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財務会計

ソフトウェア資産計上【判定表】3区分×制作段階と税務否認の修正仕訳

目次
  1. ソフトウェア資産計上の判定表
  2. 3区分×研究開発・制作段階の判定表
  3. 判定の3ステップ
  4. 区分別の勘定科目一覧
  5. 勘定科目の対象となるソフトウェアの範囲
  6. 資産計上しなかった場合の税務否認と修正仕訳
  7. 会計と税務で「費用にできる範囲」が違う点
  8. 税務で否認された場合の申告調整
  9. 会計上の修正仕訳
  10. 資産計上しなかった場合に起きること
  11. 研究開発費とは|開発費との違いと費用処理の根拠
  12. 会計基準における研究・開発の定義
  13. 研究開発費が資産計上されない理由
  14. 研究開発費の表示と総額注記
  15. 繰延資産の「開発費」との違い
  16. 自社利用ソフトウェアの資産計上の要件と範囲
  17. 資産計上の要件と具体例
  18. 資産計上の開始時点・終了時点と証憑
  19. 導入費用・データ移行費用・研修費用の扱い
  20. 自社利用ソフトウェアの仕訳例
  21. ソフトウェア仮勘定の位置づけと本勘定への振替
  22. 市場販売目的ソフトウェアの費用区分
  23. 研究開発の終了時点は「最初に製品化された製品マスター」
  24. 製品マスター完成後の費用区分
  25. バージョンアップ費用と資本的支出の判定
  26. 受注制作ソフトウェアの会計処理
  27. 受注制作ソフトウェアの仕訳例
  28. ソフトウェアの減価償却と耐用年数
  29. 区分別の償却方法と年数の早見表
  30. 自社利用|定額法・原則5年以内
  31. 市場販売目的|見込販売数量と均等配分額の下限
  32. 税務上の耐用年数との関係
  33. 制作段階ごとの費用区分と実務の判断
  34. 段階による機械的な区分は採用されていない
  35. アジャイル開発・段階的リリースでの考え方
  36. 基準の適用時期と改正の経緯
  37. まとめ
  38. 参考文献
  39. よくある質問
  40. ソフトウェア開発費用が資産か費用かはどのように判定しますか。
  41. システム開発費はどの勘定科目で処理しますか。
  42. システム開発費用の減価償却はどのように行いますか。
  43. ソフトウェアの耐用年数は何年ですか。
  44. ソフトウェア仮勘定とはどのような科目ですか。
  45. バージョンアップの費用は資産計上できますか。
  46. 要件定義フェーズの費用は資産計上できますか。
  47. アジャイル開発でも資産計上できますか。
  48. 研究開発費と繰延資産の開発費は何が違いますか。
  49. システム開発を外部ベンダーに委託した場合、勘定科目は変わりますか。
  50. 研究開発費は財務諸表への注記が必要ですか。
  51. ソフトウェアを資産計上せず費用処理すると税務で否認されますか。
  52. 過去に費用処理したソフトウェアを資産計上に直すときの仕訳はどうなりますか。

ソフトウェアを資産計上するかどうかは、支出の名目や開発工程の名称ではなく、研究開発に当たるかと、自社利用・市場販売目的・受注制作のどの区分か、そして区分ごとの資産計上の要件を満たした後の支出かの3点で決まります。研究開発に該当する部分は制作目的にかかわらず発生時の費用となり、残りの部分について区分ごとに資産計上の範囲・勘定科目・償却方法が定められています(研究開発費等に係る会計基準 三、四)。

本記事では、冒頭に3区分×制作段階の判定表を置き、続けて実務で問題になりやすい資産計上しなかった場合の税務否認と修正仕訳を示します。そのうえで、区分別の資産計上の要件、ソフトウェア仮勘定の運用、減価償却と耐用年数、バージョンアップ費用の扱いまでを、会計基準と実務指針の項番に沿って解説します。研究開発費等に係る会計基準そのものの構成(定義・費用処理・ソフトウェアの区分・注記)は別のコラムで扱っており、本記事は目の前の支出を資産にするか費用にするかを判定し、誤ったときに直すための実務編という役割分担です。なお、企業会計基準委員会の移管指針第8号を「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」、移管指針第11号を「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A」と表記します。

ソフトウェア資産計上の判定表

最初に結論を表で示します。判定は「研究開発に当たる部分を切り出す」→「制作目的の区分を決める」→「区分ごとの資産計上の要件を満たした時点の前か後か」の順に進めます。研究開発に該当する部分は、どの区分でも資産計上できません(研究開発費等に係る会計基準 三)。

3区分×研究開発・制作段階の判定表

行見出しは「制作目的の区分|段階」です。自分の支出がどの行に当たるかを探せば、資産か費用か、どの科目に計上するかがわかります。

3区分共通|
研究開発に該当する部分
費用(研究開発費)。制作目的にかかわらず資産計上できない
自社利用|
効果が確実と認められる前
費用。企画・構想や採否の検討中に発生した支出
自社利用|
確実と認められた後から完成まで
資産。ソフトウェア仮勘定に集計し、制作作業の完了時にソフトウェア(無形固定資産)へ振り替える
自社利用|
完成後の改良・強化
原則として資産。著しい改良に当たる部分は研究開発費
自社利用|
完成後の機能維持
費用。バグ取り等の修繕・維持・保全の費用
市場販売目的|
製品マスターの完成まで
費用(研究開発費)。最初に製品化された製品マスターの完成時点までが対象
市場販売目的|
完成後の改良・強化
資産。製品マスターの取得原価としてソフトウェアに計上する。著しい改良に当たる部分は研究開発費
市場販売目的|
完成後の機能維持
費用。バグ取り、ウィルス防止等の費用
市場販売目的|
複写・製品の製造
ソフトウェアの製造原価。製品・仕掛品は棚卸資産
受注制作|
収益を認識するまで
棚卸資産(仕掛品)として制作費を集計する
受注制作|
収益の認識時
売上原価へ振り替える。無形固定資産には計上せず、減価償却もしない

自社利用のソフトウェアは、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合に資産計上し、その開始時点は確実と認められる状況になった時点、終了時点は実質的に制作作業が完了したと認められる時点です(研究開発費等に係る会計基準 四 3、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第11項、第12項、第13項)。制作途中の制作費は無形固定資産の仮勘定に計上します(研究開発費等に係る会計基準 注解(注4))。市場販売目的のソフトウェアは、最初に製品化された製品マスターの完成時点が研究開発の終了時点であり、それ以後の機能の改良・強化の費用は資産に計上し、著しい改良は研究開発費、機能維持の費用は発生時の費用とします(研究開発費等に係る会計基準 四 2、同注解(注3)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第8項、第9項、第34項)。購入した自社利用ソフトウェアの改良・強化と機能維持の区分も同じ考え方によります(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第9項)。受注制作のソフトウェアは請負工事の会計処理に準じて処理し、収益を認識するまでに集計した制作費は棚卸資産として計上されることがあります(研究開発費等に係る会計基準 四 1、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q24)。

表のとおり、同じ区分の中でも段階によって結論が変わります。ただし段階の名称そのものが基準になるわけではなく、区分ごとの要件を満たした時点で費用から資産へ切り替わる点が前提です。

判定の3ステップ

社内で判断に迷ったときは、次の順に問いを立てると結論が定まります。順序を入れ替えると、研究開発に該当する支出まで資産計上してしまう誤りが起きます。

  1. ステップ1|研究開発に該当するか。 該当する部分は、制作目的にかかわらずすべて発生時に費用として処理します(研究開発費等に係る会計基準 三)。
  2. ステップ2|制作目的はどの区分か。 受注制作のソフトウェア・市場販売目的のソフトウェア・自社利用のソフトウェアのいずれかに区分します。区分は取得形態(自社制作か外部購入か)ではなく制作目的で決まります(研究開発費等に係る会計基準 四)。
  3. ステップ3|区分ごとの資産計上開始の要件を満たすか。 市場販売目的であれば最初に製品化された製品マスターが完成しているか、自社利用であれば将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められるかを判定し、その時点以後の制作費を資産計上します(研究開発費等に係る会計基準 四 2、四 3)。

この3ステップを経ても、要件を満たさない支出は費用として処理します。判断すべきは「要件定義まで」「設計以降」といった開発工程の名称ではなく、あくまで要件の充足である点が実務上の要になります。

資産計上に踏み切る前に、監査・上場審査で必ず問われる次の点を自社の状況に当てはめて確認してください。ひとつでも埋まっていなければ、その時点では費用として処理するのが安全です。

  • 要件充足を立証する証憑があるか。 制作予算が承認された社内稟議書や、制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳が残っているかを確認します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項)。
  • 将来の収益獲得又は費用削減の効果を説明できるか。 対価を得る契約、人件費の削減、入力業務の効率化など、効果の内容が制作の意思決定段階から明確になっているかを確認します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第11項)。
  • 研究開発に該当する部分を分離できるか。 制作費のうち研究開発に当たる工数を切り出して集計できないと、資産計上額と注記の総額の双方が組み立てられません(研究開発費等に係る会計基準 三、五)。
  • 資産計上の終了時点を示せるか。 ソフトウェア作業完了報告書や最終テスト報告書により、制作作業が実質的に完了した時点を説明できるかを確認します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第13項)。
  • 導入費用の内訳を分解できるか。 データ移行費用と操作研修の費用は取得価額に含めないため、ベンダーへの支払を作業区分まで分解できるかを確認します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第16項)。

区分別の勘定科目一覧

「システム開発費はどの勘定科目で処理するのか」という疑問は、区分が決まれば自動的に答えが出ます。まず、支出の性格別に用いる勘定科目を一覧で示します。

費用・資産の区分 主な計上科目
研究開発に該当する部分 研究開発費(原則として一般管理費。製造現場で発生した場合は当期製造費用に算入できる)
受注制作のソフトウェア 棚卸資産(仕掛品)。収益認識時に売上原価へ振り替える
市場販売目的のソフトウェア 製品マスターはソフトウェア(無形固定資産)、制作仕掛品はソフトウェア仮勘定。販売する製品・仕掛品は棚卸資産
自社利用のソフトウェア ソフトウェア(無形固定資産)。制作途中はソフトウェア仮勘定
機器組込みソフトウェア 機械及び装置等(機械等の取得原価に算入する)

研究開発費は、原則として一般管理費に計上し、製造現場で研究開発活動が行われている場合には当期製造費用に算入することが認められています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第4項)。市場販売目的及び自社利用のソフトウェアを資産計上する場合は無形固定資産の区分に計上し、制作途中のものは無形固定資産の仮勘定として計上します(研究開発費等に係る会計基準 四 4、同注解(注4)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第10項)。受注制作のソフトウェアの制作費は棚卸資産として計上されることがあります(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q24)。機器に組み込まれ有機的一体として機能するソフトウェアは、区分せず機械及び装置等の科目で処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第17項)。

勘定科目の対象となるソフトウェアの範囲

科目を選ぶ前に、そもそも何が「ソフトウェア」に当たるのかを押さえておく必要があります。ここを広く取り過ぎると、本来は別の資産・費用として処理すべき支出までソフトウェアの取得原価に混ざり、償却年数まで誤ることになります。

ソフトウェアに
含まれるもの
コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラム、及びシステム仕様書・フローチャート等の関連文書
ソフトウェアに
含まれないもの
コンテンツ。ソフトウェアとは別個のものとして取り扱う。ただし両者が経済的・機能的に一体不可分と認められる場合は一体として取り扱うことができる
機器に組み込まれた
ソフトウェア
有機的一体として機能するものは独立した科目に区分せず、機械及び装置等の取得原価に算入する

ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等をいい、その範囲にはプログラムのほかシステム仕様書、フローチャート等の関連文書が含まれます(研究開発費等に係る会計基準 一 2、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第6項)。コンテンツはソフトウェアとは別個のものとして取り扱いますが、両者が経済的・機能的に一体不可分と認められるような場合には一体として取り扱うことができます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第7項)。機器組込みソフトウェアは機械及び装置等の科目で処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第17項)。実務では、設計書・仕様書の作成費用を設計料として別科目で処理していないか、コンテンツ制作費をソフトウェアに含めていないかが確認の起点になります。

研究開発費等に係る会計基準の構成(研究・開発の定義、費用処理の原則、ソフトウェア制作費の3区分、減価償却、注記)を通しで確認したい場合は、基準の解説をまとめた次のコラムが参考になります。本記事は、その枠組みを前提に資産か費用かを判定し、誤った処理を直すための実務編です。

関連コラム研究開発費・ソフトウェアの会計処理【4区分の判定一覧表と仕訳例】▸

資産計上しなかった場合の税務否認と修正仕訳

ソフトウェアの資産計上で相談が多いのは、「全額を費用にしていたが、本来は資産計上すべきだった」というケースです。この問題は、会計上の誤りとして直す場面と、会計上は正しくても税務上だけ否認される場面に分かれます。どちらに当たるかで、必要な手当てがまったく変わります。

会計と税務で「費用にできる範囲」が違う点

法人税法上、ソフトウエアは減価償却資産(無形固定資産)に該当します(法人税法施行令 第13条第8号ヌ)。会計と税務は取得価額や費用処理の考え方が似ていますが、次の点で範囲がずれます。

自社利用ソフトウェアの
研究開発費
会計上は、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められない場合や確実かどうか不明な場合に費用処理する。税務上、取得価額に算入しないことができるのは、将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合の研究開発費に限られる
取得価額に
算入しないことができる費用
税務上は、製作計画の変更等による仕損じで不要となったことが明らかな費用と、製作原価のおおむね3%以内の少額な間接費・付随費用を取得価額に算入しないことができる
市場販売目的の
製品マスターの改良・強化
会計上は製品マスターの取得原価として資産に計上する。税務上も、完成品となるまでの改良・強化の費用は取得価額に算入する
償却の方法と年数 会計上、自社利用は一般的に定額法・原則5年以内。税務上は定額法で、耐用年数は複写して販売するための原本と研究開発用が3年、その他が5年
取得価額に算入すべき額を
研究開発費とした場合
税務上は、償却費として損金経理をした金額に含まれる

会計上の費用処理の要件は研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第11項、税務上の取扱いは法人税基本通達7-3-15の2(注)3、7-3-15の3、7-5-1(7)に定められています。償却方法は定額法(法人税法施行令 第48条の2第1項第4号)、耐用年数は前述のとおりです(国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数)。

最も差が出やすいのが1行目です。会計では「確実かどうか不明」なら費用にしますが、税務では「ならないことが明らか」でなければ取得価額に算入する、という書き方になっています。社内システムの開発費を「効果が確実とまではいえない」として費用処理した場合、会計上は正しい処理でも、税務上は取得価額に算入すべきものとして否認される余地が残ることになります。

税務で否認された場合の申告調整

税務上、償却費として損金の額に算入できるのは、損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額です(法人税法 第31条第1項)。取得価額に算入すべき金額を研究開発費として費用にしていた場合、その金額は償却費として損金経理をした金額に含まれるため(法人税基本通達7-5-1(7))、全額が否認されるのではなく、償却限度額を超える部分が損金不算入になります。

期首に事業の用に供した社内利用のシステムの制作費12,000千円を、会計上すべて研究開発費として処理していたところ、税務上は取得価額に算入すべきものと判断された場合を考えます(単位:千円。耐用年数5年・定額法)。

償却限度額 = 12,000 ÷ 5年 = 2,400
償却超過額(損金不算入) = 損金経理額 12,000 − 償却限度額 2,400 = 9,600

この9,600千円は、その事業年度の所得に加算されます。一方、前期までに損金の額に算入されなかった金額は、翌期以降の損金経理額に含まれるものとされているため(法人税法 第31条第4項)、翌期から毎期2,400千円ずつ、償却限度額の範囲で損金の額に算入されていきます。トータルで損金になる金額は変わりませんが、初年度の所得が増え、その期の納税額が増えるのが否認の実質的な影響です。

なお、資産に計上しないで損金経理をした金額でも、事業の用に供した事業年度の確定申告書に添付する減価償却の明細書に記載して申告調整をしていれば、償却費として損金経理をした金額として扱われます(法人税基本通達7-5-2)。会計上は費用処理を維持しつつ、税務上は資産として扱うと判断した場合は、最初の申告から明細書で調整しておくのが安全です。

会計上の修正仕訳

会計上も資産計上の要件を満たしていたのに費用処理していた場合は、会計処理そのものを直します。当期中に気づいたか、過去の決算を締めた後に気づいたかで修正の方法が変わります。

まず、当期の決算を締める前に判明した場合です。当期に研究開発費として計上した12,000千円のうち、稟議の承認により費用削減が確実と認められた時点以後の制作費8,000千円が含まれており、システムはまだ制作途中だったとします(単位:千円)。この8,000千円は無形固定資産の仮勘定に振り替えます(研究開発費等に係る会計基準 四 3、同注解(注4)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
ソフトウェア仮勘定 8,000 研究開発費 8,000

次に、前期の決算を締めた後に判明した場合です。前期首に利用を開始した自社利用のソフトウェアの制作費12,000千円(利用可能期間5年・定額法)を前期にすべて費用処理していたことが、当期に判明したとします(単位:千円。税効果は考慮しない)。前期末の本来の帳簿価額は、12,000千円から前期の償却額2,400千円を差し引いた9,600千円です。過去の財務諸表における誤謬が発見された場合は修正再表示を行い、表示期間より前の期間の累積的影響額は、表示する財務諸表のうち最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映します(企業会計基準第24号 第21項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
ソフトウェア 9,600 繰越利益剰余金 9,600
ソフトウェア償却 2,400 ソフトウェア 2,400

1行目は前期以前の影響を期首の繰越利益剰余金で直す仕訳、2行目は当期の償却です。修正再表示を行った場合は、誤謬の内容や影響額を注記します(企業会計基準第24号 第22項)。重要性の判断に基づき過去の財務諸表を修正再表示しない場合は、損益計算書上、その性質により営業損益又は営業外損益として認識する処理になると考えられています(企業会計基準第24号 第65項)。

注意したいのは、すべてのケースが「誤謬」になるわけではない点です。誤謬とは、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことや誤用したことによる誤りをいいます(企業会計基準第24号 第4項(8))。当時の稟議や効果の見込みに照らして「確実とは認められない」と判断したことに合理性があれば、会計上の修正は不要で、前の見出しの税務上の申告調整だけが論点になります。会計で直すと、会計と税務の帳簿価額の差も変わるため、申告書上の調整は会計の修正方法とあわせて確認してください。

関連コラム誤謬の訂正【仕訳例】修正再表示と前期損益修正の違い▸

資産計上しなかった場合に起きること

要件を満たすにもかかわらず資産計上しない処理は、会計基準に照らして認められません。自社利用のソフトウェアについて将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、制作費を資産として計上しなければならないと定められているためです(研究開発費等に係る会計基準 四 3)。

影響は次の3点に及びます。第一に、費用が発生年度に集中し、期間損益が実態から乖離します。第二に、監査対応や上場審査において、会計方針の適切性と工数集計の証憑が論点になります。第三に、研究開発費として当期製造費用に算入した結果、その大部分が期末仕掛品等として資産計上されることとなる場合には、繰延資産等として資産計上する処理と結果的に変わらないため、妥当な会計処理とは認められない点にも留意が必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第4項、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q5)。

逆に、資産計上した後に使用する見込みがなくなった場合は、機械装置等の固定資産と同様に除却処理を行います。ソフトウェアの機能が陳腐化した等の理由で事業の用に供しないこととなった場合には、資産としての価値が失われたことになるため、速やかに損失として計上することが必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q19)。一部の機能を使用しなくなった場合には、消去又は削除した部分の帳簿価額を合理的に算定して部分的な除却の会計処理を行うことが適切と考えられます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q20)。使用は続けているものの当初想定した収益が上がっていないという場合は、除却ではなく固定資産の減損の論点として、兆候の有無から検討することになります。

関連コラム減損の兆候とは|4分類の判定チェックリストと仕訳▸

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研究開発費とは|開発費との違いと費用処理の根拠

判定フローの起点は、その支出が研究開発に該当するかどうかです。ここを誤ると、以降の区分をいくら正しく当てはめても結論が変わってしまいます。

会計基準における研究・開発の定義

研究 新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究
開発 新しい製品・サービス・生産方法についての計画若しくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること

研究及び開発は上表のとおり定義されています(研究開発費等に係る会計基準 一 1)。実務指針では、従来にはない製品・サービスに関する発想を導き出すための調査・探究、新製品の試作品の設計・製作及び実験、商業生産化するために行うパイロットプラントの設計・建設等の計画などが典型例として示されています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第2項)。

逆に、製品を量産化するための試作、品質管理活動や完成品の製品検査に関する活動、既存製品の不具合の修正に係る設計変更、客先の要望等による仕様変更、通常の製造工程の維持活動などは研究・開発に含まれません(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第26項)。「著しい」と判断できない改良・改善は研究開発ではない、という線引きが基本です。

研究開発費が資産計上されない理由

研究開発費は、人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消されたすべての原価を含み、すべて発生時に費用として処理しなければなりません(研究開発費等に係る会計基準 二、三)。特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価も、取得時の研究開発費として処理します(同注解(注1)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第5項)。

資産計上が認められないのは、研究開発費は発生時には将来の収益を獲得できるか否かが不明であり、研究開発計画が進行して収益の獲得期待が高まったとしても、その獲得が確実とはいえないためです。また、客観的に判断可能な資産計上の要件を規定することが困難であり、抽象的な要件のもとで資産計上を求めると企業間の比較可能性が損なわれるおそれがあることも理由とされています(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書 三 2)。

外部に研究開発を委託した場合は、研究開発の内容について検収を行い、利用可能になった時点で費用として処理し、契約金等は前渡金として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第3項)。大きな研究開発テーマ全体の完了まで前渡金として資産に計上しておくことは認められません(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q2)。

研究開発費の表示と総額注記

費用処理して終わりではなく、研究開発費には開示上の手当てが必要です。一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額は、財務諸表に注記しなければなりません(研究開発費等に係る会計基準 五)。ソフトウェアの制作過程で発生した研究開発費も、この総額に含めて注記します(同注解(注6))。

損益計算書上の表示 当期製造費用として処理されたものを除き、一般管理費として研究開発費の科目名称を付して記載する
注記する金額 一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額。ソフトウェアに係る研究開発費も総額に含める
注記を求める趣旨 研究開発の規模について企業間の比較可能性を確保するため

研究開発費は、一般的には原価性がないと考えられるため通常は一般管理費として計上し、製造現場で研究開発活動が行われ、その費用を一括して製造現場で発生する原価に含めて計上している場合には当期製造費用に算入することが認められています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第4項)。上場準備の実務では、注記の総額と原価計算上の集計が一致しないケースが散見されます。ソフトウェアの制作原価のうち研究開発に該当する部分を制作番号単位で抜き出せる仕組みがないと、注記の金額を後から組み立てられなくなる点に注意が必要です。

繰延資産の「開発費」との違い

決算書に出てくる「開発費」と「研究開発費」は別物です。財務諸表等規則には、繰延処理できる繰延資産の範囲として開発費の科目名が掲げられています。これは、従来用いられていた「開発費」の用語が、新技術の採用、新経営組織の採用、資源の開発及び市場の開拓までをも包含する広範な内容を有しており、会計基準における「開発」の定義の範囲に含まれない費用が発生することが想定されるためです(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第27項)。

研究開発費 会計基準の研究・開発の定義に当てはまる支出。すべて発生時に費用として処理し、繰延資産にはできない
繰延資産の開発費 新技術・新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓など、会計基準の「開発」の定義の範囲外の費用が対象となる

つまり、会計基準の定義に当てはまる研究開発費は必ず発生時費用処理となり、繰延資産に計上できるのは市場の開拓費用など定義の範囲外のものに限られます。実務では、両者を同じ勘定科目でまとめて処理していないかを確認する必要があります。

自社利用ソフトウェアの資産計上の要件と範囲

3区分のうち、実務で最も判断が難しいのが自社利用のソフトウェアです。基幹システムの刷新やSaaS基盤の内製など、上場準備企業からの相談が集中する領域でもあります。

資産計上の要件と具体例

自社利用のソフトウェアは、ソフトウェアを用いて外部へ業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計したうえで制作費を資産として計上しなければなりません。完成品を購入した場合のように、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合も同様です(研究開発費等に係る会計基準 四 3)。

実務指針では、資産計上される場合の一般的な例として、第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェアにより対価を得る場合、自社で利用するために制作し当初意図した使途に継続して利用することで業務を効率的又は効果的に遂行できると明確に認められる場合、市場で販売されているソフトウェアを購入して継続利用する場合が挙げられています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第11項)。反対に、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には費用処理します。

独自仕様の社内利用ソフトウェアでは、直接的にキャッシュ・フローが生じるとは考えられないため判断は容易ではありません。手作業で行っていた業務をコンピュータ処理に置き換えて取扱高の増加が可能になる場合や、遠隔保守のシステム構築により保守要員が減少する場合などは、費用削減が確実であると認められる要件を満たすものと考えられます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q15)。

資産計上の開始時点・終了時点と証憑

資産計上の開始時点は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、それを立証できる証憑に基づいて決定します。証憑としては、ソフトウェアの制作予算が承認された社内稟議書や、制作原価を集計するための制作番号を記入した管理台帳等が考えられます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項)。

終了時点は、実質的にソフトウェアの制作作業が完了したと認められる状況になった時点であり、ソフトウェア作業完了報告書、最終テスト報告書等の証憑に基づいて決定します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第13項)。

ここで見落とされやすいのが遡及計上の禁止です。制作活動が開始された後に初めて資産計上の要件を満たすことが判明した場合、資産計上すべき取得価額は、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた時点以後の費用に限られます。確実と認められた時点から過去に遡ってソフトウェアの取得価額を資産計上することは認められません(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q16)。判断が遅れるほど資産計上できる金額が減るため、稟議のタイミングと工数記録の整備が実務上の要になります。

導入費用・データ移行費用・研修費用の扱い

設定作業・付随的な
修正作業の費用
購入ソフトウェアを取得するための費用として取得価額に含める。重要性が乏しい場合は費用処理できる
大幅な変更により
自社仕様にする費用
将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合を除き、購入ソフトウェアの価額も含めて費用処理する
データ移行費用 旧システムのデータをコンバートするための費用は、発生した事業年度の費用とする
操作研修の費用 ソフトウェアの操作をトレーニングするための費用は、発生した事業年度の費用とする

外部から購入したソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用は、取得価額に含めます。一方、データのコンバート費用とトレーニング費用は発生した事業年度の費用として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第14項、第15項、第16項)。システム移行プロジェクトでは、データ移行と操作研修の費用がベンダーへの支払に一括して含まれていることが多いため、見積書・請求書の内訳を作業区分まで分解して集計することが実務上の要点になります。

自社利用ソフトウェアの仕訳例

自社利用のソフトウェアを外部委託により制作し、資産計上の開始時点以後の制作費12,000千円を支払い、制作作業の完了時に本勘定へ振り替え、利用可能期間5年の定額法により初年度の償却を行った場合の仕訳は次のとおりです(単位:千円)。制作途中は無形固定資産の仮勘定に計上し、完了後に定額法で償却します(研究開発費等に係る会計基準 四 3、同注解(注4)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項、第13項、第21項)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
ソフトウェア仮勘定 12,000 現金預金 12,000
ソフトウェア 12,000 ソフトウェア仮勘定 12,000
ソフトウェア償却 2,400 ソフトウェア 2,400

資産計上の開始時点より前に発生した企画・構想段階の費用は、この仕訳には含めず、発生時に費用として処理します。

ソフトウェア仮勘定の位置づけと本勘定への振替

制作途中のソフトウェアは、完成するまで償却を開始できないため、いったん仮勘定に集計します。市場販売目的及び自社利用のソフトウェアを資産計上するときは無形固定資産の区分に「ソフトウェア」の科目で計上し、制作途中のソフトウェアの制作費は無形固定資産の仮勘定として計上します(研究開発費等に係る会計基準 四 4、同注解(注4)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第10項)。実務では、この仮勘定に「ソフトウェア仮勘定」の科目名を用いるのが一般的です。

計上する区分 無形固定資産の仮勘定として計上する(有形固定資産の建設仮勘定とは区分される)
集計を開始する時点 自社利用は将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた時点、市場販売目的は最初に製品化された製品マスターの完成時点
本勘定へ振り替える時点 実質的にソフトウェアの制作作業が完了したと認められる状況になった時点
償却の開始 仮勘定のままでは償却せず、本勘定へ振り替えた後に償却を行う

資産計上の開始時点は将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況になった時点であり、終了時点は実質的に制作作業が完了したと認められる状況になった時点です。いずれも社内稟議書、制作番号を記入した管理台帳、ソフトウェア作業完了報告書、最終テスト報告書等の証憑に基づいて決定します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項、第13項)。仮勘定を長期間残したままにしていると、制作作業の完了時点を証憑で説明できず、監査上の論点になりやすい点に注意が必要です。

市場販売目的ソフトウェアの費用区分

パッケージソフトやSaaSの製品開発では、研究開発の終了時点をどこに置くかで損益が大きく変わります。

研究開発の終了時点は「最初に製品化された製品マスター」

市場販売目的のソフトウェアの制作に係る研究開発の終了時点は、製品番号を付すこと等により販売の意思が明らかにされた製品マスター、すなわち「最初に製品化された製品マスター」の完成時点であり、この時点までに発生した費用は研究開発費として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第8項)。

完成時点は、次の2点で判断します。第一に、製品性を判断できる程度のプロトタイプが完成していること。第二に、プロトタイプを制作しない場合は、製品として販売するための重要な機能が完成しており、かつ重要な不具合を解消していることです(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第8項)。入力画面や出力帳票が完全なものではない、操作性に改良の余地がある、といった状態でも、問題を解消するための方法が明確になっており、それが製品の完成に当たって重要なものではないことが確認されていれば、資産計上の要件を満たしていると考えられます(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第32項)。

製品マスター完成後の費用区分

著しい改良に
要した費用
新しいマスターの制作のためのコストとみなされる費用であり、研究開発費として処理する
著しい改良を除く
機能の改良・強化の費用
製品マスターの取得原価として無形固定資産に計上する
機能維持に要した費用 バグ取り、ウィルス防止等の修繕・維持・保全のための費用であり、発生時の費用として処理する
製品としての制作原価 保存媒体のコスト、複写に必要な経費等であり、ソフトウェアの製造原価として処理する

製品マスター又は購入したソフトウェアの機能の改良・強化を行う制作活動のための費用は原則として資産に計上しますが、著しい改良と認められる場合は研究開発費として処理します。機能維持に要した費用は資産に計上してはなりません(研究開発費等に係る会計基準 四 2、同注解(注3)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第9項、第34項)。

ここでいう著しい改良とは、研究及び開発の要素を含む大幅な改良を指しており、完成に向けて相当程度以上の技術的な困難が伴うものです。具体例として、機能の改良・強化を行うために主要なプログラムの過半部分を再制作する場合や、ソフトウェアが動作する環境(オペレーティングシステム、言語、プラットフォームなど)を変更・追加するために大幅な修正が必要になる場合が挙げられています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第33項)。

バージョンアップ費用と資本的支出の判定

「このバージョンアップは資本的支出になるのか」という質問は多く寄せられますが、会計上は資本的支出・修繕費という区分ではなく、機能の改良・強化か、著しい改良か、機能維持かで判定します。既存のソフトウェアに手を入れたときの区分は次のとおりです。

機能の改良・強化
(著しい改良を除く)
会計上は資産に計上する。税務上は新たな機能の追加、機能の向上等に該当するため資本的支出となる
著しい改良に
該当する大幅な改良
会計上は研究開発費として発生時に費用処理する。新バージョンで最初に製品化された製品マスターの完成時点までが対象となる
バグ取り等の
機能維持の費用
会計上は発生時の費用として処理する。税務上もプログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するため修繕費となる

会計上は、機能の改良・強化のための費用を原則として資産に計上し、著しい改良に該当する場合は研究開発費、機能維持に要した費用は発生時の費用として処理します(研究開発費等に係る会計基準 四 2、同注解(注3)、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第9項)。税務上は、プログラムの修正等が機能上の障害の除去や現状の効用の維持等に該当するときは修繕費、新たな機能の追加や機能の向上等に該当するときは資本的支出に該当するものとされています(法人税基本通達7-8-6の2)。既存のソフトウェアやパッケージソフトウェアの仕様を大幅に変更するための費用のうち、自己の製作に係るソフトウエアの取得価額とならなかったものも資本的支出に該当します(法人税基本通達7-8-6の2(注)1)。

製品の大部分を作り直す大幅なバージョンアップは会計上の著しい改良に該当し、新しいバージョンで最初に製品化された製品マスターの完成時点までの費用を研究開発費として処理します。この場合、旧バージョンの販売を中止するときは残存価額の除却が必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q13)。会計上は費用処理でも税務上は資本的支出となる場合があり、この差異は申告調整の対象になります。バージョンアップの都度、改良の内容と工数を記録に残しておくことが、後の説明可能性を左右します。

受注制作ソフトウェアの会計処理

受注制作のソフトウェアとは、契約の形式にかかわらず、特定のユーザー向けに制作され、提供されるソフトウェアをいいます(収益認識に関する会計基準 第14項)。その制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理します(研究開発費等に係る会計基準 四 1)。

ここで注意したいのが収益認識に関する会計基準の適用による実務の変化です。同基準は2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されています(収益認識に関する会計基準 第81項)。従来の工事進行基準・工事完成基準という枠組みではなく、履行義務が一定の期間にわたり充足されるものか一時点で充足されるものかを判定して収益を認識します(収益認識に関する会計基準 第36項)。

一定の期間にわたり充足される履行義務に該当するのは、顧客が企業の履行につれて便益を享受する場合、企業の履行により資産が生じ又は価値が増加し顧客がその資産を支配する場合、企業の履行により別の用途に転用することができない資産が生じ、かつ履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有する場合のいずれかです(収益認識に関する会計基準 第38項)。いずれも満たさない場合は、一時点で充足される履行義務として処理します(収益認識に関する会計基準 第39項)。

一定の期間にわたり充足される履行義務については、進捗度を合理的に見積ることができる場合にのみ収益を認識します。進捗度を合理的に見積ることができないが、履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれる場合には、進捗度を合理的に見積ることができる時まで原価回収基準により処理します(収益認識に関する会計基準 第41項、第44項、第45項)。収益を認識するまでに集計した制作費は、棚卸資産として計上されることがあります(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q24)。

受注制作ソフトウェアの仕訳例

契約金額20,000千円の受注制作のソフトウェアについて、一定の期間にわたり充足される履行義務に該当すると判定し、見積総原価15,000千円に対して当期に12,000千円の制作原価が発生した場合を想定します(単位:千円)。発生原価の割合により進捗度を測定し、その進捗度に応じて収益を認識します(収益認識に関する会計基準 第38項、第41項)。

進捗度 = 当期発生原価 12,000 ÷ 見積総原価 15,000 = 80%
当期の収益 = 契約金額 20,000 × 進捗度 80% = 16,000

対価に対する権利がまだ無条件になっていない段階では、顧客との契約から生じた債権ではなく契約資産を計上します(収益認識に関する会計基準 第10項、第77項)。制作原価は棚卸資産として集計し、収益の認識に対応して売上原価へ振り替えます(研究開発費等に係る会計基準 四 1、研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q24)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仕掛品 12,000 現金預金 12,000
契約資産 16,000 売上高 16,000
売上原価 12,000 仕掛品 12,000

受注制作のソフトウェアは無形固定資産に計上されないため、減価償却は行いません。原価は収益の認識に合わせて売上原価として費用化されます。自社利用や市場販売目的との違いが最も明確に表れる部分です。

関連コラム一定の期間にわたり充足される履行義務|進捗度と原価回収基準▸

ソフトウェアの減価償却と耐用年数

資産計上したシステム開発費用は、その後どのように費用化されるのか。無形固定資産として計上したソフトウェアの取得原価は、当該ソフトウェアの性格に応じて、見込販売数量に基づく償却方法その他合理的な方法により償却しなければなりません。ただし、毎期の償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ってはなりません(研究開発費等に係る会計基準 四 5)。償却は本勘定へ振り替えた後に行い、ソフトウェア仮勘定のままでは償却しません。

区分別の償却方法と年数の早見表

制作目的の区分 償却方法と年数の目安
自社利用のソフトウェア 一般的には定額法。耐用年数は利用可能期間により、原則5年以内
市場販売目的のソフトウェア 見込販売数量又は見込販売収益に基づく方法。残存有効期間に基づく均等配分額が下限。見込有効期間は原則3年以内
受注制作のソフトウェア 減価償却は行わず、収益認識に対応して売上原価として費用化する

市場販売目的のソフトウェアの見込有効期間は原則として3年以内、自社利用のソフトウェアの耐用年数は原則として5年以内とされ、これを超える年数とする場合には合理的な根拠が必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第18項、第21項)。

自社利用|定額法・原則5年以内

自社利用のソフトウェアについては、利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却の方法を採用すべきですが、一般的には定額法による償却が合理的であると考えられます。償却の基礎となる耐用年数は利用可能期間によるべきですが、原則として5年以内の年数とし、5年を超える年数とするときには合理的な根拠に基づくことが必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第21項)。

年間の減価償却額 = 取得原価 ÷ 利用可能期間(年数)

取得原価12,000千円のソフトウェアを利用可能期間5年、定額法で償却する場合の年間償却額は次のとおりです(単位:千円)。仕訳は前掲の自社利用ソフトウェアの仕訳例に示したとおりです。

12,000 ÷ 5年 = 2,400

利用可能期間は適宜見直しを行い、見直しの結果として耐用年数を変更した場合には、当事業年度及び残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で認識します。ただし、過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、会計上の見積りの変更ではなく過去の誤謬の訂正に該当します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第21項)。

市場販売目的|見込販売数量と均等配分額の下限

市場販売目的のソフトウェアは、見込販売数量に基づく方法のほか、見込販売収益に基づく償却方法も認められます。毎期の減価償却額は、見込販売数量(又は見込販売収益)に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を計上します。当初における販売可能な有効期間の見積りは、原則として3年以内の年数とし、3年を超える年数とするときには合理的な根拠に基づくことが必要です(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第18項)。

見込販売数量に基づく償却額 = 未償却残高 × (当期の実績販売数量 ÷ 期首の見込販売数量)
均等配分額 = 未償却残高 ÷ 残存有効期間(年数)

販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、その超過額は一時の費用又は損失として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第20項)。

なお、採用した減価償却の方法は重要な会計方針として記載し、見込有効期間の年数及び見込利用可能期間の年数も併せて記載することが適当とされています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第22項、第46項)。

税務上の耐用年数との関係

ここまでは会計上の取扱いです。税務上の取扱いはこれと目的が異なるため、両者を分けて理解しておく必要があります。法人税法上、ソフトウエアは減価償却資産(無形固定資産)に該当し、耐用年数は複写して販売するための原本及び研究開発用のものが3年、その他のものが5年とされています(国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数)。会計上の見積りと税務上の法定耐用年数は一致するとは限りませんが、自社利用のソフトウェアで会計上5年以内の定額法を採用すれば、実務上は税務との差異が生じにくくなります。

取得価額の範囲についても差異が生じ得ます。税務上は、製作計画の変更により不要となった仕損じ費用や、製作原価のおおむね3パーセント以内の間接費・付随費用について取得価額に算入しないことができるとされています(国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数)。会計上の取得原価の集計方法と突合しておくことが必要です。

少額の支出についても、会計と税務で判断の入口が異なります。会計上は、購入ソフトウェアの設定作業等の費用について重要性が乏しい場合に費用処理できるとされています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第14項)。税務上は、取得価額が10万円未満の減価償却資産について、事業の用に供した事業年度に取得価額の全額を損金経理していれば損金の額に算入できます(国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。会計上の重要性の判断と税務上の金額基準は別物であり、社内ルールを作る際には両方を明示しておくと運用が安定します。

関連コラムソフトウェアの減価償却【計算例】市場販売目的と自社利用の償却方法▸

制作段階ごとの費用区分と実務の判断

「要件定義までは費用、設計以降は資産」といった段階基準を社内ルールにしている企業がありますが、これは会計基準の考え方とは異なります。

段階による機械的な区分は採用されていない

実務指針では、制作段階により区分する方法について、ソフトウェア制作には多様な制作実態が存在し、それらを明確に区分することは困難であり、結果として実態に合致しなくなると考えられるため採用していないことが明らかにされています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第37項)。判断すべきは段階の名称ではなく、市場販売目的であれば最初に製品化された製品マスターが完成したか、自社利用であれば将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められたか、という要件の充足です。

したがって「要件定義フェーズの費用は資産計上できるか」という問いにも、フェーズ名だけでは答えが出ません。要件定義に入る前に稟議が承認され、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況を証憑で立証できるのであれば、要件定義の工数も資産計上の対象となり得ます。逆に、要件定義の途中まで採用の可否を検討している段階であれば、その支出は費用として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項)。

一般的な開発の流れと費用区分の対応は、冒頭の判定表に整理したとおりです。いずれの段階でも、段階の名称ではなく要件の充足によって科目が切り替わります。

アジャイル開発・段階的リリースでの考え方

アジャイル開発のように短い周期で開発とリリースを繰り返す場合も、判断の枠組みは変わりません。制作段階で機械的に区分する方法は採用されていないため(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第37項)、リリース単位ごとに、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められるか、その判断を立証できる証憑があるかを確認することになります(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第12項)。

市場販売目的のソフトウェアをアジャイル開発で制作する場合も同様で、リリースの回数ではなく、最初に製品化された製品マスターが完成したといえるかどうかで研究開発の終了時点を判断します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第8項)。完成後のスプリントで行う機能の改良・強化は資産計上の対象となり、著しい改良に当たる場合は再び研究開発費として処理します(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第9項、第33項)。

実務上の要点は、開発の周期にかかわらず要件を満たした時点を都度記録し、その時点以後の工数を集計できる体制を持つことです。要件充足の判断が後追いになると、遡って資産計上することはできず(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A Q16)、本来資産計上できたはずの原価がすべて費用となります。アジャイル開発では、バックログの単位と会計上の制作番号を対応させ、スプリントごとの工数を制作番号単位で集計しておく運用が有効です。

基準の適用時期と改正の経緯

研究開発費等に係る会計基準は1998年3月13日に企業会計審議会から公表され、1999年4月1日以後開始する事業年度から実施されています(研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書 五)。実務指針も1999年4月1日以後開始する事業年度から適用されています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第23項)。いずれも適用開始から相当期間が経過した基準です。

その後、2008年に公表された企業会計基準第23号により「六 適用範囲」が改正され、企業結合により被取得企業から受け入れた資産(受注制作、市場販売目的及び自社利用のソフトウェアを除く。)については本基準を適用しないこととされました。この改正は2010年4月1日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用されています(企業会計基準第23号 第2項、第3項)。

実務指針は2011年3月29日及び2014年11月28日に改正された後(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第23-2項、第23-3項)、日本公認会計士協会から企業会計基準委員会へ移管され、現在は移管指針第8号として定められています(研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針 第23-4項)。Q&Aも同様に移管指針第11号として定められています。条項を参照する際は、旧・会計制度委員会報告第12号ではなく現行の移管指針の項番号を用いる点に注意してください。

まとめ

ソフトウェアの資産計上は、①研究開発に該当するか、②自社利用・市場販売目的・受注制作のどの区分か、③区分ごとの資産計上の要件を満たした後の支出か、の3点で判定します。研究開発に当たる部分はどの区分でも費用となり、自社利用は将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められた時点以後の制作費を、市場販売目的は最初に製品化された製品マスターの完成後の改良・強化の費用を資産に計上します。受注制作は棚卸資産として集計し、収益の認識に応じて売上原価とするため減価償却は行いません。

資産計上すべきものを費用にしていた場合、会計上の誤謬であれば当期中は仮勘定への振替、過年度分は修正再表示で直します。会計上は正しくても、税務では自社利用の研究開発費を取得価額から除ける範囲が狭いため、償却限度額を超える部分が損金不算入となることがあります。判断の分かれ目は制作段階の名称ではなく要件の充足であり、その時点を立証できる稟議・工数記録の整備が会計と税務の両面で効いてきます。具体的なケースは個別性が高いため、公認会計士へのご相談をおすすめします。

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参考文献

よくある質問

ソフトウェア開発費用が資産か費用かはどのように判定しますか。

まず研究開発に該当する部分を切り出して発生時に費用処理し、次に自社利用・市場販売目的・受注制作のいずれの区分かを判定します。そのうえで、市場販売目的は最初に製品化された製品マスターの完成後、自社利用は将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められた時点以後の制作費が資産計上の対象になります。

システム開発費はどの勘定科目で処理しますか。

研究開発に該当する部分は研究開発費、自社利用及び市場販売目的で資産計上する部分はソフトウェア(無形固定資産)、制作途中はソフトウェア仮勘定で処理します。受注制作のソフトウェアの制作費は棚卸資産として計上されることがあり、機器に組み込まれたソフトウェアは機械及び装置等の科目で処理します。

システム開発費用の減価償却はどのように行いますか。

自社利用のソフトウェアは一般的に定額法で償却し、耐用年数は利用可能期間により原則5年以内とします。市場販売目的のソフトウェアは見込販売数量又は見込販売収益に基づく償却額と、残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか大きい額を計上します。受注制作のソフトウェアは減価償却を行わず、収益の認識に対応して売上原価として費用化します。

ソフトウェアの耐用年数は何年ですか。

会計上は、自社利用のソフトウェアが原則5年以内、市場販売目的のソフトウェアの見込有効期間が原則3年以内とされ、これを超える場合は合理的な根拠が必要です。税務上の耐用年数は、複写して販売するための原本及び研究開発用が3年、その他が5年とされています。

ソフトウェア仮勘定とはどのような科目ですか。

制作途中のソフトウェアの制作費を集計するために用いる無形固定資産の仮勘定です。有形固定資産の建設仮勘定とは区分され、実質的に制作作業が完了したと認められる時点でソフトウェアの本勘定へ振り替えます。仮勘定のままでは減価償却を行いません。

バージョンアップの費用は資産計上できますか。

会計上は、著しい改良に該当しない機能の改良・強化であれば資産に計上し、著しい改良に該当する大幅な改良は研究開発費、バグ取り等の機能維持は発生時の費用として処理します。税務上は、新たな機能の追加や機能の向上等に該当する修正等が資本的支出、機能上の障害の除去や現状の効用の維持等に該当する修正等が修繕費となります。

要件定義フェーズの費用は資産計上できますか。

制作段階により機械的に区分する方法は採用されていないため、フェーズ名では決まりません。稟議の承認等により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況を証憑で立証できる時点以後の支出であれば、要件定義の工数も資産計上の対象になります。

アジャイル開発でも資産計上できますか。

制作段階により機械的に区分する方法は採用されていないため、開発手法にかかわらず、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた時点以後の制作費が資産計上の対象になります。要件を満たした時点を証憑で立証できることが前提であり、遡って資産計上することは認められません。

研究開発費と繰延資産の開発費は何が違いますか。

会計基準の定義に当てはまる研究開発費はすべて発生時に費用として処理します。財務諸表等規則が繰延資産として掲げる開発費は、新技術・新経営組織の採用や市場の開拓など、会計基準の「開発」の定義に含まれない費用を対象とするものです。

システム開発を外部ベンダーに委託した場合、勘定科目は変わりますか。

変わりません。ソフトウェア制作費の会計処理は、自社制作か外部購入かという取得形態別ではなく制作目的別に定められているため、委託に要した費用もそれぞれの制作目的に応じて処理します。自社利用であれば資産計上の要件を満たした時点以後の委託費用をソフトウェア仮勘定に集計し、研究開発に該当する部分は発生時に研究開発費として処理します。

研究開発費は財務諸表への注記が必要ですか。

必要です。一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費の総額を財務諸表に注記します。ソフトウェアの制作過程で発生した研究開発費も、この総額に含めて注記します。損益計算書では、当期製造費用として処理されたものを除き、一般管理費として研究開発費の科目名称を付して記載します。

ソフトウェアを資産計上せず費用処理すると税務で否認されますか。

取得価額に算入すべき金額を研究開発費として費用にしていた場合、その金額は償却費として損金経理をした金額として扱われ、償却限度額を超える部分が損金不算入になります。自社利用のソフトウェアの研究開発費を取得価額に算入しないことができるのは、将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかな場合に限られるため、会計上は費用処理でも税務上は否認される余地があります。

過去に費用処理したソフトウェアを資産計上に直すときの仕訳はどうなりますか。

会計上の誤謬に当たる場合は修正再表示を行い、前期以前の影響額を期首の繰越利益剰余金で修正します(借方ソフトウェア、貸方繰越利益剰余金)。当期の決算を締める前に判明した場合は、研究開発費からソフトウェア仮勘定などへ振り替えます。重要性の判断に基づき修正再表示しない場合は、その性質により営業損益又は営業外損益として処理すると考えられています。

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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