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減損会計の例外処理:中間期と再評価土地の実務ポイント

2026-02-12
目次

固定資産の減損会計において、中間会計期間での処理や、過去に再評価を行った土地に対する減損処理には、特有の例外ルールが設けられています。本記事では、「固定資産の減損に係る会計基準」および適用指針に基づき、中間期における減損の取扱いや土地再評価差額金の振替処理など、実務上迷いやすいポイントを具体的なケーススタディを交えて詳しく解説いたします。

中間会計期間における減損処理の取扱い

中間決算での原則と例外ルール

中間会計期間(第1四半期から第3四半期など)において減損損失を認識・測定した場合、その後の年度決算における処理には明確なルールが存在します。原則として、中間期で行った減損処理を事業年度全体を対象として改めてやり直すことはしないと規定されています〔適用指針 第63項、第145項〕。ただし、唯一の例外として、新たな減損の兆候が発生した場合にのみ、追加の減損処理を実施します。

原則的な取扱い 中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて会計処理を行うことはしない〔適用指針 第63項、第145項〕
例外的な取扱い 中間会計期間の末日から年度決算日までに新たな減損の兆候が発生した場合に限り、追加の減損処理を実施する〔適用指針 第63項、第145項〕

中間期で処理を確定させる背景

年度決算において減損の再計算を行わない背景には、減損会計の本質があります。減損処理は、棚卸資産の低価基準のように期末の厳密な時価を求めるものではなく、投資額の回収が見込めなくなった状態が相当程度に確実な場合にのみ臨時的に帳簿価額を減額する処理です〔減損会計意見書 三 3.、四 2.(2)①、適用指針 第145項〕。そのため、中間期で事実が確定したのであれば、その後に市況が好転しても戻入れが禁止されていることもあり、実務上の負担軽減の観点から改めて計算をやり直す必要はないと結論付けられました〔適用指針 第145項〕。

減損処理の目的 投資額の回収が見込めなくなった場合に限り、臨時的に回収可能価額まで減額する〔減損会計意見書 三 3.、四 2.(2)①、適用指針 第145項〕
再計算不要の理由 状況が好転しても戻入れは禁止されており、追加の悪化がない限り実務負担を軽減するため〔適用指針 第145項〕

中間期減損の実務ケーススタディ

具体的な実務ケースとして、中間期に減損処理を行い、下期に市況が回復した場合を想定します。例えば、第2四半期末に主力工場の稼働率低下により、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回ったため1億円の減損損失を計上したとします。その後、第4四半期に稼働率が回復したとしても、通期で減損処理を取り消すことはしません。中間期末の減損処理後の帳簿価額をベースに減価償却を行い、そのまま年度決算の数値を確定させます〔適用指針 第63項、第145項〕。

第2四半期末(中間期) 割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回ったため、1億円の減損損失を計上
第4四半期(年度決算) 稼働率が回復しても減損処理のやり直しはせず、中間期末の帳簿価額をベースに処理を確定〔適用指針 第63項、第145項〕

再評価を行った土地と諸準備金の減損処理

土地再評価差額金の取扱いルール

「土地の再評価に関する法律」に基づき過去に帳簿価額を増額した事業用土地について減損処理を行う場合、再評価後の帳簿価額を基礎として減損会計を適用します〔減損会計意見書 五 3.、適用指針 第64項〕。この際、過去に純資産の部に計上された「土地再評価差額金」は取り崩し、損益計算書を経由させずに直接繰越利益剰余金へ振り替える処理を行います〔適用指針 第64項、第146項〕。取崩額は、減損処理後の帳簿価額と再評価直前の帳簿価額との関係によって決定されます。

再評価直前の帳簿価額「以上」の場合 計上されている土地再評価差額金のうち、減損処理した金額に相当する金額を取り崩す〔適用指針 第146項(1)〕
再評価直前の帳簿価額に「満たない」場合 計上されている土地再評価差額金の全額を取り崩す〔適用指針 第146項(2)〕

諸準備金等の取崩しの要否と背景

減損処理を行った固定資産に関連して、圧縮積立金や特別償却準備金などの諸準備金等が純資産の部に計上されている場合があります。しかし、減損処理を行った場合であっても、これらの諸準備金等を取り崩す必要はないと明確に規定されています〔適用指針 第147項〕。これは、諸準備金等が会計上は任意積立金として積み立てられたものであり、減損処理は税務上の益金算入に準拠した目的取崩しの要件には該当しないためです〔適用指針 第147項〕。

諸準備金等の取扱い 対象資産を減損処理した場合でも、圧縮積立金などの諸準備金等を取り崩す必要はない〔適用指針 第147項〕
結論の背景 諸準備金等は任意積立金であり、減損は税務上の目的取崩しの要件に該当しないため〔適用指針 第147項〕

再評価土地と諸準備金の実務ケーススタディ

過去に取得原価100百万円の土地を再評価して帳簿価額180百万円とし、土地再評価差額金を計上していたケースを考えます。当期末に減損の兆候があり、回収可能価額が120百万円と算定された場合、差額の60百万円を減損損失として特別損失に計上します〔減損会計意見書 五 3.、適用指針 第64項〕。減損後の帳簿価額120百万円は取得原価100百万円を上回るため、減損損失60百万円に対応する土地再評価差額金を取り崩し、繰越利益剰余金へ振り替えます〔適用指針 第146項(1)〕。一方、同資産グループの建物に設定された圧縮積立金は、減損を理由とした取崩しは一切行わず保持します〔適用指針 第147項〕。

土地(再評価済)の処理 減損損失60百万円を計上し、同額に対応する土地再評価差額金を繰越利益剰余金へ直接振替〔適用指針 第64項、第146項(1)〕
建物(圧縮積立金あり)の処理 建物に係る減損を理由とした圧縮積立金の取崩しは一切行わず、そのまま保持する〔適用指針 第147項〕

参考文献

企業会計審議会 固定資産の減損に係る会計基準

企業会計基準第35号 「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正

企業会計基準適用指針第6号 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針

まとめ

中間会計期間における減損処理は、原則として年度決算での再計算を行わず、新たな減損の兆候がある場合にのみ追加処理を行います。また、過去に再評価を行った土地の減損処理では、土地再評価差額金を繰越利益剰余金へ直接振り替える特有の処理が求められますが、圧縮積立金などの諸準備金等については取崩しを行う必要はありません。これらの例外的な取扱いを正確に理解し、適切な実務対応を行うことが重要です。

減損会計の例外処理に関するよくある質問まとめ

Q.中間会計期間で減損処理を行った場合、年度決算で計算をやり直す必要はありますか?

A.原則として、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として改めて計算をやり直すことはしません。ただし、中間期の末日から年度決算日までに新たな減損の兆候が発生した場合に限り、追加の減損処理を実施します〔適用指針 第63項、第145項〕。

Q.中間期で減損処理を確定させ、年度決算で再計算しないのはなぜですか?

A.減損処理は期末の厳密な時価を求めるものではなく、投資額の回収が見込めなくなった場合に臨時的に帳簿価額を減額する処理であるためです。実務上の負担軽減の観点からも、追加の悪化がない限り再計算は不要とされています〔適用指針 第145項〕。

Q.過去に再評価を行った土地について減損処理を行う場合、どの金額を基礎としますか?

A.「土地の再評価に関する法律」に基づき再評価を行っている場合、その「再評価後の帳簿価額」を基礎として減損会計を適用します〔減損会計意見書 五 3.、適用指針 第64項〕。

Q.減損処理に伴う土地再評価差額金の取崩しはどのように行いますか?

A.損益計算書を経由させず、純資産の部における剰余金修正として直接「繰越利益剰余金」に振り替える会計処理を行います。取崩額は減損処理後の帳簿価額と再評価直前の帳簿価額の関係により決定されます〔適用指針 第64項、第146項〕。

Q.減損処理を行った固定資産に関連する圧縮積立金などの諸準備金は取り崩す必要がありますか?

A.対象となる固定資産について減損処理を行った場合であっても、圧縮積立金や特別償却準備金などの諸準備金等を取り崩す必要はありません〔適用指針 第147項〕。

Q.なぜ土地再評価差額金は当期損益ではなく繰越利益剰余金へ振り替えるのですか?

A.土地再評価差額金は法律に基づき臨時的かつ例外的に計上された特殊な性質を持つため、現在の会計慣行における土地売却時と同様の考え方を採り、純資産の部における剰余金修正として処理することが適当とされたためです〔適用指針 第146項〕。

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
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電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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