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財務会計

1株当たり当期純利益の株式用語と定義を徹底解説

目次
  1. 普通株式と種類株式の定義と実務上の分類
  2. 普通株式と普通株主の基本概念
  3. 配当優先株式と優先配当の取り扱い
  4. 普通株式と異なる配当請求権を持つ株式
  5. 潜在株式・ワラント・転換証券の定義
  6. 潜在株式とワラントの性質
  7. 転換証券の分類と要件
  8. 条件付発行可能普通株式と潜在株式
  9. 会計基準における用語定義の背景と根拠
  10. 混合株式を配当優先株式に含める理由
  11. ワラントを売建コール・オプションとする理論的背景
  12. 転換証券を一括法に限定する理由
  13. 資金調達手法別・潜在株式の分類ケーススタディ
  14. 行使条件付き新株予約権の分類実務
  15. 一括法による新株予約権付社債の処理
  16. 区分法による新株予約権付社債の処理
  17. まとめ
  18. 1株当たり当期純利益の株式用語に関するよくある質問まとめ

EPS(1株当たり当期純利益)の算定において、株式の正確な分類は不可欠です。本記事では、「1株当たり当期純利益に関する会計基準」および「同適用指針」に基づき、普通株式や潜在株式などの用語定義から実務上のケーススタディまで、詳細に解説いたします。

普通株式と種類株式の定義と実務上の分類

普通株式と普通株主の基本概念

普通株式とは、株主としての権利内容に制限のない標準的な株式を指します。具体的には、保有する株式数に応じて剰余金の配当を受け取る配当請求権、会社清算時に残余財産の分配を受ける残余財産分配請求権、および株主総会における議決権を有する株式です。また、この普通株式を保有する投資家を普通株主と呼びます。

権利の種類 内容
配当請求権 株式数に応じて剰余金の配当を受ける権利
残余財産分配請求権 会社清算時に残余財産の分配を受ける権利
議決権 株主総会において議案に対する賛否を示す権利

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第5項、第6項、第40項

配当優先株式と優先配当の取り扱い

配当優先株式とは、普通株式よりも優先的に剰余金の配当を受ける権利が認められている株式です。この株式に対して支払われる優先的な配当のうち、当期の事業成果である留保利益から支払われる金額に限定して、優先配当と定義されています。

用語 定義
配当優先株式 普通株式よりも剰余金の配当を優先的に受ける権利を持つ株式
優先配当 配当優先株式への配当のうち、当期の留保利益から行われるもの

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第7項、第8項

普通株式と異なる配当請求権を持つ株式

適用指針では、普通株式より配当が優先されないものの、あらかじめ定められた算定方法により配当額が決定される株式を「優先的ではないが異なる配当請求権を有する株式」と定義しています。非参加型の子会社連動株式(トラッキング・ストック)や非転換型の配当劣後株式(後配株式)などが該当します。

具体例 株式の特徴
子会社連動株式 特定の子会社の業績に連動して配当額が決定される非参加型の株式
配当劣後株式 普通株式よりも配当を受ける順位が劣後する非転換型の株式

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針 第3項、第6項

潜在株式・ワラント・転換証券の定義

潜在株式とワラントの性質

将来的に普通株式を取得できる権利を持つ証券を潜在株式と呼びます。普通株式を取得する権利、転換請求権、またはそれに準ずる権利が付された証券や契約が該当します。その代表例であるワラントは、普通株式を取得できる権利そのものであり、新株予約権などがこれに分類されます。

証券の種類 定義と具体例
潜在株式 普通株式を取得・転換できる権利が付帯する証券(ワラント、転換証券など)
ワラント 普通株式を取得できる権利またはそれに準じる権利(新株予約権など)

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第9項、第10項

転換証券の分類と要件

転換証券とは、普通株式への転換請求権が付された金融負債(転換負債)や、普通株式以外の株式(転換株式)を指します。実務上よく見られる新株予約権付社債や、一定の取得請求権付株式などがこの転換証券に分類されます。

転換証券の区分 具体例
転換負債 新株予約権付社債など、転換請求権が付された金融負債
転換株式 取得請求権付株式など、普通株式に転換可能な普通株式以外の株式

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第11項

条件付発行可能普通株式と潜在株式

単なる時間の経過ではなく、特定の条件を満たした場合にのみ発行される証券に関する定義です。特定の条件成就により普通株式が発行されるものを条件付発行可能普通株式、潜在株式が発行されるものを条件付発行可能潜在株式と呼びます。例えば、「3年後に営業利益が50億円を超過した場合」といった行使制限条項が付された新株予約権が該当します。

用語 発行される証券
条件付発行可能普通株式 特定の条件を満たした場合に発行される普通株式
条件付発行可能潜在株式 特定の条件を満たした場合に発行される潜在株式(行使制限付新株予約権など)

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針 第3項、第4項、第5項

会計基準における用語定義の背景と根拠

混合株式を配当優先株式に含める理由

配当請求権は普通株式より優先する一方で、残余財産分配請求権は劣後するような混合株式も、本基準では配当優先株式に含まれます。1株当たり当期純利益は「当期の経営成果の分配」を測定する指標であるため、会社清算時の残余財産の優先順位にかかわらず、配当が優先されるという事実を重視して分類することが合理的とされています。

混合株式の権利 普通株式との比較
配当請求権 優先する
残余財産分配請求権 劣後する

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第41項

ワラントを売建コール・オプションとする理論的背景

ワラントは、発行会社側から見ると「普通株式を対象とした売建コール・オプション」という性格を持ちます。この理論的背景により、潜在株式調整後1株当たり当期純利益を計算する際、権利行使時の払込金を用いて会社が市場から自社株を買い戻したと仮定する自己株式方式を採用することが正当化されています。

視点 ワラントの性格づけ
発行会社の立場 普通株式を対象とした売建コール・オプション
EPS算定への影響 自己株式方式(自社株の買い戻しを仮定)の採用根拠となる

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第42項

転換証券を一括法に限定する理由

本基準において転換証券として扱われるのは、負債部分と転換請求権部分を区分せずに一体として処理する一括法を採用した場合に限定されます。もし区分法を採用して別々に処理した場合、転換請求権部分は独立したオプションとしてワラントと同様に扱われます。これにより、一括法の場合は転換仮定方式、区分法の場合は自己株式方式という算定手法の整合性が保たれています。

会計処理方法 EPS算定における取り扱い
一括法(一体処理) 転換証券として扱い「転換仮定方式」を適用
区分法(分離処理) 転換請求権をワラントとして扱い「自己株式方式」を適用

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第43項

資金調達手法別・潜在株式の分類ケーススタディ

行使条件付き新株予約権の分類実務

役員へのインセンティブとして「3年後に営業利益が50億円を超過した場合のみ行使可能」という条件付き新株予約権を付与したケースです。これは単なるワラントではなく、業績という特定の条件が付されているため条件付発行可能潜在株式に分類されます。期末時点で営業利益50億円という条件を満たしているか否かが、EPSの希薄化計算に含めるかどうかの判定基準となります。

証券の特徴 分類結果
業績条件なしの新株予約権 ワラント(潜在株式)
営業利益50億円超過で行使可能な新株予約権 条件付発行可能潜在株式

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第10項、同適用指針 第5項

一括法による新株予約権付社債の処理

投資家に対して新株予約権付社債を発行し、社債部分と新株予約権部分を分けずに一体として負債計上する一括法を採用したケースです。この場合、証券全体が転換証券(転換負債)として分類されます。調整後EPSの算定では、期首にすべて転換されたとみなして支払利息等を足し戻す転換仮定方式が適用され、利益と株式数の両面から調整が行われます。

前提条件 EPS算定の実務処理
会計処理 一括法(負債として一体処理)
適用される算定方式 転換仮定方式(期首転換とみなし支払利息を足し戻す)

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第11項、第43項

区分法による新株予約権付社債の処理

前述の新株予約権付社債について、社債部分(金融負債)と新株予約権部分(純資産)を厳密に区分して処理する区分法を採用したケースです。この処理では、新株予約権部分は転換証券から除外され、独立したワラントとして分類されます。その結果、調整後EPSの算定においては転換仮定方式ではなく、ワラントの権利行使による払込金で自社株を買い戻したと仮定する自己株式方式が適用されます。

前提条件 EPS算定の実務処理
会計処理 区分法(負債と純資産に分離)
適用される算定方式 自己株式方式(払込金による自社株買い戻しを仮定)

参考:1株当たり当期純利益に関する会計基準 第43項

まとめ

1株当たり当期純利益(EPS)の算定において、普通株式や潜在株式の正確な定義と分類は、適切な会計処理の基盤となります。特に、配当優先株式の判定や、新株予約権付社債における一括法・区分法の選択は、適用される算定方式(自己株式方式や転換仮定方式)に直結するため、実務上極めて重要です。各証券の権利内容や付帯条件を正確に把握し、会計基準および適用指針に基づいた厳密な分類を行うことが求められます。

1株当たり当期純利益の株式用語に関するよくある質問まとめ

Q.普通株式とは何ですか?

A.普通株式とは、株主としての権利内容に制限のない標準となる株式を指します。配当請求権、残余財産分配請求権、および議決権を有します(1株当たり当期純利益に関する会計基準 第5項、第40項)。

Q.優先配当の定義を教えてください。

A.配当優先株式に対して行われる優先的な剰余金の配当のうち、当期の事業成果である留保利益から支払われる金額に限定されたものを優先配当と呼びます(1株当たり当期純利益に関する会計基準 第8項)。

Q.潜在株式にはどのようなものが含まれますか?

A.潜在株式とは、将来的に普通株式を取得できる権利等が付された証券です。代表例として、ワラント(新株予約権)や転換証券(新株予約権付社債など)が含まれます(1株当たり当期純利益に関する会計基準 第9項)。

Q.条件付発行可能潜在株式とは何ですか?

A.単なる時間の経過ではなく、業績目標の達成など特定の条件を満たした場合にのみ発行される潜在株式です。行使制限条項が付された新株予約権などが該当します(1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針 第5項)。

Q.ワラントのEPS算定において自己株式方式が採用される理由は何ですか?

A.ワラントは発行会社から見て「普通株式を対象とした売建コール・オプション」という性格を持つため、権利行使時の払込金で市場から自社株を買い戻したと仮定する自己株式方式が採用されます(1株当たり当期純利益に関する会計基準 第42項)。

Q.新株予約権付社債のEPS算定方法は会計処理によって変わりますか?

A.はい、変わります。一括法を採用した場合は転換証券として「転換仮定方式」が適用され、区分法を採用した場合は新株予約権部分が独立したワラントとして扱われ「自己株式方式」が適用されます(1株当たり当期純利益に関する会計基準 第43項)。

実際の会計処理は個別事情によって判断が分かれます。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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