により、当時は今後の法制化が予定されていた軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)等の取扱いも含めて、影響を反映しない取扱いを継続することとされました(実務対応報告第44号 第15-5項)。この改正に伴い、名称も現在のものへ変更されています。軽課税所得ルールおよび国内ミニマム課税はその後の令和7年度税制改正で法制化されたため、現在は3つのルールすべてがこの特例の対象に含まれています。2023年公表分・2024年改正分ともに公表日以後適用であり、いずれもすでに適用されています。

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必要な注記の整理と法人税等会計基準の改正

グローバル・ミニマム課税に関して求められる注記は、次の3つに集約されます。第一に、連結損益計算書において当該法人税等が重要な場合の金額の注記(実務対応報告第46号 第10項)。第二に、個別損益計算書で区分掲記せず含めて表示した場合の金額の注記(実務対応報告第46号 第11項)。第三に、四半期・中間財務諸表で計上しない取扱いを適用した場合のその旨の注記(実務対応報告第46号 第13項)です。

これに加えて、見積額の変更による差額に重要性がある場合には、会計上の見積りの変更として企業会計基準第24号 第18項に従った注記が必要になります(実務対応報告第46号 BC11項)。一方で、税効果会計に関しては実務対応報告第44号を適用した旨の注記は求められていません(実務対応報告第44号 第16項)。求められていない注記まで機械的に付す必要はありません。

表示区分の土台となる法人税等会計基準は、複数回の改正を経ています。2017年3月16日の公表後、2022年10月28日、2025年3月11日と改正され、2026年7月7日の最終改正では、適用対象となる税金を原則的な定めによって特定する方法へ見直され、名称も法人税等に関する会計基準へ改められました。この2026年改正会計基準は2028年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用され、公表日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からの早期適用が認められています(法人税等に関する会計基準 第20-7項)。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税等に関する会計基準

実務対応報告第46号の表示科目に関する記述も、法人税等会計基準の改正に合わせて2度修正されています。2025年改正では第9項・第11項・第12項が「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目という表現へ改められ、2026年改正では同じ3つの項が「法人税等、住民税及び事業税」など適切な科目という表現へ見直されました。ただし2026年改正に伴う修正の適用は2026年改正会計基準を適用する年度からであり、早期適用しない企業では引き続き現行の科目名で表示します。適用初年度の準備を検討する際は、どちらの版に基づく開示なのかを社内で明確にしておくことをおすすめします。

実務対応の進め方

連結決算でグローバル・ミニマム課税に対応する場合、次の順序で進めると手戻りが少なくなります。実務では、対象判定の段階で税務部門と経理部門の役割分担を決めておくことが効きます。

  1. 対象判定を行います。直前4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるかを確認します(実務対応報告第44号 第8項)。
  2. 国別の情報収集体制を整えます。恒久的施設等および共同支配会社等・被少数保有構成会社等・各種投資会社等に関する国別の情報が必要になります(実務対応報告第46号 BC3項(2))。
  3. 個別計算所得等の金額と調整後対象租税額を算定します。当期純損益金額への調整項目や、支払時期に応じた調整が求められます(実務対応報告第46号 BC4項)。
  4. 入手可能な情報に基づき合理的な金額を見積り、損益に計上します(実務対応報告第46号 第6項)。
  5. 連結・個別それぞれの表示区分と注記を決定し、貸借対照表の流動・固定の区分を確認します(実務対応報告第46号 第8項から第12項)。

グループ通算制度を適用している企業では、実務対応報告第42号 グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱いと実務対応報告第46号の双方が、法人税等会計基準に優先する具体的な取扱いとして並行して適用される点にも留意が必要です(法人税等会計基準 第3項、2026年改正会計基準 第3-2項)。

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実務上の落とし穴

  • 法定実効税率だけで対象外と判断してしまう。国別実効税率は各国の税額控除等を反映した後の税率であるため、法定実効税率が15%以上の国でも課税されることがあります(実務対応報告第46号 BC3項(1))。
  • 確定額が出るまで計上を待ってしまう。申告期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月または1年6か月以内であり、決算時点では確定しないことを前提に見積計上します(実務対応報告第46号 BC2項、第6項)。
  • 未払額をすべて流動負債に計上してしまう。支払期限が1年を超えるものは固定負債の区分に表示します(実務対応報告第46号 第8項)。
  • 税効果に独自の見積りを織り込んでしまう。特例は一律適用であり、制度の影響は反映しません(実務対応報告第44号 第3項、第14項)。
  • 連結で区分掲記してしまう。連結損益計算書では適切な科目に含めて表示し、重要な場合に金額を注記します(実務対応報告第46号 第9項、第10項)。

まとめ

グローバル・ミニマム課税の会計処理は、対象会計年度に入手可能な情報で合理的に見積り損益に計上する当期税金の論点(実務対応報告第46号 第6項)と、制度の影響を税効果会計に反映しない特例(実務対応報告第44号 第3項)の2階建てで理解すると整理できます。表示は、連結では適切な科目に含めて重要な場合に注記、個別では区分掲記または注記、貸借対照表では支払期限に応じて流動・固定を分けるのが要点です。

所得合算ルールは2024年4月1日以後開始する対象会計年度から、軽課税所得ルールおよび国内ミニマム課税は2026年4月1日以後に開始する対象会計年度から、それぞれ適用されています。対象判定や注記文案の作成は、グループの構成や決算期によって前提が変わるため、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

自社が対象になるかどうかは何を基準に判定しますか

グローバル・ミニマム課税制度の課税の範囲は、多国籍企業グループ等のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるもの等とされています(実務対応報告第44号 第8項)。なお、国別実効税率は各国の税額控除等を反映した後の税率であるため、その国の法定実効税率が15%以上であっても課税されることがあり、法定実効税率だけでの判断はできません(実務対応報告第46号 BC3項(1))。

連結と個別で損益計算書の表示は異なりますか

異なります。連結損益計算書では「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示し、金額が重要な場合に当該金額を注記します(実務対応報告第46号 第9項、第10項)。個別損益計算書では、当該科目の次にその内容を示す科目をもって区分して表示するか、含めて表示して金額を注記します。金額の重要性が乏しい場合は含めて表示することができ、注記は要しません(実務対応報告第46号 第11項、第12項)。

グローバル・ミニマム課税について税効果会計は適用しますか

企業会計基準委員会が実務対応報告第44号の適用を終了するまでの間、税効果適用指針の定めにかかわらず、グローバル・ミニマム課税制度の影響を反映しないこととされています(実務対応報告第44号 第3項)。この取扱いは選択適用ではなく一律に適用され(実務対応報告第44号 第14項)、四半期財務諸表および中間財務諸表においても適用されます(実務対応報告第44号 第3-2項)。

見積額と確定額に差額が生じた場合、過去の財務諸表を修正しますか

各事業年度において財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき当該法人税等の合理的な金額を見積っている限り、当該差額は誤謬にはあたらず、当期の損益として処理することになると考えられています。差額に重要性がある場合には、会計上の見積りの変更として企業会計基準第24号 第18項の定めに従い注記を行うこととなります(実務対応報告第46号 BC11項)。

四半期・中間財務諸表でも計上が必要ですか

四半期財務諸表および中間財務諸表においては、当面の間、当該期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができます(実務対応報告第46号 第7項)。この取扱いを適用するときは、その旨を注記します(実務対応報告第46号 第13項)。この注記の定めは2025年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されています(実務対応報告第46号 第15項)。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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