連結子会社の判定フローチャート|50%以下でも連結になるケース
目次
- 連結子会社の判定フローチャート
- 議決権の所有割合の算定方法
- 議決権の所有割合の算式
- 行使し得る議決権の総数から除かれる株式
- 自己の計算における所有かどうかの判断
- 議決権の過半数所有による判定
- 議決権40%以上50%以下で連結子会社となる5つの要件
- 役員派遣による判定(要件②)
- 支配契約・取引依存による判定(要件③)
- 融資・経営支援による判定(要件④・⑤)
- 緊密な者・同意している者の該当例一覧
- 議決権40%未満でも連結子会社となるケース
- 支配していないことが明らかな場合
- 影響力基準による関連会社の判定
- 非連結子会社|連結の範囲から除外される子会社
- 支配が一時的な子会社の判断
- 利害関係者の判断を著しく誤らせる子会社
- 重要性の乏しい子会社の除外基準
- 特別目的会社の取扱いと2026年改正
- 連結範囲判定の実務上の留意点
- まとめ
- 参考文献
- よくある質問
- 連結子会社は出資比率が何パーセントから該当しますか。
- 緊密な者とは具体的にどのような相手を指しますか。
- 議決権の所有割合はどのように計算しますか。
- 非連結子会社となるのはどのような場合ですか。
- 議決権の過半数を持っていても子会社にならないことはありますか。
連結子会社の判定フローチャート
連結子会社かどうかは、出資比率だけでは決まりません。判定の軸は支配力基準で、他の企業の意思決定機関(株主総会その他これに準ずる機関)を実質的に支配しているかどうかをみます(連結財務諸表に関する会計基準 第6項、第7項)。そのため、議決権が50%以下でも連結子会社になる場合があり、反対に過半数を持っていても子会社に該当しない場合があります。
実務では、次の順序で上から辿ると判定が整理できます。まず自己の計算における議決権の所有割合を確定し、50%超・40%以上50%以下・40%未満のどの区分かを決め、区分ごとに定められた追加要件を確認するという流れです。子会社に該当した後で、さらに連結の範囲に含めるかどうかを判断する二段階構造になっている点も押さえておきたいところです。
| ステップ1 議決権の過半数(50%超)を所有 |
原則として子会社に該当します。株主総会の普通決議を単独で成立させられる状態だからです(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(1)) |
|---|---|
| ステップ2 議決権40%以上50%以下を所有 |
下記の5つの追加要件のいずれかに該当すれば子会社です。該当しなければ関連会社の判定へ進みます(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(2)) |
| ステップ3 議決権40%未満を所有 |
緊密な者・同意している者の議決権と合算して過半数を占め、かつ追加要件の②から⑤のいずれかに該当すれば子会社です(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(3)) |
| ステップ4 子会社に該当しない場合 |
影響力基準に切り替えて関連会社かどうかを判定します。該当すれば持分法の適用対象です(持分法に関する会計基準 第5項、第5-2項) |
| ステップ5 子会社に該当した場合 |
原則としてすべての子会社を連結します。支配が一時的な子会社等は除外し、重要性の乏しい子会社は含めないことができます(連結財務諸表に関する会計基準 第13項、第14項) |
この判定の枠組みは、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」と、当てはめの細目を定めた企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」に置かれており、いずれもすでに適用されています。本記事では、フローの各ステップを条項番号とともに順に確認していきます。
議決権の所有割合の算定方法
どのステップに進むかは議決権の所有割合で決まるため、まずこの分数を正しく計算することが出発点になります。分子と分母の取り方を誤ると、そもそも入り口の区分がずれてしまいます。
議決権の所有割合の算式
議決権の所有割合は、原則として次の算式で算定します(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第4項)。算定は期末における議決権の数によります。
なお、関連会社に該当するかどうかの判定において持株関係が複雑で行使し得る議決権の総数の把握が困難と認められる場合には、分母を直前期の株主総会招集通知に記載された総株主の議決権の数により算定することができます(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第4項(2))。実務では、非上場の出資先について株主名簿と招集通知の両方を突き合わせる場面が少なくありません。
行使し得る議決権の総数から除かれる株式
分母となる「行使し得る議決権の総数」は、株主総会において行使し得るものと認められている総株主の議決権の数です。したがって、次の株式に係る議決権はいずれも分母に含まれません(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第5項)。
- 自己株式
- 完全無議決権株式(株主総会のすべての事項について議決権を行使することができない株式)
- 会社法第308条第1項による相互保有株式
一方、分子となる「所有する議決権の数」は、行使し得る議決権の総数のうち、自己および子会社が所有する議決権の数によります(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第6項)。親会社単独の持分だけでなく、既存の子会社が保有する分も合算して判定する点が実務上の注意点です。
自己の計算における所有かどうかの判断
子会社・関連会社の判定に用いるのは、あくまで自己の計算で所有している議決権です。そのため、議決権のある株式または出資の名義が役員など自己以外の者となっていても、取得のための資金関係、当該株式または出資に係る配当その他の損益の帰属関係を検討し、自己の計算において所有しているか否かを判断する必要があります(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第7項)。
上場準備の実務では、創業者個人やその資産管理会社の名義になっている株式について、資金の出どころと配当の帰属を確認する作業が発生します。名義だけで形式的に判断すると、連結の範囲を取り違える原因になります。
議決権の過半数所有による判定
もっとも基本的なのは、他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合です。この場合は、原則としてその企業を子会社と判定します(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(1))。「連結子会社は何パーセントから」という問いに対する出発点の答えが、この50%超という水準です。
また、親会社および子会社または子会社が他の企業の意思決定機関を支配している場合における当該他の企業も、その親会社の子会社とみなされます(連結財務諸表に関する会計基準 第6項)。いわゆる孫会社が連結の範囲に入るのはこの定めによるもので、親会社と子会社が一体となって支配している場合、子会社1社で支配している場合、複数の子会社が一体となって支配している場合が具体例として示されています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第17項)。
ただし、更生会社・破産会社その他これらに準ずる企業であって、かつ有効な支配従属関係が存在しないと認められる企業は、議決権を過半数所有していても子会社に該当しません(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(1))。民事再生手続開始の決定を受けた会社なども同様に取り扱われます(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第20項)。
議決権40%以上50%以下で連結子会社となる5つの要件
議決権の所有割合が40%以上50%以下の場合は、次の5つの要件のいずれかに該当すると子会社になります(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(2))。持分が50%以下でも連結子会社になる典型的なケースがここに集まっています。
| 要件① 緊密な者等との合算で過半数 |
自己の議決権と、緊密な者および同意している者が所有する議決権を合わせて過半数を占めていること |
|---|---|
| 要件② 取締役会の構成員の過半数 |
役員もしくは使用人である者、またはこれらであった者で自己が方針の決定に影響を与えられる者が、取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること |
| 要件③ 方針決定を支配する契約等 |
重要な財務および営業または事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること |
| 要件④ 資金調達額の過半の融資 |
貸借対照表の負債の部に計上されている資金調達額の総額の過半について融資(債務の保証および担保の提供を含む)を行っていること |
| 要件⑤ 支配が推測されるその他の事実 |
その他、意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること |
役員派遣による判定(要件②)
要件②には、自己の役員、業務を執行する社員もしくは使用人である者またはこれらであった者で、自己の意向に沿って取締役としての業務を執行すると認められる者の員数が、取締役会の構成員の過半数を占めている場合等が該当します(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第11項)。取締役5名中3名を親会社出身者が占めていれば、持分が45%であっても子会社と判定される可能性が高い、という判断です。
支配契約・取引依存による判定(要件③)
要件③には、他の企業との間の契約、協定等により総合的に判断して当該他の企業の方針の決定を指示しまたは強制し得る力を有すると認められる場合が該当し、例えば会社法上の事業全部の経営の委任を受けている場合が含まれます。さらに、次のような場合もこれに準じて取り扱うことが適当とされています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第12項)。
- 原材料の供給・製品の販売に係る包括的契約、一手販売・一手仕入契約等により、当該他の会社にとっての事業依存度が著しく大きい場合
- 営業地域の制限を伴うフランチャイズ契約、ライセンス契約等により、当該他の会社が著しく事業上の拘束を受ける場合
- 技術援助契約について、当該契約の終了により当該他の会社の事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる場合
融資・経営支援による判定(要件④・⑤)
要件④は、負債の部に計上されている資金調達額の総額の概ね過半について融資を行っていることにより、資金の関係を通じて財務の方針決定を支配している場合が該当します。金融機関が通常の取引として行っている融資は該当しませんが、自己と緊密な者が行う融資を合わせて概ね過半となる場合は該当します(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第13項)。
要件⑤の「支配が推測される事実」には、当該他の企業が重要な方針を決定するにあたり自己の承認を得ることとなっている場合、多額の損失が発生し自己が重要な経営支援を行っている場合または行うこととしている場合、資金調達額の総額の概ね過半について融資および出資を行っている場合が挙げられています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第14項)。実務では、議決権を行使しない株主が相当数いるために有効議決権の過半数を占める状態が過去相当期間継続しているケースも、支配の推測を妨げない事実として扱われます。
緊密な者・同意している者の該当例一覧
40%以上50%以下の要件①と、次に述べる40%未満のケースの双方で鍵を握るのが緊密な者と同意している者です。緊密な者とは、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者をいい、同意している者とは、契約や合意等により自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意していると認められる者をいいます(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第8項、第10項)。
緊密な者に該当するかどうかは、両者の関係に至った経緯、関係状況の内容、過去の議決権の行使の状況、自己の商号との類似性等を踏まえて実質的に判断します。次に掲げる者は一般的に緊密な者に該当するものと考えられています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第9項)。
| 自己が議決権の20%以上を 所有している企業 |
自己には自己の子会社を含みます。以下の各項目についても同じです |
|---|---|
| 自己の役員または自己の役員が 議決権の過半数を所有する企業 |
役員個人が支配している資産管理会社などが典型例です |
| 自己の役員・使用人等が 取締役会の構成員の過半数を占める企業 |
役員もしくは使用人である者、またはこれらであった者で自己が方針の決定に影響を与えられる者が対象です |
| 自己の役員・使用人等が 代表権のある役員として派遣されている企業 |
かつ取締役会その他これに準ずる機関の構成員の相当数(過半数に満たない場合を含む)を占めていることが要件です |
| 自己が資金調達額の 概ね過半について融資している企業 |
融資には債務保証および担保の提供を含みます。金融機関が通常の取引として融資を行っている企業は除きます |
| 技術援助契約の終了が 事業の継続に重要な影響を及ぼす企業 |
自己が技術援助契約等を締結しており、その終了により事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる企業です |
| 自己への事業依存度が著しく大きい または事業上の拘束を受ける企業 |
営業取引契約に関し自己に対する事業依存度が著しく大きい企業、またはフランチャイズ契約等により著しく事業上の拘束を受ける企業です |
一覧に挙げられた者以外であっても、出資、人事、資金、技術、取引等における両者の関係状況からみて自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者は緊密な者に該当します。逆に、かつて緊密な関係にあった企業でも、その後に関係の見直しが行われ、自己の意思と同一の内容の議決権を行使するとは認められない場合には緊密な者に該当しません(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第9項)。緊密な者の認定は毎期見直すべき論点です。
議決権40%未満でも連結子会社となるケース
自己の計算における所有割合が40%未満であっても、緊密な者および同意している者が所有する議決権と合わせて過半数を占め、かつ前述の要件②から⑤までのいずれかに該当する場合には子会社に該当します(連結財務諸表に関する会計基準 第7項(3))。適用指針では、次の2つが具体例として示されています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第15項)。
- 議決権の40%未満を所有している場合に、緊密な者および同意している者が所有する議決権と合わせて50%超を占めており、かつ、取締役の過半数の派遣、重要な方針の決定を支配する契約の締結、負債の部に計上されている資金調達額の概ね過半についての融資、その他意思決定機関を支配していることが推測される事実の存在のいずれかの要件に該当しているとき
- 議決権を直接所有していないが、緊密な者および同意している者を通じて議決権の過半数を間接的に所有している場合で、当該他の会社が債務超過の状況にあり、債務保証を行っていること等により当該債務超過額を負担することとなっているとき
持株比率が低いという理由だけで連結対象から外すと、監査の過程で子会社該当を指摘されることがあります。緊密な者の範囲、役員構成、融資残高、取引依存度を一覧化し、判定の根拠を文書で残しておく運用が安全です。
支配していないことが明らかな場合
形式的に支配の要件を満たしていても、財務上または営業上もしくは事業上の関係からみて意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる企業は、子会社に該当しません(連結財務諸表に関する会計基準 第7項ただし書き)。適用指針では、次のような場合が挙げられています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第16項)。
- 複数の企業(親子関係にある企業を除く)がそれぞれ他の企業を支配することにはならないため、40%以上50%以下を所有し支配の要件を満たしていても、ほかに議決権の過半数を自己の計算において所有する株主が存在する場合は一般に子会社に該当しないこと(関連会社に該当する場合はあります)
- 共同で出資している合弁会社について、共同支配企業の形成による処理方法が適用され共同で支配されている実態にある場合は、出資している各社の関連会社として取り扱うこと
- ベンチャーキャピタルなどの投資企業や金融機関が、キャピタルゲインの獲得または債権の円滑な回収を目的とする営業取引として株式や出資を有している場合で、売却等の合理的な計画があること、投資・融資以外の取引がほとんどないこと、自己の事業を単に移転したものとはみなせないこと、シナジー効果も連携関係も見込まれないことのすべてを満たすとき
ベンチャーキャピタルの投資先を子会社としない取扱いについては、当該投資企業や金融機関が実質的な営業活動を行っている企業であることが必要であり、また、当該他の企業の株主総会その他これに準ずる機関を支配する意図が明確であると認められる場合には子会社に該当します(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第16項)。上場準備企業が投資先をどこまで連結するかを検討する際、最初に確認すべき例外規定です。
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影響力基準による関連会社の判定
子会社に該当しなかった出資先は、次に関連会社かどうかを影響力基準で判定します。関連会社とは、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の財務および営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の企業をいいます(持分法に関する会計基準 第5項)。判定の構造は支配力基準と同じく、議決権割合と実質判定の組み合わせです。
| 議決権20%以上を所有 | 原則として関連会社に該当し、持分法の適用対象となります |
|---|---|
| 議決権15%以上 20%未満を所有 |
下記の5つの要件のいずれかに該当する場合に関連会社となります |
| 議決権15%未満を所有 | 緊密な者等と合わせて20%以上を占め、かつ下記の要件のいずれかに該当する場合に関連会社となります |
議決権の所有が20%未満であっても、15%以上を自己の計算で所有し、次のいずれかの要件に該当する場合は重要な影響を与えることができるとして関連会社に該当します(持分法に関する会計基準 第5-2項(2))。
- 役員もしくは使用人である者、またはこれらであった者で自己が方針の決定に影響を与えることができる者が、代表取締役、取締役またはこれらに準ずる役職に就任していること
- 重要な融資(債務の保証および担保の提供を含む)を行っていること
- 重要な技術を提供していること
- 重要な販売、仕入その他の営業上または事業上の取引があること
- その他、財務および営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること
このうち「重要な販売、仕入その他の営業上または事業上の取引」には、自己との取引の割合が相当程度を占める関係にあること、極めて重要な原材料・部品・半製品等を供給していること、重要な事業用地や主要な営業設備・生産設備を貸与していることなどが含まれます(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第21項)。取引依存度の高い仕入先や、設備を貸与している取引先は、持株比率が低くても関連会社と判定される可能性があります。
なお、非連結子会社および関連会社に対する投資には原則として持分法を適用しますが、持分法の適用により連結財務諸表に重要な影響を与えない場合には、持分法の適用会社としないことができます(持分法に関する会計基準 第6項)。また、影響が一時的であると認められる関連会社に対する投資には持分法を適用しません(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第25項)。
関連コラム持分法に関する会計基準|適用範囲と未実現利益消去の実務▸
非連結子会社|連結の範囲から除外される子会社
子会社と判定された会社は、原則としてすべて連結の範囲に含めます(連結財務諸表に関する会計基準 第13項)。もっとも、一定の子会社は連結の範囲に含めないものとされ、これらを非連結子会社と呼びます。「子会社かどうか」と「連結に含めるかどうか」は別の判断である、という二段階構造を意識すると整理しやすくなります。
| 支配が一時的であると 認められる子会社 |
連結の範囲に含めません。当連結会計年度において支配に該当するものの、直前連結会計年度において支配しておらず、かつ翌連結会計年度以降相当の期間にわたって支配に該当しないことが確実に予定されている場合をいいます |
|---|---|
| 利害関係者の判断を著しく 誤らせるおそれのある子会社 |
連結の範囲に含めません。ただし一般に限定的であると考えられており、匿名組合事業の営業者となっている子会社などが例として示されています |
| 重要性の乏しい子会社 (小規模子会社) |
資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができます |
支配が一時的な子会社の判断
支配が一時的かどうかは、直前連結会計年度末において所有議決権が50%以下で支配に該当しておらず、かつ翌連結会計年度以降その所有議決権が相当の期間にわたって50%以下となり支配に該当しないことが確実に予定されているか、という観点で判断します。議決権の過半数を占めていないが支配に該当している場合の議決権の一時的所有や、その他の支配要件の一時的充足についても同様に取り扱います(連結財務諸表に関する会計基準 第14項(1)、連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第18項)。「確実に予定されている」かどうかがポイントで、単なる売却の見込みでは足りません。
利害関係者の判断を著しく誤らせる子会社
連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社も連結の範囲に含めませんが、一般にそれは限定的であると考えられています(連結財務諸表に関する会計基準 第14項(2)、連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第19項)。適用指針では、子会社が匿名組合事業の営業者となり、匿名組合の事業を含む子会社の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属して当該子会社およびその親会社には形式的にも実質的にも帰属せず、かつ当該子会社との取引がほとんどない場合が例示されています。
重要性の乏しい子会社の除外基準
連結の範囲の決定には重要性の原則が適用されます(連結財務諸表に関する会計基準 (注1))。具体的には、子会社であって、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができます(連結財務諸表に関する会計基準 (注3))。
実務で気をつけたいのは、重要性を1社ごとに判断して終わらせないことです。複数の非連結子会社を合算した金額的影響も確認し、全体として重要でないかを検討します。上場準備の過程では、当初は重要性が乏しかった子会社が事業拡大で重要になることがあるため、除外の判断は毎期見直します。なお、連結財務諸表には、連結の範囲に含めた子会社、非連結子会社に関する事項その他連結の方針に関する重要な事項およびこれらに重要な変更があったときはその旨およびその理由を注記します(連結財務諸表に関する会計基準 第43項(1))。
特別目的会社の取扱いと2026年改正
資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社および事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体(特別目的会社)については、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、その事業が目的に従って適切に遂行されているときは、資産を譲渡した企業から独立しているものと認め、当該企業の子会社に該当しないものと推定します(連結財務諸表に関する会計基準 第7-2項)。
この第7-2項は2026年に改正され、発行する証券の所有者に、資産の流動化に関する法律に規定する特定借入れに係る債権者が含まれることとされました。2026年の企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」の改正を踏まえたもので、投資者と融資者を区別せずに取り扱う趣旨です。この改正は2027年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から将来にわたって適用され、2026年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することもできます(連結財務諸表に関する会計基準 第44-7項)。
企業会計基準第22号の本体は2008年に公表された後、2010年、2011年、2013年と改正されており、2013年の改正は2015年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用されています(連結財務諸表に関する会計基準 第44-5項)。適用指針第22号も2008年の公表後、2009年および2011年に改正され、2011年の改正は2013年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用されています(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第32-3項)。つまり、連結範囲の判定枠組みはすでに定着しており、直近で動きがあるのは特別目的会社の定めだけ、という整理になります。
連結範囲判定の実務上の留意点
判定対象は株式会社に限られません。子会社または関連会社の範囲に含まれる企業とは、会社および会社に準ずる事業体をいい、資産の流動化に関する法律に基づく特定目的会社、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人、投資事業組合、海外における同様の事業を営む事業体、パートナーシップその他これらに準ずる営利を目的とする事業体が該当します(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第28項)。判定は子会社・関連会社の範囲の決定に関する取扱いに準じて行います。
関連コラム投資事業組合の連結範囲|支配力基準・影響力基準の判定実務▸
また、清算株式会社のように継続企業と認められない企業であっても、その意思決定機関を支配していると認められる場合には子会社に該当し、原則として連結の範囲に含めます(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針 第20項)。形式ではなく支配・影響の実態で判断するという考え方は、例外的な場面でも一貫しています。
実務上の進め方としては、期末ごとに出資先一覧を作り、議決権割合、緊密な者の有無、派遣役員数、融資残高、取引依存度、契約の有無を列に置いた判定シートを維持するのが有効です。連結範囲を確定した後は、子会社の資産・負債の時価評価、投資と資本の相殺消去へと実務が続きます。
関連コラム資本連結手続とは|投資と資本の相殺消去・のれん・非支配株主持分の実務▸
まとめ
連結子会社の判定は、議決権の所有割合を50%超・40%以上50%以下・40%未満に区分し、区分ごとの追加要件を確認するフローで整理できます。50%以下でも、緊密な者との合算で過半数を占める場合、取締役会の構成員の過半数を占める場合、方針決定を支配する契約がある場合、資金調達額の過半を融資している場合には子会社に該当します。緊密な者には、議決権20%以上の所有先、役員が支配する会社、代表権のある役員を派遣している先、事業依存度が著しく大きい先などが一般的に含まれます。
子会社に該当した後は、支配が一時的な子会社と利害関係者の判断を著しく誤らせる子会社を連結の範囲から除外し、重要性の乏しい子会社は含めないことができます。子会社に当たらない出資先は、議決権20%以上または15%以上かつ重要な影響の要件を満たすかで関連会社を判定します。いずれも議決権割合と実質判定の組み合わせであり、資本関係だけでなく役員・取引・資金の実態を含めて検討することが、正確な連結範囲の確定につながります。
連結範囲の判定は個別性が高く、緊密な者の認定や実質支配の評価など専門的な判断を伴います。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。
お問い合わせはこちら参考文献
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準
- 企業会計基準委員会 企業会計基準適用指針第22号 連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第16号 持分法に関する会計基準
よくある質問
連結子会社は出資比率が何パーセントから該当しますか。
議決権の過半数(50%超)を自己の計算で所有していれば原則として子会社です。ただし40%以上50%以下でも、緊密な者等との合算で過半数を占める、取締役会の構成員の過半数を占める、方針決定を支配する契約がある、資金調達額の過半を融資しているなどの要件を満たせば子会社に該当します。40%未満でも緊密な者等と合わせて過半数を占め一定の要件を満たせば子会社です。
緊密な者とは具体的にどのような相手を指しますか。
自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより、自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者をいいます。自己が議決権の20%以上を所有する企業、自己の役員が議決権の過半数を所有する企業、代表権のある役員を派遣している企業、資金調達額の概ね過半を融資している企業、自己への事業依存度が著しく大きい企業などが一般的に該当します。
議決権の所有割合はどのように計算しますか。
所有する議決権の数を行使し得る議決権の総数で除して算定し、期末における議決権の数によります。自己株式、完全無議決権株式、会社法第308条第1項による相互保有株式に係る議決権は分母に含めません。分子は自己および子会社が所有する議決権の数であり、名義が役員等になっていても資金関係や配当の帰属から自己の計算による所有か否かを判断します。
非連結子会社となるのはどのような場合ですか。
支配が一時的であると認められる子会社と、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社は連結の範囲に含めません。また、資産、売上高等からみて連結の範囲から除いても合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しい子会社は含めないことができます。重要性は複数の非連結子会社を合算した影響も踏まえて判断します。
議決権の過半数を持っていても子会社にならないことはありますか。
あります。更生会社、破産会社その他これらに準ずる企業であって有効な支配従属関係が存在しないと認められる企業は子会社に該当しません。また、財務上または営業上もしくは事業上の関係からみて意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる場合も同様で、共同支配の実態にある合弁会社や一定の要件を満たすベンチャーキャピタルの投資先などが例として示されています。
本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。



