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IFRS15号の適用範囲を徹底解説!収益認識の対象契約とは?

2024-10-13
目次

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」は、企業の収益認識に関する包括的な会計基準です。しかし、その適用範囲は全ての契約に及ぶわけではなく、明確な定義といくつかの例外が存在します。本記事では、IFRS第15号の適用範囲について、関連する条項番号を基に専門的かつ詳細に解説し、適切な会計処理を行うための基礎知識を提供します。

IFRS第15号の基本原則と適用対象

IFRS第15号は、原則として顧客とのすべての契約に適用されます。ただし、後述する特定の契約はこの基準の適用範囲から除外される点に注意が必要です(第5項)。この基本原則を理解するためには、まず「顧客」とは誰を指すのかを正確に把握することが不可欠です。

適用対象となる「顧客」の定義

本基準を適用する大前提として、契約の相手方が「顧客」であることが求められます(第6項)。顧客とは、企業の通常の活動のアウトプットである財又はサービスを、対価と交換に獲得するために企業と契約した当事者を指します。つまり、企業が事業活動として生み出す製品やサービスを購入する相手方が顧客に該当します。

要件 内容
顧客の定義 企業の通常の活動のアウトプットである財又はサービスを対価と交換に獲得するために契約した当事者(第6項)。

顧客に該当しないケース

一方で、契約の相手方が企業の通常の活動のアウトプットを獲得することが目的ではない場合、その相手方は顧客とは見なされません。例えば、特定の資産を共同で開発する提携契約のように、契約から生じるリスクと便益を当事者間で共有する活動やプロセスに参加する相手方は、本基準における顧客には該当しません(第6項)。このような契約は、収益認識ではなく、共同支配の取決め(IFRS第11号)など他の基準の範囲に含まれる可能性があります。

IFRS第15号の適用が除外される契約

IFRS第15号の第5項では、本基準の適用範囲から明確に除外される特定の契約が列挙されています。これらの契約には、それぞれ専門的な会計基準が存在するため、IFRS第15号の適用対象外となります。

除外される契約の種類 関連する会計基準
リース契約 IFRS 第16号「リース」
保険契約 IFRS 第17号「保険契約」
金融商品及び他の契約上の権利又は義務 IFRS 第9号「金融商品」、IFRS 第10号「連結財務諸表」、IFRS 第11号「共同支配の取決め」、IAS 第27号「個別財務諸表」、IAS 第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」
同業他社との非貨幣性交換 (顧客への販売を容易にするためのもの)

リース契約

IFRS第16号「リース」の範囲に含まれるリース契約は、IFRS第15号の適用対象外です(第5項(a))。リース取引から生じる収益や費用は、IFRS第16号の規定に従って会計処理されます。

保険契約

IFRS第17号「保険契約」の範囲に含まれる保険契約も、本基準の適用範囲から除外されます(第5項(b))。ただし、保険契約であっても、その主要な目的が定額報酬を対価とするサービスの提供である場合、企業はIFRS第17号の代わりにIFRS第15号を適用することを選択できます。

金融商品関連の契約

IFRS第9号「金融商品」やIFRS第10号「連結財務諸表」など、特定の基準の範囲に含まれる金融商品やその他の契約上の権利・義務は、IFRS第15号の適用を受けません(第5項(c))。これには、デリバティブ、貸付金、預金などが含まれます。

同業他社との非貨幣性交換

顧客や潜在的顧客への販売を円滑に行うことを目的とした、同業他社との非貨幣性交換は適用範囲から除外されます(第5項(d))。例えば、2つの石油会社が、異なる地域の顧客への供給を効率化するために石油を交換する契約などがこれに該当します。この種の取引は、収益を生み出す活動とは見なされません。

契約の一部が他の基準書の範囲に含まれる場合の取扱い

実務上、1つの契約の中にIFRS第15号の対象となる部分と、リース契約(IFRS第16号)など他の基準の対象となる部分が混在するケースがあります。このような場合、第7項では明確な処理手順が定められています。

他の基準書に当初測定の定めがある場合

契約の一部について、IFRS第16号などの他の基準書が区分方法や当初の測定方法を定めている場合、企業はまずその別の基準書の要求事項を優先して適用しなければなりません(第7項(a))。その後、全体の取引価格から、他の基準書に従って測定された金額を控除します。残りの取引価格を、IFRS第15号の対象となる履行義務に、第73項から第86項の規定に従って配分することになります。

他の基準書に当初測定の定めがない場合

他の基準書が契約の一部の区分や当初測定の方法を定めていない場合には、企業はIFRS第15号の規定を用いて、契約の各部分の区分や当初測定を行わなければなりません(第7項(b))。

契約コストの会計処理

IFRS第15号は収益の認識だけでなく、顧客との契約に関連して発生する特定のコストの会計処理についても規定しています(第8項)。

本基準では、契約獲得の増分コスト(例:販売手数料)および契約を履行するために生じるコスト(例:特定のプロジェクトのためのセットアップ費用)のうち、他の会計基準(例:IAS第2号「棚卸資産」)の範囲に含まれないものについて、資産計上の要否を定めています。これらのコストに関する会計処理の詳細は、第91項から第104項に規定されており、IFRS第15号の適用範囲に含まれる契約に関連するコストにのみ適用されます(第8項)。

まとめ

IFRS第15号の適用範囲を正しく理解することは、適切な収益認識会計を行うための第一歩です。本基準は原則として顧客とのすべての契約に適用されますが、リース、保険、金融商品などの特定の契約は除外されます。また、1つの契約に複数の会計基準が関連する場合には、定められた優先順位に従って処理する必要があります。自社の契約がどの基準の適用対象となるのかを正確に判断し、複雑な取引にも適切に対応できる体制を構築することが重要です。

IFRS第15号「収益認識」の適用範囲に関するよくある質問

Q. IFRS第15号は、どのような契約に適用されるのですか?

A. 原則として、企業の通常の活動のアウトプットである財やサービスを獲得する「顧客」とのすべての契約に適用されます。ただし、リース契約や保険契約など、特定の契約は適用範囲から除外されます(第5項)。

Q. IFRS第15号が適用されない契約には、どのようなものがありますか?

A. 主に4種類の契約が除外されます。具体的には、(1)IFRS第16号の範囲に含まれるリース契約、(2)IFRS第17号の範囲に含まれる保険契約、(3)IFRS第9号などの範囲に含まれる金融商品、(4)販売を容易にするための同業他社との非貨幣性交換です(第5項)。

Q. IFRS第15号における「顧客」の定義を教えてください。

A. 「顧客」とは、企業の通常の活動から生じる財またはサービスを、対価と交換に獲得するために契約した相手方を指します。共同で資産開発を行う提携パートナーのように、リスクと便益を共有する活動に参加する相手方は「顧客」に該当しません(第6項)。

Q. リース契約にもIFRS第15号は適用されますか?

A. いいえ、適用されません。IFRS第16号「リース」の範囲に含まれるリース契約は、IFRS第15号の適用範囲から明確に除外されています。したがって、リース収益はIFRS第16号に従って会計処理を行います(第5項)。

Q. 1つの契約にIFRS第15号の対象部分と他の会計基準の対象部分が混在している場合はどうすればよいですか?

A. まず、リースなど他の会計基準が適用される部分を、その基準に従って区分・測定します。その後、取引価格全体から他の基準で測定した金額を差し引き、残りの金額をIFRS第15号の対象となる履行義務に配分して収益を認識します(第7項)。

Q. 契約を獲得するためにかかったコストはIFRS第15号でどのように扱われますか?

A. IFRS第15号は、契約獲得の増分コストや契約を履行するためのコストの会計処理についても定めています。これらのコストが他の会計基準の範囲に含まれない場合、IFRS第15号の要求事項に従い、資産として繰り延べるなどの会計処理を行います(第8項)。

事務所概要
社名
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対応責任者
公認会計士 島本 雅史

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