その他資本剰余金の処分による配当を受け取った株主は、原則として配当受領額を受取配当金とせず、配当の対象である有価証券の帳簿価額から減額します(企業会計基準適用指針第3号 第3項)。グループ再編や資本政策の一環で行われる配当を、通常の配当と同じように収益計上してしまうと、利益と純資産を過大に計上する誤りにつながります。
その他資本剰余金とは、資本金および資本準備金の額の減少によって生じた剰余金や自己株式処分差益などで構成される剰余金で、その内容は原則として株主からの払込資本です(企業会計基準適用指針第3号 第11項)。払込資本を原資とする配当は、投資成果の分配ではなく投資そのものの払戻しとしての性格を持つため、受け取った株主側では投資勘定を減らす処理が原則となります。企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第3号 その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理
この記事では、公認会計士事務所の実務視点から、企業会計基準適用指針第3号を軸に、株主側の判断手順を整理します。原則処理、売買目的有価証券の例外、収益計上が認められる場合、配当原資が不明なときの取扱い、減額後の売却損益・減損への影響までを順に確認します。なお、本記事は会計処理に絞って解説しており、税務上の取扱いは扱いません。
その他資本剰余金の配当と株主側の会計処理の全体像
企業会計基準適用指針第3号は、その他資本剰余金の処分による配当を受けたすべての会社に適用されます。ただし対象は配当財産が金銭である場合に限られ、配当財産が金銭以外である場合の株主の会計処理は、企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」によることになります(企業会計基準適用指針第3号 第2項)。まず、受け取った配当が金銭配当かどうかで参照する基準が変わる点を押さえてください。
そのうえで、配当の対象となる有価証券の区分に応じて、次のように処理が分かれます。実務では、まず配当原資を確認し、次に保有する有価証券の区分を確認する、という順で判断すると整理しやすくなります。
| 配当の対象となる有価証券 | 配当受領額の会計処理 |
|---|---|
| 売買目的有価証券以外(原則) | 有価証券の帳簿価額から減額する(第3項) |
| 売買目的有価証券 | 受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上する(第4項) |
| 収益計上が明らかに合理的である場合 | 受取配当金に計上できる(第5項) |
その他資本剰余金は、資本金および資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金が計上される区分でもあります。会社法上の減少の法的効力が発生したときに、その他資本剰余金に計上されます(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第20項)。また、自己株式処分差益もその他資本剰余金に計上されます(同基準 第9項)。企業会計基準委員会 企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
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原則処理:配当受領額を有価証券の帳簿価額から減額する
なぜ収益ではなく投資の払戻しとして扱うのか
現行の会計実務では、留保利益から配当を受けたときは受取配当金で処理し、払込資本の払戻しを受けたときは投資勘定の減額で処理することが多く、この処理は投資成果の分配と投資そのものの払戻しを、支払側の配当の原資に従って区別することを意図しています(企業会計基準適用指針第3号 第10項)。その他資本剰余金の処分による配当は基本的に投資の払戻しの性格を持つため、配当を受けた株主の側では有価証券の帳簿価額を減額することが原則的な処理とされました(同 第11項)。
実務では、投資先から入金があった時点で「配当=受取配当金」と機械的に仕訳を切ってしまう誤りが見られます。上場準備の過程では、親子会社間やグループ会社間で資本金・資本準備金の減少を伴う資本政策が行われることが多く、その直後の配当が資本剰余金を原資としているケースは珍しくありません。入金明細だけで判断せず、支払側の決議内容まで確認する運用が必要です。
自作の数値設例で確認する
ここからは、基準に掲載されている設例ではなく、理解を助けるために当事務所で作成した簡易な数値設例で処理を確認します。前提は次のとおりです。株主B社は、投資先A社の株式を帳簿価額1,000で保有しています。A社がその他資本剰余金の処分による配当を実施し、B社は現金100を受領しました。
この設例では、減額後の帳簿価額は1,000から100を差し引いた900となります。A社株式が売買目的有価証券以外である場合、原則処理の仕訳は次のとおりです(企業会計基準適用指針第3号 第3項)。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金預金 100 | 投資有価証券 100 |
一方、A社株式が売買目的有価証券である場合は、配当受領額を受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上します(同 第4項)。同じ配当でも、保有区分によって損益計算書への影響がまったく異なる点が実務上のポイントです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金預金 100 | 受取配当金(売買目的有価証券運用損益) 100 |
原則処理を誤って受取配当金で計上すると、この設例では営業外収益が100過大となり、同時に有価証券の帳簿価額も100過大のまま残ります。純資産と当期純利益の双方に影響が出るため、監査上も指摘を受けやすい論点です。
例外その1:売買目的有価証券は受取配当金として計上する
配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合は、配当受領額を受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上します(企業会計基準適用指針第3号 第4項)。売買目的有価証券は期末に時価評価され、評価差額が損益計算書に計上されるため、配当に伴う価値の低下が期末時価に反映されており、配当の原資にかかわらず収益計上することが適切であると整理されています(同 第12項)。
つまり、時価評価を通じて価値の下落がすでに損益に取り込まれているかどうかが、原則と例外を分ける実質的な理由です。この考え方を理解しておくと、次に説明する第5項の例外も同じ発想の延長線上にあることが分かります。
例外その2:収益計上が明らかに合理的である場合
売買目的有価証券以外の場合でも、配当受領額を収益として計上することが明らかに合理的である場合は、受取配当金に計上できるものとされています(企業会計基準適用指針第3号 第5項)。適用指針では、次の3つが例として挙げられています。
| 収益計上が明らかに合理的である例(第5項) | そのように整理される趣旨(第15項) |
|---|---|
| 配当の対象となる時価のある有価証券を時価まで減損処理した期における配当(第5項(1)) | 期末に時価まで減損処理され評価損が損益計算書に反映されているため、配当に伴う価値の低下が期末時価に反映されており、売買目的有価証券と同様に収益計上できると考えられたため(第15項(1)) |
| 投資先企業を結合当事企業とした企業再編が行われた場合において、結合後企業からの配当に相当する留保利益が当該企業再編直前に投資先企業において存在し、当該留保利益を原資とするものと認められる配当(配当を受領した株主が、当該企業再編に関して投資先企業の株式の交換損益を認識していない場合に限る)(第5項(2)) | 結合後企業のその他資本剰余金の処分による配当が、実質的に企業再編直前の投資先企業の留保利益相当額の配当と確認できる場合は、その他利益剰余金からの配当と同様に取り扱えると考えられたため(第15項(2)) |
| 配当の対象となる有価証券が優先株式であって、払込額による償還が約定されており、一定の時期に償還されることが確実に見込まれる場合の当該優先株式に係る配当(第5項(3)) | 当該優先株式は経済的には清算時の弁済順位を除き債券と同様の性格を持つと考えられ、受取配当は受取利息と同様に収益計上できると考えられたため(第15項(3)) |
第5項(2)の取扱いは、もともと配当受領額を収益として計上することが明らかに合理的である場合の取扱いであるため、投資先企業からの企業結合年度後における配当についてこの会計処理を適用する場合には、要件に照らして慎重に判断することが必要とされています(同 第15項(2))。実務では、この例外を安易に広げず、留保利益相当額であることを客観的に確認できる資料をそろえたうえで適用するかどうかを判断してください。
また、株主が企業再編に関して投資先企業の株式の交換損益を認識している場合には、その配当の原資が実質的に企業再編直前の投資先企業の留保利益に相当するものかどうかにかかわらず、投資の払戻しとして有価証券の帳簿価額を減額処理することになります(同 第15項(2))。交換損益の認識の有無が結論を分ける点は見落とされやすいところです。
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配当をいつ計上するか:認識時点の考え方
配当金の認識は、移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」第94項と同様とされています(企業会計基準適用指針第3号 第6項)。第94項では、市場価格のある株式と市場価格のない株式とで認識時点が分けられています。
市場価格のある株式については、各銘柄の配当落ち日(配当権利付き最終売買日の翌日)をもって、前回の配当実績または公表されている1株当たり予想配当額に基づいて未収配当金を見積計上します。その後、配当金の見積計上額と実際配当額とに差異があることが判明した場合には、判明した事業年度に当該差異を修正します(移管指針第9号 第94項(1))。
市場価格のない株式については、発行会社の株主総会、取締役会またはその他決定権限を有する機関において行われた配当金に関する決議の効力が発生した日の属する事業年度に計上します。ただし、決議の効力が発生した日の後、通常要する期間内に支払を受けるものであれば、その支払を受けた日の属する事業年度に認識することも、継続適用を条件として認められます(同 第94項(2))。企業会計基準委員会 移管指針第9号 金融商品会計に関する実務指針
非上場のグループ会社からの配当は、この市場価格のない株式の取扱いによることが大半です。上場準備で多いのは、決議の効力発生日と入金日が期をまたぐケースで、どちらの基準で継続的に処理しているかを説明できるようにしておく必要があります。
配当の原資が不明な場合の取扱いと判明後の修正
配当金を計上する際に、その他利益剰余金の処分によるものか、その他資本剰余金の処分によるものかが不明な場合は、受取配当金に計上できるものとされています。その後、その他資本剰余金の処分によるものであることが判明した場合には、その金額に重要性が乏しい場合を除き、その時点で修正する会計処理を行います(企業会計基準適用指針第3号 第6項)。
この取扱いは、配当可能な剰余金として資本剰余金と利益剰余金の双方がある場合には、一般に利益剰余金を優先的に配当の原資としているものと考えられること、および事務負担への配慮によるものとされています(同 第16項)。原資が分からないからといって、無条件に受取配当金のままでよいという趣旨ではない点に注意してください。
なお、剰余金等を配当する会社は、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた配当の原資(その他資本剰余金またはその他利益剰余金)を速やかに公表することが望ましいとされています(同 第16項)。実務では、配当を実施する側の会社として、決議書や適時開示で原資を明示しておくことが、株主側の適正な処理を支えることになります。
判断手順としては、次の流れで整理すると漏れが生じにくくなります。
- 配当財産が金銭かどうかを確認する(金銭以外は事業分離等会計基準による。第2項)
- 支払側の決議内容から配当の原資を確認する(第6項、第16項)
- 保有している有価証券が売買目的有価証券かどうかを確認する(第3項、第4項)
- 売買目的有価証券以外の場合、収益計上が明らかに合理的な例に該当するかを検討する(第5項)
- 該当しなければ、配当受領額を有価証券の帳簿価額から減額する(第3項)
- 原資が不明のまま受取配当金で計上した場合は、判明時点で重要性を踏まえて修正する(第6項)
帳簿価額を減額した後に生じる影響と落とし穴
売却損益と減損判定への影響
配当受領額を有価証券の帳簿価額から減額すると、その後の売却損益は減額後の帳簿価額を基礎として計算されることになります。実務では、配当を受け取った期には損益が計上されず、株式を売却した期にまとめて損益が出る形になるため、事業計画や業績予想への影響を事前に共有しておくことが望まれます。
減損処理の判定にも留意が必要です。売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものについては、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理しなければならないとされています(移管指針第9号 第91項)。時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当し、下落率がおおむね30%未満の場合には一般的には該当しないと考えられています(同 第91項)。
市場価格のない株式等については、株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として処理しなければなりません。実質価額が「著しく低下したとき」とは、少なくとも実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合をいいます(同 第92項)。配当により発行会社の純資産が減少すれば、株主側では実質価額も低下するため、帳簿価額の減額と減損の要否は同じ決算で並行して検討することになります。
利益剰余金が原資でも減額が適当とされる場合
配当原資が留保利益であれば必ず受取配当金でよい、とは限りません。留保利益を原資とする配当を受取配当金として計上すると明らかに合理性を欠くと考えられる場合、例えば、帳簿価額に比して実質価額が低下しているものの減損処理に至っていない株式について、投資後に行われた資本金または資本準備金による欠損てん補の額に満たない留保利益を原資とする配当を受領した場合には、配当を受領した株主は、重要性が乏しい場合を除き、有価証券の帳簿価額を減額処理することが適当であるとされています(企業会計基準適用指針第3号 第17項)。
本質的には、支払側の配当の原資によって受取側の会計処理が自動的に決定されるわけではありません(同 第13項)。原資の確認は出発点であって、投資成果の分配なのか投資の払戻しなのかという実質判断が最後に残る、と理解しておくと誤りを避けられます。
資本剰余金と利益剰余金の混同の禁止
支払側の視点では、資本剰余金の各項目は利益剰余金の各項目と混同してはならず、資本剰余金の利益剰余金への振替は原則として認められません(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第19項)。株主側で払込資本の払戻しを収益計上してしまうと、グループ全体で見たときにこの区分の趣旨が損なわれることになります。純資産の部の区分と配当の原資は、常にセットで確認してください。
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適用時期と改正の経緯
本適用指針は、平成14年(2002年)2月21日に、企業会計基準第1号「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」に関連して公表されました(企業会計基準適用指針第3号 第9項)。その後、平成17年(2005年)7月26日に会社法が公布されたこと、企業会計基準委員会が平成17年12月27日に企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」を改正したこと、および同日に事業分離等会計基準を公表したことに伴い、平成17年12月27日に所要の改正が行われています(同 第9項)。企業会計基準委員会が公表している現行版でも、改正日として示されているのはこの平成17年12月27日改正です。
平成17年12月27日改正の本適用指針は、会社法(平成17年法律第86号)の施行日以後に認識される配当から適用されています(同 第7項)。会社法に対応した会社計算規則(平成18年法務省令第13号)は平成18年(2006年)5月1日に施行されており(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準 第28-2項)、改正後の本適用指針は現在ではすでに定着した取扱いです。なお、改正適用指針の適用前に認識される配当については、改正前の本適用指針によることとされています(企業会計基準適用指針第3号 第7項)。
現行版の第6項では、配当金の認識について移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」第94項を参照する形になっています(同 第6項)。参照先の実務指針は改正が重ねられているため、認識時点の取扱いを確認する際は、移管指針第9号の最新版に当たることをおすすめします。
上場準備実務でのチェックポイント
上場準備企業では、資本政策の一環で子会社の資本金や資本準備金を減少させ、その後にグループ内で配当を行うケースがしばしば見られます。この場合、親会社側の個別財務諸表で受取配当金を計上してしまうと、個別業績が実態より良く見え、さらに子会社株式の帳簿価額が過大に残ります。監査法人によるショートレビューや期首残高の検証で発見されると、過年度の修正が必要になることもあります。
再発を防ぐには、配当の受領時に支払側の決議内容(原資の区分)を必ず入手する運用をルール化することが有効です。あわせて、配当により子会社の純資産が減少した後の実質価額を確認し、子会社株式の減損の要否を同じ決算で検討する体制を整えておくと、決算作業が後戻りしません。判断に迷う場合は、決算を締める前に会計士へ相談する流れを作っておくことをおすすめします。
本記事は、企業会計基準適用指針第3号および関連する基準・指針の内容を、一般的な情報提供を目的として整理したものです。個別の取引に対する会計処理の結論は、契約内容や事実関係によって異なります。具体的なケースについては、公認会計士へのご相談をおすすめします。
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その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主は、配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除き、原則として配当受領額を有価証券の帳簿価額から減額します(企業会計基準適用指針第3号 第3項)。売買目的有価証券の場合は受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上し(同 第4項)、収益計上が明らかに合理的である一定の場合にも受取配当金に計上できます(同 第5項)。
配当金の認識は移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」第94項と同様とされ(同 第6項)、原資が不明な場合は受取配当金に計上できますが、その他資本剰余金の処分によるものと判明した場合は、重要性が乏しい場合を除きその時点で修正します(同 第6項)。配当財産が金銭以外である場合は事業分離等会計基準によることになります(同 第2項)。
実務では、入金額だけで受取配当金と判断せず、支払側の決議で原資を確認することが出発点になります。帳簿価額を減額した後は、売却損益や減損判定の基礎が変わるため、決算の中で一体として検討してください。
参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第3号 その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 移管指針第9号 金融商品会計に関する実務指針
よくある質問
その他資本剰余金を原資とする配当は、受取配当金として計上できないのですか
原則として計上できません。配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除き、配当受領額は配当の対象である有価証券の帳簿価額から減額します(企業会計基準適用指針第3号 第3項)。ただし、売買目的有価証券である場合は受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として計上し(同 第4項)、時価まで減損処理した期における配当など、収益として計上することが明らかに合理的である場合には受取配当金に計上できます(同 第5項)。
配当の原資がその他資本剰余金かどうか分からない場合はどうすればよいですか
その他利益剰余金の処分によるものか、その他資本剰余金の処分によるものかが不明な場合は、受取配当金に計上できるものとされています。その後、その他資本剰余金の処分によるものであることが判明した場合には、その金額に重要性が乏しい場合を除き、その時点で修正する会計処理を行います(企業会計基準適用指針第3号 第6項)。なお、配当する会社は、意思決定機関で定められた配当の原資を速やかに公表することが望ましいとされています(同 第16項)。
配当財産が金銭以外の場合も、この適用指針で処理するのですか
いいえ。本適用指針の範囲は、その他資本剰余金の処分による配当のうち配当財産が金銭である場合に限られます。配当財産が金銭以外である場合の株主の会計処理は、企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」によることになります(企業会計基準適用指針第3号 第2項)。現物配当を受けた場合は、参照する基準が変わる点に注意してください。
帳簿価額を減額した後、減損の判定はどのように行いますか
減額後の帳簿価額を基礎として、通常どおり減損の要否を検討します。売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるものについては、時価が著しく下落したときは回復する見込みがあると認められる場合を除き減損処理を行い、時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合が「著しく下落した」ときに該当します(移管指針第9号 第91項)。市場価格のない株式等については、実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合が「著しく低下したとき」に当たります(同 第92項)。
利益剰余金を原資とする配当であれば、必ず受取配当金でよいのですか
必ずしもそうではありません。本質的には、支払側の配当の原資により受取側の会計処理が自動的に決定されるわけではないとされています(企業会計基準適用指針第3号 第13項)。帳簿価額に比して実質価額が低下しているものの減損処理に至っていない株式について、投資後に行われた資本金または資本準備金による欠損てん補の額に満たない留保利益を原資とする配当を受領した場合には、重要性が乏しい場合を除き、有価証券の帳簿価額を減額処理することが適当であるとされています(同 第17項)。