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IAS第36号「資産の減損」を徹底解説!減損損失の認識と測定

2024-11-05
目次

本稿では、国際会計基準(IFRS)の一つであるIAS第36号「資産の減損」のうち、「減損損失の認識及び測定」に関するセクション(第58項から第64項)について、条項番号に沿って詳細に解説いたします。このセクションは、のれん以外の個別資産に適用される基本原則を定めており、企業の財務報告における資産価値の適正な評価に不可欠な知識です。なお、資金生成単位とのれんに関する規定は、第65項以降で別途定められています。

減損損失の認識に関する基本原則(第59項)

減損損失をいつ、どのように認識すべきかという問いに対する基本的な考え方が示されています。これは、資産の価値が著しく低下した場合に、その実態を財務諸表に反映させるための重要なルールです。

認識の基準

減損損失の認識は、厳格な基準に基づいて行われます。具体的には、資産の回収可能価額がその帳簿価額を下回っている場合に、かつその場合にのみ、資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することが要求されます。この「経済的」規準は、資産から将来得られる経済的便益が、帳簿に記載されている価値に満たないと判断された時点で、速やかに損失を認識することを目的としています。

減損損失の定義

前述の基準に基づき、資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額した際の、その差額が「減損損失」として定義されます。この損失は、資産価値が回復不能なレベルまで低下したことを示す財務的な指標となります。

減損損失の具体的な会計処理(第60項、第61項)

減損損失が認識された後、それを会計上どのように計上するかが定められています。処理方法は、対象となる資産が再評価されているかどうかによって異なります。

原則的な処理:純損益への計上

認識された減損損失は、原則として、発生した期の純損益として直ちに認識しなければなりません。これは、減損が当該期の経営成績に与える影響を明確にするための措置です。

再評価資産に関する特例

一方で、IAS第16号「有形固定資産」の再評価モデルなど、他の基準書に基づき再評価額で計上されている資産については、特別な処理が適用されます。これは、過去の再評価による評価益(その他の包括利益に計上)とのれん動を考慮したものです。

状況 会計処理
再評価していない資産の減損損失 純損益に認識します。
再評価資産の減損損失
(再評価剰余金の範囲内)
その他の包括利益(OCI)に認識し、当該資産に係る再評価剰余金を減額します。
再評価資産の減損損失
(再評価剰余金を超える部分)
再評価剰余金で相殺しきれない超過分を純損益に認識します。

この処理は、IAS第16号における再評価減額の考え方を踏襲しており、減損損失を実質的に過去の評価益の取り消しとして扱うことを意図しています(第60項、第61項)。

負債の認識に関する規定(第62項)

極めて稀なケースですが、見積もられた減損損失の額が、対象となる資産の帳簿価額を上回る場合があります。このような状況において、企業は自動的に負債を認識するわけではありません。第62項では、他のIFRS基準書が負債の認識を要求している場合に限り、その超過額について負債を計上しなければならないと規定しています。

減損処理後の減価償却(償却)費の調整(第63項)

減損損失を認識すると、資産の帳簿価額が減額修正されます。これに伴い、将来の減価償却(または償却)費も見直す必要があります。第63項によれば、減損後の改訂された帳簿価額から残存価額を控除した金額を、その資産の残存耐用年数にわたって規則的に配分するように、将来の期間の償却費を調整することが求められます。これにより、減損後の資産価値に基づいた費用配分が実現されます。

繰延税効果の算定(第64項)

減損損失の認識は、会計上の帳簿価額と税務上の基準額との間に一時的な差異を生じさせることがあります。第64項は、減損損失を認識した場合、IAS第12号「法人所得税」に従って、関連する繰延税金資産または繰延税金負債を算定し直すことを要求しています。具体的には、減損後の改訂帳簿価額と税務基準額を比較し、税効果会計を適切に適用する必要があります。

まとめ

IAS第36号における個別資産の減損処理(第58項~第64項)は、資産の実質的な価値を財務諸表に正確に反映させるための重要な手続きです。その中心は、「回収可能価額帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識する」という明確な原則です。認識された損失は原則として純損益に計上されますが、再評価資産には特例が適用されます。さらに、減損後の償却費の調整や税効果会計への影響も考慮しなければなりません。これらの規定を正しく理解し適用することが、IFRSに準拠した信頼性の高い財務報告の基礎となります。

IAS第36号「資産の減損」に関するよくある質問まとめ

Q. 減損損失はどのような場合に認識する必要がありますか?

A. 資産の「回収可能価額」が「帳簿価額」を下回った場合に、その差額を減損損失として認識します(IAS第36号 第59項)。

Q. 認識した減損損失は、どのように会計処理されますか?

A. 原則として、認識した減損損失は直ちに純損益(P/L)として処理します(IAS第36号 第60項)。

Q. 再評価している資産の減損損失は、通常の資産と処理が異なりますか?

A. はい、異なります。減損損失はまず再評価剰余金を取り崩す形でその他の包括利益(OCI)で処理され、再評価剰余金を超える部分については純損益として処理されます(IAS第36号 第60項、第61項)。

Q. 減損損失を計上した後、資産の減価償却費は変わりますか?

A. はい、変わります。減損後の新しい帳簿価額を基に、残りの耐用年数にわたって減価償却費が再計算されます(IAS第36号 第63項)。

Q. 減損損失を認識すると、税金計算に影響はありますか?

A. はい、影響があります。減損によって会計上の帳簿価額と税務上の価額に差が生じるため、IAS第12号に従って繰延税金資産または負債を認識・測定する必要があります(IAS第36号 第64項)。

Q. 資金生成単位やのれんの減損損失は、どのように配分されますか?

A. 資金生成単位の減損損失は、まずその単位に配分された「のれん」から優先的に減額し、残額を単位内の他の資産へ帳簿価額に基づき比例配分します(IAS第36号 第104項)。

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
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電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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