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リース取引に関する会計基準の実務ポイントと仕訳解説

2026-02-16
目次

企業会計において、リース取引の適切な処理は財務諸表の正確性を担保する上で不可欠です。本記事では、「企業会計基準第13号」および「企業会計基準適用指針第16号」に基づき、リース取引の判定基準から借手・貸手の会計処理、開示要件までを具体例を交えて詳細に解説いたします。

目的と適用範囲

本基準の目的と背景

リース会計基準は、リース取引の経済的実態を財務諸表に正確に反映させることを目的としています。かつては所有権移転外ファイナンス・リースについて賃貸借処理が広く認められていましたが、国際的な会計基準とのコンバージェンスを図るため、現在では原則として売買処理に統一されています(企業会計基準第13号第28項〜第34項)。これにより、資産の割賦売買と実質的に同等な取引が、透明性をもって報告されるようになりました。

適用されるリース取引の範囲

本基準は、通常の保守等の役務提供が組み込まれていないリース取引や、不動産に係るリース取引に対して適用されます。ソフトウェアなどの無形固定資産も対象となりますが、システム運用等の役務提供がリース料と一体となっている場合、実務上はリース料総額から役務提供部分を合理的に区分し、リース部分にのみ本基準を適用することになります(企業会計基準適用指針第16号第89項)。

用語の定義とファイナンス・リースの判定

ファイナンス・リースの2要件

ファイナンス・リース取引と判定されるためには、解約不能(ノンキャンセラブル)フルペイアウトの2つの要件を同時に満たす必要があります。中途解約ができず、借手が物件から経済的利益を実質的に享受し、使用に伴うコストを負担する取引がこれに該当します(企業会計基準第13号第5項)。

解約不能(ノンキャンセラブル) リース期間の中途で契約解除ができない、または解約時に未経過リース料の概ね全額などの多額の違約金支払いが義務付けられていること(企業会計基準適用指針第16号第6項)。
フルペイアウト 借手がリース物件から得られる経済的利益を享受し、取得価額や維持管理費などのコストを実質的に負担すること(企業会計基準適用指針第16号第7項)。

フルペイアウトの具体的な判定基準

実務上、フルペイアウトに該当するかどうかは客観的な数値基準を用いて判定します。例えば、見積現金購入価額48,000千円の専用工作機械に対し、リース料総額の現在価値が43,200千円(90%)以上であれば現在価値基準を満たし、ファイナンス・リースと判定されます(企業会計基準適用指針第16号第9項)。

現在価値基準(90%基準) 解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、物件の見積現金購入価額の概ね90%以上であること。
経済的耐用年数基準(75%基準) 解約不能のリース期間が、物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であること。

ファイナンス・リース取引の会計処理

借手側の会計処理と仕訳

借手は、リース取引開始日にリース資産リース債務を計上します。計上額は、リース料総額の割引現在価値と見積現金購入価額の低い方となります。リース料支払時は、支払額を元本返済部分と支払利息部分に区分し、利息法により処理します。所有権移転外ファイナンス・リースの場合、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして減価償却を行います(企業会計基準第13号第11項〜第12項)。

貸手側の会計処理と仕訳

貸手は、通常の売買取引に準じた処理を行い、所有権移転外の場合は単なる金銭債権とは区別してリース投資資産として計上します。会計処理には、売上高と売上原価を計上して利息相当額を繰り延べる第1法など3つの方法が認められています。いずれの方法を採用しても、利息法等を用いて各期に計上される利益額が同額になるよう調整されます(企業会計基準適用指針第16号第51項)。

特殊なリース取引とオペレーティング・リース

転リースとセール・アンド・リースバック

転リース取引において、中間の事業者は貸借対照表上にリース資産とリース債務の両方を計上し、受取リース料と支払リース料の差額を転リース差益として各期に配分します(企業会計基準適用指針第16号第47項)。一方、セール・アンド・リースバック取引で生じた売却損益は、売却時に一括計上せず長期前受収益等として繰延処理し、リース期間(例えば5年間)にわたって減価償却費の割合に応じて加減算します(企業会計基準適用指針第16号第48項)。

オペレーティング・リースの会計処理

ファイナンス・リース以外の取引はオペレーティング・リース取引に分類され、通常の賃貸借取引に準じて処理されます。借手は支払った月額リース料を支払手数料賃借料として当期の費用に計上し、貸借対照表に資産や負債は計上しません(企業会計基準第13号第15項)。建設現場で半年間だけ使用する重機のレンタル契約などがこれに該当します。

財務諸表における開示と注記

貸借対照表の表示ルール

借手は、有形固定資産や無形固定資産の区分にリース資産を一括表示し、リース債務は決算日後1年以内のものを流動負債、1年超のものを固定負債として区分します(企業会計基準第13号第16項〜第17項)。貸手についても、リース投資資産を営業目的に応じて流動資産などに適切に表示することが求められます(企業会計基準第13号第18項)。

借手および貸手の注記事項

ファイナンス・リースに関して、借手は主な資産の種類や減価償却方法を注記し、貸手はリース投資資産の内訳や貸借対照表日後5年以内の回収予定額を開示します。さらに、オペレーティング・リースであっても解約不能な契約については、将来の資金流出リスクを示すため、未経過リース料を1年以内と1年超に区分して注記する義務があります(企業会計基準第13号第19項〜第22項)。

まとめ

リース取引に関する会計基準は、法的形式ではなく経済的実態を重視し、ファイナンス・リースについては売買処理を原則としています。借手および貸手は、現在価値基準や経済的耐用年数基準を用いた判定要件を正しく理解し、適切な資産・負債の計上を行うことが求められます。また、オフバランスとなるオペレーティング・リースであっても、解約不能な場合は未経過リース料の注記開示が必要となるため、実務においては契約内容の精査と厳密な会計処理を実施してください。

 

参考文献

企業会計基準第13号 リース取引に関する会計基準

企業会計基準適用指針第16号 リース取引に関する会計基準の適用指針

リース取引の会計処理に関するよくある質問まとめ

Q.リース取引に関する会計基準の主な目的は何ですか?

A.リース取引の経済的実態を財務諸表に正確に反映させることです。特にファイナンス・リースについては、資金調達を伴う資産の購入と実質的に同じであるため、売買処理に統一されています(企業会計基準第13号第28項)。

Q.ファイナンス・リース取引と判定される要件を教えてください。

A.解約不能(ノンキャンセラブル)であることと、借手がリース物件から経済的利益を享受しコストを負担するフルペイアウトの2つの要件を同時に満たす必要があります(企業会計基準第13号第5項)。

Q.フルペイアウト判定における現在価値基準とは何ですか?

A.解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、物件の見積現金購入価額の概ね90%以上である場合にフルペイアウトと判定する基準です(企業会計基準適用指針第16号第9項)。

Q.所有権移転外ファイナンス・リースにおける借手の減価償却方法は?

A.リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして減価償却を行います。これにより、リース期間中に資産価値を費用として配分します(企業会計基準第13号第12項)。

Q.セール・アンド・リースバック取引における売却益の処理方法は?

A.売却益は当期に一括して計上せず、長期前受収益等として負債に繰延処理を行います。その後、リース期間にわたって減価償却費の割合に応じて利益として実現させます(企業会計基準適用指針第16号第48項)。

Q.オペレーティング・リース取引でも注記が必要なケースはありますか?

A.はい、解約不能なオペレーティング・リース取引については、将来の資金流出リスクを示すため、未経過リース料を1年以内と1年超に区分して注記する義務があります(企業会計基準第13号第22項)。

事務所概要
社名
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対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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