03-6773-5062

受付時間 平日 10:00〜18:00

お問い合わせ フォームは24時間受付
財務会計

税効果会計の全体像と実務対応を徹底解説!基準と仕訳の基礎

目次
  1. 税効果会計の目的と適用範囲
  2. 目的と背景
  3. 適用範囲
  4. 用語の定義と基本的な考え方
  5. 一時差異等の定義
  6. 計算に用いる税率
  7. 繰延税金資産及び負債の認識と計上
  8. 認識と計上の原則
  9. ケーススタディ(個別財務諸表での一時差異)
  10. 計算に用いる税率と税法改正の取扱い
  11. 決算日における税率の適用
  12. 税率変更に伴う修正
  13. 連結財務諸表固有の一時差異の各論
  14. 子会社の資産・負債の時価評価
  15. 未実現損益の消去
  16. 債権債務の相殺消去と貸倒引当金の修正
  17. 財務諸表における表示と注記
  18. 貸借対照表での表示
  19. 注記事項(評価性引当額の開示)
  20. まとめ
  21. 税効果会計のよくある質問まとめ

企業会計における利益と税務上の課税所得には、計算目的の違いから必ずズレが生じます。このズレを調整し、税引前当期純利益と法人税等の額を合理的に対応させるための仕組みが税効果会計です。本記事では、「税効果会計に係る会計基準」や「企業会計基準第28号」等に基づき、税効果会計の目的、繰延税金資産・負債の計上ルール、連結決算特有の処理、表示および注記方法について、具体的な金額を交えながら網羅的に解説いたします。

税効果会計の目的と適用範囲

企業会計と税務会計の違いから生じる問題を解消し、適切な期間損益計算を行うための基礎となる目的と、どの財務諸表に対して適用されるのかについて解説します。

目的と背景

企業会計上の利益(収益から費用を差し引いた額)と、税務上の課税所得(益金から損金を差し引いた額)は、それぞれ計算目的が異なるため、収益や費用の認識時点、資産や負債の評価額に差異が生じます。税効果会計を適用しない場合、課税所得をベースに計算された法人税等がそのまま費用計上されるため、税引前当期純利益と法人税等の額が対応せず、将来の税金支払額への影響が財務諸表に正しく表示されません。この問題を解決し、法人税等を適切に期間配分することで、両者を合理的に対応させることが税効果会計の最大の目的です(企業会計審議会基準 第一)。

適用範囲

税効果会計は、連結財務諸表および個別財務諸表の両方に対して適用されます(企業会計基準適用指針第28号 第2項)。また、四半期財務諸表や中間財務諸表を作成する際にも、それぞれの特有の会計基準に定められた取扱いに従いながら適用することが求められます(企業会計基準適用指針第28号 第3項)。

用語の定義と基本的な考え方

税効果会計の実務において必須となる一時差異の概念や、計算に使用する税率の考え方について整理します。

一時差異等の定義

一時差異とは、貸借対照表上の資産および負債の金額と、課税所得計算上の資産および負債の金額との差額を指します(企業会計審議会基準 第二 一 2)。

一時差異の種類 具体例と特徴
将来減算一時差異 将来解消時に課税所得を減額させる差異。例:賞与引当金400万円の損金不算入など(企業会計審議会基準 第二 一 3)
将来加算一時差異 将来解消時に課税所得を増額させる差異。例:租税特別措置法上の準備金の計上など(企業会計審議会基準 第二 一 3)

計算に用いる税率

税効果会計の計算には、法人税だけでなく、住民税や事業税等を含めた法定実効税率を使用します(企業会計基準適用指針第28号 第4項(11))。この税率は、国会等で成立している税法に基づく表面税率をベースに、事業税の損金算入効果を加味して算定されます。

繰延税金資産及び負債の認識と計上

発生した一時差異に対して、どのように繰延税金資産や繰延税金負債を認識し、計上していくべきかを解説します。

認識と計上の原則

法人税等については、一時差異に係る税金の額を適切な会計期間に配分して計上する必要があります(企業会計審議会基準 第二 一 1)。

項目 計上の原則
繰延税金資産 将来減算一時差異等について、将来の回収が見込まれない税額(評価性引当額)を控除して計上(企業会計審議会基準 第二 二 1)
繰延税金負債 将来加算一時差異等について、例外的な場合を除き原則として全額を計上(企業会計審議会基準 第二 二 1)

ケーススタディ(個別財務諸表での一時差異)

具体例として、ある企業が当期に賞与引当金を400万円計上し、税務上は全額損金不算入となったケースを考えます。法定実効税率を30%とします。この400万円は将来減算一時差異に該当します。企業が将来十分な課税所得を稼得できると見込まれる場合、400万円の30%にあたる120万円を繰延税金資産として計上し、同額を法人税等調整額(利益の増加)として処理します。翌期に賞与が支給され、税務上の損金に算入された時点で、この繰延税金資産は取り崩されます(企業会計基準適用指針第28号 第8項)。

計算に用いる税率と税法改正の取扱い

決算日においてどの税率を用いるべきか、また税法改正によって税率が変更された場合の会計処理について解説します。

決算日における税率の適用

繰延税金資産または負債は、将来差異が解消し、回収または支払が行われると見込まれる期の税率を用いて計算します(企業会計審議会基準 第二 二 2)。適用する税率は、決算日において国会で成立している税法に基づいて決定され、決算日後に成立した税法は計算に反映させません(企業会計基準適用指針第28号 第46項)。

税率変更に伴う修正

税法改正により税率が変更された場合、過年度に計上された繰延税金資産等は新たな税率で再計算しなければなりません(企業会計審議会基準 第二 二 3)。例えば、前期末に法定実効税率30%で繰延税金資産を300万円計上していた企業において、当期末に税率を25%に引き下げる税法が成立したとします。一時差異の金額1,000万円に変動がない場合、当期末の繰延税金資産は250万円となります。減少した50万円は、当期の法人税等調整額(費用の増加)として減益要因に計上します(企業会計基準適用指針第28号 第53項)。

連結財務諸表固有の一時差異の各論

連結決算特有の処理によって生じる一時差異の取り扱いについて、具体的なケースを交えて解説します。

子会社の資産・負債の時価評価

資本連結手続において、子会社の資産および負債を時価評価した際に生じた評価差額は一時差異となります。これに対して繰延税金資産または負債を計上しますが、その相手勘定は損益(法人税等調整額)ではなく、投資と資本の相殺消去時の純資産に含められ、のれんの金額に影響を与えます(企業会計審議会基準 第二 二 3)。

未実現損益の消去

親会社が原価600万円の商品を子会社に1,000万円で販売し、子会社に在庫が残っている場合、未実現利益400万円を消去します。親会社の法定実効税率が30%の場合、親会社は個別決算で利益400万円に対する税金120万円を納付済みですが、連結上は利益がなかったことになるため、この120万円は売却元である親会社の税率を用いて繰延税金資産として計上し、法人税等調整額として費用を減額します(企業会計基準適用指針第28号 第34項)。

債権債務の相殺消去と貸倒引当金の修正

連結会社間の債権債務を相殺消去した結果、個別財務諸表で計上されていた貸倒引当金を減額修正する場合、将来加算一時差異が生じます。債権者側の業績が悪化しており将来税金を納付する見込みが極めて低い場合などを除き、原則として繰延税金負債を計上する必要があります(企業会計基準適用指針第28号 第32項)。

財務諸表における表示と注記

計算された繰延税金資産および負債を財務諸表上にどのように表示し、どのような情報を注記すべきかを解説します。

貸借対照表での表示

繰延税金資産は「投資その他の資産」の区分に、繰延税金負債は「固定負債」の区分に表示します(企業会計審議会基準 第三 1)。現在では国際的基準との整合性を図り、すべて非流動項目として表示されます。また、同一納税主体の繰延税金資産と負債は、原則として相殺して表示します(企業会計基準第28号 第2項)。

注記事項(評価性引当額の開示)

財務諸表には、繰延税金資産および負債の発生原因別の主な内訳や、法定実効税率と税負担率との重要な差異の要因などを注記しなければなりません(企業会計基準第28号 第3項)。特に、繰延税金資産から控除された評価性引当額については、税務上の繰越欠損金に係るものと、将来減算一時差異に係るものに区分して記載することが求められます(企業会計基準第28号 第4項)。これは、企業の将来の税金負担額や回収可能性に関する不確実性を評価するために極めて重要な情報だからです。

まとめ

税効果会計は、企業会計上の利益と税務上の課税所得のズレを調整し、法人税等を適切に期間配分するための重要な手続きです。一時差異の正確な把握、将来の回収可能性に基づく繰延税金資産の計上、税法改正への迅速な対応、そして連結決算特有の処理など、実務上留意すべき点は多岐にわたります。また、評価性引当額の注記をはじめとする適切な開示は、財務諸表の利用者にとって企業の将来の税負担を予測する上で不可欠です。本記事で解説した基準や適用指針のルールを正しく理解し、適正な会計処理と開示を実施することが求められます。

税効果会計のよくある質問まとめ

Q.税効果会計の主な目的は何ですか?

A.企業会計上の利益と税務上の課税所得のズレを調整し、法人税等を適切に期間配分することで、税引前当期純利益と法人税等の額を合理的に対応させることです(企業会計審議会基準 第一)。

Q.将来減算一時差異とは何ですか?

A.貸借対照表上の資産・負債と課税所得計算上の資産・負債の差額のうち、将来解消する際にその期の課税所得を減額させる効果を持つものです。賞与引当金の損金不算入額などが該当します(企業会計審議会基準 第二 一 3)。

Q.繰延税金資産は全額計上できますか?

A.全額は計上できません。将来減算一時差異等のうち、将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額(評価性引当額)を控除した上で計上する必要があります(企業会計審議会基準 第二 二 1)。

Q.税法改正で税率が変わった場合どう処理しますか?

A.決算日において国会で成立している新たな税率を用いて、過年度に計上された繰延税金資産等を再計算し、その差額を当期の法人税等調整額として処理します(企業会計基準適用指針第28号 第51項)。

Q.連結決算における未実現利益の消去で生じる税効果はどう処理しますか?

A.未実現利益を消去することで将来減算一時差異が生じるため、売却元法人の法定実効税率を用いて繰延税金資産を計上し、法人税等調整額を減額します(企業会計基準適用指針第28号 第34項)。

Q.繰延税金資産は貸借対照表でどのように表示されますか?

A.繰延税金資産はすべて非流動項目として扱われ、「投資その他の資産」の区分に表示されます。また、同一納税主体の繰延税金負債とは原則として相殺して表示します(企業会計基準第28号 第2項)。

実際の会計処理は個別事情によって判断が分かれます。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

お問い合わせはこちら

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

Office

公認会計士事務所プライムパートナーズ

大手監査法人出身の公認会計士が、会計・監査・株価算定のご相談をお受けしています。

  • オフィスが入居する IsaI AkasakA のエントランス
  • 代表 公認会計士 島本 雅史
  • プライムパートナーズの会議室
事務所名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
所在地
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2-33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062(平日 10:00〜18:00)
対応責任者
公認会計士 島本 雅史