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法人税等に関する会計基準とは?会計処理と表示をわかりやすく解説

2026-07-15
目次

決算のたびに計上する「法人税、住民税及び事業税」ですが、その会計処理や表示のルールを定めているのが企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」です。名称が長く難しく感じられますが、要点は「どの税金を、いくら、どの場所に表示するか」を整理したものです。この記事では、経理をはじめて担当される方や管理部門の方にもわかりやすく、対象となる税金の範囲から損益への計上、財務諸表での表示区分、追徴・還付の取扱いまでを丁寧に解説します。

法人税等に関する会計基準の全体像

本会計基準は、法人税、地方法人税、住民税、事業税及び特別法人事業税(まとめて「法人税、住民税及び事業税等」といいます)に関する会計処理及び開示を定めることを目的としています。会社が国や地方公共団体に納める税金のうち、金額的な重要性が高いものについて、計上の仕方や表示の場所をそろえるためのルールです。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

適用される範囲は、連結財務諸表と個別財務諸表の両方です。具体的には、法人税・住民税・事業税等に関する会計処理と開示のほか、受取利息や受取配当金に課される源泉所得税の開示、外国法人税の開示が対象となります。特に明示がない限り、個別財務諸表を想定して定められており、連結財務諸表もこれに準じて処理します。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

税効果会計との違い

よく混同されるのが「税効果会計」との違いです。本会計基準が扱うのは、当期に確定した法人税・住民税・事業税等そのものの会計処理と表示です。一方で税効果会計(企業会計基準第28号)は、会計上の利益と税務上の所得のズレを調整し、税金費用を適切な期間に配分するための仕組みで、繰延税金資産・繰延税金負債を計上します。両者は目的が異なる別のテーマとして区別して理解しておくと整理しやすくなります。

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対象となる税金の種類

本会計基準では、対象となる税金の用語が法律を参照して定義されています。それぞれがどのような税金かを押さえておくと、後の会計処理がわかりやすくなります。主な税金は次のとおりです。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

法人税 法人税法の規定に基づく税金です。会社の所得に対して国が課します。
地方法人税 地方法人税法の規定に基づく税金です。
住民税 地方税法に基づく道府県民税及び市町村民税をいいます。
事業税 会社が行う事業に対して都道府県が課す税金で、付加価値額によって課す付加価値割、資本金等の額によって課す資本割、所得によって課す所得割があります。
特別法人事業税 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律に基づく国税で、所得割額に標準税率を乗じて計算する基準法人所得割があります。

このほか、外国の法令により課される外国法人税や、受取利息・受取配当金等に課される源泉所得税も、開示の対象として定義されています。

損益への計上が原則

当事業年度の所得等に対する法人税、住民税及び事業税等については、原則として法令に従い算定した額を損益に計上します。会社の利益をもとに計算した税額を、その期の費用として処理するという考え方です。税務上の欠損金の繰戻しにより還付を請求する法人税額なども、この損益計上の対象に含まれます。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

損益に計上しない例外

ただし、一部の税金は損益ではなく純資産の区分に計上します。具体的には、株主との直接的な取引など損益に反映されない取引に課される税金は株主資本の区分に、資産・負債の評価替えにより生じた評価差額等に課される税金は評価・換算差額等(連結財務諸表ではその他の包括利益)の区分に計上します。これは、税金を発生源となった取引と同じ場所に対応させて、税負担の関係をわかりやすくするためです。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

なお、これらの例外に該当する金額に重要性が乏しい場合などには、当期の損益に計上することも認められています。実務上の負担とのバランスに配慮した取扱いです。

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追徴・還付の取扱い

過年度の税金について、税務調査などによる更正等が生じた場合の取扱いも定められています。会計基準では、提出済みの申告について課税標準や税額が変更されることを「更正」、会社が自ら修正するものを「修正申告」といい、あわせて「更正等」と呼びます。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

更正等により追加で徴収される可能性が高く、その金額を合理的に見積ることができる場合には、原則としてその追徴税額を損益に計上します。この追徴に伴う延滞税、加算税、延滞金及び加算金も追徴税額に含めて処理します。一方、更正等により還付されることが確実に見込まれ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その還付税額を損益に計上します。追徴は「可能性が高い」、還付は「確実に見込まれる」という認識のタイミングの違いに注意が必要です。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

財務諸表での表示区分

会計基準では、それぞれの税金をどこに表示するかも細かく定めています。損益計算書と貸借対照表での主な表示区分を整理すると次のとおりです。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

法人税・住民税・事業税(所得割)等 損益計算書の税引前当期純利益の次に、「法人税、住民税及び事業税」等の科目で表示します。
事業税(付加価値割)・(資本割) 原則として損益計算書の販売費及び一般管理費として表示します。合理的な配分方法によりその一部を売上原価とすることもできます。
未払の税額 貸借対照表の流動負債に、未払法人税等などの科目で表示します。
還付される税額 貸借対照表の流動資産に、未収還付法人税等などの科目で表示します。
源泉所得税(税額控除を受けない分) 損益計算書の営業外費用として表示します。金額の重要性が乏しい場合は「法人税、住民税及び事業税」等に含めることもできます。

外国法人税のうち法人税法等に基づく税額控除の適用を受けない税額は、その内容に応じて適切な科目で表示します。また、更正等による追徴税額・還付税額についても、「法人税、住民税及び事業税」等の科目の次に、その内容を示す科目をもって表示します。

適用時期のポイント

本会計基準はこれまで複数回改正されています。2022年に改正した会計基準は、2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用され、2023年4月1日以後開始する年度の期首からの早期適用も認められています。これは、所得に対する税金の計上区分に関する基本的な考え方を変更したため、一定の準備期間を設けたものです。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

さらに2025年に改正した会計基準では、特別法人事業税(基準法人所得割)の取扱いが明確化され、事業税(所得割)と同様に取り扱うことが示されました。こちらは2025年4月1日以後最初に開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます。自社の決算にどの改正が適用されるかは、事業年度の開始時期を基準に確認することが大切です。企業会計基準委員会 企業会計基準第27号 法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

実際の適用にあたっては個別の判断を要する場面も多いため、具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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まとめ

企業会計基準第27号は、法人税・住民税・事業税等について「どの税金を、いくら、どこに表示するか」をそろえるための会計基準です。原則は法令に従い算定した額を損益に計上し、株主資本や評価・換算差額等に関係する税金は例外的に純資産の区分に計上します。追徴は可能性が高い場合、還付は確実に見込まれる場合に損益へ反映し、損益計算書・貸借対照表それぞれで表示区分が定められています。改正の適用時期は事業年度の開始時期で確認し、判断に迷う場合は専門家に相談すると安心です。

参考文献

よくある質問

法人税等に関する会計基準と税効果会計は何が違うのですか。

本会計基準は当期に確定した法人税・住民税・事業税等そのものの会計処理と表示を定めるものです。一方、税効果会計は会計上の利益と税務上の所得のズレを調整し、繰延税金資産・繰延税金負債を通じて税金費用を期間配分する仕組みで、目的が異なる別のテーマです。

事業税はすべて同じ場所に表示するのですか。

いいえ。事業税のうち所得割は損益計算書の税引前当期純利益の次に表示しますが、付加価値割と資本割は原則として販売費及び一般管理費として表示します。課税標準の考え方が異なるため、表示区分が分かれています。

追徴税額と還付税額の会計処理のタイミングは同じですか。

いいえ。追徴税額は追加で徴収される可能性が高く合理的に見積ることができる場合に損益へ計上し、還付税額は還付されることが確実に見込まれ合理的に見積ることができる場合に損益へ計上します。認識の閾値が異なる点に注意が必要です。

事務所概要
社名
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住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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