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IFRIC20号解説:剥土活動資産の当初測定とコスト配分

2025-11-16
目次

IFRSの枠組みにおいて、露天掘り鉱山の生産フェーズにおける剥土コストの会計処理は、実務上多くの判断を伴います。本記事では、IFRIC第20号「露天掘り鉱山の生産フェーズにおける剥土コスト」の第12項および第13項に焦点を当て、剥土活動資産の当初測定やコスト配分の実務的な要件について、結論の根拠(BC項)や具体的なケーススタディを交えながら詳細に解説いたします。

剥土活動資産の当初測定における取得原価の範囲

直接発生したコストと配賦可能な間接費の算入

企業が認識要件を満たした剥土活動資産は、原則として取得原価で当初測定を行う必要があります。この取得原価には、鉱石の識別された構成部分へのアクセスを改善するために直接発生したコストの累計額と、直接配賦可能な間接費の配分額が含まれます。例えば、重機の燃料費やオペレーターの人件費といった直接費に加え、鉱山の構成部分を監督する鉱山監督者の給与配分額や、剥土活動専用に賃借した設備の賃借費などが該当します(参考:IFRIC20.12、IFRIC20.BC12)。

取得原価の構成要素 具体例
直接発生したコスト 重機の燃料費、オペレーターの人件費
直接配賦可能な間接費 専属監督者の給与配分額、専用設備の賃借費

付随的活動コストの除外要件

生産剥土活動と並行して、アクセス道路の建設などの付随的活動が行われる場合があります。しかし、これらの活動が生産剥土活動を計画どおりに継続するために不可欠ではない場合、関連するコストは剥土活動資産の取得原価から厳格に除外しなければなりません。これは、IAS第16号「有形固定資産」の原則に準拠し、資産の形成に直接寄与しないコストを排除するためです(参考:IFRIC20.12、IFRIC20.BC13)。

活動の分類 会計処理の取り扱い
生産剥土に不可欠な活動 剥土活動資産の取得原価に含める
不可欠ではない付随的活動 取得原価から除外する(例:アクセス道路建設費)

コストが別々に識別可能でない場合の配分方法

妥当な生産高測定値に基づく配分基礎の適用

実務上、将来の便益をもたらす剥土活動資産の取得原価と、当期に採掘された棚卸資産の取得原価を別々に識別できないケースが多々あります。この場合、企業は妥当な生産高測定値に基づく配分基礎を用いて、発生した生産剥土コストを両者に配分しなければなりません。この測定値は、将来の便益を生じさせる追加的な活動がどの程度行われたかを示す指標となります(参考:IFRIC20.13)。

生産高測定値の例 比較対象の概要
原価ベース 予想原価と生産された棚卸資産の原価の比較
廃石量ベース 所定の鉱石生産に対する予想量と採掘された廃石量の比較
鉱物含有量ベース 予想される鉱物含有量と実際に採掘された鉱石の鉱物含有量の比較

販売価額ベースが棄却された背景

コスト配分の基礎を検討する際、販売価額に基づく方法はIFRICにより明確に棄却されました。その理由は、販売価額が実際の剥土活動そのものと密接に関連していないためです。さらに、複数の鉱物が混在する鉱山や市場価格の変動が激しい環境下では、将来採掘される鉱石の販売価格を正確に識別することは実務上極めて困難であり、得られる便益に対して多大なコストが発生すると判断されたためです(参考:IFRIC20.BC14、IFRIC20.BC15)。

具体的なケーススタディ:コスト配分の実務適用

状況設定:露天掘り銅鉱山における剥土コスト

対象企業が運営する露天掘り銅鉱山において、特定の採掘ブロックへのアクセス改善を目的とした剥土活動を実施したケースを想定します。この活動において、重機燃料費などの直接費が1,000万円、当該ブロック専属監督者の給与配分などの間接費が200万円発生しました。同時に、作業現場へのアクセス道路建設費として300万円が発生しています。当期の除去作業では販売可能な銅鉱石も採掘されましたが、作業が一体不可分であったため、コストを直接分離することができない状況です。

発生したコストの種類 金額
直接費(燃料費・人件費等) 1,000万円
間接費(監督者給与配分等) 200万円
付随的活動費(道路建設費) 300万円

取得原価の決定と生産高測定値による配分計算

まず、コストの範囲を決定します。直接費1,000万円と間接費200万円の合計1,200万円が生産剥土コストの対象となります。道路建設費300万円は付随的活動であるため取得原価から除外されます。次に、1,200万円のコストを配分するために「予想量との比較における採掘された廃石の量」を配分基礎とします。事前の計画では「銅鉱石1トンに対して廃石3トン」が標準比率でしたが、当期はアクセス改善を優先し「銅鉱石1トンに対して廃石8トン」を除去しました。標準の廃石3トン分にかかるコストは当期の棚卸資産の原価とし、超過分の廃石5トン分(8トン-3トン)にかかるコストを、将来へのアクセス改善をもたらす剥土活動資産の取得原価として配分し資産計上します(参考:IFRIC20.12、IFRIC20.13)。

廃石除去量の内訳 配分先
標準活動水準(廃石3トン分) 当期の棚卸資産の原価
追加的活動水準(廃石5トン分) 剥土活動資産の取得原価

まとめ

IFRIC第20号に基づく剥土活動資産の当初測定では、直接発生したコストと配賦可能な間接費を正確に集計し、不可欠ではない付随的活動のコストを排除することが求められます。また、コストが別々に識別できない場合には、販売価額ではなく、妥当な生産高測定値を用いた合理的な配分基礎を適用することで、当期の棚卸資産と将来の便益をもたらす剥土活動資産のコストを適切に区分することが重要です。

剥土活動資産の当初測定に関するよくある質問まとめ

Q.剥土活動資産の当初測定において、取得原価に含まれるコストは何ですか。

A.鉱石の識別された構成部分へのアクセスを改善するために直接発生したコストの累計額と、直接配賦可能な間接費の配分額が含まれます(参考:IFRIC20.12)。

Q.剥土活動と同時に行われるアクセス道路の建設費は取得原価に含まれますか。

A.生産剥土活動を計画どおりに継続するために不可欠ではない付随的活動に関連するコストは、剥土活動資産の取得原価から除外しなければなりません(参考:IFRIC20.12)。

Q.剥土活動資産と棚卸資産のコストが別々に識別できない場合、どのように処理しますか。

A.企業は妥当な生産高測定値に基づく配分基礎を用いて、発生した生産剥土コストを生産された棚卸資産と剥土活動資産に配分する必要があります(参考:IFRIC20.13)。

Q.コスト配分において、妥当な生産高測定値にはどのような例がありますか。

A.予想原価と生産された棚卸資産の原価の比較、所定の鉱石生産に対する予想量と採掘された廃石量の比較、予想と実際の鉱物含有量の比較などが挙げられます(参考:IFRIC20.13)。

Q.なぜコスト配分の基礎として販売価額を用いることが棄却されたのですか。

A.販売価額は剥土活動そのものと密接に関連しておらず、複数の鉱物が混在する場合や価格変動が大きい場合、実務上困難であり多大なコストがかかるためです(参考:IFRIC20.BC14、IFRIC20.BC15)。

Q.直接配賦可能な間接費の具体例を教えてください。

A.鉱山の構成部分を監督する鉱山監督者の給与の配分額や、剥土活動を行うために個別に賃借した設備の賃借費の配分額などが想定されています(参考:IFRIC20.BC12)。

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
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電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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