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借手の所有権移転外ファイナンス・リース原則的処理を徹底解説

2026-08-27
目次

企業会計において、所有権移転外ファイナンス・リース取引の適切な認識と測定は非常に重要です。本記事では、借手側の原則的な会計処理について、リース取引に関する会計基準等に基づき、オンバランス化の要件から利息法による配分、実務上のケーススタディまで詳細に解説いたします。

ファイナンス・リースの原則的な会計処理(オンバランス化)

借手は、ファイナンス・リース取引に該当すると判定されたリース取引について、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行わなければなりません。具体的には、リース取引開始日において、リース物件とこれに係る将来の支払債務を、それぞれ貸借対照表上のリース資産およびリース債務として両建てで計上するオンバランス化が求められます。参考:リース取引に関する会計基準 第9項、リース取引に関する会計基準 第10項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第21項

リース資産及びリース債務の計上額の算定(測定)

計上額の決定(比較購買のアプローチ)

リース取引開始日に計上するリース資産とリース債務の金額は、リース料総額(残価保証がある場合はその残価保証額を含む)を適切な割引率で割り引いた現在価値と、当該リース物件の購入価額等とを比較し、いずれか低い額を採用します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第22項

貸手の購入価額の明瞭性 採用する比較対象(現在価値と比較して低い方)
明らかな場合 貸手の購入価額
明らかでない場合 借手の見積現金購入価額

現在価値の算定に用いる割引率

貸手の購入価額が明らかな場合において現在価値を算定する際に用いる割引率は、貸手の計算利子率の把握状況に応じて以下のルールに従って決定します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第17項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第22項

貸手の計算利子率の把握状況 適用する割引率
知り得る場合 貸手の計算利子率
知り得ない場合 借手の追加借入利子率

支払リース料の処理と利息相当額の各期への配分

利息相当額の総額の算定

リース契約締結時に合意されたリース料総額から、比較購買のアプローチによって決定したリース資産の計上価額を差し引いた差額を、利息相当額の総額として取り扱います。この金額がリース期間全体を通じて費用処理される利息の合計となります。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第23項

支払リース料の区分処理

毎期支払うリース料の金額は、単なる賃借料としての費用処理ではなく、原則として利息相当額部分リース債務の元本返済額部分の2つに厳密に区分して計算します。前者の利息相当額部分は当期の支払利息として損益計算書に費用計上し、後者の元本返済額部分は貸借対照表のリース債務の減少として処理します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第23項

利息法による配分原則

利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として利息法によらなければなりません。利息法とは、各期の支払利息相当額を、毎期のリース債務の未返済元本残高に対して一定の利率を乗じて算定する方法です。ここで用いる利率は、リース料総額の現在価値がリース資産の計上価額と正確に等しくなるような実効利子率を指します。参考:リース取引に関する会計基準 第11項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第24項

維持管理費用等および役務提供相当額の取扱い

借手が支払うリース料の中に、リース物件の維持管理に伴う固定資産税や保険料等の維持管理費用相当額、あるいは通常の保守等の役務提供相当額が含まれている場合があります。これらの金額は、原則としてリース料総額から控除して現在価値の算定を行い、発生時に各期の費用として処理します。ただし、その金額がリース料総額に占める割合に重要性が乏しい場合には、実務上の煩雑さを避けるための特例処理が認められています。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第14項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第25項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第26項

重要性の有無 会計処理の取扱い
重要性がある場合 リース料総額から控除し、発生時の費用として処理
重要性が乏しい場合 控除せず、リース資産およびリース債務に含めて計上可能

背景と結論の根拠(BC)

オンバランス化と売買処理の根拠

ファイナンス・リース取引は、法的形式こそ賃貸借ですが、経済的にはリース物件の売買および資金調達と極めて類似の性格を有しています。借手は資産の使用に必要なコストを実質的にすべて負担しており、その支払いは契約期間にわたる定額のキャッシュ・フローとして確定しています。したがって、情報開示の観点から将来のキャッシュ・フローの拘束を負債として計上し、同時に使用権を資産として認識すべきであると結論付けられました。参考:リース取引に関する会計基準 第31項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第38項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第101項

計上額を「いずれか低い額」とする根拠

リース資産およびリース債務の計上額を、リース料総額の現在価値と購入価額等とを比較して低い額とする規定は、評価の側面と取引の実態を反映させるためのものです。貸手の購入価額等の方が低い場合、借手にとってはその金額で資産を取得する選択肢があったとみなすことができ、その取得価額を採用することが借手の経済的行動をより正確に反映すると考えられます。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第105項

利息法による配分の根拠

所有権移転外ファイナンス・リース取引は複合的な性格を有しますが、リース料総額とリース資産計上額との差額を利息相当額として扱う以上、これは一種の金融取引と考えられます。したがって、利息相当額の配分については、他の一般の借入金などの金融取引と同様に、未返済元本残高に対する一定の利回りとして計算される利息法を用いることが会計理論上最も整合的であるとされました。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第106項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第107項

まとめ

本記事では、借手における所有権移転外ファイナンス・リースの原則的処理について解説いたしました。実務においては、例えばリース料総額60,000千円、貸手の購入価額48,000千円、借手の追加借入利子率8%のケースにおいて、現在価値(49,318千円)と購入価額(48,000千円)を比較し、低い額である48,000千円をリース資産およびリース債務として計上します。その後、差額12,000千円を利息相当額とし、利息法(逆算した月利約9.154%)を用いて各期の支払利息と元本返済額に厳密に区分して処理します。このような会計基準に則った正確な認識と測定が、企業の透明性の高い財務報告に直結します。参考:リース取引に関する会計基準 第9項、リース取引に関する会計基準 第10項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第21項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第22項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第23項、リース取引に関する会計基準の適用指針 第24項

所有権移転外ファイナンス・リース処理のよくある質問まとめ

Q.ファイナンス・リースの原則的な会計処理とはどのようなものですか?

A.リース取引開始日において、リース物件と将来の支払債務を、貸借対照表上の「リース資産」および「リース債務」として両建てで計上(オンバランス化)します。参考:リース取引に関する会計基準 第10項

Q.リース資産とリース債務の計上額はどのように決定しますか?

A.リース料総額の現在価値と、貸手の購入価額または借手の見積現金購入価額を比較し、いずれか低い額を採用して計上します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第22項

Q.現在価値の算定に用いる割引率は何を使用しますか?

A.貸手の計算利子率を知り得る場合はそれを使用し、知り得ない場合は借手の追加借入利子率を使用します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第17項

Q.支払リース料はどのように処理しますか?

A.毎期の支払リース料は、利息相当額部分(支払利息)とリース債務の元本返済額部分に厳密に区分して会計処理します。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第23項

Q.利息相当額の各期への配分方法は何ですか?

A.原則として、未返済元本残高に対して一定の利率を乗じて算定する利息法を用いて配分しなければなりません。参考:リース取引に関する会計基準 第11項

Q.リース料に含まれる維持管理費用はどのように扱いますか?

A.原則としてリース料総額から控除して費用処理しますが、重要性が乏しい場合は控除せずにリース資産・債務に含めることが認められます。参考:リース取引に関する会計基準の適用指針 第25項

実際の会計処理は個別事情によって判断が分かれます。具体的なケースは公認会計士へのご相談をおすすめします。

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本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。