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新リース会計基準と税務の差異|法人税・税効果の実務

2026-08-23
目次

新リース会計基準(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」)では、借手はファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分によらず、原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上します(リースに関する会計基準 第33項)。一方、法人税の所得計算は会計基準の改正に自動的には連動しません。その結果、これまで賃貸借処理していたオペレーティング・リースについて、会計上の費用と税務上の損金がずれ、申告調整と税効果会計の対象となる一時差異が生じます。

本会計基準は2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用され、2025年4月1日以後開始する年度の期首から早期適用できます(リースに関する会計基準 第58項)。本稿では、会計と税務の差異がどこで生じるか、申告調整をどう組み立てるか、繰延税金資産をどこまで計上できるかを、条項と仕訳例を示しながら整理します。

会計と税務で差異が生じる構造

差異の出発点は、資産・負債を認識する範囲の違いです。会計上、借手はリース開始日に使用権資産とリース負債を計上し、その後は使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を計上します(リースに関する会計基準 第33項、第36項、第38項)。損益計算書に載る費用の名前も金額のパターンも、従来の支払リース料とは異なります。

これに対し、税務上の取扱いは法人税法の定めによります。会計上オンバランスしたからといって、税務上の資産・負債が同時に生まれるわけではありません。両者がずれる部分が、税効果会計でいう一時差異、すなわち貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額に当たります(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第4項(3))。

実務では、差異の大きさよりも「どのリースで差異が出るか」を先に押さえたほうが早く進みます。従来からファイナンス・リースとして売買処理していた契約は、会計・税務ともに資産計上しているため差異は限定的です。差異が集中するのは、これまで賃貸借処理していたオペレーティング・リース、とくに不動産賃貸借や車両・事務機器の複数年契約です。

借手の会計処理と費用の出方

リース負債は、リース開始日において未払である借手のリース料から、これに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除し、現在価値により算定します(リースに関する会計基準 第34項、リースに関する会計基準の適用指針 第19項)。現在価値の算定に用いる割引率は、貸手の計算利子率を知り得る場合は当該利率とし、知り得ない場合は借手の追加借入利子率とします(リースに関する会計基準の適用指針 第37項)。使用権資産は、このリース負債の計上額に、リース開始日までに支払った借手のリース料、付随費用及び資産除去債務に対応する除去費用を加算し、受け取ったリース・インセンティブを控除した額により計上します(リースに関する会計基準の適用指針 第18項)。

その後の費用は二本立てになります。利息相当額は借手のリース期間にわたり原則として利息法により配分し(リースに関する会計基準 第36項)、所有権が借手に移転すると認められるリース以外の使用権資産は、原則として借手のリース期間を耐用年数、残存価額をゼロとして減価償却します(リースに関する会計基準 第38項)。所有権が移転すると認められるリースでは、自己所有の固定資産と同一の方法により減価償却します(リースに関する会計基準 第37項)。

以下は自社作例です。2027年4月1日に開始する事務機器のリースで、借手のリース期間5年、年額リース料1,000千円(各期末後払い)、割引率年3パーセントとし、現在価値計算の結果、リース負債の当初計上額を4,580千円(千円未満四捨五入)とします(単位:千円)。リース開始日の仕訳は次のとおりです(リースに関する会計基準 第33項、第34項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
使用権資産 4,580 リース負債 4,580

第1年度末には、減価償却費4,580÷5年=916千円と、支払利息4,580×3パーセント=137千円(千円未満四捨五入)を計上し、リース料の支払額1,000千円との差額863千円をリース負債の元本返済として処理します(リースに関する会計基準 第36項、第38項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 916 使用権資産 916
支払利息 137 現金預金 1,000
リース負債 863

この年度の会計上の費用は916+137=1,053千円です。支払額は1,000千円ですから、費用が支払額を53千円上回っています。リース期間の前半で費用が先行し、後半で逆転するのが使用権モデルの特徴で、この前倒し分がそのまま税務との差異の源になります。

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法人税における借手の取扱い

法人税では、まず契約が税務上の「リース取引」に当たるかどうかを判定します。税務上のリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除きます)のうち、賃貸借期間の中途で解除できないもの又はこれに準ずるもので、かつ、賃借人が賃貸借に係る資産からの経済的な利益を実質的に享受することができ、その資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものをいいます(法人税法 第64条の2第3項第1号、第2号)。

費用を実質的に負担すべきこととされているかどうかの判定には、いわゆる90パーセント基準があります。解除をすることができないこととされている期間中に賃借人が支払う賃借料の合計額が、その資産の取得のために通常要する価額のおおむね100分の90に相当する金額を超える場合には、この要件に該当するものとされます(法人税法施行令 第131条の2第2項)。会計上のフルペイアウト判定とは条文も基準も別物であり、そのまま流用できません。

税務上のリース取引に当たる場合

税務上のリース取引に該当すると、そのリース取引の目的となる資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に売買があったものとして、賃貸人及び賃借人の各事業年度の所得の金額を計算します(法人税法 第64条の2第1項)。賃借人は資産を取得したものとして減価償却を行い、所有権移転外リース取引に係るリース資産については、取得価額をリース期間の月数で除し、当該事業年度におけるリース期間の月数を乗じて計算したリース期間定額法により償却限度額を計算します(法人税法施行令 第48条の2第1項第6号)。

実務で見落としやすいのは、賃借料として損金経理した金額の扱いです。売買があったものとされるリース資産につき、賃借人が賃借料その他その資産の賃借のために要する費用の額として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされます(法人税法施行令 第131条の2第3項)。従来からファイナンス・リースを売買処理してきた契約では、税務上も資産計上されているため、新会計基準の適用による差異は限定的です。

税務上のリース取引に当たらない場合

会計上オンバランスされるオペレーティング・リースの多くは、税務上のリース取引には該当しません。この場合の取扱いは、法人税法に置かれた賃貸借取引に係る費用の規定によります。内国法人が、税務上のリース取引以外の資産の賃貸借により資産の賃借を行った場合、その契約に基づき支払うこととされている金額(資産の賃借のために要する費用の額及びその資産を事業の用に供するために直接要する費用の額を含みます)のうち、当該事業年度において債務の確定した部分の金額を、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入します(法人税法 第53条第1項)。ただし、原価の額に該当するもの、固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額及び繰延資産となる費用の額は除かれます(法人税法 第53条第1項第1号、第2号)。

時期の整理が重要です。この規定は2025年4月1日から施行され、法人の施行日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されています(法人税法 附則(令和7年法律第13号)第1条、第14条)。一方、企業会計基準第34号は2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます(リースに関する会計基準 第58項)。つまり、税務側のルールが先に固まっており、会計側が後から動く形になります。会計上オンバランスしても、税務上は支払うこととされている金額の債務確定ベースで損金算入される、という関係が維持されます。

会計上の取扱い 法人税法上の取扱い
借手はすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上(リースに関する会計基準 第33項) 税務上のリース取引に当たる場合のみ引渡し時に売買があったものとして計算(法人税法 第64条の2第1項)
費用は使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用(リースに関する会計基準 第36項、第38項) 税務上のリース取引以外は、支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分を損金算入(法人税法 第53条第1項)
2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用(リースに関する会計基準 第58項) 賃貸借取引に係る費用の規定は2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用(法人税法 附則(令和7年法律第13号)第14条)

申告調整の考え方

差異が生じるリースでは、会計上の費用と税務上の損金の差額を申告書で調整します。先の作例では、第1年度の会計上の費用は減価償却費916千円と支払利息137千円の合計1,053千円、税務上の損金は債務の確定した支払額1,000千円ですから、差額53千円を所得に加算します(法人税法 第53条第1項)。翌年度以降は減価償却費が一定である一方、リース負債の元本返済が進むにつれて支払利息が逓減するため、会計上の費用は年々減少します。

その結果、リース期間の後半では会計上の費用が支払額を下回り、加算していた金額を減算していくことになります。リース期間全体を通算すれば、会計上の費用の累計と税務上の損金の累計は一致します。つまりこの差異は永久差異ではなく、必ず解消する期ズレです。この性質こそが、税効果会計の対象となる一時差異である根拠になります。

実務上の負担は、差異の計算そのものよりも管理単位にあります。使用権資産とリース負債は契約ごとに把握されますが、申告調整は事業年度単位の合計額で行います。契約数が多い企業では、リース管理台帳から会計上の費用と支払額を契約別に突合できる状態を作っておかないと、調整額の検証と監査対応に時間がかかります。適用初年度に向けて、遅くとも1年前には契約データの整備を終えておく体制が求められます。

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税効果会計の適用と繰延税金資産

一時差異とは、貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と、課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいいます(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第4項(3))。このうち、解消するときにその期の課税所得を減額する効果を持つものを将来減算一時差異、増額する効果を持つものを将来加算一時差異といいます(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第4項(4))。

使用権資産とリース負債は、この定義をそれぞれ別に当てはめて考えます。税務上は資産も負債も認識されないため、使用権資産の帳簿価額は将来加算一時差異、リース負債の帳簿価額は将来減算一時差異になります。リース開始日には両者が同額のため差引きゼロですが、その後は減価償却の進み方とリース負債の元本返済の進み方が異なるため、差額が残ります。

繰延税金資産の計上と仕訳

先の作例では、第1年度末の使用権資産の帳簿価額は4,580−916=3,664千円、リース負債の帳簿価額は4,580−863=3,717千円です。差引き53千円が純額としての将来減算一時差異となり、申告調整で加算した金額と一致します。繰延税金資産又は繰延税金負債は、一時差異等に係る税金の額から将来の会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を控除して計上します(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第7項)。法定実効税率を30パーセントとすると、53千円×30パーセント=16千円(千円未満四捨五入)の繰延税金資産を計上します(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第8項(1))。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
繰延税金資産 16 法人税等調整額 16

法定実効税率は、法人税率に地方法人税率及び住民税率を織り込んだうえで事業税率及び特別法人事業税率を加減して算定します(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第4項(11))。実務では、解消見込年度の税率で計算する点に注意が必要です。繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされ、法人税、地方法人税及び特別法人事業税に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等に規定されている税率によります(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第45項、第46項)。住民税(法人税割)及び事業税(所得割)に用いる税率については、地方税法等に基づく別の定めが置かれているため、税目ごとに確認が必要です(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第47項)。

回収可能性の判断

将来減算一時差異が生じても、繰延税金資産を自動的に全額計上できるわけではありません。回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得、及び将来加算一時差異の三つに基づいて判断します(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第6項)。繰延税金資産は、これらと相殺され税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上し、その範囲を超える額は控除しなければなりません(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第7項)。

収益力に基づいて判断する際は、要件に基づき企業を(分類1)から(分類5)に分類し、当該分類に応じて計上額を決定します(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第15項)。各分類の要件は、(分類1)が第17項、(分類2)が第19項、(分類3)が第22項、(分類4)が第26項、(分類5)が第30項に定められています。過去3年のすべての事業年度において期末の将来減算一時差異を十分に上回る課税所得が生じ、かつ近い将来に経営環境の著しい変化が見込まれない企業は(分類1)に該当し、原則として繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとされます(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第17項、第18項)。一方、課税所得が大きく増減している企業は(分類3)に該当し、将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)以内のスケジューリングの結果に基づいて計上額が決まります(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第22項、第23項)。

リースに係る一時差異は解消時期がスケジューリングしやすい部類に入ります。契約上のリース期間と償却スケジュールが決まっているため、解消見込年度を機械的に割り付けられるからです。ただし、繰延税金資産から控除すべき金額は毎期見直す必要があり(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第8項)、リース期間の変更や契約条件の変更があればスケジューリングもやり直しになります。

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表示

計上した繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示します。同一納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債は双方を相殺して表示します(企業会計基準第28号 第2項)。この表示ルールは2018年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されています(企業会計基準第28号 第6項)。リースに係る繰延税金資産だけを区分して表示するわけではなく、他の一時差異と合算されたうえで相殺後の純額が表示される点に留意します。

実務上の留意点

すべてのリースで差異が出るわけではありません。短期リースについては、会計上も使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたり原則として定額法により費用として計上することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第20項)。少額リースについても同様の簡便的な取扱いが認められており、金額の算定の基礎となる対象期間は原則として借手のリース期間とします(リースに関する会計基準の適用指針 第22項、第23項)。これらを適用したリースでは会計上も費用処理となるため、税務との差異が生じにくくなります。

また、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合には、借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法や、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額法により配分する方法を適用できます(リースに関する会計基準の適用指針 第40項)。重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過の借手のリース料の期末残高が、当該期末残高、有形固定資産の期末残高及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合をいいます(リースに関する会計基準の適用指針 第41項)。前者を選ぶと使用権資産と負債が支払総額ベースになるため、差異の出方も変わります。どの簡便的な取扱いを採用するかは、税務調整の量に直結する意思決定です。

適用初年度は、経過措置としてどの方法を選ぶかによって期首の使用権資産及びリース負債の金額が変わり、その分だけ一時差異の初期残高も変わります。会計方針の決定と税務調整の設計は同時に進めるのが実務的です。

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なお、セール・アンド・リースバック取引については、譲受人から譲渡人への賃貸を条件に資産の売買を行った場合において、資産の種類、その売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、売買はなかったものとし、譲受人から譲渡人に対する金銭の貸付けがあったものとして所得の金額を計算します(法人税法 第64条の2第2項)。通常のリースとは判定も調整も別立てになるため、該当する取引がある場合は個別に検討してください。

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まとめ

新リース会計基準では、借手は原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上し、減価償却費と利息費用を認識します(リースに関する会計基準 第33項、第36項、第38項)。一方、法人税では、税務上のリース取引に該当しない資産の賃貸借について、支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分を損金算入する取扱いが維持されています(法人税法 第53条第1項)。この構造の違いから、会計上の費用と税務上の損金にズレが生じ、申告調整が必要になります。

生じる差異はリース期間を通じて必ず解消する一時差異であり、税効果会計の対象になります。使用権資産に係る将来加算一時差異とリース負債に係る将来減算一時差異を把握し、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上します(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第7項、第8項(1)、繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第6項、第7項)。準備の要点は、契約データの整備、簡便的な取扱いの採否、そして解消スケジュールの管理体制の三つです。具体的なケースについては、公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

オペレーティング・リースをオンバランスすると法人税の所得も変わりますか。

変わりません。税務上のリース取引に該当しない資産の賃貸借については、契約に基づき支払うこととされている金額のうち当該事業年度において債務の確定した部分の金額を損金の額に算入します(法人税法 第53条第1項)。会計上の減価償却費と利息費用の合計との差額は、申告調整により加算又は減算します。

会計と税務の差異は一時差異と永久差異のどちらですか。

一時差異です。会計上の費用の累計と税務上の損金の累計はリース期間を通じて一致するため、差異は必ず解消します。一時差異とは、貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額をいいます(税効果会計に係る会計基準の適用指針 第4項(3))。

繰延税金資産はいつでも全額計上できますか。

できません。回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得、及び将来加算一時差異に基づいて判断します(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第6項)。税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上し、その範囲を超える額は控除します(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針 第7項)。

差異が生じないリースはありますか。

あります。短期リースは、使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料を借手のリース期間にわたり原則として定額法により費用として計上することができます(リースに関する会計基準の適用指針 第20項)。少額リースにも同様の簡便的な取扱いがあります(リースに関する会計基準の適用指針 第22項、第23項)。これらを適用した場合は会計上も費用処理となり、差異が生じにくくなります。

税務側と会計側で適用が始まる時期は同じですか。

異なります。賃貸借取引に係る費用の損金算入の規定は2025年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されています(法人税法 第53条第1項、同法附則(令和7年法律第13号)第14条)。これに対し、企業会計基準第34号は2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用され、2025年4月1日以後開始する年度の期首から早期適用できます(リースに関する会計基準 第58項)。

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。