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合同会社への出資の会計処理|有価証券としての測定と連結判定

2026-08-21
目次

合同会社への出資は、有価証券として取得原価をもって貸借対照表価額とするのが原則です。出資先の損益を持分割合に応じて取り込むことはせず、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときに減損処理を行います(実務対応報告第21号 Q3)。

同じ「有限責任の事業ビークル」でも、有限責任事業組合(LLP)への出資は取扱いが大きく異なります。LLPでは組合財産の持分相当額を出資金として計上し、組合の損益の持分相当額を当期の損益として計上します(実務対応報告第21号 Q1)。合同会社とLLPを同じ感覚で処理すると、損益計算書の姿がまったく変わってしまいます。

この記事では、公認会計士事務所プライムパートナーズ/株式会社プライムパートナーズコンサルティングの実務経験をふまえ、合同会社への出資の会計処理を、個別財務諸表上の測定・減損、LLPとの違い、連結財務諸表上の子会社・関連会社の判定という順で整理します。

合同会社への出資の会計処理の全体像

合同会社やLLPへの出資の会計処理は、企業会計審議会が公表した連結財務諸表原則のほか、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」、企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に基づいて行われます。これらの現行の会計基準等に基づく取扱いを明確にしたのが、実務対応報告第21号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い」です。

実務では、ジョイントベンチャーや共同事業の受け皿として合同会社を使う場面が増えています。出資した側の経理担当者がまず確認すべきなのは、「持分を取り込むのか、取得原価で置いておくのか」という一点です。合同会社の場合、答えは後者になります。

個別財務諸表上は有価証券として取得原価で計上

合同会社への出資は、有価証券として、取得原価をもって貸借対照表価額とします(実務対応報告第21号 Q3)。合同会社の社員権は、金融商品取引法上、有価証券とみなされる権利に位置づけられています(金融商品取引法 第2条第2項第3号)。株式会社の株式を取得した場合と同じように、支出した金額をそのまま資産計上する、という理解で差し支えありません。

貸借対照表価額 取得原価
損益の取込み 出資先である合同会社の損益の持分相当額を、出資者の損益として計上する処理は採らない
実質価額が著しく
低下したときの処理
相当の減額を行い、評価差額を当期の損失として処理する(減損処理)
連結上の判定 支配力基準又は影響力基準により、子会社又は関連会社に該当するかを判定する

出資時の仕訳は単純です。当社が合同会社に現金3,000千円を出資し、業務執行社員とはならない少数出資である場合を前提とします(単位:千円)。合同会社への出資は有価証券として取得原価で計上します(実務対応報告第21号 Q3)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
投資有価証券 3,000 現金及び預金 3,000

出資先が子会社又は関連会社に該当する場合は、貸借対照表の表示区分が関係会社に対する投資となりますが、取得原価で測定するという考え方自体は変わりません。ここが、後述するLLPへの出資との決定的な違いです。

実質価額の著しい低下と減損処理

合同会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、その評価差額を当期の損失として処理します(実務対応報告第21号 Q3)。取得原価で置いたままにできるのは、出資先の財政状態が健全である限りにおいてです。

上記の出資額3,000千円について、合同会社の財政状態の悪化により実質価額が1,000千円まで低下し、著しい低下に該当すると判断した場合を前提とします(単位:千円)。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
投資有価証券評価損 2,000 投資有価証券 2,000

実務で見落とされやすいのは、合同会社が非上場であり市場価格がないため、決算期ごとに実質価額を把握する手続きが社内に組み込まれていないケースです。出資先から財務諸表を入手する枠組みを、出資契約や定款の段階で確保しておくことをおすすめします。

有限責任事業組合(LLP)への出資との違い

合同会社とLLPは、いずれも出資者が有限責任にとどまる事業ビークルです。しかし、会計処理は正反対といってよいほど異なります。

LLPへの出資は持分相当額を取り込む処理

LLPは、有限責任事業組合契約によって成立する組合をいい(有限責任事業組合契約に関する法律 第2条)、組合員は出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負います(同法 第15条)。もっとも、組合財産は組合員間の共有であり、民法上の組合と同様に、持分及び持分から生じる損益は直接的に組合員に帰属します。

そのため、LLPへの出資は、民法上の組合等への出資と同様に処理されます。具体的には、組合財産の持分相当額を出資金(意思決定及び業務執行に係る関与の度合いにより、有価証券とみなされるものについては有価証券)として計上し、組合の営業により獲得した損益の持分相当額を、有限責任の範囲内で当期の損益として計上します(実務対応報告第21号 Q1)。

貸借対照表価額 組合財産の持分相当額(出資金又は有価証券として計上)
損益の取込み 組合の営業により獲得した損益の持分相当額を、有限責任の範囲内で当期の損益として計上する
そのほかに
認められる会計処理
契約内容の実態及び経営者の意図を考慮し、組合財産のうち持分割合に相当する部分を出資者の資産及び負債等として貸借対照表に計上する方法等を選択する
子会社・関連会社に
該当する場合
個別財務諸表上、取得原価ではなく持分相当額をもって貸借対照表価額とする

LLPへの出資についても、他の組合等への出資と同様に、その契約内容の実態及び経営者の意図を考慮して、経済実態を適切に反映する会計処理及び表示を選択することとなります。組合財産のうち持分割合に相当する部分を出資者の資産及び負債等として貸借対照表に計上し、損益計算書についても同様に処理する方法のほか、状況によっては、貸借対照表について持分相当額を純額で、損益計算書については損益項目の持分相当額を計上する方法も認められます(実務対応報告第21号 Q1)。

当社がLLPに出資しており、当期の組合の損益のうち当社の持分相当額が800千円の利益であった場合を前提とします(単位:千円)。純額で持分相当額を計上する方法によっています。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
出資金 800 組合等投資利益 800

関連コラム信託の会計処理|受益者の総額法・純額法と受益権の売買

合同会社が組合と同じ処理にならない理由

実務対応報告の検討過程では、内部自治が徹底している合同会社への出資は組合的出資の色彩が強いことを考慮して、LLPへの出資と同様に持分相当額を出資金に反映すべきではないか、という考え方もありました。

しかし、合同会社は法人格を有し、資産を保有し負債を負っています。また、存続期間を定める必要がなく、他の会社形態への組織変更も認められているなど、事業の永続性や安定性が考慮されています。その法的性質は必ずしもLLPと同一ではなく、組合よりもむしろ株式会社に近い部分もあります。したがって、子会社株式の会計処理を含む現行の会計基準等における体系の下では、持分相当額を取り込む考え方を採ることは困難であるとされました(実務対応報告第21号 Q3)。

ただし、子会社株式の会計処理を含む現行の会計基準等における体系が変わる場合などにおいては、実際に利用される合同会社の状況なども考慮し、今後、会計処理を見直すことはあり得るものと考えられる、とも述べられています(実務対応報告第21号 Q3)。合同会社の取扱いは、体系の変更に左右され得る位置づけにあると理解しておくとよいでしょう。

連結財務諸表上の取扱い

連結財務諸表上は、出資先の合同会社が子会社又は関連会社に該当するかどうかの判定が出発点になります。

子会社・関連会社の判定は業務執行の権限で見る

子会社及び関連会社の範囲には、会社のほか、会社に準ずる事業体が含まれるものとされ、会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む)が含まれます(連結財務諸表に関する会計基準 第5項、第6項、持分法に関する会計基準 第4-2項、第5項)。合同会社は、他の持分会社と同様に会社法上の会社であり(会社法 第2条第1号)、子会社又は関連会社に該当するかどうかは、支配力基準又は影響力基準によって判定します(実務対応報告第21号 Q4)。

ここで注意が必要なのは、判定に用いる指標です。合同会社については、原則として株式会社のように出資者が業務執行者を選任するのではなく、意思決定を行う出資者が業務執行の決定も直接行います。そのため、株式会社における議決権を想定している連結会計基準又は持分法会計基準を合同会社に適用する場合には、基本的には業務執行の権限を用いることによって、当該合同会社に対する支配力又は影響力を判断することが適当とされています(実務対応報告第21号 Q4)。

判定の基準 支配力基準又は影響力基準
議決権に代わる
判断の指標
業務執行の権限
業務執行の決定 社員の過半数をもって行う。定款に別段の定めがある場合にはその定めによる
子会社と判定される例 定款の別段の定めにより他に業務を執行する社員がおらず、ある出資者が業務執行社員として財務及び営業又は事業の方針を決定している場合
共同支配企業の
形成に該当する場合
共同支配投資企業は持分法を適用する

定款の別段の定めと業務執行社員

合同会社における業務執行の決定は、社員の過半数をもって行われますが、定款に別段の定めがある場合にはその定めによります(会社法 第590条第2項)。また、社員は定款に別段の定めがある場合を除き持分会社の業務を執行するとされており、定款の別段の定めによって業務を執行する社員を限定することもできます(会社法 第590条第1項、第591条第1項)。

したがって、定款における別段の定めにより他に業務を執行する社員がおらず、ある出資者が業務執行社員として業務の執行を決定し、財務及び営業又は事業の方針を決定している場合には、当該出資者が合同会社を支配していることから、当該合同会社は業務執行社員の子会社に該当します(実務対応報告第21号 Q4)。

実務では、出資割合が50%未満であっても、定款で単独の業務執行社員に指定されているために連結子会社と判定されるケースがあります。出資比率だけを見て「持分法適用にとどまる」と判断しないことが、連結範囲の誤りを防ぐ最大のポイントです。出資契約書だけでなく、必ず定款の業務執行に関する定めまで確認してください。

関連コラム投資事業組合の連結範囲|支配力基準・影響力基準の判定実務

共同支配企業に該当する場合

合同会社への出資が共同支配企業の形成に該当する場合には、当該会社に対する共同支配投資企業は持分法を適用します(実務対応報告第21号 Q4)。複数の事業会社が対等な立場で合同会社を組成し、共同で事業を運営するスキームでは、どちらか一方の子会社となるのか、共同支配企業として双方が持分法を適用するのかで、連結財務諸表の姿が大きく変わります。

連結上の会計処理そのものは、株式会社と同様に、連結会計基準又は持分法会計基準に従って行われます(実務対応報告第21号 Q4)。特別な連結手続きが用意されているわけではなく、あくまで「範囲の判定を業務執行の権限で行う」点だけが合同会社に固有の論点です。

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出資比率と異なる損益分配を定めた場合の留意点

合同会社では、損益分配の割合について定款の定めがないときは、各社員の出資の価額に応じて定めることとされています(会社法 第622条第1項)。裏を返せば、定款で出資比率と異なる損益分配の割合を定めることができるということです。

出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合には、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することに留意する必要があります(実務対応報告第21号 Q4)。LLPについても同様で、総組合員の同意により出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合(有限責任事業組合契約に関する法律 第33条)には、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することになります(実務対応報告第21号 Q1、Q2)。

実務では、出資比率をそのまま持分比率として連結計算に用いてしまい、定款の損益分配条項を見落とす誤りが起こりがちです。ビークルの定款・組合契約は、経理部門でも必ず原本を確認しておきたい資料です。

適用時期と改正の経緯

実務対応報告第21号は、すでに適用されています。2006年に公表された実務対応報告は、公表日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間並びに連結会計年度及び事業年度から適用されています(実務対応報告第21号 Q5)。

その後、2008年12月に連結会計基準が公表され、また持分法会計基準が改正されたことから、これらの会計基準等における表現等に合わせるための技術的な改正が2009年3月に行われました。2009年に改正された実務対応報告は、2008年12月に公表された連結会計基準及び持分法会計基準が適用された連結会計年度及び事業年度から適用されています(実務対応報告第21号 Q5)。

公表以降の改正は、この2009年3月の技術的な改正のみであり、合同会社への出資を有価証券として取得原価で測定するという枠組みは現在も維持されています。

実務上の落とし穴

合同会社・LLPへの出資でつまずきやすい論点を、確認の順番に沿って整理します。

  • ビークルの種類を最初に確定する ── 合同会社は取得原価、LLPは持分相当額の取込みと、出発点から処理が分かれます。契約書の名称だけで判断せず、根拠法まで確認します。
  • 定款の業務執行条項を読む ── 連結範囲の判定は業務執行の権限で行うため、出資比率よりも定款の定めが重要になります。
  • 損益分配の割合を確認する ── 出資比率と異なる損益分配が定められている場合は、持分相当額の調整が必要です。
  • 実質価額の把握手続きを整備する ── 合同会社への出資には市場価格がないため、財務諸表を定期的に入手する仕組みがないと減損の要否を判断できません。
  • 共同支配企業への該当性を検討する ── 複数社が対等に出資するスキームでは、子会社判定と共同支配企業の判定を分けて検討します。

合同会社やLLPを用いたスキームは、出資契約・定款・損益分配の設計によって会計上の帰結が変わります。判断が分かれる論点も多いため、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

まとめ

合同会社への出資は、有価証券として取得原価をもって貸借対照表価額とし、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときに減損処理を行います。LLPのように持分相当額を取り込む処理は採りません(実務対応報告第21号 Q1、Q3)。

連結財務諸表上は、合同会社が子会社又は関連会社に該当するかを支配力基準又は影響力基準で判定しますが、その際に用いる指標は議決権ではなく業務執行の権限です(実務対応報告第21号 Q4)。定款の別段の定めによって単独の業務執行社員となっている出資者がいれば、出資比率にかかわらず子会社に該当し得ます。

合同会社をジョイントベンチャーや事業ビークルとして用いる場合は、出資の実行前に、定款の業務執行条項と損益分配条項が会計処理・連結範囲に与える影響まで見通しておくことが、決算期の手戻りを防ぐ近道です。

参考文献

よくある質問

合同会社への出資は有価証券として扱うのですか

はい。合同会社への出資は有価証券として、取得原価をもって貸借対照表価額とします(実務対応報告第21号 Q3)。合同会社の社員権は、金融商品取引法上、有価証券とみなされる権利に位置づけられています(金融商品取引法 第2条第2項第3号)。

合同会社でも有限責任事業組合と同じように損益を取り込めますか

採ることは困難とされています。合同会社は法人格を有し、資産を保有し負債を負っていること、存続期間を定める必要がなく他の会社形態への組織変更も認められていることなどから、その法的性質は組合よりもむしろ株式会社に近い部分があります。子会社株式の会計処理を含む現行の会計基準等における体系の下では、持分相当額を出資金に反映する考え方は採れないとされています(実務対応報告第21号 Q3)。

出資先の合同会社が子会社に該当するかはどのように判定しますか

支配力基準又は影響力基準によって判定します。ただし、合同会社では意思決定を行う出資者が業務執行の決定も直接行うため、基本的には業務執行の権限を用いて支配力又は影響力を判断することが適当とされています(実務対応報告第21号 Q4)。定款の別段の定めにより、ある出資者が単独の業務執行社員として財務及び営業又は事業の方針を決定している場合には、当該合同会社はその出資者の子会社に該当します。

出資比率と異なる損益分配を定めた場合の会計処理はどうなりますか

当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整します(実務対応報告第21号 Q4)。合同会社では、損益分配の割合について定款の定めがないときは各社員の出資の価額に応じて定めることとされており(会社法 第622条第1項)、定款で異なる割合を定めることができます。

出資額の減額(減損処理)はどのようなときに行いますか

合同会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときに、相当の減額を行い、当該評価差額を当期の損失として処理します(実務対応報告第21号 Q3)。市場価格がないため、出資先から財務諸表を定期的に入手し、実質価額を把握できる体制を整えておく必要があります。

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事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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