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減損損失の測定と資産グループへの配分方法を徹底解説

2026-02-06
目次

固定資産の減損会計において、減損損失の測定および資産グループへの配分は、企業の財務諸表に重大な影響を与える重要なプロセスです。本記事では、会計基準や適用指針に基づき、回収可能価額の算定から実務上の特例的取扱いまで、具体的なケーススタディを交えながら詳細に解説いたします。

減損損失の測定における基本原則

減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失として計上しなければなりません〔減損会計基準 二 3.、適用指針 第25項〕。

回収可能価額の算定方法

減損損失の測定において基準となる回収可能価額は、対象となる資産又は資産グループの「正味売却価額」と「使用価値」を比較し、いずれか高い方の金額として決定されます〔減損会計基準 注解(注1)1.、適用指針 第25項〕。企業は、市場における売却価値と事業における継続使用価値を比較検討することになります。

項目 内容
対象となる金額 正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額
会計処理 帳簿価額と回収可能価額の差額を減損損失として当期損失に計上

使用価値と正味売却価額の比較

回収可能価額を構成する2つの要素は、それぞれ異なる視点から資産の経済的価値を評価したものです。実務上は両者を算定し、より企業にとって有利な(高い)金額を採用します。

評価基準 定義と算定方法
正味売却価額 資産の時価から処分費用見込額を控除して算定される金額
使用価値 継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値

資産グループに係る減損損失の配分

減損損失の対象が単一の資産ではなく、複数の資産から構成される資産グループである場合、グループ全体として認識された減損損失を、グループ内の各構成資産に割り振る手続きが必要となります。

帳簿価額に基づく比例配分の原則

資産グループについて認識された減損損失は、原則として、各構成資産の帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により配分します〔減損会計基準 二 6.(2)、適用指針 第26項〕。これにより、客観的かつシステマティックな損失の配分が可能となります。

配分方法 適用の要件
比例配分(原則) 各構成資産の帳簿価額の比率に基づいて減損損失を按分する
主要資産への配分 帳簿価額の大部分が主要な資産で占められる場合、全額を主要資産に配分可能

時価を考慮した合理的な配分方法

各構成資産の時価を考慮した配分等の方法が、単なる帳簿価額の比例配分よりも合理的であると認められる場合には、その方法によることも認められています〔減損会計意見書 四 2.(6)②〕。実態に即した評価額が存在する場合は、それを配分基準に活用することが推奨されます。

配分時の特例的取扱い

資産グループへの配分において、実務上の適正さを保つために、特定の条件下で適用される特例的な取扱いが規定されています。

正味売却価額が把握できる場合の限度額

各構成資産に減損損失を配分する際、特定の構成資産の正味売却価額が容易に把握できる場合には、配分後の帳簿価額が当該正味売却価額を下回らないように配慮する必要があります。下回る場合には、その超過部分の金額を合理的な基準により他の構成資産の減損損失として再配分します〔適用指針 第105項〕。

状況 実務上の対応
配分後帳簿価額 < 正味売却価額 正味売却価額を限度として配分を止め、超過額を他の構成資産へ再配分する

建設仮勘定に対する配分の特例

資産グループが複数の建設仮勘定から構成されている場合、減損損失の測定時点(決算期末など)においては、個々の建設仮勘定には損失を配分しません。建設が完了し完成時に達した段階で、それまでの総支出額等の合理的な方法に基づいて、最終的な減損損失の配分を行います〔適用指針 第27項〕。

タイミング 建設仮勘定への配分処理
減損損失の測定時点 グループ全体の帳簿価額から控除するが、個別の建設仮勘定には配分しない
建設完了(完成時) 総支出額等の合理的な基準に基づき、個別の資産へ最終的な配分を実施する

背景と結論の根拠(BC)

減損会計基準において、回収可能価額の定義や配分方法に関するルールが設定された背景には、企業の合理的な経済行動の前提と実務上の負担軽減という2つの側面があります。

高い方の金額を回収可能価額とする理由

帳簿価額を減額する目標値として、正味売却価額と使用価値の高い方を用いる背景には、合理的な企業の経済行動の前提があります。企業は、投資を売却によって回収する手段と、使用によって回収する手段のうち、経済的に有利な(高い回収が見込める)手段を選択すると考えられます。そのため、両者を比較して高い方の金額を回収可能価額と定義することが最も論理的であると結論付けられました〔減損会計意見書 四 1.(3)〕。

比例配分が実務上認められる背景

資産グループとして一体で認識された減損損失を、個々の構成資産に完璧に合理的な方法で配分することは実質的に困難です。しかし、将来キャッシュ・フローの見積期間等にわたって減損損失累計額を取り崩すような簡便な方法は、減損処理後の減価償却の枠組みから逸脱し、減損損失の戻入れを禁じた原則にも反します〔減損会計意見書 四 3.(2)、適用指針 第106項〕。そのため、実務上の負担と理論的な要請のバランスを取り、帳簿価額に基づく比例配分や時価を考慮した配分が妥当なルールとして規定されました〔減損会計意見書 四 2.(6)②、適用指針 第106項〕。

実務ケーススタディ

実際のビジネスにおいて、これらの減損会計基準がどのように適用されるか、具体的な製造工場のケーススタディを通じて解説します。

製造工場グループにおける測定と配分例

製造業A社は、割引前将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った工場グループ(帳簿価額合計1,000百万円:建物500百万円、機械装置200百万円、土地300百万円)について減損損失を測定します。使用価値が600百万円、正味売却価額が500百万円であったため、高い方である使用価値600百万円を回収可能価額と決定します〔減損会計基準 注解(注1)1.、適用指針 第25項〕。これにより、差額の400百万円を減損損失として計上します〔減損会計基準 二 3.〕。

資産内訳 配分前帳簿価額(比率)
建物 500百万円(50%)
機械装置 200百万円(20%)
土地 300百万円(30%)

原則として、各資産の帳簿価額の比率に基づいて400百万円の減損損失を比例配分します〔減損会計基準 二 6.(2)、適用指針 第26項〕。計算上、建物に200百万円、機械装置に80百万円、土地に120百万円が配分されます。

正味売却価額を考慮した再配分の実務

A社は不動産鑑定により、土地単独の正味売却価額が250百万円であることを把握していました。単純な比例配分では土地の配分後帳簿価額が180百万円(300百万円-120百万円)となり、正味売却価額(250百万円)を下回ってしまいます。そのため、特例に従い土地への配分額を50百万円(300百万円-250百万円)を限度として止めます〔適用指針 第105項〕。

資産内訳 最終的な減損損失配分額
土地 50百万円(正味売却価額250百万円でストップ)
建物・機械装置 350百万円(残額70百万円を帳簿価額比率等で再配分)

本来土地に配分されるはずだった残りの損失70百万円(120百万円-50百万円)については、建物と機械装置に対して、それぞれの帳簿価額比率等の合理的な基準で再配分するという実務調整を行います。

参考文献

企業会計審議会 固定資産の減損に係る会計基準

企業会計基準第35号 「固定資産の減損に係る会計基準」の一部改正

企業会計基準適用指針第6号 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針

まとめ

減損損失の測定においては、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を回収可能価額として算定することが基本原則です。また、資産グループへの減損損失の配分は、帳簿価額に基づく比例配分を原則としつつも、構成資産の正味売却価額が把握できる場合の配分限度の設定や、建設仮勘定に対する特例など、実務に即した柔軟な対応が求められます。これらの基準を正確に理解し、適切な会計処理を実施することが重要です。

減損損失の測定に関するよくある質問まとめ

Q.回収可能価額とは何ですか?

A.資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を指します。〔減損会計基準 注解(注1)1.〕

Q.資産グループに対する減損損失はどのように配分しますか?

A.原則として、各構成資産の帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により配分します。〔減損会計基準 二 6.(2)〕

Q.構成資産の正味売却価額が把握できる場合の配分はどうなりますか?

A.配分後の帳簿価額が当該正味売却価額を下回らないように配慮し、下回る部分は他の資産に再配分します。〔適用指針 第105項〕

Q.建設仮勘定に対する減損損失の配分はどのように行いますか?

A.測定時点では個々の建設仮勘定には配分せず、完成時に総支出額等の合理的な方法に基づいて最終的な配分を行います。〔適用指針 第27項〕

Q.なぜ正味売却価額と使用価値の高い方を回収可能価額とするのですか?

A.企業は売却と使用のうち経済的に有利な手段を選択すると考えられるため、高い方を回収可能価額と定義しています。〔減損会計意見書 四 1.(3)〕

Q.資産グループの帳簿価額の大部分が主要な資産で占められている場合、簡便な配分は可能ですか?

A.実務上の合理的な方法として、主要な資産のみに減損損失の全額を配分することも許容されています。〔適用指針 第106項〕

事務所概要
社名
公認会計士事務所プライムパートナーズ
住所
〒107-0052
東京都港区赤坂5丁目2−33
IsaI AkasakA 17階
電話番号
03-6773-5062
対応責任者
公認会計士 島本 雅史

本記事は正確な情報提供を心掛けておりますが、執筆時点の情報に基づいているため、法改正や人的ミス、個別のケースにより適用が異なる可能性があります。最新の情報や具体的なご相談については、お気軽に弊所の会計士までお問い合わせください。

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