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IAS第28号の定義を解説!関連会社と共同支配企業の要点

2025-08-11
目次

国際財務報告基準(IFRS)を適用する企業にとって、投資先が自社の財務諸表にどのような影響を与えるかを正確に把握することは極めて重要です。本記事では、IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」の第3項から第4項に記載されている定義セクションに焦点を当て、関連会社や共同支配企業、持分法といった重要用語の意味を詳細に解説します。具体的なケーススタディや、他の基準書との関連性も交え、実務に直結する知識を提供いたします。

IAS第28号で特定される重要用語の定義

IAS第28号を適用するにあたり、第3項では実務上頻繁に使用される重要な用語が明確に定義されています。投資先に対する関与の度合いを判定するうえで、これらの定義を正確に理解することが不可欠です(IAS28.3)。

関連会社と重要な影響力

投資先に対して重要な影響力を有している場合、その企業は関連会社として扱われます。重要な影響力とは、投資先の財務及び営業の方針決定に参加するパワーを指しますが、単独で決定できる「支配」や、他者と共同で決定する「共同支配」には該当しません。実務上は、議決権の20%以上50%以下を保有しているケースが一般的な目安となります(IAS28.3)。

用語 定義の要点(IAS28.3)
関連会社 投資者が重要な影響力を有している企業
重要な影響力 財務・営業方針の決定に参加するパワー(支配・共同支配を除く)

共同支配の取決めと共同支配企業

複数の当事者が契約に基づいて支配を共有する状態を共同支配と呼びます。この取決めにおいて、関連性のある活動に関する意思決定には、支配を共有する全当事者の全員一致の合意が必要です。そして、当事者が取決めの純資産に対する権利を有している場合、その取決めは共同支配企業に分類されます。例えば、2社が50%ずつ出資して独立した法人を設立し、全員一致で意思決定を行う合弁事業などが該当します(IAS28.3)。

用語 定義の要点(IAS28.3)
共同支配 契約上合意された支配の共有(意思決定には全員一致が必要)
共同支配企業 当事者が取決めの純資産に対する権利を有する共同支配の取決め

持分法と連結財務諸表

持分法とは、関連会社や共同支配企業に対する投資を最初に取得原価で認識し、その後の投資先の純資産の変動に応じて帳簿価額を修正する会計処理方法です。これにより、投資先の純損益やその他の包括利益のうち、自社の持分割合(例:30%や50%)に相当する金額が投資者の財務諸表に反映されます。また、親会社と子会社を単一の経済的実体としてまとめたものを連結財務諸表と呼びます(IAS28.3)。

用語 定義の要点(IAS28.3)
持分法 取得原価で認識後、純資産の変動に応じて帳簿価額を修正する処理
連結財務諸表 親会社と子会社を単一の経済的実体として表示する財務諸表

他のIFRS基準書から参照される用語

IAS第28号では、用語の重複や矛盾を防ぐため、他のIFRS基準書ですでに定義されている用語については、それぞれの基準書で特定された意味をそのまま使用しなければならないと規定しています(IAS28.4)。

IFRS第10号及びIAS第27号との関係

具体的には、「支配」や「子会社」といった用語はIFRS第10号「連結財務諸表」の定義を参照します。また、「個別財務諸表」についてはIAS第27号「個別財務諸表」の定義が適用されます。これにより、複数の基準書をまたぐ複雑な取引においても、一貫した判断が可能となります(IAS28.4)。

参照される用語 参照元の基準書(IAS28.4)
投資先に対する支配、企業集団、親会社、子会社 IFRS第10号付録A
個別財務諸表 IAS第27号第4項

用語統一の背景とジョイント・ベンチャー・プロジェクト

これらの定義が整備された背景には、国際会計基準審議会(IASB)が推進した「連結」及び「ジョイント・ベンチャー」に関する大規模なプロジェクトが存在します。かつては基準書ごとに定義が独立しており、実務において判断のブレが生じやすい状況でした。

IFRS全体における定義のネットワーク構築

IFRS第10号、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IFRS第12号「他の企業への関与の開示」が新設されたことに伴い、IAS第28号も修正されました。これにより、「共同支配」や「共同支配企業」の定義はIFRS第11号に完全に準拠することとなり、IFRS全体として矛盾のない統一された定義のネットワークが構築されました。財務諸表作成者は、自社が投資先に対してどのレベルのパワー(支配、共同支配、重要な影響力)を有しているかを明確に判定できるようになりました。

具体的なケーススタディで学ぶ適用実務

定義を実務に当てはめるため、企業A(親会社)が他社へ投資を行う具体的なケーススタディを確認します。企業Aは複数の子会社を有し、グループ全体を単一の経済的実体としてまとめた連結財務諸表を作成しています(IAS28.3、IAS28.4)。

ケース1:関連会社への持分法適用

企業Aが企業Xの株式を30%取得し、役員を1名派遣して製品開発や財務方針の決定プロセスに参加しているケースを想定します。企業Aには単独で方針を決定する「支配」はなく、他株主との全員一致を義務付ける契約(共同支配)もありません。この場合、企業Aのパワーは重要な影響力に該当し、企業Xは関連会社となります。企業Aは、企業Xの純損益の30%を自社の連結財務諸表に取り込むために持分法を適用します(IAS28.3)。

ケース2:共同支配企業における合弁契約

企業Aが競合の企業Yと合弁契約を締結し、50%ずつ出資して独立法人である企業Zを設立したケースです。契約上、企業Zの重要な営業活動の決定には企業Aと企業Yの全員一致の合意が必須とされています。この状態が共同支配であり、企業Zは独立法人として当事者が純資産に対する権利を有するため共同支配企業に該当します。企業Aは共同支配投資者として、企業Zに対する50%の投資持分について持分法を適用して会計処理を行います(IAS28.3)。

まとめ

IAS第28号における定義は、企業が投資先に対して有する関与の性質(重要な影響力、共同支配など)を正確に分類し、適切な会計処理(持分法など)を適用するための基礎となります。IFRS第10号やIFRS第11号といった他の関連基準書と連動した統一的な定義を理解することで、財務諸表の透明性と信頼性を高めることが可能です。実務においては、契約内容や議決権比率(20%や50%など)を慎重に検討し、正しい判断を行うことが求められます。

IAS第28号の定義に関するよくある質問まとめ

Q.関連会社とはどのように定義されていますか?

A.投資者が重要な影響力を有している企業を指します。実務上は、議決権の20%以上50%以下を保有している場合に該当することが一般的です(IAS28.3)。

Q.重要な影響力とは何ですか?

A.投資先の財務及び営業の方針決定に参加するパワーのことです。ただし、当該方針に対する「支配」や「共同支配」には該当しません(IAS28.3)。

Q.持分法とはどのような会計処理ですか?

A.投資を最初に取得原価で認識し、その後、投資先の純資産の変動のうち自社の持分割合(例:30%)に応じて投資の帳簿価額を修正する方法です(IAS28.3)。

Q.共同支配と共同支配企業の違いは何ですか?

A.共同支配は契約上合意された支配の共有状態(全員一致が必要)を指し、共同支配企業はその取決めの当事者が取決めの純資産に対する権利を有する事業体を指します(IAS28.3)。

Q.IAS第28号で「支配」や「子会社」の定義はどうなっていますか?

A.IAS第28号自体では定義せず、IFRS第10号「連結財務諸表」の付録Aで特定された意味をそのまま参照して使用しなければなりません(IAS28.4)。

Q.なぜ用語の定義が他のIFRS基準書と統一されたのですか?

A.国際会計基準審議会(IASB)のプロジェクトにより、IFRS第10号やIFRS第11号が新設された際、基準書間での不整合を防ぎ、IFRS全体で矛盾のない統一された定義のネットワークを構築するためです。

事務所概要
社名
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住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
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電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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